業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症再拡大に伴う緊急事態宣言の再発出やまん延防止等重点措置の実施により、企業活動や個人消費活動が停滞することとなりました。ワクチン接種が進んだことで経済回復の兆しが見られたものの、新たな変異株ウイルスの急速な拡大やロシアのウクライナ侵攻などの影響により、先行きの不透明感が高まることとなりました。

当社海外グループの事業エリアであるアジア経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が拡がったことにより度重なる外出制限が行われましたが、概ねコロナ禍を巡る最悪期を脱しました。

このような経済状況のもと、当社グループはVISION2027実現のための「変革・挑戦」期と位置付けた中期経営計画をスタートしました。経営基本方針は次のとおりであります。

経営基本方針

・ニューノーマルにおけるカテゴリー戦略の進化・挑戦と

 ブランド価値向上を徹底できる全社マーケティング革新

・インドネシア事業再生のスピーディな完遂と海外事業のビジネスモデル革新

・デジタライゼーションとオープンイノベーションによる新価値創造企業への転換

・サステナブル経営を中核とした企業価値向上とお役立ちの進化

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,143百万円減少し、85,767百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,481百万円減少し、16,716百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ662百万円減少し、69,051百万円となりました。

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高は57,361百万円(前期比9.4%減)、営業損失は2,308百万円(前期は793百万円の営業損失)、経常損失は1,856百万円(前期は273百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は621百万円(前期は860百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。(売上高は外部顧客への売上高を記載しております。)

日本は、売上高は32,595百万円(前期比16.1%減)、セグメント損失は1,473百万円(前期は255百万円のセグメント損失)となりました。

インドネシアは、売上高は11,751百万円(前期比2.9%減)、セグメント損失は1,204百万円(前期は899百万円のセグメント損失)となりました。

海外その他は、売上高は13,015百万円(前期比5.3%増)、セグメント利益は369百万円(同2.2%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,974百万円増加し、当連結会計年度末には16,015百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は7,693百万円(前期は6,208百万円の収入)となりました。これは主に、減価償却費5,337百万円、仕入債務の増加額1,743百万円および棚卸資産の減少額964百万円による増加であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は185百万円(前期は5,680百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却及び償還による収入2,462百万円による増加と、有形固定資産の取得による支出1,741百万円および定期預金の純増加額586百万円による減少であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は5,385百万円(前期は1,125百万円の収入)となりました。これは主に、短期借入金の純減少額3,476百万円および配当金の支払額1,525百万円による減少であります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

39,433

96.8

インドネシア(百万円)

16,280

113.1

海外その他(百万円)

1,676

99.1

合計(百万円)

57,390

101.0

(注)金額は製造業者販売価格で表示しております。

 

b.受注実績

OEM等による受注生産を行っておりますが、金額は僅少であります。

c.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

1,681

115.8

海外その他(百万円)

1,839

110.3

合計(百万円)

3,521

112.8

(注)金額は実際仕入価格で表示しております。

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

32,595

83.9

インドネシア(百万円)

11,751

97.1

海外その他(百万円)

13,015

105.3

合計(百万円)

57,361

90.6

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

 至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱PALTAC

23,126

36.5

18,876

32.9

PT. Asia Paramita Indah

10,369

16.4

9,508

16.6

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

1)財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,143百万円減少の85,767百万円(前連結会計年度末は87,911百万円)となりました。

流動資産は、42,868百万円(前連結会計年度末は39,775百万円)となりました。これは主に、現金及び預金が3,874百万円増加したことによるものであります。

固定資産は、42,899百万円(前連結会計年度末は48,135百万円)となりました。これは主に、投資有価証券の売却により投資その他の資産が3,035百万円減少したことと、減価償却により有形固定資産が1,727百万円減少したことによるものであります。

(負債合計)

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,481百万円減少の16,716百万円(前連結会計年度末は18,198百万円)となりました。

