当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して大きく減少しており、経営成績に関する説明の売上高については、増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、ワクチン接種の促進や各種政策の効果もあり持ち直しの動きが見られたものの、ロシアによるウクライナ侵攻によって生じる地政学的リスクの懸念等もあり、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社グループの主要市場である九州の経済については、国が進める防災・減災、国土強靭化のための予算が配分される一方で、中・長期的には公共投資の縮減により漸減する方向であることが予想されるなど、予断を許さない状況が続いております。
このような経営環境下で当社グループでは、2021年4月1日付で持株会社体制に移行するとともに、2021年4月から2024年3月までを計画期間とする「中期経営計画Ⅵ」を策定いたしました。中期経営計画Ⅵでは、ヤマウグループが将来に亘って安定的に成長を続けるための経営・収益基盤のさらなる見直しと徹底的な強化の期間と位置付けると共に、持続的な成長を支え、加速するためのグループシナジー発揮の土台整備を推進しております。当連結会計年度の業績は、新型コロナウイルス感染症の影響も軽微で計画以上に堅調に推移いたしましたが、収益認識に関する会計基準の適用の影響により、売上高については195億3百万円(前年同期267億11百万円)となりました。利益面では、地質調査・コンサルタント業務及び土木工事事業において好採算の受注が獲得できたことや、グループ全体で取り組んでいるコスト削減や生産性向上に加え、工事進行基準の計上方法の見直しなどもあり、営業利益が22億28百万円(前年同期比18.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が15億26百万円(前年同期比22.8%増)となりました。
セグメントの経営成績を示すと次のとおりであります。
当連結会計年度においては、主要市場である九州圏内の建設市場において、中・長期的には公共投資の縮小により漸減する方向であることに加え、公共投資が耐震、長寿命化、老朽化対策などの既存インフラの維持管理や防災・減災対策へシフトしていくなか、自然災害に対する復旧・復興工事への対応や、製造原価及び一般管理費の削減に取り組んで参りました。
その結果、当連結会計期間においては、コンクリート製品製造・販売事業の売上高は、101億45百万円(前年同期177億13百万円)となりました。利益面では、河川製品などの大口受注での生産効率の向上が寄与したことなどによりセグメント利益(営業利益)は11億98百万円(前年同期比10.2%増)となりました。
(水門・堰の製造及び施工並びに保守事業)
水門・堰の製造及び施工並びに保守事業の売上は、水門、除塵機、水管橋等鋼構造物の製造、施工並びにそれらの保守によるものであります。
当連結会計年度においては、水門・堰の製造及び施工並びに保守事業の売上高は、35億52百万円(前年同期34億38百万円)、セグメント利益(営業利益)は遠隔地工事の外注費増加などにより2億36百万円(前年同期比19.2%減)となりました。
(地質調査・コンサルタント業務及び土木工事事業)
地質調査・コンサルタント業務及び土木工事事業の売上は、地質調査及び地すべり対策工事並びに測量・設計業務によるものであります。
当連結会計年度においては、地質調査・コンサルタント業務及び土木工事事業の売上高は、18億38百万円(前年同期17億35百万円)となりました。セグメント利益(営業利益)については、自社施工による複数の好採算工事が受注出来たことなどにより3億24百万円(前年同期比61.6%増)となりました。
(コンクリート構造物の点検・調査、補修工事事業)
コンクリート構造物の点検・調査、補修工事事業の売上は、橋梁、トンネル等コンクリート構造物の点検・調査業務の請負、補修工事・補強設計業務の請負によるものであります。
当連結会計年度においては、コンクリート構造物の点検・調査、補修工事事業の売上高は、9億27百万円(前年同期10億16百万円)、セグメント利益(営業利益)は92百万円(前年同期比23.1%減)となりました。
(情報機器の販売及び保守事業)
情報機器の販売及び保守事業の売上は、主に金融機関向け業務処理支援機器及びその周辺機器の販売並びにそれらの保守事業によるものであります。
当連結会計年度においては、情報機器の販売及び保守事業の売上高は2億11百万円(前年同期4億60百万円)、セグメント利益(営業利益)は43百万円(前年同期比14.3%増)となりました。
(橋梁、高架道路用伸縮装置の製造・販売・設置工事事業)
橋梁、高架道路用伸縮装置の製造・販売・設置工事事業の売上は、主に橋梁、高架道路用伸縮装置の製造・販売・設置工事によるものであります。
当連結会計年度においては、高架道路用伸縮装置の製造・販売・設置事業の売上高は、計画以上の大口受注が獲得出来たことや工事進行基準の導入などにより29億20百万円(前年同期23億77百万円)となりました。セグメント利益(営業利益)は、工事進行基準の導入に加え、前連結会計年度でのれん代の一部である顧客関連資産(受注残)の償却が終了したことにより1億98百万円(前年同期比105.0%増)となりました。
(不動産事業)
不動産事業の売上は、主に不動産の賃貸によるものであります。
当連結会計年度においては、持株会社化に伴い子会社に対する不動産賃貸が増加したことにより、不動産事業の売上高は2億74百万円(前年同期74百万円)、セグメント利益(営業利益)は1億55百万円(前年同期比458.7%増)となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べて2.3%増加し、156億78百万円となりました。これは、主として、仕掛品が5億34百万円減少し、電子記録債権が5億68百万円、その他流動資産が3億20百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて0.4%減少し、74億55百万円となりました。これは主として、有形固定資産が1億23百万円、投資その他の資産が10百万円それぞれ増加し、無形固定資産が1億62百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて1.4%増加し、231億33百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて4.0%減少し、121億28百万円となりました。