日本政府は2050年カーボンニュートラルを宣言し、カーメーカーでは製品のライフサイクル全体で多くのCO2を排出していることから、BEV(Battery EV:電気自動車)やFCEV(Fuel Cell EV:燃料電池車)などZero Emission Vehicleへのシフトを急速に進めています。 当社グループは、自動車用ゴム部品を主要製品とするサプライヤーとして、カーボンニュートラルへの取り組みを通じて企業理念である「新しい価値創造に挑戦し、夢あふれる未来づくりに貢献する」 を達成してまいります。技術開発本部と事業統括本部を始めとする関連部門とが相互に連携しながら、独自の技術を活かした新製品のスピーディな開発を推進しております。
ゴムを構成する原材料の多くは石油由来であるため、原材料についてはバイオマス原料やCO2発生量の少ない原料へのシフト、生産プロセスにおいて低エネルギーで製造を可能とする易加工性の材料開発を進めており、当連結会計年度の研究開発費の総額は、
自動車分野においては、電動油圧ブレーキ用グロメット、ディスクブレーキ用ピストンシール、冷却装置用バルブ、冷却装置用パッキン、等速ジョイント用ブーツ等を国内外の顧客向けに開発しております。また、CASE時代に対応し、EV電池の熱マネジメント用バルブやシール等の開発も進めております。さらに、産業用機器に使われるリニアガイド用シールを国内の顧客向けに開発しております。
特に当社の主軸商品であるワイパーブレードラバーにおいては、顧客ごとに異なるワイパーブレード構造や押し付け力性能に応じたラバー形状を最適設計するシミュレーションツールを開発し、その性能評価を自社で実施することにより、開発期間の短縮を実現いたしました。さらに、自動車の電動化により静粛性などの快適なドライビング環境への要求が高まる中、異音等を大幅に低減するラバー、軽量化を狙った樹脂製ウインドシールド対応のラバー、自動運転に必要な光学センサー用の特殊ラバー等を開発しております。
自動車分野においては、サスペンション用ブッシュ等の各種防振ゴム、クランクシャフト用ダンパープーリー等を国内外の顧客向けに開発しております。一般産業分野においては、建機のキャビン用液封マウント、林業用機械のキャビン用小型液封マウント、エレベーター用防振ゴム、鉄道軌道用防振ゴム、鉄道関連の駆動装置用緩衝ゴム等を国内外の顧客向けに開発しております。
CASE時代に対応した商品についても、EV電池用緩衝材、車載用ECU防振ゴム等の開発に積極的に取り組んでおります。その他、宇宙関連機器用防振ゴム等、新たな分野においても開発を行っております。
長寿命、高い防振性能等、昨今増加している顧客ニーズにお応えするため、新材料、新形状を積極的に採用し、新しい付加価値をご提供できるよう開発を進めております。
精密機器事業では、OA機器分野の他に航空宇宙分野も視野に入れるため、製品開発と並行して、品質マネジメントシステム規格(JISQ9100)の認証取得を進めております。
また、成長が著しい半導体事業やライフサイエンス事業の製品開発として、半導体製造装置用部品や細胞培養関連製品の拡充を進めております。2020年に開発した化粧品原料(ヒト脂肪由来幹細胞順化培養液:製品名Phicelloファイセロ、ヒト脂肪間質細胞エクソソーム:製品名Phisomeファイソーム)は採用の拡がりを見せており、2021年には毛乳頭細胞により産生した化粧品原料(ヒト毛根細胞順化培養液:製品名Phicello mouファイセロ モウ)が養毛剤に採用されました。
モータ事業においては、高機能レンズ市場向けに高速・高トルクのアクチュエーターを装備した超音波モータの開発に注力し、お客様の開発要望に応えております。
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