業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

当事業年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。これに伴い、当事業年度における売上高は、従前の会計処理と比較して少額ではありますが減少しております。なお、当事業年度における経営成績に関する説明は、売上高については前事業年度と比較しての増減額及び前期比(%)を記載せずに説明しております。

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が依然として続いており、また、世界的な原油価格の高騰、ロシア・ウクライナ情勢、サプライチェーンの停滞などによる資源価格の上昇、世界経済の停滞等も関係し、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

当社の属する情報サービス産業においては、テレワークやリモート会議等の新しいビジネススタイルに対応できるクラウドサービスの活用が進み、社会全体としてデジタル化への転換が求められてきた中で、その役割に大きな期待が寄せられました。

このような状況の中、当社は「顧客第一主義」を念頭に置き、企業の業務効率化に貢献するクラウドサービスや業務サービス、サポートサービスを提供してまいりました。

営業活動においては、新型コロナウイルス感染拡大防止のための政府・各地方自治体の方針に従い、テレワークやリモート会議などを可能なかぎり活用しながら、お客様、パートナー様とのコミュニケーションを維持し、「奉行クラウド」によって企業の課題解決をサポートする提案活動を行ってまいりました。主な施策といたしまして、上期には中堅・成長企業向け即戦力型クラウドERP「奉行V ERP」をさらに進化させたサブスクリプションモデル「奉行V ERP Smartプラン」の発売や、DaaS環境(仮想デスクトップを提供するクラウドサービス)での奉行シリーズの動作検証などにより、奉行シリーズを安心・安全に運用できる環境をサポートするなど新しい付加価値をご提供できるように活動してまいりました。

下期には毎年恒例のイベントをオンラインに切り替え、「OBCパートナーカンファレンス2021」、「奉行クラウドフォーラム2021」を開催し、新たなビジネスパートナーの共創や強固な協力体制の構築、ユーザー様には奉行クラウドで実現する「業務のデジタル化へのシフト」についての最新の情報を提供してまいりました。

 

この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当事業年度の資産合計は、1,719億7百万円となり、前事業年度末に比べ135億44百万円増加いたしました。

当事業年度の負債合計は、352億67百万円となり、前事業年度に比べ54億68百万円増加いたしました。

当事業年度末における純資産合計は1,366億39百万円となり、前事業年度末に比べ80億76百万円増加いたしました。

b.経営成績

当事業年度の経営成績は、売上高347億57百万円、営業利益163億57百万円(前期比26.4%増)、経常利益171億57百万円(同23.1%増)、当期純利益118億11百万円(同22.1%増)となりました。

営業利益が同26.4%、経常利益が同23.1%、当期純利益が同22.1%それぞれ増加した主な要因は、クラウドサービス売上やWeb経由での指導料売上が好調であったことや、安定的な保守契約が貢献し、売上高が増加したことによるものであります。

当社はソフトウェア事業の単一セグメントとし、品目別に「プロダクト」(ソリューションテクノロジー及び関連製品)と「サービス」で区分し、販売実績の品目別に開示することにしております。当事業年度の品目別の売上状況は次のとおりです。なお、当事業年度より「プロダクト」のソリューションテクノロジー及び「サービス」について分解した情報を記載しておりますが、前事業年度は分解した情報を記載しておりませんので、前期比較は記載しておりません。

(ソリューションテクノロジー及び関連製品)

当事業年度のプロダクト(ソリューションテクノロジー及び関連製品)の売上高は184億74百万円(売上高構成比53.2%)となりました。

当事業年度は、自社製品のサポート終了を背景とした製品バージョンアップや、在宅勤務等、会社に出勤せずに仕事ができる環境の必要性が高まった影響を受けてクラウドサービスの売上が順調であり、総合してソリューションテクノロジー売上高は153億19百万円(売上高構成比44.1%)、関連製品売上高は31億54百万円(売上高構成比9.1%)となりました。

(サービス)

当事業年度におけるサービスの売上高は162億83百万円(売上高構成比46.8%)となりました。これは、安定的な保守契約及びWebなどを使用した手法による操作指導等の売上が寄与したことによるものです。

なお、当事業年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品  目

当事業年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

プロダクト(千円)

18,474,539

 

ソリューションテクノロジー(千円)

15,319,808

  クラウド(千円)

8,591,851

  オンプレ(千円)

6,727,956

関連製品(千円)

3,154,731

サービス(千円)

16,283,310

 

