当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及び キャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度から適用しております。収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更) 収益認識に関する会計基準等の適用」に記載のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として不透明な状況が続いております。当社グループを取り巻く市場環境については、これまで主力としてきたリアルイベント領域において、上半期は感染状況の沈静化により一時的な回復傾向も見られましたが、下半期は2022年1月から3月21日まで断続的に発出されたまん延防止等重点措置による実施予定案件の延期や中止等もあり、当社グループが得意とする広告市場における大規模なイベントの回復にはその影響が継続しております。
一方で、インターネット広告における市場が拡大し、当社グループが手掛けるオンラインイベントやオンラインプロモーションの制作領域も堅調な伸びを示しており、広告のオンライン化の流れは今後も続いていくものと認識しております。
このような事業環境の中、当社グループは2021年2月に以下の「事業成長ビジョン」を掲げ、リアルイベント領域及びオンライン領域ともに、当社グループが主軸とする体験価値をコアとした事業展開を推進してまいりました。
(事業成長ビジョン)
当社グループは「体験価値※」をコアとしたプランニングとプロデュースを駆使して、「魅力的なコンテンツを創る力」と「プラットフォームを活性化する力」を発揮することで、新規顧客の獲得、既存顧客の育成・活性化に貢献する『TOW体験デザインモデル』を確立いたします。これを通じ、当社グループの提供価値の拡張とビジネスの成長を実現し、新たな企業像として『体験価値をコアに、成果をデザインするプロダクション』を目指します。
※体験価値:情緒的価値・感性的価値・機能的価値を含めて顧客心理に訴えかける価値
当社グループの事業は単一セグメントでありますが、当社グループの業務を「リアルイベント」「オンラインイベント」「オンラインプロモーション」及び「その他」と分類しております。
当連結会計年度におけるカテゴリーごとの売上高は次のとおりであります。
a. リアルイベント
東京2020オリンピック・パラリンピック案件が寄与しましたが、断続的な緊急事態宣言の発出、また2022年 1月のまん延防止等重点措置の発出によるイベントの中止・延期等の影響が大きく、回復の立ち遅れが生じたことによりコロナ禍以前の売上水準に戻るには至らず、売上高は45億63百万円(前連結会計年度比35.0%増)にとどまりました。
b. オンラインイベント
リアルとオンラインのハイブリッド型等の配信型イベントが伸長したことにより、売上高は27億86百万円 (前連結会計年度比7.1%増)となりました。
c. オンラインプロモーション
SNS活用・動画活用等の各種オンラインプロモーション施策の引き合いが増加したことにより、売上高は35億86百万円(前連結会計年度比70.3%増)となりました。
d. その他
前年に受注した官公庁・団体の大型案件がなかったことにより、売上高は1億97百万円(前連結会計年度比95.2%減)となりました。
当連結会計年度の営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益については、官公庁・団体の大型案件の低営収の影響がなかったことに加え、「専門性の高い人材の提供価値のマネタイズ」「制作管理部門の機能強化による適正収益の確保」「制作業務の内製化による収益性の向上」を引き続き推進したことにより、前連結会計年度を上回りました。
その結果、当連結会計年度の売上高は111億34百万円(前連結会計年度比8.8%減)、営業利益は8億83百万円(同34.7%増)、経常利益は9億24百万円(同32.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は5億98百万円(同31.3%増)となりました。
②財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3億40百万円増加し、137億64百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ2億12百万円増加の115億37百万円となりました。これは主に、未収入金が3億96百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が3億82百万円減少しましたが、現金及び預金が10億9百万円増加したこと等によるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ1億28百万円増加の22億26百万円となりました。
固定資産のうち有形固定資産は、前連結会計年度末に比べ36百万円減少の1億92百万円となりました。これは主に、減価償却等によるものであります。
無形固定資産は、前連結会計年度末とほぼ同額の28百万円となりました。これは主に、減価償却等によるものであります。
