事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

1.リスク管理体制

業務運営上の損失の危険を回避するため、経理・財務管理、取引先管理、輸出管理、環境・防災管理、品質管理、情報管理及び投資管理等に関連する規程・規則に則り、日常的なリスク管理を各担当部署が実施するとともに、原則四半期ごとに開催されるリスク・コンプライアンス委員会にてリスク及びコンプライアンスに関する重要事項について討議し、その結果を踏まえ、関係室部等に対する助言、取締役会他経営に対する報告・提言を行うことにより、リスクの把握と改善に努めております。また、子会社管理規程に基づき、当社及び当社グループ会社に著しい損害を及ぼす可能性のある事項が当社関係部署及び当社監査役に報告される体制を構築しております。

 

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、主として次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年3月30日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

2.個別リスク項目

(1) 金融・経済・社会環境に関するリスク

① 感染症の流行(新型コロナウイルス)

新型コロナウイルスについては、先進国を中心に、ワクチンの普及によるコロナ沈静化の動きも見られる一方、より感染力の強い変異株の蔓延やワクチン普及が進まない新興国・発展途上国との格差が、コロナ禍の収束を不透明にしている中、当社グループは、政府・自治体の要請を踏まえ、従業員とその家族、お取引先様等の健康と安全を最優先に、在宅勤務導入や国内外の出張制限等を実施しつつ、事業の継続を図っております。今後、有効な治療薬の普及により状況が改善することが期待されますが、新種の変異株の蔓延等により、コロナ禍の影響が悪化・長期化する場合には、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 気候変動リスク(脱炭素対応)

2016年開催の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において「パリ協定」が採択、各国で批准されたことを機に、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出削減を目的とした取り組みが世界的に進められております。我が国でも、菅前総理による2050年カーボンニュートラル宣言により、脱炭素対応は企業にとって不可避の課題となりました。当社グループは、2022年1月にカーボンニュートラル推進委員会を設立し、当社グループCN対応の司令塔として、全社方針・戦略を起案するとともに、課題や取り組みを可視化し一元的に管理していきますが、こうした取り組みが奏功しない、もしくは不十分である場合には、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 事業を取り巻く内外経済環境

当社グループは、日本のみならず、アジア、欧米において事業活動を展開しておりますので、世界経済の動向が当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。数年来のコロナ禍に加え、足元では、ロシアによるウクライナ侵攻や世界的なインフレ懸念の台頭、米中の対立、保護主義的通商政策の拡がりとサプライチェーンの混乱、気候変動対応を巡る混乱、コロナ禍の影響から脱しきれない新興国・資源国の景気低迷等、世界経済を巡る不確実性が顕在化していることから、これが想定に反して悪化する場合には、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 為替レートの変動

当社グループは、原材料の輸入、製品輸出等、国際的な事業活動を行っており、その取引において外国通貨を用いていることから、為替レートの変動が当社グループ業績に影響を与えます。また、当社の海外における連結子会社・持分法適用関連会社の収益や費用については期中平均相場により円換算されており、為替相場の変動が、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループの場合、特に影響の大きい、米ドル・ユーロに対する円高は、グループ業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響を及ぼす傾向にあります。

 

なお、為替レートの変動リスクについては、VaR(Value at Risk)を用いて、統計的な手法による最大損失額を定期的に計量し、モニタリングしております。

⑤ 資金調達

当社グループは、当社グループとして必要な資金を金融機関からの借入のほか、社債、コマーシャル・ペーパーの発行により調達しております。資金調達に際しては金融市場の動向を睨みながら資金繰り管理や安定的な資金確保に努めております。しかしながら、金融環境の急激な悪化により、資金調達の安定性が損なわれたり、著しく不利な資金調達を余儀なくされたりする局面においては、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、市場金利の変動リスクについては、VaR(Value at Risk)を用いて、統計的な手法による最大損失額を定期的に計量し、モニタリングしております。