これは、主として、電子記録債務が3億18百万円増加し、短期借入金が3億24百万円、契約負債が3億76百万円それぞれ減少したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて12.9%減少し、27億81百万円となりました。これは、主として長期借入金が3億56百万円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて5.8%減少し、149億10百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べて17.7%増加し、82億23百万円となりました。これは、主として利益剰余金が12億69百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動により6億円増加し、投資活動により5億89百万円、財務活動により10億22百万円それぞれ減少したことにより、当連結会計年度末には、43億90百万円(前連結会計年度は54億1百万円)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、6億円(前連結会計年度は38億60百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益で23億59百万円、減価償却費で6億33百万円それぞれ資金が増加し、売掛債権の増加で9億99百万円、法人税等の支払額で8億70百万円、その他の流動負債の減少で5億80百万円それぞれ資金が減少したことによるものであります。
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、5億89百万円(前連結会計年度は6億13百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出で6億27百万円資金が減少したことによるものであります。
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、10億22百万円(前連結会計年度は12億69万円の減少)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出により6億90百万円、配当金の支払による支出により2億56百万円資金が減少したことによるものであります。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は製造原価で表示しております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は仕入価格で表示しております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
3 収益認識会計基準の適用に伴い、代理人取引に該当する取引を当期から純額表示としているため、前年同期は大幅に減少しております。
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)他のセグメントにつきましては、一部特殊製品についてのみ受注生産を行っておりますが、大部分は過去の実績に基づく見込み生産を行っておりますので記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 総販売実績に対して10%以上に該当する販売先はありません。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
3 販売実績については、収益認識に関する会計基準等の適用に伴い、前年同期と比較して大きく減少しているため、前年同期比(%)を記載しておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で資産、負債並びに収益、費用の数値に影響を与える見積りが行われている部分があります。当該見積りにつきましては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及びその仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。また、新型コロナウイルス感染症の影響については、現時点で影響は出ておらず、本感染症が与える影響は軽微であると想定しております。
連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目は以下のとおりであります。
1.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額を考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得見込額は、その時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、親会社株主に帰属する当期純損益金額が変動する可能性があります。
2.請負契約における一定の期間に履行義務を充足し認識する収益における工事原価総額見積り
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照願います。
当社グループの経営成績につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概要」をご参照願います。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照願います。
当社グループの主要な資金の需要は、製品製造のための原材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備新設、更新等に係る投資であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金については、金融機関からの長期借入金を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は58億50百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、43億90百万円となっております。
お知らせ