課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の考え方については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。

 

(1) 当社の経営の基本方針

当社グループは、1984年の設立以来、独立系の研究開発型ソフトウェア企業として、「すべての機器をネットにつなぐ」を目標に掲げ、それを実現するためのコア技術を世界中の通信事業者や通信機器メーカー、家電メーカー等に提供し、急速に進展するICT化・スマート化を技術面から支えてまいりました。現時点においては既に携帯電話や情報家電をはじめとする様々な情報端末のネットワーク化による連携はもはや一般化しており、現在は遍在化したスマートセンサーとあらゆるモノがネットワーク化し、その基盤上に新たな製品やサービスが次々と創出され続けております。

そのような中、当社グループは「CONNECT YOUR DREAMS TO THE FUTURE.」をスローガンに掲げ、すべての機器をネットにつないできた先駆的存在として、これからも当社グループの「つなぐ」技術により新たな価値創造に資する技術・製品を開発・提供し続けあらゆるステークホルダーに貢献することが当社グループの使命であることを明示するとともに、それらの取り組みを通じて企業価値の向上に取り組んでおります。

また、意思決定の軸として、以下のとおり企業理念を定めております。

Vision Statement:『技術』『知恵』『創造性』と『勇気』で世界を革新し続ける独立系、企画・研究型企業

Core Value      : Unique、Fair、Open-minded

 

(2) 目標とする経営指標

主な経営指標として、連結ベースでの売上高及び営業利益並びにそれらの成長性を重視し、当社グループ全体の収益性及び成長性の中長期的な向上を図ってまいります。

 

(3) 経営環境及び中長期的な会社の成長戦略

2021年は、ワクチン接種の進展等により社会経済活動が再開し徐々に正常化に向かいつつあるも、変異株の蔓延による感染再拡大等、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の影響は依然続いております。

当連結会計年度につきましては、予想数値策定時点では、新型コロナの影響が当連結会計年度においても一定期間にわたり継続するも2021年には回復基調に向かうとの仮定に基づき、ネットワーク事業において前連結会計年度から継続して取り組んでおりますホワイトボックスソリューション「OcNOS®」のライセンス販売に関する大型案件を当連結会計年度に獲得し、年度後半から複数案件での商用出荷の実現による売上成長を見込んでおりました。しかしながら、各通信キャリアにおいては2020年以降のネットワーク通信量の急激な増大を受け、短期的にネットワーク設備網の拡充対応を行うことに重点が置かれ、ホワイトボックスの本格的な商用導入による設備投資・運用コストの削減や運用の自由度の実現に対する優先度の低下が見られ、結果として、案件の初期導入規模・受注額が当初の想定を下回りました。

そうした中、ネットワーク事業においては、事業活動を通じ当社の認知度及び「OcNOS®」の案件引き合いは着実に向上・増加しアジア、アフリカ、南米等を中心に通信キャリアからの受注・複数年契約の獲得に至っております。2021年は65社以上の新規顧客からの採用に至り、「OcNOS®」の受注件数及び受注総額(複数年契約も含む)は前期比でそれぞれ2倍程度に増加する等、当社としましてはホワイトボックス市場が確実に立ち上がりつつあるものと認識しております。「OcNOS®」は設備投資・運用コスト 削減の面で顧客からの高評価を得ておりますが、販売チャネルの拡充及び製品の機能拡張によって販売拡大につなげていく観点から、投資を継続していきたいと考えております。一方、ビジネスモデルの変更による収益性改善に取り組んでいる電子出版分野や、当社想定よりも市場の立ち上がりに時間を要している車載インフォテインメント向け分野に関する投資は、市場及び事業状況に合わせて規模を見直し、ネットワーク事業以外の事業で連結業績を下支えする事業運営体制を構築してまいります。

 

現時点において、ネットワーク事業の成長に伴い、2024年1月期(2023年2月1日~2024年1月31日)から連結営業利益の黒字転換を目指し、以降、同事業の成長が牽引する形で連結営業利益を成長させたいと考えております。ホワイトボックス市場は引き続き成長しておりますが、ホワイトボックス市場自体は新たなマーケットであり、成長スピードや規模には不確実性があることから、引き続き市場動向を注視してまいります。

 

 

当連結会計年度 事業方針

当連結会計年度 ハイライト

翌連結会計年度 事業方針

国内事業

 

 

 

 

IoT分野

・DX関連案件を中心に、自社製品等も活用したソリューション提供を行い、再成長を図る

・前期比で受託開発全体の売上は30%超の伸長
・自社製品に関する引き合いも引き続き増加し、受注につながる

・受託開発へのリソース傾注による成長及び自社製品による収益積み上げ

 

Webプラットフォーム

分野

・引き続き、TVブラウザにおける高シェアを維持しつつ、車載向けブラウザのシェア拡大を目指す

・当社ブラウザを搭載したTVや車載機器の出荷台数が好調に推移し、安定的に売上を獲得

・海外事業と統合し、TVブラウザ及び車載向けブラウザのグローバルでのシェア拡大

 

