課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

 当社は、LSBMで開発された蛋白質発現技術、及びファージ抗体ライブラリを用いた抗体スクリーニング技術、並びにシーズ探索技術を駆使して、がん及びその他の疾患の治療用抗体医薬品の研究開発を進めることで、世界の医療に貢献していくことを基本方針としております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社における導出時の契約一時金とその後の継続的なマイルストーン等の収入は、当社又は導出先における研究開発の進捗に大きく左右されます。

 そのため、当社では、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)といった数値的な目標となる経営指標は用いておりませんが、経営指標として、将来の売上に繋がるパイプラインの開発の進捗、パイプラインの拡充及び売上高を重要な目標と考え、事業活動を推進しております。

 

(3)中長期的な経営戦略

 当社の中長期における重要課題は、継続的に新規抗体を創出することであり、そのために開発パイプライン充実に向けた探索研究を継続的に実施するとともに早期臨床開発を実施してまいります。当社の開発パイプラインにおいては、本書提出日現在、PPMX-T003で第Ⅰ相試験を進めております。また、PPMX-T002及びPPMX-T004は、導出先から実施権が返還されており、いずれも新たな開発コードを付与し、薬効を高めた新しい医薬品候補として開発を進めてまいります。

 創薬ベンチャーである当社は、これらの研究開発を継続して行っていくために、研究開発体制の強化と研究開発資金の調達が不可欠であります。そのために、新規提携先の確保、研究開発助成金の獲得とともに、必要に応じて、ライセンス契約の締結を始めとした国内外のパートナーとの提携や、資本市場からの資金調達を行いながら研究開発を推進してまいります。

 

(4)経営環境

 当社の事業である抗体医薬はバイオ医薬品に属します。世界におけるバイオ医薬品市場の推移を見ると、年々バイオ医薬品の売上高は増加しており、2020年には約2,831億ドルに達しました。今後も売上の増加が見込まれており、2026年には約5,489億ドルに達するとも予測されています(出典:Evaluate®)。また、2021年の世界の医薬品の売上高上位10品目のうち、抗体医薬品は1位も含めて4品目を占めております(出典:日経BP社 「日経バイオテクONLINE」2022年4月25日掲載 https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/082400016/042000221/)。このように当社の事業環境は成長基調にあり、その中にあって、当社は医療ニーズの高い抗体医薬品を継続的に開発することにより、事業の成長が見込まれると考えています。

 当事業年度における新型コロナウイルス感染症の影響は限定的となり、抗体研究支援及び抗体試薬販売は、いずれも売上が回復に転じました。収束時期は依然として不透明であるものの、2023年3月期におきましても、回復基調が続くと見込んでおります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社は、「最先端の抗体技術で世界の医療に貢献する」ことを使命として、がん及びその他の疾患の治療用抗体医薬品の研究開発を進めております。この使命のもとで、当社は、次の対処すべき課題に取り組んでまいります。

① パイプラインの開発と拡充

・PPMX-T003の開発

 PPMX-T003の開発は当社の重要課題であり、これに研究開発資源を重点配分します。2021年3月に真性多血症治療薬としての第Ⅰ相試験(健常人対象)を完了し、現在は第Ⅰ相試験(真性多血症の患者さん対象)において、患者さんのリクルートを進めております。対象となる患者さんの条件を拡大するため治験計画書(プロトコル)を変更し、2022年度内の第Ⅰ相試験完了を目指します。また、超希少疾患であるアグレッシブNK細胞白血病(ANKL)の治療薬として活用するための大学との共同研究が、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「創薬支援推進事業・希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業」に2022年3月に採択されており、医師主導治験の実施及び実用化に向けた研究開発を進めてまいります。さらに、他の血液がん及び固形がんへも展開するた

め、大学と共同で臨床効果に関する基礎研究を推進いたします。

・PPMX-T002及びPPMX-T004の開発

 PPMX-T002及びPPMX-T004は、いずれも富士フイルム株式会社に導出したパイプラインですが、同社の子会社の放射性医薬品事業が他社へ譲渡されたことを受けて、2022年3月に実施権が返還されました。PPMX-T002は放射性同位元素(RI)を標識した抗がん剤候補ですが、当社は今後、RIを変更して有効性を高めることを視野に、新たな協業先を決定し、開発を進めてまいります。
 PPMX-T004は、薬剤を標識した抗体薬物複合体(ADC)です。標的はPPMX-T002と同じですが、RIを用いないという点でPPMX-T002と棲み分けながら、標識する薬剤を変更して開発を進めてまいります。

・次期抗体の探索研究

 バイオベンチャー企業として、複数の大学研究機関とのコラボレーションによって継続的な共同研究を進めており、候補標的の評価データ収集を行っております。また、標的に対する抗体を創出するための新技術導入も積極的に行っており、新規抗体医薬品シーズの探索研究をさらに進めてまいります。

 

② 抗体研究支援及び抗体・試薬販売の拡大

 抗体研究支援は、大学や研究機関との共同研究などを通じて得られた新たな顧客ニーズの発掘による支援メニューの拡充や、当社ならではの細やかな研究支援により売上増を図ってまいります。また、抗体・試薬販売は当社抗体の論文での使用例をホームページ上等で訴求することにより、研究者からの支持を拡大することで受注増を目指してまいります。

 

③ 研究開発資金の調達

 当社のビジネスモデルは、多額の研究開発費用が先行して必要となるため、ライセンス契約の締結を始めとした国内外のパートナーとの提携や、資本市場からの資金調達により、研究開発資金の調達に努めてまいります。

 

④ 優秀な人材の確保

 当社は優秀な人材を積極的に採用し、パイプラインの開発と拡充を図ってまいります。また、働きやすく、やりがいのある職場づくりに継続的に取り組み、社員の成長を促すことで企業基盤の強化に努めてまいります。

 

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