保守(千円)

13,647,431

その他サービス(千円)

2,635,878

合  計(千円)

34,757,850

(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

当事業年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社オービックオフィスオートメーション

3,101,503

10.6

3,860,811

11.1

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ103億64百万円増加し、1,244億59百万円(前期比9.1%増)となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、160億53百万円(前期比41億35百万円増)となりました。

主なプラス要因は、税引前当期純利益の計上額170億94百万円、前受収益の増加額39億94百万円等であり、主なマイナス要因は、法人税等の支払額52億68百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、8億3百万円(前期比50百万円増)となりました。

主なプラス要因は、投資有価証券の売却による収入14百万円等であり、主なマイナス要因は、有形固定資産の取得による支出3億57百万円、無形固定資産の取得による支出3億33百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、48億85百万円(前期は37億60百万円の使用)となりました。

これは、配当金の支払額48億85百万円等によるものであります。

③生産、受注及び販売の実績

当社は、ソフトウェア事業の単一セグメントとし、品目別に「プロダクト」(ソリューションテクノロジー及び関連製品)と「サービス」で区分し、生産実績、販売実績のみを開示することにしております。

a.生産実績

当事業年度の生産実績をプロダクト別に示すと、次のとおりであります。

プロダクト別

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前期比(%)

ソリューションテクノロジー(千円)

15,365,221

176.9

関連製品(千円)

1,012,257

79.9

合計(千円)

16,377,479

164.5

(注)金額は販売価格によっております。

b.受注実績

当社は、主にソフトウェア(ソリューションテクノロジー)の販売を行っており、個別受注に基づく製品の生産の割合が僅少のため記載を省略しております。

c.販売実績

当事業年度の品目別販売実績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」に記載のとおりです。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

(資産)

当事業年度末における流動資産は1,363億98百万円となり、前事業年度末に比べ115億49百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が103億64百万円、受取手形が7億67百万円、売掛金が4億72百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定資産は355億8百万円となり、前事業年度末に比べ19億94百万円増加いたしました。これは主に投資有価証券が17億34百万円増加したことによるものであります。

この結果、総資産は、1,719億7百万円となり、前事業年度末に比べ135億44百万円増加いたしました。

 

(負債)

当事業年度末における流動負債は279億33百万円となり、前事業年度末に比べ48億9百万円増加いたしました。これは主に前受収益が39億94百万円増加したことによるものであります。固定負債は73億34百万円となり、前事業年度末に比べ6億58百万円増加いたしました。これは主に繰延税金負債が4億86百万円、退職給付引当金が3億24百万円それぞれ増加したことによるものであります。

この結果、負債合計は、352億67百万円となり、前事業年度に比べ54億68百万円増加いたしました。

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は1,366億39百万円となり、前事業年度末に比べ80億76百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が23億58百万円、その他有価証券評価差額金が11億50百万円それぞれ増加したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は79.5%となりました。

b.経営成績

当事業年度の経営成績は、売上高が347億57百万円、営業利益は163億57百万円(前期比26.4%増)、経常利益は171億57百万円(同23.1%増)、当期純利益では118億11百万円(同22.1%増)となっております。

(売上高)

当事業年度は、自社製品のサポート終了を背景とした製品バージョンアップや、在宅勤務等、会社に出勤せずに仕事ができる環境の必要性が高まった影響を受けてクラウドサービスの売上が順調であり、総合してソリューションテクノロジー売上高は153億19百万円、関連製品売上高は31億54百万円となりました。

また、サービスの売上高は162億83百万円となりました。これは、安定的な保守契約及びWebなどを使用した手法による操作指導等の売上が寄与したことによるものです。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

売上原価は、56億11百万円(前期比18.6%増)となりました。主な要因は、材料費が5億62百万円、労務費が1億78百万円、外注費が1億82百万円それぞれ増加したことによるものであります。

販売費及び一般管理費は、127億88百万円(前期比10.4%増)となりました。主な要因は、広告宣伝費が1億83百万円、人件費(給与・賞与等)が2億97百万円、研究開発費が4億12百万円それぞれ増加したことによるものであります。

(営業利益)

営業利益は、163億57百万円(前期比26.4%増)となりました。主な要因は、売上高の増加によるものであります。

(営業外損益)

営業外損益は、営業外収益10億35百万円(前期比0.6%減)、営業外費用2億35百万円(同380.3%増)となり、7億99百万円の利益となりました。営業外収益の主な内容は、受取配当金9億64百万円の計上によるものであります。営業外費用の主な内容は、支払手数料の計上によるものであります。