電子出版分野

・コスト構造の見直しを優先 とし、収益性改善を図る

・競争の激化や電子出版サービスに求められる機能の高度化も相俟って投資が増加し、収益性が低下

・収益性改善の取り組みの一環として、一部製品の使用権を無期限に許諾するライセンス契約を締結し売上は増加するも、利益としては赤字

・市場及び事業状況に合わせて投資規模を見直し、収益性改善に取り組む 

海外事業

・既存ブラウザの収益基盤の回復を優先し、車載インフォテインメント向け分野の事業は長期的に育成

・車載インフォテインメント向け分野の事業の立ち上がりの遅れに伴い、前期比で損失が拡大

・国内事業のWebプラットフォーム分野と統合し、TVブラウザ及び車載向けブラウザのグローバルでのシェア拡大  

・欧州拠点の収益の立て直し

・車載インフォテインメント向け分野の投資規模は、市場及び事業状況を踏まえ見直し

ネットワーク事業

・通信事業者向けのホワイトボックスの大型案件受注に向けた実験・交渉を継続

・案件の引き合い及び受注数は順調に増加し、前期比で30%超の増収

・大手Tier1通信事業者の新規技術採用に対する保守的な姿勢は想定より強く、採用までの時間の長期化や初期導入金額が小規模といった事象が発生

・Tier2/3通信事業者からの案件獲得に傾注

・大手Tier1通信事業者や大手サービス事業者への大型ライセンスは、事業性と確度を選別のうえ引き続き獲得を目指す

 

 

なお、セグメント別の事業環境については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

 

(4) 会社の対処すべき課題

前述の中長期的な会社の成長戦略を実現するにあたり、以下を当社グループの優先的に対処すべき課題と認識し、その遂行に向けて取り組んでおります。

また、今般の新型コロナについて、当社としても、社員および顧客企業をはじめとするあらゆるステークホルダーの安全と健康を守り、安定的に事業運営を継続していくための対策を講じることが重要課題のひとつであると捉えております。当社では既にリモートワークを中心とした働き方にシフトしておりますが、新型コロナを契機とした大きな変化に対し今後も当社の事業活動の根幹を担う営業及び開発活動を停止させることなく、感染症対策と企業活動の両立に努めて参ります。

 

① 成長分野への積極投資とグローバルで通用する製品力・技術力及びサービス創出機能の強化ならびに注力事業分野の売上拡大

当社グループが事業成長を実現するにあたっては、技術力を継続的に強化するとともに、絶え間ない技術革新から生み出される先進的な技術をいち早く獲得・事業化し、また、社会動向の変化に適応した顧客価値を創出していくことが重要課題であると認識しております。具体的な取り組みとして、当社グループ内での製品開発投資を拡大し製品力・技術力及びサービス創出機能の強化を図るとともに、M&Aを積極活用し当社技術・事業を補完できるパートナー企業の開拓に取り組んでまいります。また投資継続している注力事業分野につきましては、販売チャネルの拡充や顧客サポート体制の強化を通じて売上拡大を図るとともに、市場動向及び事業状況を注視しながら投資規模を都度見直し、収益性の維持・改善に努めてまいります。

 

② 優秀な人材の確保・育成と生産性向上のための環境整備

当社グループの事業推進を下支えする基盤となる人材の確保と組織力強化、企業風土の醸成に取り組んでまいります。人材確保においては、個々のスキルの卓越性に加えて、高い当事者意識・目的意識を持ち、部署等の垣根を越えた適切なリーダーシップやチームワークを発揮できる優秀な人材の採用・育成に努めてまいります。環境整備の面では、働き方、業務内容やキャリアプランの多様性を考慮した人事施策の導入や労働環境の整備を推進し、生産性の向上に取り組んでまいります。

 

 ③ 管理体制・ガバナンスの強化

当社グループの事業成長の基盤として、事業管理体制の精緻化・効率化と経営レベルでの意思決定の効率化の双方が必要不可欠であると認識しております。国内外の各分野・事業それぞれに担当取締役と執行役員又は拠点長を配し、事業責任を分担・明確化するとともに適切な連携を図っております。また、事業管理面では、開発案件の不採算化の防止に向けた管理徹底及び状況の早期把握に努めるとともに、国内外を問わないM&Aやソフトウェア開発投資を更に強化・規模拡大していく方針を踏まえ、買収先企業・買収先事業の速やかな当社事業との統合やシナジー創出、グローバル経営管理体制やソフトウェア開発投資に対する回収状況モニタリングの強化に取り組んでまいります。加えて、経営全体でのガバナンス強化という観点では、業務執行と管理監督の機能分離と適切な権限委譲を通じ、経営の意思決定と業務執行のスピードアップを図ってまいります。

    

(5) その他、会社の経営上重要な事項

該当事項はございません。

 

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