課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社がターゲットとする事業領域は、バイオ医薬品開発・製造に関連する領域であり、当初より掲げている「次世代バイオ医薬品自社開発事業」及び「バイオ医薬品等受託製造事業」の2事業を中心に展開しております。

 「 次世代バイオ医薬品自社開発事業 」においては、医療現場におけるバイオ医薬品の存在価値はますます高まっており、当社として革新的なバイオ医薬品を創出することに今後も大きな事業機会が存在していると考えております。当社が、これまで開発してきたバイオ医薬品技術プラットフォームの各種知見・ノウハウ・技術を活用し、「次世代バイオ医薬品自社開発事業」として、ヒト用感染症予防ワクチンをはじめとする次世代バイオ医薬品原薬製造技術、アジュバント技術及び製剤/ドラッグ・デリバリー技術等を統合した次世代ロジカルワクチンの研究開発を通じて、自社開発パイプラインの構築を図るとともに、新規シーズの探索・導入を進め、製薬企業等との提携による収益獲得を目指しております。当該事業分野においては、提携後の自社開発資金負担の軽減・平準化を重視した、契約一時金・開発協力金・開発マイルストーンフィー・ランニングロイヤリティを中心とした収益構造を目指しております。

 なお、当社は、平成29年10月31日に、塩野義製薬株式会社とヒト用感染症予防ワクチンをはじめとする創薬に関する基盤技術整備ならびに当社既存自社開発パイプラインの一部及び新規開発候補ターゲットで構成される開発候補品の基礎的研究を共同で行うことを目的とした資本業務提携を締結、上記事業の再構築に向けた研究開発活動を推進しております。

 

 一方、「 バイオ医薬品等受託製造事業 」においては、平成29年1月31日付にて、当社連結子会社であった大規模生産施設を有する株式会社UNIGENの当社保有株式全株を譲渡したことにより、大規模商用生産を前提とするバイオ医薬品の製造及び供給事業からの転換を図っております。当社におけるリソースは、これまで組換えインフルエンザHAワクチン等の開発で培った知見・ノウハウ及び当社が保有する横浜研究所、秋田研究所及び秋田工場であり、これらを活用して、バイオ医薬品開発プロセスのうち、「研究段階から開発段階、更には製品供給への移行の支援・橋渡し」、具体的には「バイオ医薬品のCMC開発・工業化検討」に特化し、事業会社や国内外研究機関より、初期開発段階にあるバイオ医薬品等原薬の受託製造、原薬製造工程プロセス開発受託、工程規格試験等の各種品質管理に関する分析試験の規格化の業務受託、スケールアップを目的とする工業化検討業務受託等を事業として展開することにより、安定的な収益確保を目指しております。

 なお、上述の塩野義製薬株式会社との資本業務提携契約締結に伴い、当該資本業務提携に係る業務に経営資源を集中することとし、当該提携に支障のない範囲で次世代バイオ医薬品自社開発事業に資すると考えられる大学等の研究機関からの将来の新規開発候補ターゲットに関連する受託業務を中心に展開しております。

 

(2)目標とする経営指標

  当社では、これまで主要開発パイプラインであった季節性組換えインフルエンザHAワクチン(旧開発コード:UMN-0502)の製造販売承認及び製品供給を前提として研究開発及び製品供給を目的とする大規模生産設備への先行投資を継続してまいりました。しかしながら、提携先による同開発パイプラインの製造販売承認申請取り下げ、開発中止方針ならびに提携解約権行使の決定を受け、これまでの「製品供給までを事業領域とするモデル」を大幅に変更いたしました。すなわち、研究開発による付加価値創造たる「創薬」に加え製品供給による更なる収益力向上たる「製薬」の両輪による高い成長性と収益性の実現を目指してまいりましたが、当該事業モデルのうち、製品供給である「製薬」分野については、当面において当社事業領域から切り離し、「創薬」分野である次世代バイオ医薬品への研究開発に集中することとしております。当社は、「創薬」分野において早期の提携を実現すべく積極的に活動を行った結果、上述に記載のとおり、平成29年10月31日に、塩野義製薬株式会社とヒト用感染症予防ワクチンをはじめとする創薬に関する基盤技術整備ならびに当社既存自社開発パイプラインの一部及び新規開発候補ターゲットで構成される開発候補品の基礎的研究を共同で行うことを目的とした資本業務提携を締結、研究開発を推進しております。しかしながら、当該資本業務提携に係る基盤技術整備について研究開発中であり、また、並行して進めている当社の既存自社開発パイプラインの一部及び新規開発候補ターゲットで構成される開発候補品の研究開発は、いずれも基礎研究段階にあり臨床試験段階に至っておらず、開発・販売に係る提携に至っているパイプラインはありません。従いまして、当社製品が上市されるまでは研究開発費を中心とした先行投資が続くものと想定しております。かかる費用負担に対して、当該資本業務提携により一定の事業資金を確保しておりますが、非臨床試験以降における必要事業資金を確保すべく、早期に個別開発パイプラインの独占的ライセンス契約等の本格提携への移行を実現し、契約一時金、開発マイルストーンフィー、開発協力金といった収益確保を通じて、経営基盤の安定化を図りつつ事業を推進してまいります。

