業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して770,885千円減少の12,300,447千円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末と比較して962,946千円減少の11,516,933千円となりました。これは主に、現金及び預金の減少3,087,787千円、売掛金の減少327,717千円、製品の増加1,392,868千円、原材料及び貯蔵品の増加269,191千円、前払費用の増加235,691千円によるものです。

 固定資産は、前連結会計年度末と比較して192,061千円増加の783,514千円となりました。これは主に、有形固定資産が10,257千円減少、ソフトウエアの投資等により無形固定資産が116,661千円増加、敷金の増加等により投資その他の資産が85,656千円増加したことによるものです。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末と比較して2,215,788千円減少の3,952,427千円となりました。

 流動負債は、前連結会計年度末と比較して2,371,289千円減少の3,220,541千円となりました。これは主に、未払金の減少400,224千円、未払法人税等の減少1,555,478千円によるものです。

 固定負債は、前連結会計年度末と比較して155,501千円増加の731,886千円となりました。これは主に、長期借入金の増加155,264千円によるものです。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比較して1,444,903千円増加の8,348,020千円となりました。これは主に利益剰余金の増加1,408,716千円によるものです。

その結果、自己資本比率は67.9%となりました。

 

② 経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症のまん延防止のため、長きにわたり実施された行動制限が3月下旬に緩和され、経済活動正常化の動きが見られたものの、変異株の出現による感染の再拡大に加え、世界的な原材料価格の高騰やウクライナ情勢の長期化、急激な為替変動等により、依然として不透明な環境が続いております。

 このような状況の下、当社グループは、設立以来「uniqueであること」にこだわりを持ち、当社の強みである「商品企画力」「マーケティング力」に「定期販売モデル」を組み合わせ、新カテゴリーにおいて複数ブランドをローンチする等、アンチエイジングに関わる事業の拡大を推進してまいりました。

 「デュオ」ブランドは、記録的なヒットとなった「デュオ ザ クレンジングバーム ブラックリペア」が落ち着きを見せたことに加え、競合他社による安価なバーム製品の投入が相次ぎ、競争環境が激化しました。しかしながら「デュオ」ブランドに対するお客様からの支持は依然高く、2021年4月~2022年3月におけるクレンジングの企業別及びブランド別売上は3年連続トップシェア※1を占めています。

 「デュオ」ブランドに続く第2の収益の柱として育成中の「カナデル」ブランドは、「若年層の時短ニーズに対する、オールインワン化粧品の提案」という戦略の下、既存のラインナップに加え、最高峰のオールインワンとして誕生した高価格の「カナデル プレミア ゼロ」や、4月に新発売したシミ、シワに効果のあるナイアシンアミドを配合した医薬部外品の「カナデル プレミアバリアフィックス※2」等も着実に売上を伸ばしており、発売後3年で年間売上高50億円を上回りました。

 また、3月下旬には「デュオ」、「カナデル」から得たブランド育成ノウハウを水平展開し、若年層の白髪の悩みをターゲットにした新ヘアケアブランド「クレイエンス」をローンチしました。「クレイエンス」ブランドは、発売後4か月で新規獲得件数が20万件を突破し、新たな収益の柱としての成長に期待が高まっています。

 通信販売チャネルにおける新規顧客獲得の状況は、広告出稿への規制対応の為、第1四半期に獲得が一時鈍化したものの、第2四半期以降、「デュオ」中心の獲得から複数ブランドによる新規獲得が順調に進み、来期の成長に向けた基盤構築が着実に進展しました。

 上記活動の結果、当連結会計年度における売上高は33,911,903千円(前期比3.3%増)、営業利益は2,414,318千円(前期比48.4%減)、経常利益は2,572,326千円(前期比44.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,424,422千円(前期比49.0%減)となりました。

 

 なお、当社グループは化粧品の製造・販売の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

※1 TPCマーケティングリサーチ株式会社「クレンジングに関する調査(ブランド別売上)」2022年4月調査

※2 販売名:薬用バリアフィックス(医薬部外品)

