業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率

 

百万円

百万円

売上収益

790,817

936,039

18.4

 

タイヤ事業

679,860

795,045

16.9

 

スポーツ事業

70,257

101,429

44.4

 

産業品他事業

40,700

39,565

△2.8

事業利益又は

事業損失(△)

43,388

51,975

19.8

 

タイヤ事業

40,949

41,398

1.1

 

スポーツ事業

△741

8,604

 

産業品他事業

3,186

1,945

△39.0

 

調整額

△6

28

営業利益

38,701

49,169

27.0

親会社の所有者に

帰属する当期利益

22,596

29,470

30.4

(注)事業利益又は事業損失(△)は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。

 

為替レートの前提

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

1米ドル当たり

107

110

3

1ユーロ当たり

122

130

8

 

当期の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により一部で依然として厳しい状況にありますが、全体としては回復が続いています。我が国においても経済全体の持ち直しの動きがゆるやかに続いています。

当社グループを取り巻く情勢につきましては、為替の円安により輸出環境が改善したことに加え、欧米をはじめ多くの市場で回復基調となるなど明るい兆しも見えたものの、海上輸送コストや原材料価格の高騰の影響を受けました。そのような中、当社グループは2025年を目標年度とした中期計画の実現に向けて経営基盤強化を目指す全社プロジェクトを強力に推進するとともに、世界の主要市場に構築した製販拠点の効果の最大化を目指して顧客ニーズに対応した高機能商品を開発、増販するなど、グローバル体制による競争力の強化に取り組みました。

この結果、当社グループの連結業績は、売上収益は936,039百万円(前期比18.4%増)、事業利益は51,975百万円(前期比19.8%増)、営業利益は49,169百万円(前期比27.0%増)となり、税金費用を計上した後の最終的な親会社の所有者に帰属する当期利益は29,470百万円(前期比30.4%増)となりました。

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

 

(タイヤ事業)

タイヤ事業の売上収益は、795,045百万円(前期比16.9%増)、事業利益は41,398百万円(前期比1.1%増)となりました。

国内新車用タイヤは、世界的な半導体不足の影響等により自動車メーカーの生産台数が減少したことが受注に影響し、販売は前期を下回りました。

国内市販用タイヤは、夏タイヤで高機能商品の販売が増加しました。また、季節に左右されずに安全・安心を提供できる商品として好評を得ているオールシーズンタイヤのカテゴリーで、乗用車用に加えてタクシーやバン用のタイヤも発売しました。冬タイヤの販売は降雪の影響もあり堅調に推移しました。これらの結果、販売は前期を上回りました。

海外新車用タイヤは、半導体不足影響による自動車メーカーの減産はありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で大きく落ち込んだ前期よりも受注が回復し、販売は前期を上回りました。

海外市販用タイヤは、アジア・大洋州地域では中国で新商品投入の効果により販売が増加したほか、需要が回復しているインドネシアでも拡販できました。欧州においてはタイヤ需要が回復する中、レース活動などプロモーションの効果もあり販売本数を伸ばすことができました。米州地域においては、北米でSUV用タイヤの「ワイルドピーク」シリーズが引き続き好調で販売を伸ばしましたが、輸送コンテナの逼迫による制約に加えて、輸送費高騰の影響を大きく受けました。南米においては地産地消の強みを活かし、旺盛な需要に対応して販売を伸ばすことができました。

以上の結果、タイヤ事業の売上収益は前期を上回り、利益はほぼ横ばいとなりました。

 

(スポーツ事業)

スポーツ事業の売上収益は、101,429百万円(前期比44.4%増)、事業利益は8,604百万円(前期は741百万円の損失)となりました。

ゴルフ用品は、日本市場ではコロナ禍において需要が引き続き活況となり、松山英樹選手のマスターズ優勝効果もあり「スリクソン」のゴルフクラブ・ボールや「クリーブランド」のゴルフクラブが好調に推移したほか、12月に発売したゴルフクラブ「ゼクシオ12(トゥウェルブ)」も好調な出足となりました。海外では北米、韓国などを中心にゴルフクラブ・ボールともに販売を伸ばすことが出来ました。その結果、売上収益は前期を上回りました。

