業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、積極的なグローバル事業の展開による企業価値の向上に資するために、基準とすべき会計及び財務報告のあり方を検討した結果、資本市場における財務情報の国際的な比較、グループ内での会計処理の統一、グローバル市場における資金調達手段の多様化等を目的として、2014年3月期よりIFRSを適用しております。

当社グループの連結財務諸表の作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としており、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要な会計方針」に記載しております。

 

(1) 業績等の概要

当社グループの当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)の連結業績は、次のとおりであります。

 

<連結業績(コアベース)>

 (単位:億円)

 

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

増減

売上収益

9,625

10,449

824

8.6%

売上原価

(注)

3,378

3,480

103

3.0%

販売費及び一般管理費

(注)

3,185

3,521

337

10.6%

研究開発費

(注)

2,274

2,541

267

11.7%

コア営業利益

(注)

789

906

118

14.9%

一過性の収益

(注)

6

39

34

602.1%

一過性の費用

(注)

156

215

59

37.6%

営業利益

638

730

92

14.5%

税引前利益

741

735

△6

△0.8%

親会社の所有者に帰属する

当期利益

760

670

△90

△11.8%

当期包括利益合計額

1,150

1,303

153

13.3%

(注)当社グループは、経常的な収益性を示す指標として、営業利益から一過性の収益・費用を除外したコア営業利益を開示しております。一過性の収益・費用には、固定資産売却損益、事業再編に伴う損益(開発品や上市製品の売却損益を除く)、有形固定資産及び無形資産並びにのれんに係る減損損失、損害賠償や和解等に伴う損益の他、非経常的かつ多額の損益が含まれます。
本表では、売上原価、販売費及び一般管理費、研究開発費について、一過性の収益・費用を除く実績を示しております。

<主要通貨の日本円への換算レート(期中平均レート)>

 

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

米ドル/円

106.06

112.38

ユーロ/円

123.70

130.56

 

売上収益

売上収益は、前連結会計年度比824億円(8.6%)増収の1兆449億円となりました。グローバル主力品リクシアナ(一般名:エドキサバン)、エンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン:T-DXd/DS-8201)等の伸長等により、増収となりました。売上収益に係る為替の増収影響は287億円でありました。

 

コア営業利益

コア営業利益は、前連結会計年度比118億円(14.9%)増益の906億円となりました。売上原価は、売上収益が増加したものの、製品構成の変化に伴う原価率改善により、103億円(3.0%)増加の3,480億円に留まりました。販売費及び一般管理費は、エンハーツに係るアストラゼネカとのプロフィット・シェアの増加による費用増等により、337億円(10.6%)増加の3,521億円となりました。研究開発費は、3ADC(トラスツズマブ デルクステカン、ダトポタマブ デルクステカン:Dato-DXd/DS-1062、パトリツマブ デルクステカン:HER3-DXd/U3-1402)への研究開発投資の増加等により、267億円(11.7%)増加の2,541億円となりました。コア営業利益に係る為替の増益影響は39億円でありました。

 

営業利益

営業利益は、前連結会計年度比92億円(14.5%)増益の730億円となりました。旧野洲川工場の環境対策費用等の計上により、一過性の費用が増加したため、コア営業利益に比べて増益額が減少いたしました。

 

税引前利益

税引前利益は、前連結会計年度比6億円(0.8%)減益の735億円となりました。

 

親会社の所有者に帰属する当期利益

親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度比90億円(11.8%)減益の670億円となりました。前連結会計年度は、将来の課税所得見込額の増加に伴い繰延税金資産が増加したため、法人所得税費用がマイナスとなっておりました。この影響等により、前連結会計年度に比べ負担税率が増加した結果、税引前利益を上回る減益率となりました。

 

当期包括利益合計額

当期包括利益合計額は、前連結会計年度比153億円(13.3%)増益の1,303億円となりました。金融資産評価差額金が悪化したものの、海外子会社の純資産に係る為替換算差額が改善したことから増益となりました。

 

なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による当連結会計年度の業績への影響は、第一三共ヘルスケアユニットにおいて売上収益の減収影響を受けたものの、活動制限に伴う販売促進費等経費の減少と相殺されることから、軽微であったと判断しております。

 

<連結業績(IFRSベース)>

 (単位:億円)

 

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

増減

売上収益

9,625

10,449

824

8.6%

売上原価

3,383

3,533

150

4.4%

販売費及び一般管理費

3,331

3,583

252

7.6%

研究開発費

2,274

2,602

329

14.5%

営業利益

638

730

92

14.5%

税引前利益

741

735

△6

△0.8%

親会社の所有者に帰属する

当期利益

760

670

△90

△11.8%

当期包括利益合計額

1,150

1,303

153

13.3%

 

