当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度の連結業績は以下のとおり、売上高は増収、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益ともに増益となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)及び(セグメント情報等) セグメント情報 2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法」をご参照ください。
(単位:百万円)
当連結会計年度における世界経済は、依然として新型コロナウイルス感染症(以下、「コロナ」という。)の影響はあったものの、欧米諸国における金融緩和政策の効果やワクチン接種の広がりもあり、回復の兆しが見えました。しかしながら、2022年2月にはロシアのウクライナ軍事侵攻により、再び予断を許さない状況となりました。
日本経済も同様に、政府による緊急経済対策やワクチン接種の効果もあり、経済活動は正常化へと向かいつつあります。一方で、コロナ変異株の流行や、半導体の供給不足の長期化による生産活動への影響、ウクライナ情勢など、新たな問題も生じております。
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、亜鉛相場は、経済活動の回復に加え、電力価格高騰に伴う欧州の製錬所の停止・減産に起因する供給不安により上昇基調となり、期中平均でも前期を上回る結果となりました。鉛についても、他のメタル価格の上昇に下支えされ堅調に推移しました。銀については、米国の金融政策の転換によるドル高及び米国金利高を受け弱含みましたが、期中平均では前期を上回りました。
為替相場につきましては、下期に円安が進行した結果、期中平均でも前期比円安となりました。
当社グループにおける当連結会計年度の業績は、金属相場高やラスプ鉱山における鉱石品位(亜鉛・鉛等の有価金属分の比率)改善などもあり、売上高1,242億79百万円と前期比208億10百万円(20%)の増収となりました。
損益面では、資源事業部門で30億円の増益かつ黒字転換、金属相場高から製錬事業部門で7億円の増益、環境・リサイクル事業部門で6億円の増益となったことが寄与し、営業利益は105億9百万円と前期比46億14百万円、経常利益は93億53百万円と前期比39億34百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は79億22百万円と前期比24億13百万円の増益となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります(以下、各セグメントの売上高には、セグメント間売上高を含みます)。なお、当連結会計年度より、従来報告セグメントとしていた「土木・建築・プラントエンジニアリング」について、「その他」に含めて記載する方法に変更しております。また、従来「電子部材」として表示していたセグメントは、「電子部材・機能材料」としてセグメントの名称を変更しております。当連結会計年度との比較・分析は、変更後の区分・名称に基づいて記載しております。
(単位:百万円)
販売面では自動車減産等の影響を受け前期比微減となりましたが、相場高により売上高は前期比30%の増収となりました。
鉛も販売面では前期比微減となりましたが、相場高により売上高は前期比21%の増収となりました。
銀は減産により減販となりましたが、相場上昇の影響が大きく売上高は前期比9%の増収となりました。
以上のほか、金や硫酸などその他の製品を合わせた当事業部門の業績は、前期比での金属相場の上昇もあり、売上高は1,023億59百万円と前期比174億30百万円(21%)の増収となりました。損益面では、買鉱条件の悪化、電力価格や資材価格の高騰などの減益要因はあったものの、金属相場高やリサイクル原料の増処理により、前期比6億78百万円(12%)の増益となり、営業利益は64億70百万円になりました。
なお、金属相場(平均)及び為替相場(平均)の推移は下表のとおりであります(米ドル/豪ドルの通期は1月-12月に対応します)。
硫酸リサイクル事業はコロナによる行動制限に伴うガソリン需要減少の影響を受けたものの、自動車のタイヤ製造に用いられる主力製品の酸化亜鉛がコロナの影響を大きく受けた前期と比較し回復したことや、亜鉛価格が前期比で上昇したこともあり、当事業部門の売上高は45億83百万円と前期比8億71百万円(23%)の増収、営業利益は14億81百万円と前期比5億64百万円(62%)の増益となりました。
(単位:百万円)
2020年第3四半期より豪州ラスプ鉱山で経済性向上を目的とした最適操業としての減産体制に移行したことから、前期比では粗鉱生産減となったものの、鉱石品位(亜鉛・鉛等の有価金属分の比率)の改善により精鉱生産量は前期比増となりました。また、金属相場の上昇もあり、売上高は128億44百万円と前期比52億86百万円(70%)の増収となりました。損益面でもラスプ鉱山の生産性改善が寄与し、営業利益は15億35百万円の営業利益と、前期比29億71百万円の増益かつ黒字転換となりました。
(単位:百万円)
電子部品事業は、急速に拡大するEV市場からの部品需要が強まり車載電装品が増販となった他、産業機器やOA機器などほとんどの分野で前期比増販となったこともあり、売上高は前期比で29%の増収となりました。
電解鉄事業は、コロナの影響を大きく受けた航空機用特殊鋼向けの販売が海外を中心に回復し、売上高は前期比で61%の増収となりました。
以上のほか、プレーティング事業及び機器部品事業を合わせた当事業部門の売上高は52億67百万円と前期比11億34百万円(27%)の増収、営業利益は6億65百万円と前期比3億99百万円(150%)の増益となりました。
(単位:百万円)
防音建材事業、土木・建築・プラントエンジニアリング事業、運輸事業、環境分析事業などからなる当事業部門の業績は、前年度におけるコロナの影響から回復し、売上高は103億33百万円と前期比9億43百万円(10%)の増収、営業利益は8億55百万円と前期比57百万円(7%)の増益となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
ただし、電子部材事業、環境・リサイクル事業、その他事業の生産高は、販売金額と同額であります。
2.製錬事業には、八戸製錬㈱他委託分が含まれております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.総販売実績に対し、10%以上に該当する販売先はありません。
2.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原料鉱石の購入代金のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、既存鉱山の坑道掘進や周辺探査、新規鉱山の探査、鉱山及び国内製錬所・事業所の設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、鉱山投資や設備投資といった長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入や資本市場からの調達を基本としております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は664億46百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は79億29百万円となっております。
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり、過去の業績悪化により棄損した財政状態の早期立て直しが当社グループの喫緊の課題となっております。この一環として2022年3月29日から2023年3月28日の期間で、前期から引き続きシンジケート方式による160億円のコミットメントラインを契約し、財務基盤の強化を図っております。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ321億60百万円増加し、1,457億96百万円となりました。これは金属相場上昇の影響から、主に棚卸資産が増加したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ276億60百万円増加し、998億31百万円となりました。これは主に、金属相場高に伴う運転資金需要への対応により、有利子負債が165億円増加したことによるものです。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益79億22百万円の計上もあり、前連結会計年度末に比べ45億円増加し、459億64百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は当連結会計年度末において31.5%となり、前連結会計年度末に比べ5.0ポイント減少しております。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ19億95百万円増加し、当連結会計年度末は79億29百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、51億78百万円の支出(前期は43億13百万円の収入)となりました。金属相場上昇に伴う運転資金需要増の影響が大きく、営業活動によるキャッシュ・フローは大幅な支出増となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、84億3百万円の支出(前期は45百万円の収入)となりました。当期は新規鉱山への追加投資のための支出に加え、前期計上した固定資産や子会社、政策保有株式の売却に伴う収入がなかったことから、大幅な支出増となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは155億71百万円の収入(前期は66億13百万円の支出)となりました。これは主に、金属相場高に伴う運転資金需要の増加や新規鉱山投資への対応により、有利子負債が前期に比して増加したことによるものです。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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