当社は、“Otsuka-people creating new products for better health worldwide”の企業理念のもと、「流汗悟道(Commitment)」、「実証(Actualization)」、「創造性(Creativity)」という経営の真髄に基づき、ユニークかつ多様な事業と世の中の真のニーズ・インサイト、サイエンスやテクノロジーを有機的に結合させることから生まれる新しいコンセプトや、多様な事業との重なりや派生、ニッチな領域の開拓により新たな価値を創造してきました。
引き続き、日々の健康の維持・増進、疾病の診断から治療までを担うトータルヘルスケア企業として、顕在化しているが満たされないニーズと消費者が気付いていないニーズに対し、医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業の独創的な製品を提供することにより、「世界の人々の健康に貢献する、なくてはならない企業」を目指してまいります。
(1) 第3次中期経営計画の位置づけと主な施策
第3次中期経営計画は、「独自のトータルヘルスケア企業として世界に躍進~成長の5年間~」と位置づけ、医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業をコア事業として、新たな価値創造と既存事業価値の最大化に取り組みます。また資本コストを意識した経営を実践し、持続的な成長を目指します。
<業績目標>年平均成長率10%以上の事業利益成長
• 医療関連事業・ニュートラシューティカルズ関連事業の主力製品・ブランドの着実な成長により実現(オーガニックな成長)
• 積極的な研究開発投資を行い、次期中期経営計画以降の収益を牽引する新薬開発の継続
(注)事業利益=売上収益-売上原価-販売費及び一般管理費+持分法による投資損益-研究開発費
<事業戦略>既存事業価値の最大化と新たな価値創造
① 主力製品・ブランドへの戦略的な取り組みにより成長を加速
・医療グローバル4製品(「エビリファイ メンテナ」「レキサルティ」「サムスカ/ジンアーク」「ロンサーフ」)、ニュートラシューティカルズ主要3ブランド(「ポカリスエット」「ネイチャーメイド」、ニュートリション エ サンテ社ブランド)、ニュートラシューティカルズ育成3ブランド(デイヤフーズ社ブランド、「エクエル」「ボディメンテ」)を成長ドライバーと位置付け、戦略的な取り組みを強化
② 次世代の事業・製品への取り組み
・医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業における持続的成長を牽引する新製品群の上市と育成
医療関連事業:“大塚だからできる”新領域での挑戦、未充足な医療ニーズの解決と独創的かつ多様な研究基盤からのイノベーション創出
ニュートラシューティカルズ関連事業:環境変化を見据えた新しいコンセプトの創出、新カテゴリー・新エリア展開への挑戦による、高利益率体制の継続
<財務方針> 資本コストを意識した経営の実践
・成長投資と株主還元の両立
・将来への成長投資と株主還元資金の確保
・規律ある経営実践に向け、加速するグローバル展開を支えるための経営基盤の整備
(2) 第3次中期経営計画の進捗
第3次中期経営計画の3年目である2021年度の進捗は、以下のとおりです。
<業績目標の進捗>
・2021年度の売上収益は、「スプリセル」、「イーケプラ」の契約満了による大幅な減収要因に加え、ニュートラシューティカルズ関連事業等において新型コロナウイルス感染症拡大による一定の影響を受けましたが、「エビリファイ メンテナ」、「レキサルティ」、「ジンアーク」、「ロンサーフ」のグローバル4製品や経口抗がん剤「INQOVI」、「ネイチャーメイド」等が計画を超えて大幅に伸長し、対計画99.9%と計画通りに推移しました。
・研究開発費投資前事業利益は、製品構成の変化、乾癬治療薬「トレムフィア」のコ・プロモーション契約やその他の一過性要因等*による売上原価の増加、「エビリファイ メンテナ」、「レキサルティ」の増収に伴う共同販売費の増加、現在、順調に売上を伸ばしているファーマバイト社の新ブランドへの2022年度に向けた先行投資や片頭痛予防薬「アジョビ」の上市やフチバチニブ等の新製品の上市準備への積極的な先行投資を実施しましたが、研究開発費投資前事業利益は対計画比99.8%と計画通りに推移しました。
* 医療関連事業における棚卸資産の未実現利益消去に係る為替影響、インフルエンザ診断薬の在庫評価損等
・研究開発費は、コア領域である精神・神経領域において大日本住友製薬㈱とサノビオン社との共同開発及び販売に関するライセンス契約締結に基づく開発費が増加しました。ブレクスピプラゾールのアルツハイマー型認知症に伴う行動障害および心的外傷後ストレス障害(PTSD)、AVP-786のアルツハイマー型認知症に伴う行動障害および統合失調症陰性症状等を対象とした臨床試験において新型コロナウイルス感染症拡大の影響による遅延がみられますが、センタナファジンの禁煙、がん領域のロンサーフの結腸・直腸がん、フチバチニブの肝内胆管がん、循環器・腎領域のVIS649のIgA腎症、超音波腎デナベーション治療デバイスを対象とした臨床試験等は順調に進捗しました。
・事業利益は、対計画比98.2%の進捗となりました。対前年比では減少となりましたが、これは一過性要因による売上原価増加および先行投資実施等による販売管理費増加等が要因であります。グローバル4製品は計画を超えて大幅に伸長しており、2022年度以降も第3次中期経営計画の業績目標である「年平均成長率10%以上の事業利益成長」を目指してまいります。
<事業戦略の進捗>
・既存事業の売上収益は計画を超えて伸長し、製品価値最大化に向けた医療グローバル4製品を中心とした承認やエリア拡大、ニュートラシューティカルズ主要3ブランドを中心としたエリア拡大等は、以下の通り順調に進捗しました。新たな価値創造に向けた研究開発もコア領域を中心に進捗し、第4次中期経営計画以降を見据えた積極的な投資を進めました。
・「エビリファイ メンテナ」は、2021年1月、中国で統合失調症の効能で承認申請しました。