<グローバル主力品売上収益>

(単位:億円)

一般名

(主な製品名)

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

増減

トラスツズマブ デルクステカン

(エンハーツ)

抗悪性腫瘍剤

(抗 HER2 抗体薬物複合体)

435

808

374

85.9%

エドキサバン

(リクシアナ)

抗凝固剤

1,659

2,056

397

23.9%

 

エンハーツは、既上市国での市場浸透及び上市国の拡大により、前連結会計年度比374億円(85.9%)増収の808億円となりました。エドキサバンは、日本、欧州等で売上が伸長し、前連結会計年度比397億円(23.9%)増収の2,056億円となりました。当社は、第5期中期経営計画でエンハーツを始めとした「3ADC最大化の実現」及び「既存事業・製品の利益成長」を戦略目標として定めております。第5期中期経営計画の内容につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

当社グループのユニット別売上収益状況は次のとおりであります。

 

① ジャパンビジネスユニット(JBU)

ジャパンビジネスユニットの売上収益には、イノベーティブ医薬品事業、ワクチン事業及び第一三共エスファ株式会社が取り扱うジェネリック事業の製品売上収益が含まれております。

当ユニットの売上収益は、薬価改定の影響や、共同販促が終了したネキシウムの減収、独占販売期間の満了に伴うジェネリック参入によるメマリーの減収等があったものの、リクシアナ、タリージェ、エンハーツ、エムガルティ等が伸長したことにより、前連結会計年度並みの4,895億円となりました。

 

当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。

・2021年4月、片頭痛発作の発症抑制薬エムガルティを新発売いたしました。

・2021年5月、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体であるアダリムマブのバイオシミラーを新発売いたしました。

・2021年8月、リクシアナ錠15mg、リクシアナOD錠15mgの用法及び用量の追加に係る一部変更承認を取得いたしました。

・2021年8月、片頭痛治療剤レイボ―の日本における販売提携契約を締結いたしました。

・2021年11月、がん治療用ウイルスG47Δ製品デリタクトを新発売いたしました。

・2021年12月、抗血小板剤エフィエント錠3.75㎎、エフィエント錠2.5㎎の用法及び用量の追加に係る一部変更承認を取得いたしました。

・2022年1月、片頭痛治療剤レイボ―の製造販売承認を取得いたしました(注)。

・2022年3月、疼痛治療剤タリージェの効能又は効果に係る一部変更承認を取得いたしました。

(注)リバース コ・プロモーション契約を締結した日本イーライリリー社が承認を取得。

 

<ジャパンビジネスユニット主力品売上収益>

(単位:億円)

製品名

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

増減

リクシアナ

抗凝固剤

774

925

151

19.5%

ネキシウム

抗潰瘍剤

778

396

△382

△49.1%

プラリア

骨粗鬆症治療剤・関節リウマチに伴う骨びらんの進行抑制剤

346

379

33

9.4%

タリージェ

疼痛治療剤

206

301

96

46.6%

テネリア

2型糖尿病治療剤

242

237

△6

△2.4%

ランマーク

がん骨転移による骨病変治療剤

193

204

11

5.6%

ロキソニン

消炎鎮痛剤

242

222

△20

△8.2%

ビムパット

抗てんかん剤

145

183

37

25.6%

カナリア

2型糖尿病治療剤

154

168

14

8.8%

エフィエント

抗血小板剤

141

167

27

18.9%

エンハーツ

抗悪性腫瘍剤

(抗 HER2 抗体薬物複合体)

44

96

52

119.5%

レザルタス

高血圧症治療剤

131

120

△11

△8.6%

イナビル

抗インフルエンザウイルス剤

36

13

△23

△63.1%

エムガルティ

片頭痛発作の発症抑制薬

46

46

 

② 第一三共ヘルスケアユニット

第一三共ヘルスケアユニットの売上収益は、ルル等の感冒薬の減収により、前連結会計年度比25億円(3.7%)減収の647億円となりました。

 

③ オンコロジービジネスユニット(OBU)

オンコロジービジネスユニットの売上収益には、第一三共Inc.(米国)の製品売上収益及び第一三共ヨーロッパGmbHのがん製品売上収益が含まれております。

当ユニットの売上収益は、欧米におけるエンハーツの伸長により、前連結会計年度比222億円(46.9%)増収の696億円、現地通貨ベースでは、173百万米ドル(38.7%)増収の619百万米ドルとなりました。

 

<オンコロジービジネスユニット主力品売上収益>

(単位:億円)

製品名

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

増減

エンハーツ

抗悪性腫瘍剤

(抗 HER2 抗体薬物複合体)

