(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済情勢は、新型コロナウイルス感染症再拡大の一方、各国で防疫と経済の両立政策が広まり、緩やかな景気回復に向かいました。半導体の供給不足による自動車メーカーの生産調整、原材料費や輸送費及び燃料費の上昇など、企業経営に対する圧迫要因も発生しましたが、各国の経済活動の制限緩和等により、当社グループの事業においても、需要はおおむね回復基調にあります。
このような経営環境を受けて、当社グループの受注も回復傾向にあり、連結売上高は前年同期比13.1%増の715億4百万円となりました。損益につきましては、増収に加え、グループ全体の体質強化や生産体制改善の取り組みの継続などにより、営業利益は前年同期比152.4%増の17億49百万円、経常利益は同75.7%増の25億22百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同66.2%増の20億84百万円となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、売上高は15億27百万円減少し、損益への影響につきましては軽微であります。
セグメントの経営成績は次のとおりです。
半導体不足に起因する自動車メーカーの生産調整の影響により、受注のペースは今期後半に減速したものの、通年では回復基調となり、売上高は前年同期比10.1%増の309億10百万円となりました。セグメント損益については、原材料価格の上昇と輸送費の高騰に圧力を受けながらも、生産合理化、経費削減等の体質改善に下支えされ、前年同期比23.4%増の31億37百万円の利益となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により売上高は2億37百万円減少し、セグメント損益への影響はありません。
建設機械向けの受注の下支えもあり、売上高は前年同期比19.1%増の283億34百万円となりました。セグメント損益については、金具鋼材費高騰の影響により、前年同期比25.7%減の8億24百万円の利益となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により売上高は25百万円減少し、セグメント損益への影響は軽微であります。
売上高は前年同期並み(0.3%増)の55億2百万円となりました。セグメント損益については、合理化推進努力の効果が表れ始めたものの、金具鋼材費高騰の影響が大きく、1億75百万円の損失となりました(前年同期は5億63百万円の損失)。なお、収益認識会計基準等の適用により売上高は12億27百万円減少し、セグメント損益への影響はありません。
受注は好調であり、売上高は前年同期比24.3%増の43億77百万円となりました。セグメント損益については、売上高の増加に伴い94百万円の利益となりました(前年同期は1億55百万円の損失)。なお、収益認識会計基準等の適用により売上高は36百万円減少し、セグメント損益への影響はありません。
受注は堅調に推移し、売上高は前年同期比4.4%増の30億45百万円となりました。セグメント損益については、費用削減の効果等により前年同期比90.7%増の5億20百万円の利益となりました。
財政状態の状況は次のとおりです。
総資産は、前連結会計年度末に比べて12億21百万円増加し、650億39百万円となりました。
主な要因は、安全在庫の確保に伴う商品及び製品の増加等による流動資産の増加15億25百万円によるものです。固定資産は、設備投資の抑制に伴う有形固定資産の減少等により3億4百万円減少しております。
負債は、前連結会計年度末に比べて8億33百万円減少し、306億62百万円となりました。
主な要因は、借入金の減少等による流動負債の減少4億78百万円によるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べて20億55百万円増加し、343億77百万円となりました。
主な要因は、利益剰余金の増加12億38百万円、為替換算調整勘定の増加14億円によるものです。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1億13百万円増加し、87億82百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は53億44百万円(前年同期は47億54百万円)となりました。これは主に減価償却費43億69百万円、税金等調整前当期純利益25億53百万円による資金の増加等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は28億46百万円(前年同期は40億26百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得が27億72百万円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は28億15百万円(前年同期は8億59百万円)となりました。これは主に借入の返済が収入を13億62百万円上回ったことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a.繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。なお、当該課税所得を見積るにあたって、前提とした条件や仮定に変更が生じ、これが減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
b.退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率、死亡率などの要素が含まれております。
c.固定資産の減損
固定資産のうち減損の兆候のある資産又は資産グループについて、将来キャッシュ・フローを見積り、将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前年同期比12億21百万円(1.9%)増の650億39百万円となりました。うち流動資産は同15億25百万円(4.2%)増の377億44百万円、固定資産は同3億4百万円(1.1%)減の272億94百万円となっております。流動資産の増加は、安全在庫の確保に伴う商品及び製品の増加等によるものです。固定資産の減少は、設備投資の抑制に伴う機械装置及び運搬具等の有形固定資産の減少等によるものです。