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、2,963,167千円(前連結会計年度末比3,088,987千円の減少)となりました。また、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とその要因は以下の通りであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動により使用した資金は、3,322,340千円となりました。(前年同期は2,753,427千円の獲得)主な収入の要因は、税金等調整前当期純利益2,572,326千円、主な支出の要因は、棚卸資産の増加1,662,060千円、未払金の減少391,318千円、未払消費税等の減少521,607千円、法人税等の支払2,591,984千円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、297,682千円となりました。(前年同期は180,826千円の使用)主な収入の要因は、保険積立金の解約による収入76,752千円、主な支出の要因は、敷金及び保証金の差入による支出161,476千円、無形固定資産の取得による支出176,887千円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動により獲得した資金は、501,623千円となりました。(前年同期は1,584,830千円の獲得)主な収入の要因は、長期借入れによる収入474,000千円、短期借入金の純増額390,000千円、主な支出の要因は、長期借入金の返済による支出362,184千円によるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは化粧品の製造・販売事業の単一セグメントであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年比(%)

化粧品の製造・販売事業

8,751,310

21.0

合計

8,751,310

21.0

 (注)金額は仕入価格によっております。

 

b.受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは化粧品の製造・販売事業の単一セグメントであるため、販売実績については販売チャネル別に記載しております。

販売チャネル別

金額(千円)

前年比(%)

通信販売

24,150,324

8.4

卸売販売

8,382,609

△11.4

その他

1,378,970

28.4

合計

33,911,903

3.3

 (注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年8月1日

至 2021年7月31日)

当連結会計年度

(自 2021年8月1日

至 2022年7月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社井田両国堂

7,894,396

24.1

6,683,625

19.7

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 新型コロナウイルス感染症に関し、ワクチン接種が進むものの感染者数は高止まりの状況であり、依然として先行きが不透明な状態が続いておりますが、翌連結会計年度末に向け徐々に回復するものと想定しております。現時点ではコロナ禍における顧客のEC志向の高まりを受け、当社グループの主要チャネルである通信販売は引き続き堅調に推移していることから、当該影響は限定的と仮定して、棚卸資産の評価や返金負債、契約負債の算定等、会計上の見積りを行っております。

 なお、新型コロナウイルス感染症の収束時期や影響範囲等は大きく変動する可能性があり、将来における財務状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針についての詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の「注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているとおりであります。

 

(棚卸資産)

 棚卸資産の連結貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法を採用しており、棚卸資産の評価に際して、その判定は個別品目ごとに行っております。営業循環過程から外れた棚卸資産については、収益性の低下の事実を適切に反映するため帳簿価額を処分見込価額まで切り下げております。

 営業循環過程から外れた棚卸資産の識別に用いた主要な仮定は、棚卸資産の滞留期間と将来における販売又は使用見込数量です。一定の滞留期間を超える棚卸資産は規則的に帳簿価額を切り下げております。また、一定の滞留期間を超過しない棚卸資産についても、将来の販売又は使用見込数量を超過する場合は当該超過分の帳簿価額を切り下げております。

 市場環境が悪化して、営業循環過程から外れた棚卸資産が大幅に増加した場合には、追加の評価損が発生する可能性があります。

 

(返金負債)

 返金負債の計上にあたっては、売上げた製品が品質上の欠陥等の理由で、返品される損失額を見積って計上しております。返金負債の見込額については、過去の返品実績を勘案の上、合理的に見積り判断しておりますが、実際の返品実績が見積りと異なる場合、返金負債の計上金額が変動する可能性があります。

 

(契約負債)

 契約負債の計上にあたっては、過去の使用実績率に基づき将来使用されると見込まれる金額を計上しております。契約負債の見込み額については、ポイントの使用実績率などから将来の使用見込率を合理的に見積り判断しておりますが、今後、使用実績率に影響を与える変化が生じた場合には、契約負債の計上金額が変動する可能性があります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

