事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経済、金融動向に伴うリスク

① 景気動向について

宿泊需要は、大別するとビジネス需要と観光需要があり、景気減退による企業活動の縮小や給与水準の低下による支出意欲の低下によって、宿泊需要が減少する可能性があります。

② 金利変動について

当社の有利子負債には金利変動の影響を受けるものが含まれているため、金利上昇によって支払金利や調達コストが増加する可能性があります。

③ 国際情勢について

国際的な政治、戦争、テロ等の影響により原油・燃料価格が高騰することがあり、調達コストの増加につながる可能性があります。

 

(2) 競合他社の出店、競争過熱に伴うリスク

① 新規参入者を含めた競争について

既存の競合他社に加え、民泊という新業態の参入のほか、昨今は異業種からの業界参入もあり、競争激化により集客が低下し、当社が展開するホテルの稼働率が低下する可能性があります。

② 価格競争について

競争の激化により更なる過当競争が引き起こされ、価格が下落し、売上の減少につながる可能性があります。

 

(3) 事業遂行上のリスク

① 商品やサービスの欠陥や瑕疵に関するリスク(客室)

客室においては、設備機器の不具合が発生することによって、電気や水・お湯が供給できなくなり、照明、空調、TV等の電化製品の停止や、風呂場、トイレの使用が不可能になるなど、宿泊及び企業イメージに対する影響が出る可能性があります。

② 商品やサービスの欠陥や瑕疵に関するリスク(料理)

飲食店や宴会場での料理提供においては、品質管理や食品衛生に十分注意をしておりますが、食中毒が発生した場合には、社会的信用の低下、個人への補償及び事業停止処分の可能性があります。

③ 人材に関するリスク

ホテル業は、人的サービスに拠る面が大きいことから、採用難などの人材確保が困難になる場合や、他社への人材流出により、事業運営が停滞する可能性があります。また、最低賃金の引き上げや、社会保障政策に伴う社会保険料率の引き上げ等による人件費の上昇、採用コストの増加等により、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

④ 情報セキュリティに関するリスク

当社では宿泊者の氏名・連絡先を宿泊システムにて保有しているほか、会員システムとして使用している「宿泊ネット」内に顧客情報を保有しています。これら情報がハッキング行為等により流出した場合、社会的信用の低下やコンピュータウイルスへの感染によるシステム停止から事業運営が停滞する可能性があります。

⑤ 減損損失の計上

当社は、ホテル建物等の有形固定資産を保有しておりますが、これらの資産については減損会計を適用し、当該資産から得られる将来キャッシュ・フローによって資産の帳簿価額を回収できるかどうかを検証しており、減損処理が必要な資産については適切に処理を行っています。しかし、今後一定規模を超える不動産価額の下落や、事業収支の悪化により将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合には、有形固定資産の一部について減損損失が発生する可能性があります。

 

⑥ 会計基準変更に伴うリスク

現在、企業会計審議会において、いわゆるオペレーティング・リース取引のオンバランス処理が検討されております。当社では、借主側としてのオペレーティング・リース取引のうち解約不能のものに係る未経過リース料が多額となると想定され(なお、当事業年度(2022年3月期)における借主側としてのオペレーティング・リース取引のうち解約不能のものに係る未経過リース料は14,827,829千円であり、本適用となればさらに増加する可能性があります。)、これらを含むオペレーティング・リース取引が会計基準変更に伴いオンバランス処理された場合、自己資本比率の低下やリース資産減損計上等、経営成績及び財務指標に影響が及ぶ可能性があります。

⑦ 賃借不動産の継続利用の中断もしくは中途解約

当社は、ホテル不動産あるいは飲食店舗不動産を長期に賃借しているものがあり、不動産所有者が破綻等の状態に陥った場合は、当該事業所の事業継続が困難となる可能性があります。また、賃貸借契約の途中で、当社の何らかの都合により契約を中途解約する場合は、残存期間分の未経過賃料のうちの一部を支払うか、補填する義務が生じる可能性があります。

 

(4) 自然災害や突発的事象発生のリスク

① 火災発生に関するリスク

設備の欠陥、瑕疵による火災(電化製品のショート、清掃不備による電源部から埃への着火等)や、お客様を起因とする火災(寝タバコ等)の発生により、社会的信用の低下や、事業停止処分、建物設備が焼失する可能性があります。

② 自然災害の発生に関するリスク

地震や、台風・大雨・大雪、火山の噴火等によって、建物設備の損壊のほか、交通網やライフラインの断絶で原材料(客室リネンや食材、飲料)の調達や、電気・水道・ガスの供給が困難になること、また従業員の出勤も困難になること等により、事業所の機能が停止する可能性及び宿泊意欲が低下することによる収益悪化の可能性があります。

③ 感染症の流行に関するリスク

新型インフルエンザや新型コロナウイルスに代表される感染症の流行等によって、拡散脅威による渡航規制の発生(国外客の減少)や、国内宿泊需要が減退する可能性があります。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大においては、政府及び地方自治体等からの移動自粛要請等に伴う活動制限により、2020年2月以降のホテル利用需要は減少しており、当該状況が継続した場合には、当社の事業の財政状況や業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の収束後においても、観光需要は一定水準まで回復する可能性がありますが、ビジネス需要はWEB会議が定着する等、コロナ以前までには回復しない可能性があります。なお、新型コロナウイルス感染症拡大への対応としては、感染予防に向けた取り組み、業績の早期回復に向けた取り組みや、新たな需要の獲得及び、財務基盤の安定化に向けた取り組み等の対応にあたっておりますが、今後の感染症拡大状況や対応状況の変化により、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(5) 法務リスク

