事業等のリスク

2【事業等のリスク】

  有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済環境の変化によるリスク

<原材料などの調達>

  当社グループにおいて仕入れる鉄、非鉄金属スクラップや産業廃棄物は、建築物などの解体工事や製造工場のライン機械などのリプレース、一般消費者による製品の購入・消費動向などの影響により、発生量が大幅に減少する可能性があります。原材料などの仕入の減少によって、売買数量及び価格や製品製造に影響を及ぼし、その結果、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

<原材料、製・商品の相場変動リスク>

  当社グループにおける原材料、製・商品である鉄スクラップや非鉄金属の価格は、鉄鉱石や銅鉱石といった資源価格や金属製品価格等の影響を受けます。当社グループの原材料、製・商品の仕入価格と販売価格は、基本的には相場に連動いたします。当社グループは相場変動に応じて仕入価格の変更を行い収益への影響を最小限に抑える対応をとりますが、相場の急激な変化の影響を受けて契約内容によっては利益の減少や損失が発生する場合があります。また、同様に製・商品在庫価値についても相場の影響を受ける可能性、相場の低迷の長期化により利ざやが縮小する可能性があります。1トン当たりの鉄スクラップ価格における(一社)日本鉄リサイクル工業会 ウェブサイト 価格推移表 鉄スクラップ(鋼スクラップ)の推移は、下表のとおりであります。

(注)業界団体である(一社)日本鉄リサイクル工業会の資料を出典として、過去5年間の鉄スクラップ相場変動推移を集計しております。

[鉄スクラップ販売単価]

 

 

期間

平均単価(トン)

通期平均単価

第9期

第1四半期

2015年 7月~2015年 9月

20,000円

17,979円

第2四半期

2015年10月~2015年12月

14,833円

第3四半期

2016年 1月~2016年 3月

16,500円

第4四半期

2016年 4月~2016年 6月

20,583円

第10期

第1四半期

2016年 7月~2016年 9月

18,833円

23,813円

第2四半期

2016年10月~2016年12月

23,417円

第3四半期

2017年 1月~2017年 3月

27,667円

第4四半期

2017年 4月~2017年 6月

25,333円

第11期

第1四半期

2017年 7月~2017年 9月

30,417円

33,458円

第2四半期

2017年10月~2017年12月

33,500円

第3四半期

2018年 1月~2018年 3月

36,083円

第4四半期

2018年 4月~2018年 6月

33,833円

第12期

第1四半期

2018年 7月~2018年 9月

36,083円

32,458円

第2四半期

2018年10月~2018年12月

32,667円

第3四半期

2019年 1月~2019年 3月

31,333円

第4四半期

2019年 4月~2019年 6月

29,750円

第13期

第1四半期

2019年 7月~2019年 9月

25,500円

22,958円

第2四半期

2019年10月~2019年12月

23,583円

第3四半期

2020年 1月~2020年 3月

21,083円

第4四半期

2020年 4月~2020年 6月

21,667円

第14期

第1四半期

2020年 7月~2020年 9月

25,167円

35,313円

第2四半期

2020年10月~2020年12月

33,083円

第3四半期

2021年 1月~2021年 3月

36,500円

第4四半期

2021年 4月~2021年 6月

46,500円

 

<国内鉄スクラップの流通量の減少>

 (一社)日本鉄源協会が発表した「クォータリーてつげん Vol.83 2020-新年号鉄源需給」によると、国内鉄スクラップの国内市中供給量消費量は、2014年度の28,4097千トンから、2015年度25,645千トン、2016年度26,91724千トン、2017年度28,63222千トン、2018年度28,9285千トン、2019年度25,669千トン、2020年度23,649千トンと、全国的には回復基調であります2018年をピークに右肩下がりとなっています。一方で直近の数値を見ると回復傾向が鮮明となっておりますが、米中の対立激化や新型コロナウイルス感染症による経済活動の停滞は、製造業をはじめ各業界の設備投資や建設工事に影響が生じることが想定されます。当社グループは収益構造の見直しやコスト削減を図り対応いたしますが、鉄スクラップの流通量が想定する予測を超え減少する場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