またテニス用品は新型コロナウイルス感染症の影響で全体需要がやや減少する中で販売が増加したほか、海外市場ではスペイン発祥のラケット競技「パデル」のスポーツ用品も好調に推移したことで、売上収益は前期を上回りました。

ウェルネス事業では新型コロナウイルス感染症の影響は継続していますが、感染予防に万全の対策を講じつつ全拠点で営業を強化したこともあり、売上収益は前期を上回りました。

以上の結果、スポーツ事業の売上収益は前期を上回り、増益となりました。

 

(産業品他事業)

産業品他事業の売上収益は、39,565百万円(前期比2.8%減)、事業利益は1,945百万円(前期比39.0%減)となりました。

主要OA機器メーカーのプリンター・コピー機の生産が回復基調となったことによるOA機器用精密ゴム部品の販売の増加や、海外を中心とした医療用ゴム製品の販売堅調の一方で、インフラ系商材における受注の減少や使い切り手袋の需要減退等がありました。

以上の結果、産業品他事業の売上収益は前期を下回り、減益となりました。

 

②財政状態の状況

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

 

百万円

百万円

百万円

資産合計

974,805

1,086,169

111,364

資本合計

467,097

513,543

46,446

親会社の所有者に

帰属する持分

454,743

501,540

46,797

親会社所有者帰属

持分比率(%)

46.6

46.2

△0.4

ROE(%)

4.9

6.2

1.3

ROA(%)

4.3

5.0

0.7

有利子負債

276,739

296,784

20,045

D/E レシオ(倍)

0.6

0.6

1株当たり親会社

所有者帰属持分

1,729円05銭

1,907円03銭

177円98銭

(注)ROAは連結ベースの事業利益に基づき算出しております。

 

当連結会計年度末の資産合計は、1,086,169百万円と前連結会計年度末に比べて111,364百万円増加しました。棚卸資産の増加などにより流動資産が96,429百万円増加しました。また、退職給付に係る資産の増加及び投資有価証券時価評価によるその他の金融資産の増加などにより非流動資産は14,935百万円増加しました。

当連結会計年度末の負債合計は、572,626百万円と前連結会計年度末に比べて64,918百万円増加し、有利子負債残高は、296,784百万円と前連結会計年度末に比べて20,045百万円増加しました。

 当連結会計年度末の資本合計は513,543百万円と前連結会計年度末に比べて46,446百万円増加しました。うち親会社の所有者に帰属する持分は501,540百万円と前連結会計年度末に比べて46,797百万円増加しました。この結果、親会社所有者帰属持分比率は46.2%、1株当たり親会社所有者帰属持分は1,907円03銭となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ890百万円増加し、当連結会計年度末には75,093百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、63,090百万円(前連結会計年度比60,414百万円の収入の減少)となりました。

これは主として、棚卸資産の増加61,734百万円、法人所得税の支払16,758百万円などの減少要因があったものの、税引前利益44,765百万円の計上、減価償却費及び償却費の計上67,724百万円、営業債務及びその他の債務の増加33,121百万円などの増加要因によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、54,023百万円(前連結会計年度比8,429百万円の支出の増加)となりました。

これは主として、有形固定資産の取得による支出47,726百万円などによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、13,332百万円(前連結会計年度比48,549百万円の支出の減少)となりました。

これは主として、短期借入金、長期借入金及び社債が純額で16,855百万円増加したほか、配当金の支払15,776百万円、リース負債の返済13,382百万円を行ったことなどによるものであります。

 

 

(2)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

タイヤ事業

663,928

20.3%

スポーツ事業

47,834

10.6%

産業品他事業

32,056

9.6%

合計

743,818

19.1%

(注)1.金額は、販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

②受注実績

 当社グループの製品は、大部分が見込生産であり、ごく一部の製品(防舷材等)についてのみ受注生産を行っております。

 

③販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

タイヤ事業

795,045

16.9%

スポーツ事業

101,429

44.4%

産業品他事業

39,565

△2.8%

合計

936,039

18.4%

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。

連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示並びに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、会計上の見積りや前提が必要となりますが、当社グループは、過去の実績、又は各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。ただし、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果は見積りと異なる場合があります。

また、新型コロナウイルス感染症による影響については、変異株による経済活動への影響が懸念されており、収束時期が見通せない中、国内外において経済活動の回復に制約が見られる状況が続くと予想されます。先行きは予断を許さない状況でありますが、ウイズコロナの新常態において、緩やかに回復に向かうものと仮定しております。

