(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大の影響が継続し、景気が悪化している状況にあります。数度に亘る緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が実施されて外出、イベント・セレモニーの自粛、渡航制限、休業要請が継続していることに伴い、個人消費も低迷しています。また、現在ワクチン接種は進んでいるものの、オミクロン株感染者の拡大などにより、不透明かつ厳しい経営環境が継続している状況です。
そのような経済環境のなか、トライアイズグループは、景気変動の影響を受けない企業グループとして、小さくとも知性を使って、その世界ではNo.1となり光る企業グループを目指すという方針のもと「イノベーションによるコスト優位の確立」を最重要目標とし、売上が減少しても黒字化できる体質づくりを続け、連結グループで営業利益、経常利益及び最終利益いずれも黒字化することを目標としています。
当連結会計年度は建設コンサルタント事業において、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により工期延長した案件を確実に取り込めたものの、ファッションブランド事業及び投資事業においては売上高が前期より減少したことを受け、売上高は1,004百万円(前期比0.0%増)と前期並みとなりました。しかし、建設コンサルタント事業の完成案件が工期延長の影響を受け採算性が悪化したこと、ファッションブランド事業における工場稼働低下に伴う原価率上昇及び投資事業における物件修繕費用や固定費の増加を受け、各事業における原価率は前期を上回る結果となりました。そして、販売費及び一般管理費も423百万円(前期比0.1%増)とほぼ前期並みの水準となりました。この結果、当連結会計年度は150百万円の営業損失(前期は98百万円の営業利益)となりました。
営業外収益については、受取利息4百万円及び為替差益5百万円等を計上した結果、18百万円となりました。営業外費用は、主として借入金に係る支払利息88百万円を計上したことにより90百万円となりました。この結果、222百万円の経常損失(前期は35百万円の経常利益)となりました。
特別利益については、主として受取保険金92百万円を特別利益に計上したことにより93百万円となりました。特別損失については、投資事業において発生した延滞債権全額について貸倒引当金45百万円を設定したことを受け、47百万円となりました。この結果、税金等調整前当期純損失は176百万円(前期は72百万円の税金等調整前当期純利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は224百万円(前年は2百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)と前期と異なり、最終的には赤字へ転じました。当連結会計年度におけるセグメント別の取り組みと業績につきましては、次のとおりであります。
建設コンサルタント事業
建設コンサルタント事業においては、従来型ダム関連業務、河川防災・減災対策業務及び海岸保全業務を中心に受注しました。これまでの防災・減災対策関連業務やダム、河川構造物、海岸・港湾分野の維持管理を中心とした継続性の高い業務のほか、民間事業の受注拡大に取り組み、受注シェアの拡大を図っていきます。また、受注へ対応するため人員体制の整備・不採算となっている拠点の整理等、生産性を向上させる施策の実行により、収益の改善を図ります。
当連結会計年度は、受注高が当初の想定どおり推移したほか、前期において新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け工期が延長となった大型案件を取り込めたため、売上高は611百万円(前期比15.7%増)と前期と比較して増加する結果となりました。しかし、完成案件の長期化に伴い採算性が悪化し、原価率は前期を上回る結果となりました。販管費については継続して取り組んでいる固定費の削減の効果により前期を下回る結果となりましたものの、粗利の減少を賄うには至らず、当連結会計年度は41百万円の営業損失(前期は47百万円の営業損失)となりました。
ファッションブランド事業
ファッションブランド事業においては、前述のとおり新型コロナウイルス感染症拡大による外出、イベント及びセレモニーの自粛の影響を特に強く受けたことから、前期よりも厳しい経営環境となりました。そのような環境のもと、ロイヤルティビジネスによる安定的な収益の確保及び収益拡大のため、ブランドCLATHASについては、販路の新規開拓を継続しております。また、連結子会社の拓莉司国際有限公司も引続きブランド認知に努め、ライセンス事業の強化を図ってまいります。
濱野皮革工藝㈱の製品は、軽井沢工場の所在地である長野県御代田町におけるふるさと納税の返戻品として認定され、継続的に高い評価を受け、雑誌・テレビ等各種のメディアにおいても取り上げられております。これまでの伝統と技術を継承しながら、同社製品のブランド価値を向上させるための施策に引続き取り組んでまいります。当連結会計年度の売上高は、年初からの緊急事態宣言の発出による外出自粛及びセレモニーの中止の影響により当社主力製品の需要が当初の想定よりも減少したこともあり、売上高は249百万円(前期比9.4%減)と、前期より減少する結果となりました。また、前期より売上減少に伴い軽井沢工場の生産調整を行い生産高が前期より減少したことに伴い、原価率は前期より増加する結果となりました。
また、ECサイトの売上向上のため、ネット広告への投資を積極的に行った結果、販売管理費は前期よりも増加しました。この結果、147百万円の営業損失(前期は48百万円の営業損失)となりました。
投資事業
投資事業においては、米国の子会社TRIIS INTERNATIONAL AMERICA INC.において、住居用物件と工業用物件の賃貸を継続しております。各物件の稼働は堅調に推移しており、今後はより収益性の高い物件の取得及び物件の入替を促進し、収益の拡大を図ってまいります。
