当連結会計年度における当社グループ(当初及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。
(1)経営成績
当連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大による度重なる経済活動の制限と緩和に加え、エネルギー価格や原材料価格などの上昇及びウクライナ情勢に端を発する地政学リスクの高まりなど、先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループの主要顧客であります流通小売業界におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の制限に加え、消費者の生活防衛意識の高まりによる節約志向の上昇など、依然として厳しい経営環境が続いております。
このような環境のもと、当社グループでは引き続き『従業員と顧客の安心と安全の確保を最優先とした上で、顧客の依頼に最大限対応する』ことを方針とし、従業員の健康管理の徹底、在宅勤務の推進やワクチン接種の推奨など感染予防対策に取り組み、事業活動を行ってまいりました。
当連結会計年度におけるセグメントの業績は、以下の通りであります。
I 国内棚卸サービス
国内棚卸サービスは、新規顧客の獲得や前期の緊急事態宣言に伴う棚卸サービスの受注減少からの回復など売上増加要因はありましたが、店舗在庫数量の減少や一部顧客において棚卸実施回数や発注店舗数が減少したことにより、減収となりました。営業利益では、サービス品質向上を目的とした組織体制とオペレーションの強化による人件費の増加、次世代棚卸システム開発経費や採用コストなど販売管理費の増加により、減益となりました。
売上高は 16,317百万円 (前年同期比 2.3%減少 )、セグメント利益は 3,107百万円 (前年同期比 16.4%減少 )となりました。
ⅰ 国内棚卸受託収入
棚卸サービスの売上高は前年同期比2.3%減少の15,367百万円となりました。業態別の内訳は次の通りです。
(コンビニエンスストア)
既存顧客の受注増加等により、売上高は前年同期比1.6%増加の3,474百万円となりました。
(スーパーマーケット)
既存顧客の受注減少等により、売上高は前年同期比0.9%減少の2,207百万円となりました。
(ホームセンター・ドラッグストア)
既存顧客の受注減少等により、売上高は前年同期比4.7%減少の3,633百万円となりました。
(書店)
前期の緊急事態宣言に伴う受注減少からの回復等により、売上高は前年同期比4.9%増加の552百万円となりました。
(GMS)
既存顧客の受注減少等により、売上高は前年同期比7.5%減少の2,232百万円となりました。
(専門店等)
既存顧客の受注減少等により、売上高は前年同期比1.9%減少の3,267百万円となりました。
(注)GMS(General Merchandise Store)
大衆実用品のうち、新機能開発品を主力としたくらし総合店であり、日常家庭で使う品はほとんど扱っているいわゆる日本型大型総合スーパーであります。
ⅱ その他
店舗支援業務の受注減少等により、売上高は前年同期比2.3%減少の776百万円となりました。
ⅲ ロイヤリティ収入
ロイヤリティ収入は前年同期比5.5%減少の173百万円となりました。
Ⅱ リテイルサポートサービス
リテイルサポートサービスにおいては、自治体からの飲食店営業状況確認調査業務の受注など増収要因はありましたが、既存顧客の内製化による商品補充業務や店舗改装業務の受注減少、前期の「巣ごもり消費」に起因した店舗支援業務の受注増加の反動減により、減収となりました。
営業利益では、継続して商品補充業務及び店舗改装業務の作業生産性向上施策やバックオフィス業務の効率化などに取り組みましたが、内製化による売上高減少の影響により、減益となりました。
売上高は7,778百万円(前年同期比18.0%減少)、セグメント利益は984百万円(前年同期比9.6%減少)となりました。
Ⅲ 海外棚卸サービス
海外棚卸サービスは、アセアン地域での新型コロナウイルス感染症拡大に伴う行動制限の強化により、一定期間の事業停止や棚卸サービスの発注店舗数の減少による売上高への影響はありましたが、東アジア地域では新規顧客の獲得や既存顧客からの受注店舗数が増加したことにより、増収となりました。
営業利益では、アセアン地域における売上高減少の影響により、損失額は増加しました。
売上高は 2,082百万円 (前年同期比 17.7%増 加)、セグメント損失は 175百万円 (前年同期は109百万円のセグメント損失計上)となりました。
これらの結果から、当連結会計年度の業績は、売上高 26,177百万円 (前年同期比 6.4%減 少)、営業利益 3,936百万円 (前年同期比 16.6%減 少)、経常利益 4,043百万円 (前年同期比 16.9%減 少)、親会社株主に帰属する当期純利益 2,250百万円 (前年同期比 29.4%減 少)となりました。
生産、受注および販売の実績は次のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。
(2)財政状態
資産、負債及び純資産の状況
(イ)資産
流動資産は、前連結会計年度末に比べて、9.1%増加し、19,187百万円となりました。これは、主として現金及び預金が増加したことによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて、24.5%減少し、5,253百万円となりました。これは、主として保有する投資有価証券の償還期限が1年以内となったことに伴い、流動資産の有価証券へ振替たことによるものです。
(ロ)負債
流動負債は、前連結会計年度末に比べて、32.3%減少し、3,271百万円となりました。これは、主とし未払法人税等が減少したことによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて、1.7%減少し、68百万円となりました。これは、主として長期借入金が減少したことによるものです。
(ハ)純資産