  当社は、これまで自社開発パイプラインの研究開発にあたって多額の研究開発投資を行うとともに、当社の連結子会社であった株式会社UNIGEN岐阜工場をはじめとする生産施設への投資を実施しておりました。株式会社UNIGENを譲渡し、平成29年12月期以降については当社単体にて事業展開を図っておりますが、これまでの研究開発及び生産施設への先行投資の結果、当社単体においてもマイナスの利益剰余金を計上しております。今後、上記事業の収益を通じて、利益剰余金のマイナスの解消に努めるとともに、フリーキャッシュフローの最大化に努めてまいります。

 

(3)中長期的な経営戦略

 当社は、次世代バイオ医薬品自社開発事業においては、塩野義製薬株式会社との資本業務提携の下、ヒト用感染症予防ワクチンをはじめとする創薬に関する基盤技術整備ならびに開発候補品の基礎的研究を通じて、次世代ロジカルワクチンの創製を実現してまいります。当該研究開発を推進し、早期に個別開発パイプラインの独占的ライセンス契約等の本格提携を実現することにより、契約一時金、開発マイルストーンフィー、開発協力金等の収受による収益獲得の実現を目指してまいります。

 地球温暖化に伴い、デング熱ウイルス、ジカ熱ウイルスをはじめとする熱帯地域においてのみ発生していたウイルス感染症の流行がその他地域にも拡大しており、このような感染症に対する予防ワクチンの重要性がますます高まっております。社会的使命として人類の生命と健康に貢献できるよう、地域にとらわれることなく開発を積極的に進めてまいります。さらに、より高い有効性及び効率的な生産が可能な付加価値の高い次世代ロジカルワクチンの創製を目指し、アジュバント技術及び製剤/ドラッグ・デリバリー技術等といった周辺技術の導入を図ることで、製薬企業との提携確度を高めてまいります。加えて、長期的成長を実現するため、新規パイプラインの拡充に努めてまいります。

 バイオ医薬品等受託製造事業においては、小スケール製造施設である横浜研究所、中規模(パイロットスケール)製造施設である秋田工場に加え、動物を用いた評価が可能な秋田研究所ならびにこれまでに培った小スケールから大規模スケールまでの製造開発の知見・ノウハウ及びリソースを活用し、「研究段階から開発段階及び最終的な製品供給への移行・橋渡し」のための「バイオ医薬品のCMC開発・工業化検討」に係る受託の獲得を目指してまいります。特に、ファブレスでの開発を意図している企業・機関のCMC開発・工業化検討の包括的な受託、小スケール製造施設を保有し、そのスケールでのCMC開発が終了している企業・機関の中規模スケール以上の工業化検討の受託の機会は一定程度存在しているものと考えております。また、これまでの大学及び公共研究機関との受託の実績から、研究段階の製造受託にとどまらず、製品化も想定した案件候補も見いだされつつあることから、新規開発パイプラインの導入経路の一つとして積極的に取り組んでまいります。

 

(4)会社の対処すべき課題

① 当社の特徴と現状の認識について

 当社は、平成29年12月期において、主要開発パイプラインであった組換えインフルエンザHAワクチン(当時の自社開発コード:UMN-0501及びUMN-0502)の申請取り下げ、開発中止を受け、当時の提携関係及び事業体制の抜本的な再編を行うとともに新たな事業方針を策定、次世代バイオ医薬品自社開発事業及びバイオ医薬品等受託製造事業を中心に事業を展開していくことといたしました。当該新事業方針を実現するため、早期の提携パートナーとの新たな提携実現を目指し活動した結果、平成29年10月31日に開示した「資本業務提携並びに第三者割当による新株式及び第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行に関するお知らせ」に記載のとおり、塩野義製薬株式会社とヒト用感染症予防ワクチンをはじめとする創薬に関する基盤技術整備ならびに当社が次世代バイオ医薬品自社開発事業で開発を進めている自社開発パイプラインの一部及び自社開発パイプライン以外の新規開発候補ターゲットを当初の開発候補品として選定し基礎的研究を進めることを目的とした業務提携を行うとともに、塩野義製薬株式会社を割当先とする新株式及び第1回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行いたしました。業務提携は、第1フェーズ及び第2フェーズの2段階で構成されており、当該資本業務提携契約は第1フェーズに関するものであり、第1フェーズ期間は、概ね平成31年12月末までを想定しております。