257

544

287

111.5%

 

エンハーツ(米)

257

454

197

76.4%

エンハーツ(欧)

0

90

90

TURALIO

抗腫瘍剤

18

28

10

53.7%

 

④ アメリカンリージェントユニット(ARU)

アメリカンリージェントユニットの売上収益は、昨年度に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響を受けたインジェクタファー等の増収により、前連結会計年度比277億円(22.8%)増収の1,495億円、現地通貨ベースでは、182百万米ドル(15.9%)増収の1,330百万米ドルとなりました。

 

<アメリカンリージェントユニット主力品売上収益>

(単位:億円)

製品名

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

増減

インジェクタファー

鉄欠乏性貧血治療剤

441

531

89

20.2%

ヴェノファー

鉄欠乏性貧血治療剤

288

338

49

17.1%

 

⑤ EUスペシャルティビジネスユニット(EUSBU)

EUスペシャルティビジネスユニットの売上収益には、がん製品を除く第一三共ヨーロッパGmbHの製品売上収益が含まれております。

当ユニットの売上収益は、リクシアナの順調な伸長により、前連結会計年度比166億円(14.9%)増収の1,282億円、現地通貨ベースでは80百万ユーロ(8.8%)増収の982百万ユーロとなりました。

 

<EUスペシャルティビジネスユニット主力品売上収益>

(単位:億円)

製品名

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

増減

リクシアナ

抗凝固剤

767

969

202

26.4%

Nilemdo / Nustendi

高コレステロール血症治療剤

6

31

26

448.2%

オルメサルタン

高血圧症治療剤

215

203

△12

△5.6%

 

⑥ ASCAビジネスユニット(ASCABU)

ASCA(注)ビジネスユニットの売上収益には、海外ライセンシーへの売上収益等が含まれております。

当ユニットの売上収益は、中国におけるオルメサルタン等の伸長により、前連結会計年度比145億円(14.5%)増収の1,141億円となりました。

 

当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。

・2021年4月、アジア・南米地域における、Esperion社の高コレステロール血症治療剤ベムペド酸を導入いたしました。

・2022年3月、中国におけるクラビット製剤の製造販売権及び第一三共製薬(北京)有限公司の出資持分の全てを重慶薬友製薬有限責任公司に譲渡する契約を締結いたしました。

(注)Asia, South & Central Americaの略。

 

ユニット別売上収益構成比は次のとおりであります。

0102010_007.jpg

 

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

医薬事業

528,067

105.7

合計

528,067

105.7

 (注)1.金額は正味販売価格によっております。

2.生産実績について、集計方法に一部誤りがあったため、当連結会計年度より見直しております。これに伴

  い、前連結会計年度についても再集計のうえ、前年同期比を算出しております。

 

② 受注実績

当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画を策定し、これにより生産を行っております。受注生産は一部の連結子会社で行っておりますが、受注残高の金額に重要性はないため、記載を省略しております。

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

医薬事業

1,044,892

108.6

合計

1,044,892

108.6

 (注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

アルフレッサ ホールディングス

株式会社及びそのグループ会社

185,556

19.3

187,782

18.0

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① 財務戦略の基本的な考え方

当社グループは、ESG経営のもと、新たに「サステナブルな社会の発展に貢献する先進的グローバルヘルスケアカンパニー」となることを2030年ビジョンとして掲げました。2025年ビジョンである「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」を実現し、2030年ビジョン達成に向けた持続的な成長ステージへの移行を可能とするべく、第5期中期経営計画(2021~2025年度)を策定いたしました。2025年度経営目標として、売上収益1兆6,000億円(がん領域で6,000億円以上)、研究開発費控除前コア営業利益率40%、ROE16%以上を目指します。また、期間中のキャッシュ・アロケーションについては、成長投資と株主還元の双方をバランス良く実施することを基本方針としております。

成長投資については、3つのADC開発を優先する形で5年間総額1兆5,000億円規模の研究開発投資、また、ADCの供給体制強化を中心とした同じく5,000億円規模の設備投資を新たな資金調達は行わずに自己資金にて実施する計画としております。

株主還元については、普通配当1株当たり27円の維持に加え、利益成長に応じて増配、あるいは機動的に自己株式取得を実施することで、株主還元のさらなる充実を図っていきます。KPIとして、株主資本を基準とする株主資本配当率(DOE)を採用し、安定的な株主還元を行う方針とし、2025年度のDOEは株主資本コストを上回る8%以上を目標に掲げ、株主価値の最大化を目指します。

 