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて、7.5%増加し、21,099百万円となりました。これは、主として利益剰余金の増加によるものであります。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増減額は、法人税等の支払い、配当金の支払い等はありましたが、税金等調整前当期純利益の計上等により、前連結会計年度末に比べ1,056百万円増加し、当連結会計年度末には、14,043百万円(前年同期比8.1%増加)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、1,533百万円(前年同期比62.1%減少)であります。その主な内訳は、収入要因として税金等調整前当期純利益が3,542百万円、支出要因として法人税等の支払額が1,937百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果獲得した資金は、427百万円(前年同期は309百万円の支出)であります。その主な内訳は、収入要因として有価証券の償還による収入が400百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、899百万円(前年同期比51.2%増加)であります。その主な内訳は、支出要因として配当金の支払額638百万円であります。
当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、1,533百万円を得ました。投資活動によるキャッシュ・フローにおいては、投資有価証券の償還等により427百万円を獲得しました。財務活動によるキャッシュ・フローにおいては、配当金の支払による支出等により899百万円の支出となりました。これらのことから現金及び現金同等物は1,056百万円の増加となりました。
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は14,043百万円であります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費の支払いのほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資であります。
当社グループは、運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することに努めております。運転資金は、自己資金を基本としており、自己資金で補えられない場合は金融機関からの借入を行うことを基本としております。
今後も営業活動により獲得する資金を、投資活動に使用しながら、一定程度の手許資金を保有し、財務の健全化に努めてまいります。
当社グループの経営陣は、現在の事業環境および入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するように努めております。
(6)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社グループ経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、連結決算日における資産・負債の報告数値および偶発債務の開示、並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りおよび仮定設定を行わなければなりません。経営陣は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断をしておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、上記以外に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症による影響等は不確実性が大きく、将来の業績予測等に反映させることが難しい要素もありますが、現時点において入手可能な情報を基に検証等を行っております。
・貸倒引当金
当社グループは、将来の顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
・投資の減損
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客および金融機関に対する少数持分を所有しております。投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、投資の減損を計上しております。将来の市況の悪化または投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
②具体的な経営成績の分析について
(売上高)
売上高は26,177百万円となり、前連結会計年度と比較して1,788百万円の減少となりました。セグメント別の売上高および主な理由につきましては、上記記載のとおりであります。
(営業利益)
連結会計年度の営業利益は3,936百万円となり、前連結会計年度と比較して784百万円の減少となりました。セグメント別の営業利益および主な理由につきましては上記記載のとおりであります。
(営業外収益、営業外費用)
当連結会計年度の営業外収益は120百万円となり、前連結会計年度と比較して38百万円の減少となりました。
当連結会計年度の営業外費用は13百万円となり、前連結会計年度と比較して3百万円の減少となりました。
(経常利益)
上記の営業外収益、営業外費用の結果、当連結会計年度の経常利益は4,043百万円となり前連結会計年度と比較して819百万円の減少となりました。
(7)経営成績に重要な影響を与える要因について
前記の「事業等のリスク」に記載した事項について、取締役会等において都度状況等を把握し、対応策を検討していきたいと考えております。
当社グループを取り巻く外部環境は、少子高齢化による小売業界全体の市場規模縮小に加え、業種・業態を超えた販売競争の激化、人手不足の高まりや最低賃金の上昇による人件費の増加など、厳しい状況が続くと予想されます。
このような状況のもと、当社グループの中長期的な経営戦略である「国内棚卸サービスの収益力強化」「リテイルサービスの拡大」「棚卸サービスのアジア展開」の実現に向け、チェーンストア産業を変革する新たな価値を創造するために「棚卸会社からリテイルサービス会社への事業転換」「グループの柱となる新たな事業の創出」「展開地域をアジアから世界へ拡大」を中期方針として掲げ、事業活動に取り組んでまいります。
お知らせ