事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

新型コロナウイルス感染症に対する各国での対策と行動制限の緩和や廃止により経済活動の正常化が進む一方、ウクライナ危機の長期化や中国のゼロコロナ政策による、サプライチェーンの混乱やインフレおよび金利の上昇などで景気が下振れする可能性があります。

当社グループの主力製品であるキャリアの需要は、オフィスにおける複合機などの稼働状況が改善し、回復が継続すると見込んでおります。また、新規機能性材料としましては、微粒フェライト粉の量産化と売上高の増加を見込んでおります。

鉄粉事業につきましては、特に食品の品質保持に使用される脱酸素剤の需要は、行動制限の緩和とともに徐々に回復すると見込んでおります。

なお、当社は新型コロナウイルス感染症への対応として、テレワークや時差出勤を遂行し、職場内におけるソーシャルディスタンスの確保やマスク着用、消毒、検温の徹底などの感染防止策を行っております。今後も社内外への感染拡大の抑止と従業員の安全確保を最優先に対応してまいります。

 

 

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

分類

区分

リスクの内容・対応策等

顕在化した場合に緊急性の高いリスク

大規模自然災害

 地震や台風、集中豪雨等の大規模自然災害のリスクが増大しています。大規模自然災害のリスクが顕在化した場合、従業員、生産設備等の資産、サプライチェーンにおいて被害が発生し当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。また、同様に感染症のパンデミック(世界的大流行)や自社内でのクラスターの発生によって、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 当社グループはこれらのリスクが顕在化した際には、人命の保護を最優先に、BCP等を実施し、資産を守りサプライチェーンを維持し、操業の早期復旧と継続を図ります。当社グループでは、定期的にBCP等の対策の有効性を検討し、大規模自然災害に係るリスクの低減を図っております。また、新型コロナウイルス感染拡大防止策を徹底し、感染症に係るリスクの低減を図っております。

情報セキュリティ

 サイバー攻撃や関係者の故意または過失等により、機密情報の漏洩、改ざん、消失が起きた場合、多額の損害賠償や訴訟の恐れがあります。その結果、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、ICTを活用し機密情報を統一的に管理し、情報システム管理規則の遵守や提携先との秘密保持契約締結により、情報セキュリティに係るリスクの低減を図っております。

環境事故

 設備の故障や老朽化、または操作ミス等により環境事故が発生した場合、多額の損害賠償や訴訟の恐れがあります。その結果、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 重要な設備につきましては、予防的な保全計画を立てて、故障する前に主要部品等の交換をしております。他の設備については定期的なメンテナンスを行うとともに、突発的な修理にも対応できるよう予備部品を確保しております。操作ミス等の防止については、品質ISO9001に基づいた担当者の教育を実施しております。毎年継続して発生源対策等の環境対策投資を行い、リスクの低減を図っております。

資金調達

 金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しており、契約には一定の財務制限条項が付されております。当社グループがこれらに抵触した場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 当社グループの財政状態は 、財務制限条項に照らして問題のない水準にありますが、随時モニタリングを行い、資金調達リスクの低減を図っております。

全社横断リスク

製品の品質

 当社グループの製品は、グローバルで高いシェアを持つキャリアや、食品に関連する脱酸素剤等があり、品質問題が発生した場合、顧客、社会への影響が大きくレピュテーションの低下も含め当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 当社グループは1995年に品質ISO9001を導入し、品質の管理と向上に努めております。万一、品質問題が発生した場合は、ISOのルールに則り原因の追求と再発防止策を講じております。

原燃料の調達

 地政学リスクや感染症拡大も含めた著しい経済情勢の変化により、原材料や副資材の安定調達が困難になった場合やエネルギーをはじめとする原燃料の価格が高騰した場合、当社グループの生産活動や経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 複数の原料ソースの確保、適正在庫の管理、サプライヤーの監査、販売価格の適正化等によりリスクをミニマイズしております。

労働力の確保

 日本国内における労働人口の減少に伴い、優秀な労働力の確保が難しくなる傾向にあります。優秀な労働力が不足した場合、製品開発力が低下し、また、交替勤務による安定生産ができなくなり、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、優秀な人材を確保するために、多様な人材が働きやすい職場環境を整え、また、定年延長等により人材の確保に努めております。さらに、生産設備の自動化にも以前から注力しており、労働力不足に係るリスクの低減に努めております。