 第1フェーズにおいては、当社と塩野義製薬株式会社は、当社の感染症予防ワクチンに関する各種知見・ノウハウ・技術を用いて、ヒト用感染症予防ワクチンをはじめとする創薬に関する基盤技術整備を行います。並行して、当社が次世代バイオ医薬品自社開発事業で開発を進めている自社開発パイプラインの一部及び自社開発パイプライン以外の新規開発候補ターゲットを当社の開発候補品として選定し基礎的研究を進めてまいります。第1フェーズ期間中においては、塩野義製薬株式会社から業務提携開始日より2年間にわたり、半年毎に当該期間に係るあらかじめ定めた成果の達成状況に基づき、一定額のマイルストーンフィーを収受することとなります。本書提出日現在において、第1回及び第2回開発マイルストーン条件の達成が確認されており、第3回以降の開発マイルストーン条件の達成に向けた研究開発活動を推進しております。基盤技術整備に一定の成果が得られたと両社が判断した時点より、第2フェーズにステップアップするため、当社及び塩野義製薬株式会社は、並行して進めていた基礎的研究成果に基づき開発候補品の選択を行い、基盤技術整備により確立した技術を用いて、研究・開発・申請・上市を推進することを目的とした独占的ライセンス契約その他の形態による協業に関する契約について協議することとなります。提携第2フェーズに移行した場合、当社は、治験薬製造、商用生産準備及び商用生産ならびに開発対象として両社が決定した開発候補品の研究継続を行い、塩野義製薬株式会社が非臨床及び臨床試験の実施ならびに薬事対応及び販売を担うことを想定しております。なお、当社は、当該資本業務提携契約において、第1フェーズ期間中、当該資本業務提携に係る業務に専念する義務を負っていることから、バイオ医薬品等受託製造事業に関しては、当該資本業務提携に支障のない範囲内にて実施することになるため、当該事業による収益拡大は限定的にならざるを得ないと判断しております。また、当該資本業務提携に伴い、自社開発パイプラインの見直し・中止ならびに新規開発候補ターゲットの導入を積極的に進め、開発パイプラインの拡充に努める必要があります。

 当社は、上記の塩野義製薬株式会社との資本業務提携に基づき、横浜研究所、秋田研究所及び秋田工場の各経営資源を集中し、第1フェーズにおける成果を着実に実現し、第3回以降の開発マイルストーン条件を達成するのみならず、早期に提携第2フェーズに移行することにより、更なる企業価値向上を目指していくことが重要であると考えております。しかしながら、医薬品の研究開発においては、さまざまなリスクが存在しており、そのため研究開発体制の強化、CMC開発体制の整備拡充、研究開発及び製造関連人材の採用を積極的に実施する必要があります。

 一方、バイオ医薬品等受託製造事業においては、当該資本業務提携に支障のない範囲内にて、大学等の研究機関を中心として将来の新規開発候補ターゲットに関連する受託業務を中心に展開する方針であることから、当面は当該事業における受注活動について一定の制約を受けることになると認識しております。

 また、経営の質を高めるために、内部統制システムの強化やIR活動の推進も重要な課題であると認識しております。

 上述のとおり、当社は、塩野義製薬株式会社との資本業務提携に係る研究開発を積極的に推進し、開発パイプライン等の再構築を図ることにより、経営基盤をより一層強固なものにし企業価値を向上させるために、対処すべき当面の課題を以下のように考え、各対応策の実行に努めてまいります。

 

② 対処すべき当面の課題の内容及び具体的な取組状況

 a)塩野義製薬株式会社との資本業務提携に係る第1フェーズの着実な成果達成及び提携第2フェーズへの移行の実現

 当社は、平成29年10月31日に締結した塩野義製薬株式会社との資本業務提携に係る研究開発を推進し、ヒト用感染症予防ワクチンをはじめとする創薬に関する基盤技術整備に係る成果を着実に実現することにより、第1フェーズ期間中において設定されたマイルストーン条件を引き続き達成することを目指してまいります。並行して、自社開発パイプラインの一部及び自社開発パイプライン以外の開発候補ターゲットを当初の開発候補品として基礎的研究を進め、提携第2フェーズに向けた具体的開発候補品の選定及び提携第2フェーズへの移行を目指してまいります。