<廃棄物処理業における業績変動>

 当社グループでは、各グループ会社において処分する際に発生した廃棄物の処理を委託できる外部処理業者に限りがあります。また、廃棄物処理後に回収した鉄、非鉄金属、プラスチック類、紙資源等の資源価格は国内及び世界的な需給の状況や投機等の動向に影響を受け変動します。外部処理業者の経営状態が悪化した場合や処理費用が高騰した場合、廃棄物処理後に回収した再生資源価格の変動には、外部処理業者の見直しや受取処理単価の改訂などの対応を行いますが、新規の処理業者への処理委託ができない場合や受取処理単価への転嫁ができない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

<有利子負債>

  当社グループでは2021年6月期においては、有利子負債(リース債務を含む)が58億円あり、総資産に対する割合は19.1%であります。今後、財務体質の健全化の維持に尽力いたしますが、今後借入金利が大きく上昇した場合には当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 法的規制・訴訟に関するリスク

<関連する主な法的規制>

  当社グループが事業活動を行う上で関わることになる主な法的規制には以下のようなものがあります。

・廃棄物の処理及び清掃に関する法律

・特定家庭用機器再商品化法

・使用済自動車の再資源化等に関する法律

・使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律

・古物営業法

・貨物自動車運送事業法

・道路交通法

・フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律

・計量法

・労働安全衛生法

・都市計画法

・建築基準法

・消防法

 

<事業の停止命令や許認可の取り消し>

  当社グループが事業活動を営むにあたり、事業会社又は役員が「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で定める欠格要件に該当し、事業の停止命令や廃棄物処理業に係る許認可が取り消されることになった場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

<環境に関する規制強化や問題の発生>

  当社グループは大気、水質、土壌などのほか、様々な環境関連法令への対応のため、産業廃棄物などの処理過程で生じる騒音、振動、粉塵、排水に対して、適切な設備を各工場に設置し、環境汚染を防止しております。しかしながら、不測の事態によりこれらが流出してしまうなどした場合に、賠償責任が発生する可能性があります。また、将来、環境に関する規制がより一層厳しくなった場合には、設備の改修、入替、増設などのために多額の支出が生じ、これにより当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

<情報セキュリティ>

  当社グループでは事業の過程で取引先の機密情報や顧客の個人情報を受け取ることがあります。また、当社独自の営業秘密や従業員の個人情報も取り扱っております。当社グループでは「情報セキュリティ管理規程」を制定し、これらの重要な情報を適切に扱うよう全従業員に周知徹底をしておりますが、意図的な行為や過失などにより外部に流出する可能性があります。これら情報の流出により賠償責任が生じる可能性があり、対策のための多大な支出が発生する可能性があります。また、当社グループの事業やイメージが悪影響を受ける可能性があります。これらの結果、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

<労働災害、労働安全衛生>

  当社グループでは原材料や製品の処理や運搬などの際に多くの重機や大型の設備を使用しており、従業員や顧客に対する安全管理が必要と認識しております。そのため、グループ会社横断での合同安全衛生会議を実施して、徹底的に事故防止に努めております。また、集合研修やe-Learningでハラスメントに関する教育を行い、さらに時間外労働の管理も強化しており、メンタルヘルス不調の従業員が発生しないように努めております。しかしながら、万が一、重大な事故や労働災害などが発生した場合には被害者への補償の発生や当社グループの事業やレピュテーションに悪影響を受ける可能性があります。これらの結果、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 当社グループの事業活動に関わるリスク

<競合他社との競争>

  当社グループの事業分野には大きなシェアを持つ全国的な企業は存在せず、各エリアに得意分野を持つ中小企業が多数存在して価格やサービスを競っています。法的な規制の強化や社会的なニーズの高まりによって今後はより高度な廃棄物処理と再資源化技術が求められる可能性があり、当社グループもこうした動きにいち早く対処して事業展開を進めてまいります。一方で海外資本を中心とした大規模事業者が参入する可能性、また財務体力や技術不足を補完するための企業合併が多数発生する可能性もあります。こうした新規参入や業界再編といった事業環境の変化によって当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

<新事業のリスク>

  当社グループの事業領域や事業規模拡大のため、新規事業や設備開発等に積極的に取り組んでおりますが、新規事業の展開には不確定要素が多く、事業計画とおり達成できなかった場合には、それまでの投資負担が、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