⑥ 原材料調達

当社グループは、国内外の多数のサプライヤーから原材料を調達し、安定的な原材料確保と最適な価格の維持に努め、サプライヤーとの緊密な関係構築や需要変動への適切な対応を実行しておりますが、今後の世界経済動向によって、原材料調達価格が上昇し、これを販売価格に適正に転嫁できない場合には、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、原材料等の商品価格が下落した場合には、棚卸資産の評価損等の損失が発生する可能性があります。さらに、自然災害等により、サプライヤーの事業活動やサプライチェーンが被害を受けた場合、当社グループの生産活動に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 保有有価証券

当社グループは、事業機会の創出・維持や取引・協業関係の構築・維持・強化等を通じ、中長期的な企業価値向上が図れると判断した場合に、取引先等の株式を取得・保有することがあり、定期的にその効果検証を行うことにより、保有方針を見直すこととしています。しかしながら、かかる有価証券には、市場性のある株式も含まれるため、内外経済及び株式市場の環境悪化や投資先の経営状況悪化により株価が下落した場合には、保有株式に評価損が発生する可能性があります(「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (5)株式の保有状況」参照)。

なお、投資有価証券の価格変動リスクについては、VaR(Value at Risk)を用いて、統計的な手法による最大損失額を定期的に計量し、モニタリングしております。

 

(2) 業界・事業に関連するリスク

① 競合他社との競争

当社グループは、各事業分野において、様々な企業との厳しい競争環境下にあり、この結果、多くの製品は価格低下圧力に晒されております。当社グループとしては、原価低減や効率性の向上、技術力の追求、市場ニーズの把握等の努力を重ねていきますが、十分な成果が上がらない場合には、マーケットシェアの低下、販売価格の引き下げ等による売上高と利益率の低下を通じ、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 国際的な事業展開

当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略の一つとしていますが、国際的な事業展開においては、経済・為替の不確実性や新型コロナウイルス感染拡大に加え、政情不安、法制・規制の想定外の変更、宗教・文化の相違、現地での労使問題等、国内事業と異なる様々なリスクが伴います。当社グループがこのようなリスクに適切に対処できない場合は、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 研究開発

当社グループは、持続的な企業価値向上のためには研究開発活動は不可欠との認識の下、富士研究所を中心に、次世代に向けた新製品や新規技術の開発を進めております。また、既存事業の製品については、顧客ニーズに適合する新品種の開発や、さらなる品質の向上、画期的なコストダウン等を知多研究所及び防府研究所を中心に推進しております。しかしながら、市場トレンドの変化によるニーズの衰退や脱炭素対応の失敗、同業他社の技術革新に対抗できる技術を速やかに開発できなかった場合等には、当社グループの成長性や収益性を低下させ、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 買収・業務提携、戦略的投資

当社グループは、成長戦略の一環として、企業買収、業務提携、戦略的投資につき、積極的に取り組む方針としております。近年実施している大型M&Aの買収シナジー早期現出に向け、生産技術の共有、人材の交流、現地経営陣の監督徹底等に取り組み、経営統合を進めております。しかしながら、経営環境・前提条件の変化等の理由により、当初想定した結果が得られない可能性もあり、予測される将来キャッシュ・フローの低下により、のれんの減損が必要になる等、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性もあります。

⑤ 特定業界への依存

当社グループの売上の多くは、タイヤ業界、鉄鋼業界に集中しております。こうした特定業界に依存する体質を改善するため、主にアルミニウム市場を対面業界とする炭素黒鉛製品メーカー2社を買収、2020年7月には精錬ライニング事業部を新たに設置し、ポートフォリオの分散化を図っております。しかしながら、当社グループの対面業界の景況が大幅に悪化し、ポートフォリオの分散化が十分に機能しないような場合には、売上高と利益率の低下等を通じ、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 有能な人材の確保

当社グループの競争力と将来性は、マネジメントはもちろん、研究開発、技術、製造、販売、企画、管理等、各部門における専門的知識や技能を持った有能な人材の確保・育成、定着率が重要な課題となります。しかしながら、近年は人材の流動化、団塊の世代の大量退職、少子高齢化による労働人口の減少等により人材の確保に係る競争も厳しくなっております。当社グループは適正な要員計画に基づく採用、人事制度の見直しや新たな研修制度の導入、実施等を通じて有能な人材の確保・育成、定着に取り組んでおりますが、想定どおりに進まない場合や有能な社員の社外流出を防げないような場合、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) その他のリスク