 上記を実現するため、これまでの当社の各種知見・ノウハウ・技術等を用いて基盤技術整備に係る研究開発を推進してまいります。また、開発パイプラインに関しては、既存自社開発パイプラインについて、基礎的研究を通じて見直し・中止を継続して検討するとともに、新規開発パイプラインの導入を実施してまいります。加えて、将来において、開発パイプラインの拡充を目的として、これまで国内研究機関等からのワクチン候補抗原の製造受託案件のうち、効果が検証されつつあるプロジェクトより、新規ワクチン候補抗原の導入機会を積極的に確保してまいります。なお、新規開発パイプラインについては、これまでの大学及び公共研究機関との受託の実績から、研究段階の製造受託にとどまらず、製品化も想定した案件候補も出てきていることから、新規開発パイプラインの導入経路の一つとして積極的に取り組んでまいります。

 また、自社開発パイプラインであるUMN-101(組換えインフルエンザHAワクチン(多価))、UMN-102(組換えインフルエンザHAワクチン(H5N1)及び組換えインフルエンザHAワクチン(H9N2))、UMN-103(組換えロタウイルスVP6単独ワクチン)、及びUMN-104(組換えノロウイルスVLP単独ワクチン)につきましては、引き続き基礎研究を推進してまいります。

 さらに、開発候補品の基礎的研究の中で、組換えタンパクワクチンの価値を最大化するために必要な各種技術(アジュバント技術及び製剤/ドラッグ・デリバリー技術等)に積極的にアクセスし、付加価値の高いワクチンの創製を行うことで、より競争力のある製品開発を推進し、将来的な提携領域の拡大を目指してまいります。また、各種技術を適用することで、抗原量を節約することが可能となることから、これら製剤のトータル設計を開発初期から推進することにより、秋田工場スケールでの商用生産が可能な、より効率的な生産を可能とする体制を目指してまいります。

 b)研究開発及び製造関連人材の積極採用等の研究開発体制拡充

 a)の研究開発を着実に遂行するため、横浜研究所の実験環境整備及び秋田工場の再立ち上げ等に係る設備投資を実施するとともに、研究開発及び製造関連人材を積極的に採用することにより、研究開発体制の拡充を図ってまいります。

 また、将来的には、開発・申請・上市がタイムリーに展開できるよう、秋田工場を中心として治験薬製造体制及び商用生産体制の整備を実施する必要があることから、適切な時期にこれら体制整備に伴う追加の設備投資を行い、当社が保有する資産価値の向上を目指してまいります。

 

 c)第1回無担保転換社債型新株予約権付社債のタイムリーな転換実現等による財務基盤の強化

 これまで当社では、研究開発に係る資金につきましては、事業会社との戦略的提携や製薬企業との共同事業に伴う権利許諾への対価、第三者割当増資、公募調達、新株予約権の発行等により資金を調達してまいりました。平成29年10月31日に締結した塩野義製薬株式会社との資本業務提携契約に伴い、塩野義製薬株式会社に対して新株式及び第1回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行し、財務基盤強化に努めております。平成30年12月期において、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の一部745,000千円(2,500千株)が当社普通株式に転換された結果、平成30年12月31日現在の期末純資産額は382百万円となっております。一方、平成31年12月期以降における当該資本業務提携に係る研究開発活動の推進に伴い発生する研究開発費及び一般管理費等を勘案した場合、将来において期末時点での債務超過状態となることを回避するためには、今後、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の未転換残高715,200千円(2,400千株)に関しても、当社普通株式へ転換されることが必要となります。塩野義製薬株式会社による転換政策の決定にあたっては、当社普通株式の株価が当初の転換価額である298円を上回って推移している状況であること、また、上記提携第1フェーズにおける開発が順調に進展している状況であることが重要な指標となることから、着実に転換が実現されるよう対応を図ってまいります。また、将来において、提携第2フェーズに移行した場合、当該フェーズにおける研究開発の遂行にあたっては、追加の資金調達が必要となるものと想定されることから、提携第2フェーズ移行時に、改めて塩野義製薬株式会社と、提携第2フェーズ以降にて必要な研究開発資金等に係る資金調達に関し、協議する方針であります。

