当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」をいう。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(2021年1月1日から2021年12月31日まで)の世界経済は、国・地域毎の濃淡は見られるものの、総じて言えば、コロナ禍によるボトム水準からの回復過程にあります。先進国を中心に、ワクチンの普及によるコロナ沈静化の動きも見られる一方、感染力の強い変異株の出現やワクチン普及が進まない新興国・発展途上国との格差が、コロナ禍の収束を不透明にしております。また、半導体不足等、サプライチェーンの混乱や資源価格の高騰が、世界経済の先行きに不透明感を加えております。
このような情勢下、当社グループにおいては、2021年5月に公表したローリング中期経営計画「T-2023」の中で「主力事業の成長軌道回帰」「事業ポートフォリオの最適化」「連結ガバナンス体制強化」の3つの基本方針を掲げ、2023年の売上高3,200億円、営業利益570億円、ROS18%の達成を目指してまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は前期比 28.4%増 の 2,588億7千4百万円 となりました。営業利益は前期比 213.6%増 の 246億4千7百万円 となりました。経常利益は前期比 295.5%増 の 247億7千万円 となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前期比大幅増の 161億5百万円 となりました。
セグメント別の経営成績は下記のとおりです。
[黒鉛電極事業]
世界の粗鋼生産は順調に回復しており、これに合わせて黒鉛電極市況反転の兆しも見られるものの、対面業界との比較では市況回復は遅れており、エネルギーや資材価格上昇も相俟って、苦戦を余儀なくされました。
この結果、当事業の売上高は前期比 7.2%増 の 406億1千9百万円 となり、営業損益は 4億円 の損失(前期は 57億6千6百万円 の営業損失)となりました。
半導体等の材料、部品不足による自動車生産減により新車用タイヤ需要は減少したものの、補修用タイヤ向け需要回復に伴い、販売数量は前期比で増加しました。また、原料油価格高騰に伴う売価の調整や稼働率の上昇に伴い原価率が改善しました。
この結果、当事業の売上高は前期比 40.6%増 の 994億9千1百万円 となり、営業利益は前期比 175.2%増 の 87億8千3百万円 となりました。
[ファインカーボン事業]
半導体、太陽光発電向け販売は引き続き堅調に推移しました。また一般産業向けも回復基調に転じ、高付加価値商品であるソリッドSiC(シリコンカーバイド)製品においても世界的に旺盛な需要を背景に好調に推移いたしました。
この結果、当事業の売上高は前期比23.1%増の391億2千5百万円となり、営業利益は前期比44.6%増の96億1千1百万円となりました。
アルミ一次地金価格は年末に向けて高値圏で推移し、地域やユーザーにより濃淡はあるものの、アルミ精錬用カソードの販売も総じて好調を継続しました。高炉ブロックは前期並みの改修需要に恵まれ、また炭素電極は金属シリコンの旺盛な需要を背景に販売量が伸びました。なお、フランスの炭素黒鉛製品メーカーTokai COBEX Savoie SAS(旧商号Carbone Savoie International SAS)及びそのグループ会社を2020年8月より本セグメントに含めております。
この結果、当事業の売上高は前期比36.4%増の496億9千6百万円となり、取得原価配分に伴う評価差額に係る償却費及びのれん償却費等調整後の営業利益は前年比65.8%増の19億2千5百万円となりました。
工業炉の販売は、主要な需要先であるエネルギー関連業界向けが好調であり前期比増となりました。発熱体その他製品の販売は、電子部品業界向け及びエネルギー関連業界向けが堅調に推移し、前期比増となりました。
この結果、当事業の売上高は前期比 29.9%増 の 180億1千9百万円 となり、営業利益は前期比 43.3%増 の 53億9千6百万円 となりました。
摩擦材
世界経済の回復とともに、建機、農機、二輪、電磁の各用途向け販売が増加しました。
この結果、摩擦材の売上高は前期比36.4%増の88億8千万円となりました。
負極材市場における新興勢の台頭等により競争が激化し前期比で販売が減少しました。
この結果、負極材の売上高は前期比 30.6%減 の 29億7百万円 となりました。
不動産賃貸等その他の売上高は、前期比 4.2%減 の 1億3千5百万円 となりました。
以上により、当事業の売上高は前期比 10.0%増 の 119億2千2百万円 となり、営業利益は前期比 153.0%増 の 7億5千4百万円 となりました。
(資産の部)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末比527億9千3百万円増の5,125億3百万円となりました。