① 法的規制について

当社は、旅館業法、建築基準法、消防法、食品衛生法等の法的規制を受けております。当社は、これらの法令等の遵守に努めておりますが、現在の当該規制の強化や改正あるいは新たな規制が設けられた場合には、規制を遵守するために必要な費用や営業上の制約が発生する可能性があり、当社の事業や企業価値に影響を及ぼす可能性があります。

② 労務管理

法令に基づく適切な労務管理ができないこと等により従業員に重大な労働災害が発生した場合、ハラスメント行為について社内外に通報窓口を設置する等の施策を講じていても完全に排除することができない場合等、労務問題によって当社の社会的な信用が低下し、あるいは、多額の課徴金や損害賠償が請求される等、当社の事業や企業価値に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 不適切な景品表示

当社の広告宣伝は、当社各事業部において内容確認を実施し、疑義が生じた場合には顧問弁護士に確認しておりますが、誤認を与える広告宣伝を実施した場合、当社の社会的な信用が低下し、あるいは、多額の課徴金や損害賠償が請求される等、当社の事業や企業価値に影響を及ぼす可能性があります。

④ 知的財産権の侵害

当社は、当社総務人事部を所管部署とし、商標権、著作権、特許権、意匠権等の知的財産権を管理しておりますが、他社による知的財産権の侵害により、当社の知的財産の価値が低下する可能性があります。また、当社では他社の知的財産を侵害することのないよう、他社の知的財産権調査を実施しておりますが、当社が他社の知的財産を侵害している場合には、使用料支払いや損害賠償請求等により当社の損益に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 新規出店に係るリスク

当社は、今後も新規開発を進めていく予定ではありますが、出店候補地が確保できない場合、出店に必要な人材が確保できない場合、その他新規出店に際し当社に予期せぬ事由が発生した場合、また、当社が出店後近隣に競合他社が出店した場合、当社の業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 外注費目の安定調達・仕入価格の変動に係るリスク

当社は、清掃業務及びリネン業務を外注しております。清掃業務につきましては、人手不足による1室当たりの清掃単価の上昇、リネン業務に関しましては、原油高に伴い洗濯費用が高騰する可能性があり、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) レピュテーションリスク

当社及び藤田観光株式会社は、それぞれ独立した会社であり、当社は「ワシントンホテルプラザ」、藤田観光株式会社は「ワシントンホテル」というブランドで事業活動を行っております。この「ワシントンホテル」という商標は、両社で共同出願しチェーン展開を行っているため、投資家や一般消費者等が経営母体を誤認する可能性を否定できません。以上のことから、同ブランドで火災や食中毒などブランドイメージを毀損する事案が発生した場合には、当社のレピュテーションが低下することがあり、経営成績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 季節変動リスク

当社の事業は、第3四半期会計期間において宿泊客数の増加、忘年会等による飲食店・宴会場の利用客増加により需要が増加する一方で、第4四半期会計期間においては需要が減少する傾向があります。また同時期においてホテルの改装等を実施することも多くあり、第4四半期会計期間は、他の四半期会計期間と比べ、売上高及び利益が減少する傾向があります。以上のような季節変動要因により、当社の一時点における業績は通期の業績の分析には十分な情報とならない可能性があります。

なお、2022年3月期は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けていることから、参考とすることが困難となっています。

 

 

(10)継続企業の前提に関する重要事象等

当社は、前事業年度に営業損失 6,632,957 千円、当期純損失 7,518,422 千円計上しており、当事業年度におきましても新型コロナウイルス感染症の感染拡大による多大な影響を受け、営業損失 3,243,623 千円、当期純損失 3,261,097 千円を計上いたしました。今後におきましても感染状況に伴う人流の抑制等の状況によっては、想定以上に業績へ影響を及ぼす可能性があるため、現時点においては継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しております。

このような状況の中、当社は2021年11月に資本性劣後ローンによる資金調達を行い、また、主力取引銀行である株式会社三菱UFJ銀行をはじめとする取引金融機関と、2024年2月までの実施済み貸付元本の返済猶予について合意していることから、現状において重要な資金繰りの懸念は無いものと考えております。

加えて、収益力向上のために、コロナ前には販売数が多くなかった旅行代理店(リアルエージェント)経由や法人販売の拡大、インハウスエージェントとの契約締結先の拡大に、販売促進チームを立ち上げて取り組んでいるほか、収益最大化のための価格戦略(レベニューマネジメント)の一環として基準価格の変更と同時に、料金変動ルールの厳格化と仕組み化を行うなど、販売体制の強化を実施しております。また、喫煙可能な客室の販売価格の値上げ(2021年5月から)や、R&Bホテルの朝食を、内容を充実させたうえでの有料化も実施し(2021年12月に全店で切り替え済み)、収益改善にも着手しております。

コスト面におきましても、家賃、管理料等の減額又は変動費化交渉を引き続き行い、人件費については役員報酬の減額等を継続してまいります。今後の売上の回復に伴う人員については、退職などの欠員に対しての補充採用を行いつつ、不足分は一棟貸しホテルの人員を異動及び応援にて対応し、業績の回復に応じて、採用給与の見直しや募集要件を柔軟にすることで必要人員を確保していく方針です。

なお、2021年5月から、一部の事業所において開始しております、新型コロナウイルス感染症の軽症者等の療養施設としての一棟貸しは、2022年4月1日時点において計13事業所(ワシントンホテルプラザ5事業所、R&Bホテル8事業所)となっており、今後も行政からの要請に応じて柔軟に継続してまいります。
 これらの対応策を今後も継続して実施することにより、事業面及び財務面における安定性は十分に確保されているものと考えており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

 

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