① 法的規制・訴訟

当社グループは国内外において、各種の法令・規制に則り、事業活動を行っております。グループ全体として法令遵守の徹底を図っておりますが、法規制には、商取引法、独占禁止法、労働法、証券関連法、知的財産権法、環境法、税法、輸出入関連法、刑法等に加えて、事業活動や投資を行うために必要とされる様々な政府の許認可規制等があります。今後、新たな法規制の導入や法規制の想定外の変更により、事業活動に対する制約、コストの増加等を通じ、当社グループ業績に悪影響を与える可能性があります。

また、当社グループは、法令遵守が事業活動の基盤であることを認識し、国内外の役員・従業員に対し、様々な形で法務・コンプライアンス教育を実施しておりますが、当社グループがこれらの法規制に抵触したと当局が判断した場合には、課徴金等の行政処分、刑事処分、訴訟等の対象となり、当社グループの社会的評価が低下し、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 環境規制

当社グループは、国内外において、大気汚染、水質汚濁、土壌・地下水汚染、廃棄物処理、省エネルギー・地球温暖化対策等に関し、様々な環境関連法規制の適用を受け、これに対応しております。

これらについて、より厳格な規制が導入された場合や法令の運用・解釈が厳格化された場合、当社グループがこれらの法規制に抵触したと当局が判断した場合等には、当社グループの事業活動の継続が困難となったり、法令遵守のための費用が増加したりする等、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、今後、CO₂の排出や化石燃料の利用に対する新たな規制等が導入された場合には、当社グループの事業活動が制約を受けたり、事業活動に係る費用が増加したりする可能性があります。

 

③ 知的財産権

当社グループは、知的財産を重要な経営資源と位置付け、知的財産管理に関する専門部署を設け、第三者からの知的財産権侵害の発見と保有する知的財産権の管理保護に努めております。しかしながら、見解の相違等の理由により、第三者が特許等への抵触を理由とした差止訴訟や損害賠償請求訴訟等を提起した場合や、第三者による知的財産権侵害により当社グループの競争優位性が脅かされた場合等には、係争に多額の費用等が必要となる可能性や当社グループの評判、優位性を損ねる可能性があり、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 災害・事故

当社グループは、製造業の基本である安全と工場災害防止に注力し、製造設備の停止や製造設備に起因する事故等による潜在的なマイナス要因を最小化するために、すべての製造設備において定期的な点検・メンテナンスを行い、大規模な自然災害等の緊急事態に備え、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)策定をはじめとする事業継続マネジメントに取り組んでいます。しかしながら、国内及び海外の将来の大規模な地震、津波、台風、洪水等の自然災害、火災、爆発、インフラの停止、テロ攻撃、政情不安等の人災その他の不測の事態が実際に発生した場合には、操業の中断・縮小、施設等の損害、多額の復旧費用等により、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 品質・PL

当社グループは、主要な国内生産拠点において、品質マネジメントシステム(ISO9001)を取得し、品質管理に関する規定、規格及び作業標準等を定め、品質チェック体制を構築し、品質監査を行う等グループをあげて品質向上を継続的に取り組み、製品の品質に万全を期すよう努めております。製造物責任賠償及び一部製品の製品瑕疵に起因して被る損害については保険に加入していますが、予測し難い原因により重大な製品欠陥や製造物責任訴訟の提起等が発生した場合には、多額のコスト増大や、当社グループの社会的評価の低下とそれによる売上収益の減少が予想されることから、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 情報セキュリティ

当社グループは、事業遂行に当たり生産技術・研究開発・調達・販売等の機密情報を保有しています。当社グループでは、これらの情報についての厳格な管理体制を構築し、情報の取扱い等に関する規程類の整備・充実や従業員等への周知・徹底を図り、技術面での対策を高度化する等、情報セキュリティを強化しております。しかしながら、これらの情報に関して、盗難・紛失等による第三者の不正流用、法規制違反、想定を超えるサイバー攻撃、そのほか不測の事態によって重要データの破壊や改ざん、情報漏えいや流出、システム障害等が発生した場合には、当社グループ業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

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