・「レキサルティ」は、アルツハイマー型認知症に伴う行動障害および心的外傷後ストレス障害(PTSD)のフェーズⅢ試験が進捗しています。また、2021年8月、日本で統合失調症の効能で口腔内崩壊錠の製造販売承認を取得、2021年12月、米国で小児(13~17歳)における統合失調症の効能で承認を取得しました。
・「サムスカ/ジンアーク」は、経口水利尿薬としての医療現場における価値が向上し、さらに世界初の常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)治療薬として日本・米国・欧州で患者さんに貢献しています。
・「ロンサーフ」は、米国において経口抗がん剤の利便性が処方数増加につながっています。また承認国が順調に拡大しています。
・「ポカリスエット」は、新エリアへの展開を進めています。
・「ネイチャーメイド」は、健康意識の高まりによる需要が拡大する中、2021年7月に米国薬剤師が推奨するNo.1*サプリメントに24年連続で選出されました。また、消費者の生活スタイルに合わせた新たなアプローチに取り組んでいます。
* 2021 U.S. News & World Report - Pharmacy Times Survey
・ニュートリション エ サンテ社ブランドは、欧州において流通改革に取り組んでいます。
・2021年度のROEは6.5%となり、2022年度以降も第3次中期経営計画最終年度2023年度の目標値である「8.0%以上」を目指してまいります。
(3) 経営環境及び対処すべき課題
2021年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による社会情勢が未だ不透明な中、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う営業活動の制限や消費機会の低下により、当社グループの事業活動においても一定の影響を受けました。2021年度後半には、多くの地域でニューノーマルな活動環境から次第に社会活動の幅が拡がったことに伴い、新たな事業環境に対応するマーケティング活動や新製品の上市準備活動等を積極的に進め、また、従業員の安全確保と事業活動継続に取り組み、安定して製品を供給できる体制を維持してまいりました。今後の事業及び業績への影響については、長期化もしくは深刻化した場合も想定し引き続き注視してまいります。
一方、根本的なヘルスケア業界を取り巻く事業環境は、高齢化、高額医薬品の発売、感染症対策等による医療費の増加傾向が続き、日米欧諸国において、治療に対する医療コストへの関心が高まっています。限られた財源の中で、医療指針が医療コストと治療効果のバランスの中で捉えられ、薬価制度の改革やジェネリック医薬品の浸透が進む一方、AI、機械学習や遺伝子治療等の新テクノロジーが台頭してきています。このような中、病気に対する日々の予防を含む健康への意識が一段と高まっております。当社グループは“大塚だからできる”新たな社会への貢献に引き続き取り組むとともに、これらの健康意識の高まりを成長機会と捉え、持続的成長の実現に向けて進んでまいります。
大塚ホールディングスは、“Otsuka-people creating new products for better health worldwide”の企業理念のもと、「流汗悟道」「実証」「創造性」という経営の真髄に基づき、ユニークかつ多様な事業と世の中の真のニーズ・インサイト、サイエンスやテクノロジーを有機的に結合させることから生まれる新しいコンセプトや、多様な事業との重なりや派生、ニッチな領域の開拓により新たな価値を創造してきました。引き続き、日々の健康の維持・増進、疾病の診断から治療までを担うトータルヘルスケア企業として、顕在化しているが満たされないニーズと消費者が気付いていないニーズに対し、医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業の独創的な製品を提供することにより、「世界の人々の健康に貢献する、なくてはならない企業」を目指してまいります。
医療関連事業は、“大塚だからできる”新領域での挑戦、未充足な医療ニーズの解決と独創的かつ多様な研究基盤からのイノベーション創出により、課題解決に向けた様々な取り組みを進めています。治療満足度の低い疾患が多く残されている精神・神経、がん、循環器・腎領域を中心に、多様な事業のシナジーを活かした独自のアプローチにより、革新的な新薬の創出を目指します。また、医療の最適化に向けた体系的なソリューションについて挑戦しています。さらに、アライアンスやオープンイノベーション、ベンチャーキャピタルとの協業等による創薬基盤の強化、創薬モダリティの多様化に取り組み、持続的な進化と成長を目指してまいります。
ニュートラシューティカルズ関連事業は、健康への意識が高まる中、医療関連事業で培われたノウハウを活かしながら、顕在化されていないニーズや社会課題に対して新しいコンセプトのソリューションを提案し、世界の人々の健康維持・増進による健康寿命の延伸に貢献することを目指します。グローバルにおける環境変化を見据え、最新のサイエンスやテクノロジーと独自のビジネスモデルを組み合わせて、新たな価値の創造、新カテゴリー・新エリア展開への挑戦を進めます。健康を取り巻く様々な社会課題に対して、課題の顕在化から啓蒙活動を継続的に実施し、各ブランドからそのソリューションをこれからも提案し続けます。さらに外部機関との連携を強化し、これらの活動を推進してまいります。
財務方針としては、資本コストを意識した経営の実践に向けて、両事業とも既存事業最大化に向けた投資および次期中期経営計画以降を見据えた新規領域への積極的な投資をするとともに、シェアードサービスの拡大、IT基盤の強化、グループ内金融の推進、プロキュアメントの最適化をはかり、規律ある経営実践に向けた取り組みを進めています。
また、当社グループは、CSRを事業と一体化したものと認識しています。企業理念のもと、自らの持続的な成長と、健康でサステナブルな社会の実現を目指し、最適なガバナンス体制を土台とし、社会と地球の健康に貢献する各活動を推進してまいります。
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