当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①営業の全般的状況
当期における経済情勢は、新型コロナウイルス感染症の断続的な感染拡大、原油価格の高騰や部材不足、物流の停滞等がありましたが、各国の新型コロナ対策と行動制限の緩和により、米国では雇用が回復し個人消費を中心に伸びがみられ、欧州および日本でも景気は持ち直しの動きが見られました。一方、中国では新型コロナ対策としての厳しい行動制限などにより経済の回復スピードは鈍化しました。また、期末にかけてはウクライナ危機の影響でエネルギー価格のさらなる高騰やサプライチェーンの混乱があり、先行きに不透明感が増しました。
このような状況の中、経済活動の回復やオフィスの活動再開を背景に複合機や商業用印刷機などの稼働も回復傾向を続け、当社の主力製品であるキャリアの需要は前期比で増加しました。
食品の品質保持に使用される脱酸素剤の需要は、前期に対しては増加したものの観光やインバウンド需要の低迷などの影響が続きました。鉄粉につきましては、鉄鉱石価格の高騰や円安による仕入価格上昇の影響で前期を下回って推移しました。
この様な市場環境下、当期の連結売上高は前期比14.7%増加の8,837百万円となりました。
損益面におきましては、エネルギーおよび原材料価格の値上がりがあったものの、主にキャリアの販売回復と原価低減により、連結営業利益は1,115百万円(前期比314.4%増)となり、営業外損益を加えた連結経常利益は1,135百万円(前期比309.2%増)となりました。
特別損益では、損失として固定資産処分損32百万円を計上いたしました。
この結果、連結税金等調整前当期純利益は1,103百万円(前期比343.2%増)となり、法人税、住民税及び事業税、ならびに法人税等調整額を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は817百万円(前期比373.4%増)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第 29 号 2020 年 3 月 31 日。以下、「収益認識会計基準」という)および「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)を当期の期首から適用しています。収益認識会計基準等の適用については、収益認識会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取り扱いに従っており、当連結会計年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を、当連結会計年度の期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用しております。
この結果、当連結会計年度の売上高と売上原価はそれぞれ105百万円減少しましたが、損益に与える影響はありません。
②セグメントごとの状況
機能性材料事業
当セグメントにおきましては、電子写真用キャリアの需要の回復と新規事業製品の販売の増加により、売上高は7,358百万円(前期比20.2%増)となりました。セグメント利益は、売上高の増加と増産効果等の原価低減により1,444百万円(前期比146.4%増)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用による損益に与える影響はありません。
鉄粉事業
当セグメントにおきましては、脱酸素剤関連製品は増販となりましたが、鉄粉関連製品が仕入価格高騰の影響などにより減販となり、売上高は1,478百万円(前期比6.7%減)となりました。セグメント利益は、売上高は減少しましたが、原価低減により114百万円(前期比57.1%増)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高と売上原価はそれぞれ105百万円減少しております。損益に与える影響はありません。
③経営成績の分析
当連結会計年度は、年度当初においては新型コロナウイルス感染症に対する各国・地域における景気対策や財政政策により、世界経済は緩やかに回復することを前提に業績予想を発表いたしました。
経営成績としましては、主力の電子写真用キャリアは、オフィスの稼働率の改善等により当初予想した売上高を上回りました。脱酸素剤関連製品は観光やインバウンド需要の低迷などの影響が続き、鉄粉関連製品は仕入価格高騰の影響により、鉄粉事業としては当初予想した売上高を大幅に下回りました。しかしながら、新規事業への研究開発費や設備投資は当初の計画通り実施いたしました。
その結果、通期の業績としましては、売上高は当初予想の9,300百万円に対し5.0%減の8,837百万円となり、経常利益は当初予想の1,000百万円に対し13.5%増の1,135百万円となりました。
前連結会計年度と比較しますと、主に機能性材料事業が増収となり、全体の売上高は14.7%増加いたしました。損益面では、エネルギーおよび原材料価格の値上がりがあったものの、主にキャリアの販売回復と原価低減により、営業利益は314.4%増、経常利益は309.2%増、税金等調整前当期純利益は343.2%増、当期純利益は373.4%増となりました。
④生産、受注及び販売の状況
(注) 1.金額は販売価格(消費税等抜き)によっております。
当社グループの主要製品については、見込み生産が主で受注生産はほとんど行っておりません。
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
当期末は前期末に比べて、流動資産は預け金が増加したことにより、749百万円増加いたしました。固定資産は主に有形固定資産の増加により、589百万円増加いたしました。以上により、総資産は1,339百万円増加いたしました。
負債は未払金及び未払法人税等の増加により、752百万円増加いたしました。
純資産は主に利益剰余金の増加により、587百万円増加いたしました。
自己資本比率は、負債の増加により、79.9%と前期末比3.4%減少いたしました。
なお、収益認識会計基準等の適用による利益剰余金の当期首残高への影響はありません。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金収入が987百万円増加し、1,992百万円の収入となりました。主に税金等調整前当期純利益が増加したことによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金支出が9百万円減少し、1,035百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金支出が239百万円減少し、234百万円の支出となりました。主に自己株式の取得による支出が減少したことによります。
以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ730百万円増加し3,988百万円となりました。
また、当社は流動性をさらに確保するため、複数の金融機関との間でコミットメントライン契約を締結し、全額未使用のまま10億円の融資枠を維持しております。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準により作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。当社の連結財務諸表において採用する重要な会計方針及び新型コロナウイルス感染症の影響を含む重要な会計上の見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
上記のような仮定を考慮して見積り及び予測を行っておりますが、現時点で全ての影響について合理的に見積り及び予測を行うことは困難であり、また、収束時期等によっても変動する可能性があります。
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