投資その他の資産は、前連結会計年度末に比べ1億64百万円増加の20億5百万円となりました。これは主に、投資有価証券が1億45百万円増加したこと等によるものであります。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ70百万円増加の25億98百万円となりました。これは主に、買掛金が2億59百万円減少しましたが、未払法人税等が2億46百万円、その他が82百万円増加したこと等によるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ50百万円増加の6億20百万円となりました。これは主に、繰延税金負債が26百万円、退職給付に係る負債が12百万円、役員退職慰労引当金が11百万円増加したこと等によるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ2億20百万円増加の105億44百万円となりました。これは主に、資本剰余金が1億21百万円、その他有価証券評価差額金が1億円増加したこと等によるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ10億9百万円
増加し、85億90百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は15億55百万円(前連結会計年度は33億88百万円の獲得)となりました。これは主に、仕入債務の減少額が2億58百万円ありましたが、税金等調整前当期純利益が9億26百万円、売上債権の減少額が4億98百万円、未収入金の減少額が1億43百万円、法人税等の還付額が1億19百万円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は24百万円(前連結会計年度は2億6百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が23百万円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は5億20百万円(前連結会計年度は6億57百万円の使用)となりました。これは主に、ストックオプションの行使による収入が1億3百万円ありましたが、配当金の支払額が6億23百万円あったこと等によるものであります。
セグメント情報を記載していないため、制作実績、受注状況及び販売実績は、カテゴリー別で記載しております。
当連結会計年度における制作実績をカテゴリー別に示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額はイベント・プロモーション制作に要した費用で表示しております。
イベント・プロモーションは制作段階、運営段階で当初の内容や金額が変動するケースが多いことから、当業界では、契約書の取交しや、発注書等が発行されることが少なく、したがって、受注残高の正確な把握が困難なため、受注状況の開示はいたしておりません。
なお、当社グループでは社内の受注管理システムにより、案件の進捗度合いの正確な把握に努めております。
当連結会計年度における販売実績をカテゴリー別に示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
(注)前連結会計年度の㈱電通及び㈱TBWA\HAKUHODOの販売実績及び総販売実績に対する割合に
つきましては、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の採用や、資産・負債及び収益・費用の計上及び開示に関する見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、東京2020オリンピック・パラリンピック等のリアルイベントの寄与、リアル・オンラインのハイブリッド型等の配信型イベントの伸長、各種オンラインプロモーション施策の引き合い増加等により、一時的な回復傾向も見られましたが、断続的に発出されたまん延防止等重点措置による実施予定案件の延期や中止等が影響し、111億34百万円(前連結会計年度比8.8%減)となりました。
(売上総利益)
売上総利益は、売上高が減少したものの、前年の官公庁・団体の大型案件の低営収の影響がなかったこと等により、17億33百万円(同17.9%増)となりました。
(営業利益)
販売費及び一般管理費は、人件費等の増加により、8億50百万円(同4.3%増)となりました。
この結果、営業利益は8億83百万円(同34.7%増)となりました。
(経常利益)
営業外収益は受取配当金が増加したものの、助成金収入の減少等により、45百万円(同1.3%減)となりました。営業外費用は売上債権売却損の増加等により、4百万円(同55.0%増)となりました。
この結果、経常利益は9億24百万円(同32.3%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等を3億28百万円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は5億98百万円(同31.3%増)となりました。
(経営成績に重要な影響を与える要因について)
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
キャッシュ・フローにつきましては、「(1)経営成績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、イベント・プロモーションの制作費並びに人件費をはじめとする販売費及び一般管理費になりますが、事業戦略上、多種多様な回収・支払のサイクルに対応していくために、売掛債権の流動化による資金調達も財源としております。
今後、既存事業の事業成長を図りながら、積極的に新規事業の創出や、必要に応じてM&Aを実施し成長性のあるビジネスを当社グループの成長に取り込んでいく考えでありますが、資金需要の必要性に応じて柔軟に資金調達を実施いたします。
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