流動負債は、11,233百万円(前連結会計年度末は12,298百万円)となりました。これは主に、短期借入金が3,467百万円減少したことによるものです。

固定負債は、5,482百万円(前連結会計年度末は5,899百万円)となりました。これは主に、繰延税金負債が535百万円減少したことによるものであります。

(純資産合計)

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ662百万円減少の69,051百万円(前連結会計年度末は69,713百万円)となりました。これは主に、為替換算調整勘定が2,377百万円増加したものの、投資有価証券の売却によりその他有価証券評価差額が1,477百万円減少したことと、親会社株主に帰属する当期純損失の計上および配当金の支払いにより利益剰余金が2,149百万円減少したことによるものであります。

2)経営成績

(売上高および売上原価)

当連結会計年度における連結売上高は、57,361百万円(前期比9.4%減)となりました。これは主として、日本の夏場の気温低下や長雨などの天候不順により夏シーズン品の需要が伸び悩んだ影響と、国内外ともに新型コロナウイルス感染症拡大の影響によるものであります。また、日本で「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用したことによる影響であります。

売上原価は、33,964百万円(同0.2%増)となりました。これは主として国内外における減収に伴い生産数量が減少したためであり、売上総利益は、前期より6,030百万円減少し、23,397百万円(同20.5%減)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業損失)

販売費及び一般管理費は、25,706百万円(同14.9%減)となりました。これは主として、国内外の市場環境の急速な悪化を受け、販売費及び一般管理費の削減に取り組んだことによるものでありますが、売上総利益の減少をカバーしきれず、営業損失は、2,308百万円(前期は793百万円の営業損失)となりました。

(経常損失および税金等調整前当期純損失)

経常損失は、1,856百万円(前期は273百万円の経常損失)となりました。これは主として、営業損失が拡大したことに加え、支払補償費が増加したことによるものであります。

税金等調整前当期純損失は、762百万円(前期は1,221百万円の税金等調整前当期純利益)となりました。これは主として、投資有価証券売却益を計上したものの、経常損失をカバーしきれなかったことによるものであります。

(法人税等、非支配株主に帰属する当期純損失および親会社株主に帰属する当期純損失)

法人税等は、主として当社およびインドネシア子会社における法人税等の減少により、72百万円(同85.4%減)となりました。また、非支配株主に帰属する当期純損失は、主として連結決算上でのインドネシア子会社の当期純損失を反映した結果、212百万円となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は、621百万円(前期は860百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

(日本)

売上高は32,595百万円(前期比16.1%減)となりました。これは主として、夏場の気温低下や長雨などの天候不順で夏シーズン品の需要が伸び悩み、男性事業の「ギャツビー」ブランドが減収したことによるものであります。また、収益認識会計基準等を当連結会計年度の期首から適用したことに伴い、従来、販売費及び一般管理費、営業外費用で計上していた販売報奨金等の費用を売上高から減額したことによる影響であります。

セグメント損失は、主として減収の影響により、1,473百万円(前期は255百万円のセグメント損失)となりました。

セグメント資産は、主として有形固定資産と投資有価証券の減少により、前連結会計年度に比べ4,108百万円減少の46,645百万円となりました。

(インドネシア)

売上高は11,751百万円(前期比2.9%減)となりました。これは主として、インドネシア国内において引き続き新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、7月から8月にかけて感染者数が激増し、消費が低迷したことによるものであります。

セグメント損失は、主として減収の影響により、1,204百万円(前期は899百万円のセグメント損失)となりました。

セグメント資産は、主として現金及び預金と受取手形及び売掛金の増加により、前連結会計年度に比べ1,777百万円増加の18,451百万円となりました。

(海外その他)

売上高は13,015百万円(前期比5.3%増)となりました。これは主として、新型コロナウイルス感染症拡大が収まらなかったものの、複数の国において売上高が回復したことによるものであります。

セグメント利益は、主として増収の影響により、369百万円(同2.2%増)となりました。

セグメント資産は、主として受取手形及び売掛金の増加により、前連結会計年度に比べ187百万円増加の20,670百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