化学物質規制

 当社グループは多種多様な化学物質を扱っていますが、世界各国地域で規制が強化されており、使用が禁止または制限されることにより製品供給に支障が出る恐れがあります。その結果、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 国内外の化学物質の法規制の制定・改定は定期的に専門部門がチェックし、当社グループに関係する制定・改定が予定されている場合は、迅速に対処できる仕組みを作っております。

 

 

分類

区分

リスクの内容・対応策等

経営成績等に影響を与えうるESGリスク

環境

 ESG環境リスクとして、温室効果ガス排出、 エネルギー管理、 水の管理、廃棄物と有害物質の管理を特定しております。今後、法規制強化により温室効果ガス排出にコストが発生する可能性があります。また、有害物質が流出・漏洩して環境汚染を引き起こす可能性があります。さらに、生産拠点が位置する地域の生物多様性に事業活動が影響を与える可能性があります。これらのことから、環境リスクが当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 生産設備のエネルギー効率の改善や省エネタイプの設備への転換などを進めて、二酸化炭素発生量の削減に努めております。排水に関しては、規制基準に基づいた適正な管理目標を設定し、自動モニタリングしながら汚染を起こさないための対応を徹底しております。また、当社グループは、環境ISO14001のマネジメントシステムに基づき、環境関連法規の最新版の運用管理や、廃棄物の分別や量の管理、さらに PRTR法に基づく届出対象物質の排出量に関しても、環境リスクのマネジメントを展開し継続的に削減等の改善を行っております。

社会

 当社グループは、ESG項目の内、社会リスクとして、「人権」、「安全衛生」を特定しております。

①人権

 サプライチェーン上での人権リスクの可能性があると認識しております 。自らの事業またはサプライチェーンにおいて人権侵害が発覚した場合、調達や生産への影響だけでなく当社グループのレピュテーションリスクにもつながり、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 行動指針、CSR方針および就業規則に基づき、人権の保護に努めております。また、サプライヤーの潜在的リスクを洗い出し、抽出された課題についてはサプライヤーと共に改善し、人権リスクの低減を図っております。 

②安全衛生

 製造拠点において、従業員の安全や衛生に係る労働災害が発生するリスクがあります。災害による行政処分などのリスクが、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 労働安全衛生を徹底するために労働安全衛生IS045001を取得し、このマネジメントシステムに基づき継続的改善を図っております。また、従業員に対しては、安全衛生の関連法規やルールの遵守・危険感受性を高めるための訓練、非常時に備えた訓練、個別作業ごとの保護具の使用等についてトレーニングを実施し、安全衛生に係るリスクの低減を図っております。

ガバナンス

 当社グループは、持続的に企業価値を高めるため、コーポレート・ガバナンスの仕組みや機能を規律づけ、ガバナンスの実効性が強化されるよう改善を図っております。しかしながら、将来、事業・外部環境の変化等により不測の事態が発生した場合、ガバナンスの実効性が低下し法令違反等のコンプライアンスのリスクにつながる恐れがあります。結果として、ガバナンスリスクが当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 ガバナンスの実効性を確保するため、コーポレートガバナンス・コードへの対応や、取締役会における議論の活性化等によりガバナンス機能の強化を図っております。また、従業員においては、コンプライアンス教育を実施し法令順守の再認識に努めております。

セグメントにおけるリスク

機能性材料事業
セグメント

 機能性材料事業につきましては、キャリアの需要は、新型コロナにより加速したペーパーレスなどニューノーマル社会への動き等により、新型コロナ前の水準に戻らない可能性があります。

 カラー化の進展、デジタル商業用印刷分野の拡大に向けて、次世代キャリアの開発とともに、工程改善・省エネ活動・歩留改善活動等による徹底したコストダウン施策を進めております。また、当社グループは新たな成長領域で積極的に新規事業の展開を図っております。

鉄粉事業セグメント

 鉄粉事業につきましては、使い捨てカイロに使用されている鉄粉は、暖冬などの気候変動や機能性衣料の普及などにより需要が減少する可能性があります。

 需要動向をタイムリーに把握し仕入れ量をこまめに管理することで在庫リスクをミニマイズするとともに、気候に左右されにくい環境改善用や健康促進関連用などの販売を強化しております。

 

 

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