<顧客の資金状況・財政状態>

  事業活動のなかで、当社グループが売掛債権を有する顧客の財政状態が悪化し、期限とおりの支払いを得られない場合、当社グループの事業、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

<固定資産の減損リスク>

  当社グループは、工場、機械設備等多くの有形固定資産を保有しております。当該資産から得られる将来キャッシュ・フローの見積りに基づく残存価額の回収可能性を定期的に評価しておりますが、当該資産から得られる将来キャッシュ・フロー見込額が減少し、回収可能性が低下した場合、固定資産の減損を行う必要が生じ、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

<PMIの進展による除却等の損失発生リスク、多額の設備投資負担が発生するリスク>

  当社グループは、工場、機械設備等多くの有形固定資産を保有しておりますが、PMI(事業の再編、効率化及びコスト削減)の進展により除却等の損失が発生する可能性があります。また、多額の設備投資を行う際には、市場調査や回収可能性を慎重に検討いたしますが、当初期待した成果を得られず投資の全部又は一部を回収できない可能性があります。これらの場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

<他社との提携・企業買収等の成否>

  当社グループでは今後の事業の拡大を図るための手段として、他社との提携や企業の買収を行う可能性があります。対象の企業については、財務内容や契約関係などについて詳細なデューデリジェンスを実施し、慎重に選定していくことになりますが、それにも関わらず買収後に偶発債務や未認識の債務が生じる可能性があります。また、当初期待した成果を得られず、投資の全部又は一部を回収できない可能性があります。これらの場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。一方で当社グループと商圏が重なる領域において、海外資本を中心とした大規模事業者が参入する可能性、また財務体力や技術不足を補完するための企業合併が多数発生する可能性もあります。こうした新規参入や業界再編といった事業環境の変化によって当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

<人材確保・育成のリスク>

  当社グループの将来の事業拡大のためには、優秀な人材の確保と育成に大きく依存することになります。しかしながら今後少子化による若年層の労働人口が減少することから人材確保における競争は高まってまいります。さらに採用した人材が諸般の事情で退職する可能性もあります。今後当社グループの魅力を高める努力を行い、人材育成の環境を整備してまいりますが、人材の獲得・確保・育成に問題が生じた場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

<輸送費の上昇リスク>

  当社グループは、原材料の仕入、廃棄物の引き取り、生産工程における当社グループ工場間での移動、製品等の販売において、当社グループの輸送部門を担うイツモ(株)を中心に、当社グループ各社での輸送、運送会社の活用など、最適な配送網を構築しております。しかしながら、足元における原油価格の高騰や配送ドライバーの人手不足問題等により更なる物流コストが上昇した際には当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

<ダスト処理費の増加>

  当社グループの主要設備であるシュレッダーより排出されるシュレッダーダストは、その処分先である管理型最終処分場又は焼却処分場の延命措置のため受入規制が強化されており荷受制限を行う処分場が増えております。そのため処分費用の値上げや、より遠方への処分場へ運搬する輸送コストが増加した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 自然災害・火災・事故などに関するリスク

<自然災害>

  当社グループの本社及び工場の多くは、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県に存在しており、首都直下型地震が発生した場合、また、異常気象等によるゲリラ豪雨、落雷、降雪等によって、工場建屋や機械設備が多大な損傷を受け、長期間稼働不能となる可能性があります。これらの結果、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

<爆発・火災>

  主要な機械設備であるシュレッダーは爆発や火災のリスクが比較的高い設備であり、爆破抑制装置や消火設備等の安全対策を実施しておりますが、不測の事態により大規模な爆発や火災が発生した場合には機械設備が長期間稼働不能となる可能性や賠償問題が生じる可能性があります。これらの結果、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

<停電>

  大規模な地震やその他の自然現象、テロなどの発生、その他不測の事態により電力供給がストップした場合には、工場の機械設備の停止や、バックアップ電源等を有しているITシステムに何らかの影響があった場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 感染症のなどに関するリスク

<新型コロナウイルス感染症拡大による経済的影響>

  世界的に流行している新型コロナウイルス感染症が、国内においても急速に蔓延し、各都道府県において独自の営業自粛要請等が行われている状況が継続しております。

  感染拡大が終息せず国内経済の停滞が長期にわたる場合には、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

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