文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは創業時より、企業理念である「祈りの経営」のもと、世の中の人に喜ばれる「喜びのタネまき」を実践してまいりました。今後も、「世界一ひとにやさしいダスキン」を目指した取り組みで、地域の人々と喜びを分かち合い、物も心も豊かな暮らしに貢献することを通じて、継続的な企業価値の向上を実現してまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標
①長期戦略「ONEDUSKIN」
お客様に対して、当社グループの全ての事業が一つになってホスピタリティ溢れる対応ができる、すなわち「ONEDUSKIN」を実現することを目指して、多様なお客様のニーズに応える商品・サービスの開発に取り組んでまいります。
2022年3月期は、新型コロナウイルス感染症拡大により先行きの不透明感が高まる情勢に鑑み、新型コロナウイルス感染症拡大の動向を見極める準備期間と位置付け、同時に、フランチャイズチェーンの維持という当社最大に責務を果たすべく売上回復施策に注力いたしました。その上で、2023年3月期からの3年間を長期戦略「ONE DUSKIN」の第3フェーズといたしました。
②第3フェーズ「中期経営方針2022」(2023年3月期~2025年3月期)
長期戦略「ONEDUSKIN」第3フェーズにあたる「中期経営方針2022」を、2022年2月9日及び同年5月13日に公表しております。
■「中期経営方針2022」策定に関するお知らせ
https://www.duskin.co.jp/ir/news/2022/pdf/20220209.pdf
■「中期経営方針2022」数値目標及び株主還元方針に関するお知らせ
https://www.duskin.co.jp/ir/news/2022/pdf/20220513_02.pdf
■(訂正)「中期経営方針2022」数値目標の一部訂正に関するお知らせ
https://www.duskin.co.jp/ir/news/2022/pdf/20220525.pdf
(3)対処すべき課題
①経営環境の変化及び経営課題の認識
当社の主な市場である日本国内は、近年、高齢化社会の進行、それに伴う労働力人口の減少や介護問題の深刻化、食の安全・安心志向が一層高まっていることに加え、コロナ禍が継続する中、「衛生管理」が大きくクローズアップされており、衛生管理における様々なニーズに対応する商品やサービスが求められております。また、在宅勤務の定着や働き方改革の推進等、生活様式の変化に伴いサービスのデジタル化が更に進展していると認識しております。特に近年のデジタル技術は、通信技術の向上、クラウドサービス等のデジタル基盤が急速に整備され、これまでの常識を覆すような劇的な変化が起こりつつあると認識しております。
また、脱炭素や循環型社会の実現への動きは急激に加速しており、企業は、環境保全のみならず、気候変動リスクへの対応を求められております。加えて、原材料価格や物流等に係る人件費の高騰、高まるサイバー攻撃への対応、更には安全運転管理者によるアルコールチェックの義務化への対応と共に、4月に実施された東京証券取引所の再編により当社が移行した「プライム市場」のコンセプトを踏まえたガバナンス強化等が求められております。
②2023年3月期の取り組み
(訪販グループ)
衛生的で快適なくらしが無理なくつづけられる「生活調律」を目指す訪販グループは、新中期経営方針の
テーマに沿って情報と流通の改革によるお客様接点の強化を目指します。新規顧客獲得のための新たな営業組織を立ち上げると共に、RFIDタグ(電子タグ)の導入への取り組みやそれに伴うスマートファクトリー化の取り組みを開始します。
また、市場ニーズが高い“衛生機能”を強化した高付加価値商品(既存商品の抗菌・抗ウイルス機能において第三者機関の確認、認証が得られた衛生関連商品)の開発、衛生管理のトータル提案等、最も注力する「衛生領域」の拡充、役務提供サービスを中心に、働く女性とその家族に時間を創出し暮らしの充実を提供する「ワークライフマネジメント領域」への取り組み強化、前期高齢者へのアプローチや介護保険対象外市場のサービスメニューの拡大を図る「高齢者サポート領域」の拡充に取り組んでまいります。
(フードグループ)
フードグループにおいては、中心事業であるミスタードーナツにおいて、“misdomeets”等、引き続き魅力的な商品開発に注力すると共に、利用動機の拡大のための他企業との協業やコラボレーション企画等も引き続き展開してまいります。
また、コロナ禍で高まり引き続き高いテイクアウト需要に対し、デリバリーサービスの拡充や前期導入したネットオーダーサービス定着のための機能強化を図ります。加えて、ドライブスルー店舗の出店、マスターコントロール(セントラル)キッチンによる未出店エリア(主に都心部)への出店等、積極的に出店を進めてまいります。
(コーポレート・ガバナンス他)
企業価値向上のための人材の育成・確保や、ダイバーシティマネジメント&インクルージョンの推進等、人的資本経営に取り組みます。加えて、改訂コーポレートガバナンス・コードの趣旨に鑑み、プライム市場に相応しいガバナンス体制構築に資する取り組みも実施してまいります。更には、持続的な社会との共生に向けて、加盟店を含むダスキングループ全体でサステナブルな社会の実現にも貢献してまいります。コロナ禍においても、当社は引き続き事業活動を通じて「経済」「社会」「環境」の課題解決に取り組むCSV(共通価値の創造)を推進し、企業価値向上を実現していくと共に、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを通じて、持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