 売上高は前期比3.3%増の33,911,903千円となりました。これは、「デュオ」ブランドにおいて、2021年3月より販売開始した「ザ クレンジングバーム ブラックリペア」のブームが落ち着いてきたことや、競合他社による安価なバーム製品の投入が相次ぎ競争が激化したことから、卸売販売チャネルにおける売上高が減少したものの、第2の収益の柱として育成中の「カナデル」ブランドや、若年層の白髪の悩みに着目した新ヘアケアブランド「クレイエンス」の新規獲得が好調に推移している通信販売チャネルの売上高が伸長したことによるものであります。

 

(売上原価及び売上総利益)

 売上原価は前期比14.1%増の7,282,948千円となりました。売上原価は製品原価が大部分を占めて構成されていることから、売上高の拡大に加え、取扱ブランド数や商品数の増加に比例して増加しております。

 この結果、売上総利益は前期比0.7%増の26,628,955千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費及び営業利益)

 販売費及び一般管理費は前期比11.3%増の24,214,636千円となりました。これは主に売上拡大に伴う物流業務やコールセンター業務の業務委託費の増加に加え、基幹システムやCRM施策の強化に伴うシステム投資や上期の海外投資により、業務委託費及びその他の販売費及び一般管理費が増加したことによるものです。なお、売上高に対する広告宣伝費12,920,192千円の比率は38.1%となり前期の39.0%から0.9ポイント減少しました。これは広告宣伝費を売上高の変動費と位置づけ、費用対効果を確保したコントロールを行ったことによるものです。

 この結果、営業利益は前期比48.4%減の2,414,318千円となりました。

 

(営業外損益及び経常利益)

 営業外収益は前期比711.2%増の175,881千円となりました。これは、主に為替差益によるものであります。また、営業外費用は前期比63.2%減の17,873千円となりました。これは、主に前期に発生した上場関連費用がなくなったことによるものであります。

 この結果、経常利益は前期比44.7%減の2,572,326千円となりました。

 

(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

 特別損益はありませんでした。また、法人税等については前期比38.3%減の1,147,904千円となりました。

 この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比49.0%減の1,424,422千円となりました。

 

③ 財政状態の分析

 当社グループは、OEMを活用することで工場や研究施設等の設備を保有しない形で事業を運営しておりますので、売上高の拡大と比較すると固定資産の増加額が抑えられていることが特徴です。当連結会計年度においても、その傾向は継続しております。

 財政状態の分析の詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」をご参照ください。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比3,088,987千円減少し2,963,167千円となりました。当社グループにおける広告宣伝費は、新規定期顧客を獲得するための投資に位置付けられる費用であり、投資額を回収するまでには一定の期間を要します。

 当社キャッシュ・フローの状況の分析の詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

⑥ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの運転資金需要の主なものは製造費用、販売費及び一般管理費に含まれる広告宣伝費、業務委託費であります。これらの運転資金につきましては内部資金または銀行からの借入により資金調達することとしております。また、一時的な資金の不足については当座貸越枠等により、十分な借入金の与信枠を設定し、必要資金を適時に確保する体制を整えております。

 

⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

⑧ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載の通り、売上高、営業利益及び親会社株主に帰属する当期純利益並びに売上高営業利益率を重要な経営指標として位置付けております。

 前連結会計年度及び当連結会計年度の経営指標は、次のとおりであります。売上高営業利益率は当連結会計年度が7.1%となり、前連結会計年度を下回ることとなりました。

 また、新規顧客獲得において、デジタルマーケティングを主軸に広告宣伝費を投下しておりますが、その大半が成果報酬形式による支出となるため、売上高の変動費と位置づけられ、費用対効果を確保したコントロールを行っております。売上高広告宣伝費率は当連結会計年度が38.1%となり、前連結会計年度を下回っておりますが、多額に計上されております。

 今後も引き続き売上原価の低減、費用削減に取り組むことによって、売上高及び営業利益の増加、売上高営業利益率の上昇を目指してまいります。

 

当連結会計年度

(自 2021年8月1日

至 2022年7月31日)

金額(千円)

前年比(%)

売上高

33,911,903

3.3

営業利益

2,414,318

△48.4

当期純利益(親会社株主に帰属する当期純利益)

1,424,422

△49.0

売上高営業利益率

7.1%

△7.2

広告宣伝費

12,920,192

0.8

売上高広告宣伝費率

38.1%

△0.9

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