 

 d)継続企業の前提に関する重要事象について

  当社は、より高い有効性及び効率的な生産が可能な付加価値の高い次世代ロジカルワクチンの創製を目指す次世代バイオ医薬品自社開発事業、ならびに安定的な収益確保実現を目指すバイオ医薬品等受託製造事業の2事業を中心に取り組んでおります。「次世代バイオ医薬品自社開発事業」において、平成29年10月31日に、塩野義製薬株式会社と、ヒト用感染症予防ワクチンをはじめとする創薬に関する基盤技術整備及び開発候補品の基礎的研究に関する資本業務提携契約を締結、平成29年11月16日付にて塩野義製薬株式会社に対する第三者割当による新株式及び第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の払込が完了し、1,639,000千円の資金調達を実施いたしました。平成30年12月31日時点における現金及び預金残高は1,018,410千円となっており、平成31年12月末までに必要となる研究開発費を含む事業資金を確保しております。

 一方、当社は、継続して営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しております。塩野義製薬株式会社との資本業務提携に関して、上記第1回無担保転換社債型新株予約権付社債については、平成30年10月31日に、当該新株予約権付社債の一部745,000千円(2,500千株)が当社普通株式に転換され、未転換の残高は715,200千円(2,400千株)となっております。満期償還日は平成33年11月15日までとなっており、上場廃止を事由とする以外に繰上償還に関する条件は付されていないものの、当該新株予約権付社債に係る新株予約権が転換されるためには、当社普通株式の株価が当初の転換価額298円を上回って推移していること、ならびに今後の塩野義製薬株式会社との資本業務提携に係る開発が順調に進展していることが重要な指標となります。同様に、開発の進展に係るマイルストーン条件の達成に伴うマイルストーンフィーの収受を計画通りに実現するためには、当該マイルストーン条件が計画通りに達成していることが必要となります。平成30年12月期において、資本業務提携内容の成果に係る第1回及び第2回開発マイルストーン条件を達成しているものの、現時点において、第3回以降の開発マイルストーン条件達成に関する確実性は担保されている状況ではありません。加えて、バイオ医薬品等受託製造事業に関しては、塩野義製薬株式会社との資本業務提携に係る研究開発業務に専念する義務を負っていることから、塩野義製薬株式会社との資本業務提携に係る研究開発活動に集中することとしたため、当該事業における収益は限定的にならざるを得ず、当面の間、営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスが継続する見込みであります。

 これらの状況を総合的に勘案すると、当社は継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識しております。

 当社は、当該状況を解消するために、以下の対策を講じ、当該状況の改善に努めてまいります。

 

ⅰ)塩野義製薬株式会社との資本業務提携に係る第1フェーズにおける開発マイルストーン条件の着実な達成及び提携第2フェーズへの移行

 塩野義製薬株式会社との資本業務提携に係る研究開発業務に経営資源を集中し積極的に推進することにより、提携第1フェーズに係る第3回以降の開発マイルストーン条件の着実な達成を実現し、計画通りのマイルストーンフィーの収受を目指してまいります。また、提携第2フェーズへの移行を通じて、ライセンス契約その他の協業スキームへの発展を目指すとともに、開発候補品の本格的な開発進展に伴う収益向上を目指してまいります。

ⅱ)第1回無担保転換社債型新株予約権付社債に係る新株予約権の転換の実現

 第1回無担保転換社債型新株予約権付社債に係る新株予約権の転換について、平成30年10月31日に、745,000千円(2,500千株)が当社普通株式に転換された結果、未転換の残高は715,200千円(2,400千株)となっております。当該未転換残高に関し、上記ⅰ)における開発マイルストーン条件を計画通りに達成することにより、割当先である塩野義製薬株式会社の転換政策に関して協議し、着実に当社普通株式への転換を実現、当社財務基盤の確実な強化を目指してまいります。また、提携第2フェーズ移行を通じて、平成32年12月期以降において必要となる長期的な研究開発資金を含む事業資金の獲得を目指してまいります。

 

 e)内部統制システムの強化

 当社は、業務の有効性・効率性を高め、財務報告の信頼性を確保し、事業活動に関わる法令等の遵守を確実にし、資産の保全を図るため、内部統制システムの構築状況を継続的に見直し、着実に運用してまいります。また、リスク管理・コンプライアンス体制等の充実により、内部管理体制のより一層の強化を目指してまいります。

 

 f)IR活動の推進

 当社は、株主・投資家等の当社のステークホルダーと双方向のコミュニケーションを重視し、経営の一層の改善に役立てるために、企業情報を正確、公平かつ適時・適切に発信するよう努め、信頼と正当な評価を得ることを目指してまいります。

 

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