当連結会計年度においては、主力テナントの賃料延滞が発生したことにより、売上高は143百万円(前期比28.4%減)と大幅に減少いたしました。また、投資物件の修繕・改良を続けて行ったことにより売上原価が増加いたしました。販売費及び一般管理費については、渡航制限により出張経費が減少したものの、売上高の減少を賄うには至らず、当連結会計年度は6百万円の営業損失(前期は134百万円の営業利益)と前期と異なり損失計上という結果となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、599百万円となり、前期末に比べ893百万円減少(前期比59.8%減少)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は77百万円(前期は103百万円の支出)となりました。主な資金の減少要因としては、税金等調整前当期純損失△176百万円、法人税等の支払額△78百万円及び前受金の増減額△114百万円等、支出項目の合計額が収入項目(減価償却費62百万円及びたな卸資産の増減額213百万円等)の合計額を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は757百万円(前期は113百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出△768百万円、投資有価証券の取得による支出△102百万円、貸付による支出△21百万円及び投資有価証券の売却による収入102百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は124百万円(前期は143百万円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済△37百万円及び配当金の支払△90百万円によるものであります。
(2)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前年同期比(%) |
建設コンサルタント事業(千円) |
29,160 |
92.9 |
ファッションブランド事業(千円) |
73,316 |
73.9 |
合計 |
102,477 |
78.5 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.投資事業につきましては、該当事項はありません。
②受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
建設コンサルタント事業 |
420,756 |
101.36 |
352,883 |
68.5 |
合計 |
420,756 |
101.36 |
352,883 |
68.5 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.ファッションブランド事業及び投資事業につきましては、該当事項はありません。
③販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前年同期比(%) |
建設コンサルタント事業(千円) |
611,686 |
115.7 |
ファッションブランド事業(千円) |
249,766 |
90.5 |
投資事業(千円) |
143,278 |
71.5 |
合計 |
1,004,730 |
100.0 |
(注)1.金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.主要な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、いずれの販売先についても当該割合が10%未満のため記載を省略しております。
(3)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項については当連結会計年度末時点において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。新型コロナウイルス感染症の拡大により、財政状態及び経営成績に及ぼす影響が不透明な状況が続いており、当連結会計年度においても売上高の減少などの影響を受けており、翌連結会計年度においてもこの影響は継続するものと見込んでおります。具体的には、翌連結会計年度下期から回復基調に転じるものの、急激には回復せず、感染症拡大前の景気水準に戻るにはなお時間を要するものと仮定し会計上の見積りを行っております。なお、当連結会計年度における会計上の見積りは最善の見積りであるものの、新型コロナウイルス感染症による影響は不確実性が高いため、収束時期の遅れなど今後の状況の変化により判断を見直した結果、将来の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析
経営成績
(売上高及び営業利益)
投資事業においては主力テナントの賃料延滞が発生したことにより、売上高は前期と比較して大幅に減少いたしました。
建設コンサルタント事業においては、受注高が当初の想定通りに推移し、工期延長となった大型案件を取り込んだ結果、売上高は前期を上回る結果となったものの、工期延長に伴い各案件の採算性が低下したため、原価率は前期を大きく上回る結果となり、売上総利益は前期を下回る結果となりました。新型コロナウイルス感染症の影響はファッションブランド事業においてはより顕著に現れました。イベント及びセレモニーの自粛の影響により当社主力製品の需要が大幅に減少したため、売上高は前期を下回る結果となりました。大幅に減少しました。これらの結果、当連結会計年度の売上高は1,004百万円とほぼ前連結会計年度並みの水準にとどまりました。
前述のとおり、建設コンサルタント事業の採算性が悪化したほか、ファッションブランの事業においても売上減少に伴い軽井沢工場の生産調整を行い生産高が前期より減少したことに伴い、原価率は前期より増加する結果となりました。