1)資金需要

当社グループの資金需要は、主に運転資金需要と設備投資需要の2つがあります。

運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための原材料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費の営業費用によるものであります。また、設備投資需要としましては、主に生産設備の取得に伴う建物や機械装置等固定資産購入によるものであります。

2)財務政策

当社グループは、堅固なバランスシートの維持、事業活動のための適切な流動性資産の維持を財務方針とし、主たる資金需要である運転資金および設備投資につきましては、原則として内部資金の活用を優先し、不足分については金融機関からの借入を行っております。日本における子会社の資金不足は当社からの貸付けで対応し、在外子会社の短期資金需要は現地法人による現地通貨建短期借入で調達しております。また、当社における手元資金は事業投資の待機資金であることを前提に流動性・安全性の確保を最優先に運用しております。

当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大等により先行きが不透明な状況において、不測の資金需要に備えるため、金融機関との間にコミットメントラインを設定しており、常時月商の3ヶ月分以上の資金を確保できる体制を構築しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、日本において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社経営陣は、連結財務諸表の作成にあたって決算日現在における資産・負債の報告数値および偶発債務の開示ならびに連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りおよび仮定を含めた前提条件の設定を行わなければなりません。経営陣は、当社グループの事業に重要な影響を及ぼす貸倒引当金、投資、従業員給付、偶発事象や訴訟等に関する見積りおよび判断に対して、継続して評価を行っております。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響等、先行きの不確実性が大きく、将来の事業計画等の見込数値への反映が難しい要素もありますが、当連結会計年度末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。

当社グループの連結財務諸表の作成に際し、重要な影響を与える主たる会計方針は以下のとおりであります。

 

a.収益の認識

当社グループの売上高のうち、輸出以外の取引は製品等のリニューアル等にともなって返品取引を行うことがあります。発生が見込まれる返品部分については、過去の返品率等を勘案して算定した金額について収益を認識しておりません。ただし、予期せぬ返品の増加により、収益が減少する可能性があります。

b.棚卸資産

当社グループは、棚卸資産の貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しております。事業環境の変化等にともない、さらなる棚卸資産の収益性の低下が生じた場合は、追加の評価損の計上が必要となる可能性があります。

c.貸倒引当金

当社グループは、顧客に対する債権額の回収不能および一部投資勘定に対する損失を見積り、貸倒引当金を計上しております。

d.投資および固定資産の減損

当社グループは、中長期的な取引関係強化等のために、特定の顧客および金融機関に対する少数持分等を所有しております。これらの投資に対しては、その時価または発行法人等の純資産額が取得原価に比べ50%以上下落した場合に、回復可能性等を考慮して必要と認められる額について減損処理を行っております。なお、当連結会計年度において減損損失は発生しておりません。

また当社グループは、事業投資の結果生じた有形固定資産やのれん等の無形固定資産に対し、固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 2002年8月9日))および「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 2003年10月31日)を適用しております。事業環境の変化等にともない、将来キャッシュ・フローによる回収が見込めなくなった場合は固定資産の減損損失が発生する可能性があります。企業結合取引により計上したのれん及びその他の無形固定資産の評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。なお、当連結会計年度において減損損失は発生しておりません。

e.繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産の算定にあたって、将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を判断しております。事業環境の変化や予期せぬ税制の大幅な改正等にともない、課税所得の見積りおよび繰延税金資産の回収可能性の判断に変更が生じた場合は、繰延税金資産が取崩されることにより、税金費用が計上される可能性があります。

f.従業員給付

当社グループの従業員給付のうち、賞与費用および債務は、過去実績および業績考課の支給原資配分予測等に基づく支給見込額により、また退職給付費用および債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出しております。前提条件の変動により将来費用および債務は影響を受けますが、退職給付制度の一部を確定拠出年金制度に移行することにより影響度合いを軽減しております。

 

経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

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