当連結会計年度末の負債の合計は、前年同期比8億33百万円(2.6%)減の306億62百万円となりました。うち流動負債は同4億78百万円(2.1%)減の227億92百万円、固定負債は同3億55百万円(4.3%)減の78億70百万円となっております。負債の減少は、借入金の減少等によるものです。これは、新型コロナウイルス感染症の影響が薄まり、体質強化等によって業績を回復させた子会社の返済によるものです。
純資産
当連結会計年度末における純資産は、前年同期比20億55百万円(6.4%)増の343億77百万円となりました。その主な要因は、増収に加え、生産合理化の活動に取り組んだ結果の収益力向上による利益剰余金の増加と、為替換算調整勘定の増加によるものです。為替換算調整勘定は主として中国元、米ドル及びインドネシアルピアの為替変動の影響により前連結会計年度末の△3億74百万円から10億25百万円に増加しました。非支配株主持分は、非支配株主に帰属する当期純損失90百万円の計上による減少と、支払配当金による減少により、前年同期比82百万円(3.7%)減の21億52百万円となりました。
上記の結果、自己資本比率は前年同期比2.4ポイント増の49.5%、期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産は前年同期比187.72円増の2,002.05円となりました。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響が各国の経済活動の制限緩和により徐々に薄まる方向に進んでおり、当社グループの事業においては、半導体の供給不足による自動車メーカーの生産調整などの影響を受けながらも、需要はおおむね回復基調にあります。
このような経営環境を受けて、当社グループの受注も回復傾向にあり、連結売上高は前年同期比13.1%増の715億4百万円となりました。損益につきましては、増収に加え、想定を大幅に上回る原材料費や輸送費及び燃料費の上昇などによる費用増を、グループ全体の体質強化や生産体制改善の取り組みの継続などにより補い、営業利益は前年同期比152.4%増の17億49百万円、経常利益は同75.7%増の25億22百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同66.2%増の20億84百万円となりました。これにより、1株当たりの当期純利益は127.24円(前年同期は75.69円)となっております。
なお、セグメント別の業績分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要」をご参照ください。
c. キャッシュ・フローの分析
当社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比5億90百万円増の53億44百万円となりました。税金等調整前当期純利益の増加が主な要因となります。税金等調整前当期純利益の増加は、増収に加え、生産体制改善に取り組んだ結果によるものです。なお法人税等の支払額は6億1百万円(前年同期は5億1百万円)となっております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比11億80百万円減の28億46百万円の支出となりました。有形固定資産の取得による支出の減少が主な要因となります。これは新型コロナウイルス感染症や半導体の供給不足等の影響を想定して、設備投資を抑制したことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比19億56百万円減の28億15百万円の支出となりました。業績の回復により、借入金の返済が収入を上回り13億62百万円の支出となったことが主な要因となります。加えて、配当金の支払額は、前年同期比6億80百万円増の8億46百万円となっております。
現金及び現金同等物に係る換算差額は、主に中国元及び米ドルの為替変動の影響により4億30百万円の増加となりました。
この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて1億13百万円増加し、87億82百万円となりました。
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金、設備投資並びに配当金の支払いであります。これらの資金需要につきましては、自己資金及び金融機関からの借入による資金調達にて対応していくことを基本方針としております。
また、突発的な資金需要に備え、当社は主要な取引銀行との間でコミットメントライン契約を締結し、手許流動性リスクに備えております。なお、これについて当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
当連結会計年度末における有利子負債は109億69百万円となっており、前連結会計年度末に比べ11億64百万円減少しております。
キャッシュ・フローの状況の詳細については、「c.キャッシュ・フローの分析」に記載のとおりであります。
「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループは2024年3月期に、連結売上高800億円、経常利益率7%、ROE8%の目標を達成するため、既存事業のさらなる拡販、新規事業の創出、及び合理化推進や生産性向上に取り組んでおります。
中期経営計画の2年目となる2023年3月期の業績予想としては、2022年5月13日発表の決算短信にて公表のとおり、売上高770億円、営業利益37億円、経常利益38億円、当期純利益27億円を掲げております。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
地域別の状況は以下のとおりであります。
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