② 資金調達の方法及び状況

当社グループは、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を資金調達の基本的な考えとしており、手元資金及び外部資金を有効に活用しております。当社グループは、戦略的投資もしくは資金調達にあたって外部借入への依存度合いを測る目的から、手元流動性残高(現預金及び短期投資債券等)から有利子負債を控除した、ネット・キャッシュを重視しております。

手元資金としては、事業展開に伴う資金需要に対する機動的な対応のため、十分な現金及び現金同等物を保有しております。適正な現金及び現金同等物の保有額は、月商の3ヶ月程度を考えており、これを超える部分については企業価値向上に資する事業戦略投資に対する資金として確保しております。これらは金融情勢などを勘案しつつ、安全性並びに流動性の極めて高い短期金融商品で運用しております。

外部からの資金調達の手段としては、直接金融又は間接金融の多様な手段の中から、その時々の市場環境を考慮した上で当社にとって有利な手段を機動的に選択し、資金調達を行っております。直接金融としては、国内社債発行登録枠として3,000億円及びコマーシャル・ペーパー発行枠として1,500億円を有しております。2016年には超低金利の環境を活かし、国内ヘルスケアセクターでは初となる償還年限が20年、30年の超長期無担保社債を発行し、1,000億円の長期低コスト資金を確保いたしました。間接金融としては、当社は取引先金融機関と良好な取引関係を維持しており、複数の銀行から資金調達をしております。また、複数の銀行との間で当座貸越契約及び200億円のコミットメントラインを設定し、緊急時の流動性担保の手段も確保しております。

なお、円滑な外部資金調達を行なうため、当社は株式会社格付け投資情報センター(R&I)と、ムーディーズ・ジャパン株式会社(Moody’s)の2社から格付けを取得しております。

当連結会計年度末時点での当社の長期及び短期の信用格付けは次のとおりであります。

 

長期

短期

格付投資情報センター(R&I)

AA/安定的

a-1+

ムーディーズ・ジャパン(Moody's)

A2/安定的

 

なお、連結子会社は、原則として銀行などの外部からの資金調達を行わず、親会社もしくは現地法人などの資金調達拠点を通じたキャッシュ・マネジメント・サービスやグループ・ファイナンスの活用により、資金調達の集約と資金効率化、流動性の確保を図っております。

 

③ 財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析

(ⅰ)財政状態

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末から1,362億円増加し、2兆2,214億円となりました。

その他の金融資産(流動)が2,630億円減少した一方で、現金及び現金同等物が2,819億円、並びに有形固定資産が388億円それぞれ増加いたしました。

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末から574億円増加し、8,705億円となりました。

シンジケートローンの返済等により社債及び借入金(流動負債及び非流動負債)が204億円減少した一方で、営業債務及びその他の債務が273億円、ダトポタマブ デルクステカンの戦略的提携の契約一時金の入金等によりその他の非流動負債が273億円増加いたしました。

当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末から788億円増加し、1兆3,509億円となりました。

配当金の支払による減少があった一方で、当期利益の計上等により増加いたしました。

以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は60.8%となり、前連結会計年度末より0.2%減少いたしました。

 

0102010_008.jpg

 当社グループでは、既存事業の利益成長を通じた営業キャッシュ・フローの拡大に加え、ノンコア資産の圧縮を進め、総資産回転率を向上させることでも成長投資と株主還元のための原資創出を強化しております。事業活動上の重要性と代替可能性に加え、維持・改修費用などのライフサイクルコストや事業継続計画(BCP)を考慮し、適切なタイミングでのノンコア資産の売却を進めていきます。

 

(ⅱ)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、2,819億円増加の6,625億円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,392億円の収入(前連結会計年度は1,922億円の収入)となりました。

税引前利益735億円、減価償却費及び償却費582億円等の非資金項目の他、ダトポタマブ デルクステカンの戦略的提携の契約一時金の収入等がありました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、2,123億円の収入(前連結会計年度は392億円の支出)となりました。

設備投資や無形資産の取得による支出があった一方で、定期預金の払戻等による収入等がありました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払及び借入金の返済等により、862億円の支出(前連結会計年度は2,024億円の支出)となりました。

 

0102010_009.jpg

 

(4) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2025年度における計数目標として、売上収益1兆6,000億円(うち、がん領域において6,000億円以上)、研究開発費控除前コア営業利益率40%以上、ROE16%以上、株主資本配当率(DOE)8%以上を目指しております。

当連結会計年度においては、売上収益10,449億円、研究開発費控除前コア営業利益率33.0%、ROE5.1%、DOE3.9%となりました。なお、目標達成に向けた主な取り組み課題と実績については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づいて作成しております。連結財務諸表の作成にあたり行った重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。

 

 

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