③気候変動への取り組みとTCFDへの対応
当企業集団は、気候変動に関するリスクと機会を重要な経営課題と認識しております。気候関連財務情報開示タスクフォース(TaskForceonClimate-relatedFinancialDisclosures)の要請に基づいた情報開示を進めるため、気候関連のリスクを低炭素経済への移行リスク、気候変動の物理的影響に伴うリスクに分類し、検討を進めております。
<ガバナンス>
気候変動に関わる基本方針や主要事項等を検討・審議する組織として、取締役会の諮問機関であり、社外取締役、執行役員、常勤監査役をメンバーとする「サステナビリティ委員会」を設置。更にその下部組織として全社の環境政策・方針を決定する「品質・環境会議」、環境政策を進捗管理する「環境連絡会」を設置することで、取締役会等がリスクと機会の実態を把握・監視できる体制を整備し、気候変動に関するガバナンスの強化を進めております。
<戦略>
異常気象等気候変動に起因する影響は徐々に深刻化しており、気候変動への対応は地球規模の課題と認識しております。環境方針で掲げた脱炭素社会の実現に貢献するため、2030年から2050年の近未来の世界における気候変動に伴う物理的な変化と、社会経済的な移行に関する複数のシナリオ分析から、当社のビジネスにどのような財務インパクトが想定され、どのような対応策が考えられるかを検討し、戦略の策定を進めてまいります。
気候変動に関するリスク
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カテゴリー |
外部環境変化 |
キードライバー |
事業への影響 |
財務インパクト |
移行 リスク |
政策・ 法規制 |
GHG (温室効果ガス) 排出規制の強化 |
炭素税率の上昇 |
租税コストの増加 |
製品・サービス原価の増加 |
技術 |
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競合他社の省エネ技術の進歩 |
次世代製品の開発(メーカーとの提携による開発)の遅れ |
収益の減少 |
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市場と評判 |
気候変動に対する市場感度の向上 |
GHG 排出量を削減しない企業への ダイベス トメント(投資撤退) |
GHG 排出量の削減に関する取り組みコスト増加 |
資本調整コストの増加 |
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カテゴリー |
外部環境変化 |
キードライバー |
事業への影響 |
財務インパクト |
物理的 リスク |
急性的 |
平均気温の上昇 |
台風の巨大化
台風の発生頻度の増加 |
工場・店舗の浸水頻度の増加、停電頻度の増加
調達・物流チャネルの断絶
従業員の被災による出勤停止の増加 |
資本調整コストの増加 |
慢性的 |
海面水位の上昇
降雨パターンの変化
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復旧コストの増加
復旧までの売上高の減少 |
|||
平均気温の上昇 |
農産物(小麦、コーヒー等)の生産量減少 |
原材料費の高騰 |
売上原価の増加 |
気候変動に関連する機会
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カテゴリー |
外部環境変化 |
キードライバー |
事業への影響 |
財務インパクト |
機会 |
資源効率 |
次世代自動車普及 |
蓄電池価格の低下 |
車両維持トータルコストの低下 |
費用の減少 |
エネルギー源 |
再エネ機器・技術の普及 |
電気料金の低下 |
製品・サービス原価の減少 |
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市場 |
消費者の嗜好変化 |
環境に配慮した製品需要の増加 |
サーキュラーエコノミー(循環型経済)製品・サービスの需要の増加 |
収益の増加 |
<リスク管理>
気候変動によって、各事業に重要な財務上の影響を与える可能性の大小を定性的に暫定評価しました。その評価結果を踏まえて検討を重ね、最終的に当企業集団及び加盟店にとって事業継続に与える影響が大きいと想定されるキードライバーを特定しました。今後、特定したキードライバーに対して、シナリオ分析を用いて評価し、リスク管理を行ってまいります。
(採用シナリオ)
●IPCCRCP8.5シナリオ等:産業革命以前より平均気温が4℃以上上昇する世界
●IPCCSR 1.5シナリオ等:平均気温の上昇が1.5℃以下に抑えられる世界
<指標と目標>
脱炭素社会の実現に貢献するため、2030年までに当社グループの事業活動で消費する電力の50%を再生可能エネルギーに切り替える目標と自社拠点でのCO2排出量46%減(2013年度比)の削減目標を設定しております。
また、情報開示の正確性・透明性を確保するため、Scope1,2,3のエネルギー使用量及びCO2排出量について第三者保証を取得しております。
(注) Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
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