流動資産は、売掛金や棚卸資産等の増加により、前連結会計年度末比374億7千1百万円増の2,151億4千9百万円となりました。固定資産は、有形固定資産、投資有価証券等の増加により、前連結会計年度末比153億2千2百万円増の2,973億5千3百万円となりました。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末比210億3千8百万円増の2,559億3千2百万円となりました。流動負債は、コマーシャル・ペーパーや1年以内償還予定の社債等の増加により、前連結会計年度末比377億6千1百万円増の1,304億1千8百万円となりました。固定負債は、長期借入金等の減少により、前連結会計年度末比167億2千3百万円減の1,255億1千4百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産合計は、為替換算調整勘定や利益剰余金等の増加により、前連結会計年度末比317億5千5百万円増の2,565億7千万円となりました。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末比0.9ポイント増の44.7%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、 前連結会計年度末比67億7百万円増 の 644億3千5百万円 となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、税金等調整前当期純利益の増加等により収入が増加したものの、棚卸資産の増加等により収入が減少し、 前連結会計年度比169億4千9百万円収入減 の、 380億7千2百万円の収入 となりました。
投資活動による資金は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出の減少等により、 前連結会計年度比90億1千9百万円支出減 の、 352億8千2百万円の支出 となりました。
財務活動による資金は、短期借入金の返済による支出の減少等により、 前連結会計年度比2億8千4百万円収入増 の、 12億1千1百万円の収入 となりました。
④ 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
4.精錬ライニング事業の増加の主な要因は、前連結会計年度の第3四半期にTokai COBEX Savoie SASを連結子会社化したことによるものであります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、工業炉及び関連製品については、受注生産を行っております。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況による分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度の売上高は、カーボンブラック事業における販売数量増加及び売価上昇や精錬ライニング事業における前連結会計年度に新規連結した子会社の業績の寄与により、 前期比28.4%増 の 2,588億7千4百万円 となりました。 売上原価率は、主に黒鉛電極事業において、前年度末に計上した棚卸資産評価損の戻り等により、 2.7% ポイントダウンの 72.7% となりました。
販売費及び一般管理費は売上高増加に伴う販売費の増加及び取得原価配分に伴う評価差額の償却費及びのれんの償却費等が増加したことから、 前期比10.5%増 の 460億8千5百万円 となりました。この結果、営業利益は前期比 213.6%増 の 246億4千7百万円 となりました。
営業外収益については、為替差益の計上及び受取配当金の増加等により、 前期比53.2%増 の 25億6百万円 となりました。 営業外費用については、為替差損及び環境安全対策引当金の繰入が減少したこと等により、 前期比26.2%減 の 23億8千3百万円 となりました。
特別利益については、 当社の社宅売却に伴う固定資産売却益1 億6千万円 を計上しております。 特別損失については、 連結子会社である東海炭素(天津)有限公司の売却決定に伴う関係会社出資金売却損失引当金繰入額 11億3千7百万円 及び負極材製造設備にかかる減損損失を 3億8千5百万円 計上しております。 この結果、税金等調整前当期純利益は前期比 281.8%増 の 233億5千4百万円 となりました。
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計は、 前期比42.3%増 の 32億4千8百万円 となり、 また、非支配株主に帰属する当期純利益に 40億円 を計上しました。 この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は 前期比大幅増 の 161億5百万円 となりました。
また、当連結会計年度末の総資産については、 流動資産は売掛金や棚卸資産の増加等により 、前期比 374億7千1百万円増 の 2,151億4千9百万円 となり、 固定資産はカーボンブラック事業における環境投資等により、 前期比 153億2千2百万円増 の 2,973億5千3百万円 となりました。
キャッシュ・フローの状況については、 (1) ③ キャッシュ・フローに記載のとおりであります。
当社グループは、成長投資の実行と安定的な事業運営を維持するため、資本効率を高めつつ、資金調達手段の多様化による安定性維持及び流動性確保と金融費用の抑制を図ることを基本方針としております。
グループの資金は、本社にて一括調達・グローバルキャッシュマネジメントシステムを活用した運用を行うことにより、手元資金の効率性を高めています。手元資金を上回る大型投資案件を実行する場合には、金融機関からの借入や社債などの負債調達を基本に、調達手段や市況環境に応じて、柔軟に調達手段を選択していきます。
また、金利変動リスクや流動性リスクについては、多面的にモニタリングや分析を行い、リスク量をコントロールしつつ金融費用の抑制を図っております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性により、これらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積もり及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定の情報については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
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