当社グループが採用している会計方針のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの中期計画における数値目標は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針及び経営戦略等」に記載のとおりですが、当連結会計年度の経営成績に重要な影響を与えた主なものは、原材料価格の上昇及び海上輸送コストの負担増であります。

主力のタイヤ事業において、当連結会計年度においては、原材料価格の上昇及び海上輸送コストの負担増の影響、並びに北米でアンチダンピング課税の負担増の影響があったものの、販売数量の増加、製品構成の良化及び売価への価格転嫁により事業利益はほぼ横ばいとなりました。原材料面では、天然ゴム価格及び石油系原材料価格が上昇したことにより、減益要因となりました。販売面では、新車用タイヤでは世界的な半導体不足の影響があったものの、市販用タイヤ、新車用タイヤともにコロナ禍からの回復の中で販売を伸ばしたことや製品構成の良化により、数量・構成他は増益要因、原材料価格の上昇等に伴い価格改善を進めたことで価格も増益要因となりました。為替については、円安傾向で推移したことにより、増益要因となりました。直接原価はコロナ影響を受けた前期と比べ、操業度が定常状態に戻ったことで増益要因となった一方、堅調な投資とコロナ禍からの回復に伴い、固定費及び経費は減益要因となりました。

この結果、前連結会計年度に対し、原材料価格全体で約370億円、固定費で約51億円、経費で約11億円の減益要因となったものの、販売価格で約246億円、数量・構成他で約82億円、直接原価で約59億円、為替で約49億円がそれぞれ増益要因となりました。高機能商品の更なる拡販、海外工場における生産性の改善など、収益力の向上を目指して様々な対策に取り組みましたが、原材料価格の上昇及び海上輸送コストの負担増の影響が大きくタイヤ事業全体では事業利益はほぼ横ばいとなりました。

スポーツ事業及び産業品他事業の分析は「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

当連結会計年度 事業利益の増減要因0102010_007.png

 

以上の結果、売上収益は936,039百万円と前連結会計年度に比べ145,222百万円(18.4%)の増収、事業利益は51,975百万円と前連結会計年度に比べ8,587百万円(19.8%)の増益となり、売上収益事業利益率は前連結会計年度に比べ0.1ポイント上昇し、5.6%となりました。

その他の収益及び費用では、減損損失が減少したこと等により、前連結会計年度に比べ1,881百万円の増益となりました。

この結果、営業利益は49,169百万円と前連結会計年度に比べ10,468百万円(27.0%)の増益となり、売上収益営業利益率は前連結会計年度に比べ0.4ポイント上昇し、5.3%となりました。

金融収益及び費用では、為替差損が減少したこと等により、前連結会計年度に比べ4,506百万円の増益となりました。

以上の結果、税金費用を計上した後の最終的な親会社の所有者に帰属する当期利益は29,470百万円と前連結会計年度に比べ6,874百万円(30.4%)の増益となりました。

中期計画における目標達成に向けて、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針及び経営戦略等」に記載の施策に取り組んでまいります。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析、資本の財源及び資金の流動性についての分析

キャッシュ・フローの分析は「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりでありますが、当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリーキャッシュ・フローは9,067百万円のプラスとなり、主に配当金の支払15,776百万円に充当しております。なお、配当に関する基本方針は、「第4 提出会社の状況 3.配当政策」に記載のとおりとなります。

今後、主に世界各地での増販に合わせた高機能タイヤの生産能力増強のための設備投資を行っていく方針でありますが、販売数量の増加と採算性の改善により営業活動によるキャッシュ・フローの拡大を実現しながら、必要に応じ金融市場や金融機関からの調達も活用するなど、「成長」と「流動性の確保並びに財務体質の向上」との両立を図りながら、2020年2月13日公表の中期計画で目標としているD/Eレシオ0.5以下の達成を目指してまいります。なお、当社と国内子会社、当社と一部の海外子会社との間でCMS(キャッシュマネジメントシステム)による資金融通を行っており、当社グループ内での資金効率向上を図っております。

また、当連結会計年度末現在において、日本格付研究所(JCR)より「A+(長期)、J-1(短期)」の信用格付を取得しております。

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