そして、販売費及び一般管理費については423百万円と前年並みの結果となったため、採算性の悪化に伴う売上総利益の減少の影響が顕著に顕れ、150百万円の営業損失と、前連結会計年度とは逆に損失を計上する結果となりました。
なお、セグメントごとの売上高及び営業損益の概況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。
(営業外損益及び経常損益)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度より8百万円減少し18百万円となりました。当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度より1百万円増加した90百万円となりました。これは、為替レートの変動により支払利息が5百万円増加した一方で、為替相場の変動により、当連結会計年度は為替差益5百万円を計上したことによるものであります。この結果、222百万円の経常損失と前連結会計年度とは逆に損失を計上する結果となりました。
(特別損益及び税金等調整前当期純損益)
当連結会計年度の特別利益は前連結会計年度より55百万円増加した93百万円となりました。前連結会計年度は連結子会社の収益物件の売却より固定資産売却益を計上しましたが、当連結会計年度は固定資産の売却はありませんでした。しかし、保険金の受取により受取保険金を92百万円計上しました。これにより特別利益は前連結会計年度を上回る結果となりました。
当連結会計年度の特別損失は前連結会計年度より45百万円増加した47百万円となりました。これは、当連結会計年度において、投資事業において発生した延滞債権全額について貸倒引当金45百万円を設定したことによるものであります。これらの結果、当連結会計年度は176百万円の税金等調整前当期純損失と前連結会計年度とは逆に損失を計上する結果となりました。
(法人税等及び親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度における法人税等合計額(法人税等調整額を含む)は、前連結会計年度と比較し、21百万円減少した48百万円となりました。これは、建設コンサルタント事業及びファッションブランド事業の繰越欠損金に係る評価性引当額が増加したことにより、税金等調整前当期純利益の減少に比例して法人税等合計額が減少しなかったことによるものであります。
この結果、最終的には224百万円の親会社株主に帰属する当期純損失となりました。前連結会計年度とことなり、当連結会計年度は最終損益が損失となりました。
当社グループにおける目標とする経営指標は、親会社株主に帰属する当期純利益の確保であり、引続き親会社株主に帰属する当期純利益の確保と拡大に努めてまいります。
財政状態
当連結会計年度末における総資産は6,421百万円で前期末に比べ79百万円減少し、負債は2,268百万円で前期末と比べ3百万円減少し、純資産は4,153百万円で前期末と比べ76百万円の減少となりました。
(流動資産)
当連結会計年度における流動資産の残高は1,152百万円となりました。対前期比で48.4%、1,083百万円減少しました。主な要因は、投資事業における投資物件の取得に伴い「現金及び預金」が763百万円減少した一方で、「仕掛品」及び流動資産「その他」がそれぞれ168百万円、94百万円減少したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度における固定資産の残高は5,269百万円となりました。対前期比で23.5%、1,003百万円増加しました。主な要因は、投資事業における収益物件の購入及び期末換算レートの変動により有形固定資産が1,031百万円増加したほか、投資その他の資産に設定している貸倒引当金が44百万円増加したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度における流動負債の残高は210百万円となりました。対前期比で37.6%、127百万円減少しました。主な要因は「前受金」が114百万円減少したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度における固定負債の残高は2,058百万円となりました。対前期比で6.4%、123百万円増加しました。主な要因は「長期借入金」が返済及び期末換算レートの変動により123百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度における純資産の減少76百万円の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失224百万円の計上、配当金支払による利益剰余金の減少88百万円、新株予約権の減少82百万円、自己株式の減少137百万円及び期末換算レートの変動に伴う為替換算調整勘定の増加225百万円であります。
キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況及びその分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要のうち主なものは、各事業セグメントにおける仕入資金、営業費用等の運転資金のほか、投資事業における収益物件取得のための設備資金等であります。
当社グループは事業運営上必要な資金を安定的に確保するための源泉として、自己資金及び金融機関からの借入によることを基本方針としております。当連結会計年度の現金及び預金は、資産合計の13.2%を占める848百万円となっております。
当該残高及びこれまでの借入実績から勘案すると、現状の事業活動の維持の観点からは、将来資金に関して十分な財源が確保されていると考えております。
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