(経常利益)

経常利益は、171億57百万円(前期比23.1%増)となりました。主な要因は、売上高の増加によるものであります。なお、売上高経常利益率は、当事業年度は49.4%(同1.7%増)となりました。

(特別損益)

特別損益は、特別利益0百万円(前期比99.7%減)、特別損失63百万円(同139.6%増)となり、63百万円の損失となりました。特別損失の主な内容は、減損損失46百万円の計上によるものであります。

(当期純利益)

以上の結果、当期純利益は118億11百万円と前事業年度に比べ21億40百万円増加し、売上高当期純利益率は34.0%となりました。1株当たり当期純利益は157円13銭、自己資本当期純利益率は8.9%となっております。

c.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社の経営に影響を与える大きな要因として、法律・税務等の制度改正、情報技術の動向が挙げられます。

当社が開発しているプロダクトは、主に企業の基幹業務や企業業務全体に向けたビジネスソフトウェアや業務サービスであるため、会計基準の変更や法制度改正等があった場合に、これに対応するための最新プログラムの提供が必要となります。この改正に伴うプログラム開発が複雑かつ煩雑、広範囲にわたる場合には、開発コストの増加や当初の製品開発スケジュールの変更を余儀なくされ、当社の経営計画及び経営成績に重要な影響を及ぼすことが考えられます。

また、当社では、Microsoftプラットフォームにフォーカスした製品開発を行っております。クラウドに対応した製品については「Microsoft Azure」を採用し、常に最新環境にてサービス提供しておりますので、Microsoftプロダクトのライフサイクルが当社の開発環境及び計画に大きな影響を及ぼすことが考えられます。

加えて、クラウド製品は従来のパッケージソフトウェアの役務提供方法と異なり、多様な方法をとっております。当社の主力製品として、製品ラインナップの充実を図り、売上に貢献していくものである一方、セキュリティ面や会計処理の方法による潜在的なリスクがあり、状況により当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

その他、当社が属する情報サービス産業では、技術、市場のニーズなどの側面から、業界を取り巻く環境の変化が激しく、臨機応変な対応が求められ、当初の予定から大きく変更をせざるを得ない場合があります。

当事業年度におきましては、自社製品売上のサポート終了を背景とした製品バージョンアップや、当社が注力してまいりました「奉行クラウド」「奉行クラウドEdge」等のクラウドサービスの売上が順調に伸びたことが売上高の増加につながりました。

なお、新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響が鎮静化する時期の予測は大変困難であり、状況次第では当社の業績に影響を与える可能性がありますが、当社はリモート等の新しいビジネススタイルにより企業活動を維持し、奉行クラウドをはじめとするクラウドサービスの強みをお客様にアピールし続けてまいります。

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社が、目標とする経営指標は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。

当事業年度の売上高営業利益率は47.1%(前期は44.2%)、売上高経常利益率は49.4%(前期は47.6%)と順調に推移しており、今後もこれらの指標を重視しながら、収益性の高い企業を目指して取り組んでまいります。

e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社はソフトウェア事業の単一セグメントとし、品目別に「プロダクト」(ソリューションテクノロジー及び関連製品)と「サービス」で区分し、販売実績の品目別に開示することにしております。

なお、当事業年度の品目別の売上状況は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」に記載のとおりであります。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社の資金需要は、製品・サービスの開発に必要な研究開発費、受注獲得のための販売促進費や広告宣伝費及び展示会費等が主な内容であります。

クラウド等成長分野に関しては、社会のニーズを的確にサービスに反映し、次世代の製品へと成長させることが重要であり、そのために必要な研究開発、クラウド基盤のシステム利用等については、今後も引き続き投資を継続していく予定です。

また、当社は資金需要についてすべて内部資金より充当しており、資金の借入等の需要はございません。収益面を重視し売上高を伸ばしながら、営業利益、経常利益を維持し、継続して高めていくことにより、生産、受注活動等に必要な資金を確保してまいります。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成しております。

この財務諸表を作成するにあたり、当社が採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しているとおりであります。また財務諸表の作成にあたっては、投資有価証券の評価、貸倒引当金の計上基準、退職給付債務の認識等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っております。これらの見積りは、過去の実績等を慎重に検討した上で行い、見積りに対しては継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性によって異なる場合があります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1.財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しているとおりであります。

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