当社グループの経営成績、財政状態に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。
製錬事業の亜鉛及び鉛や銀の原料鉱石価格と製品価格は、LME(ロンドン金属取引所)やその他の国際市場の価格を基準としております。国際市場の価格は、需給バランスや投機筋の思惑、政治や経済の状況などから影響を受けて変動し、価格が予想以上に急激かつ大幅に変動した場合など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
亜鉛及び鉛の製錬事業の主原料である鉱石は、海外から輸入しておりますが、その買鉱条件である製錬費(T/C)は米ドル建てとなっていることと、各製品の国内販売価格は米ドル建て価格を円換算したものを基礎としているため、米ドルに対する円高は当社グループの業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響をもたらします。この関係は豪州で鉱山業を営む連結子会社CBH Resources Ltd.(CBH社)においても同様で、生産物である鉱石価格が米ドル建てであるため、豪ドル安が好影響をもたらします。そのため、為替相場が予想以上に急激かつ大幅に変動した場合など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社の主要製品である亜鉛の製造には多量の電力消費を伴います。また、亜鉛・鉛の製造にはコークスや重油等を多く使用いたします。電力やコークスの価格は原油、LNGや石炭といったエネルギー資源価格に大きく影響を受けるものであり、同価格が大幅に悪化した場合には、製造原価が大きく悪化し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対し、当社グループは根本的には市況の影響を相対的に受けにくい事業の収益拡大及び安定化を図っていくとともに、市況影響を受けやすい製錬事業・資源事業に多くを依存した当社グループの事業ポートフォリオの見直しが必要であります。また、当座の市況影響に対しては、市況変動のリスクヘッジを目的とした為替予約、商品先渡取引やオプション取引などを用いて対処いたします。エネルギーコスト高に対しては、製法や仕入先の工夫により対処いたします。なお、市況の変動が2022年度業績に与える影響額については、以下の感応度を参照ください。
連結営業利益影響額のうち、( )内はCBH社の影響額であり、93.8円/豪ドルにより換算しております。
当社グループの主力事業である製錬事業の主原料である亜鉛及び鉛鉱石の確保は、経営上の重要課題です。亜鉛及び鉛鉱石は、すべてを海外の鉱山から調達しており、世界的な鉱石需給の状況や、鉱山における事故等不測の事態の発生は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。具体的には原料不足による減産による販売機会の喪失や、単位当たり原価の悪化による影響です。これらに対して、当社グループは自社鉱山の開発に努めるとともに、ペルー・豪州等の有力鉱山との間で長期買鉱契約を結ぶ等、安定的な原料確保を図っております。さらに、廃バッテリーの利用増等、鉱石以外の原料の多様化を図ってまいります。
当社グループの主力事業である製錬事業や資源事業は市況の影響を受けやすい業態です。市況のコントロールは難しいことから、計画通りの生産を行うことで販売機会を確保することが当社グループの業績には重要です。自然災害(地震や洪水などに加え新型コロナウイルス感染症の拡大といった病気の蔓延を含む)や操業上の事故・トラブルで操業に支障が生じて計画通りの生産が行えない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。具体的には減産による販売機会の喪失や、単位当たり原価の悪化による影響です。これらについては、長期的な計画に沿った予防的設備保守や、安全操業のための各種施策を確実に行ってまいります。
当社グループは、主に亜鉛・鉛・銀の原料鉱石の安定確保を目指して、豪州において自社開発鉱山を運営しております。しかしながら、鉱山の開発や運営には埋蔵量や操業状況などに関連して、想定外の採算や投資効率の悪化といった不確実性リスクが不可避であり、経営成績及び財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。具体的には採掘コスト増によるコスト高や減損損失の計上による影響です。
これらに対して当社グループは、現地の鉱山開発に精通した人員による慎重な採算性評価に基づく投資を行うとともに、投資後の開発においても不確実性の軽減に努めてまいります。また、鉱山開発には不確実性が伴うという性質を理解し、投資リスクを当社の財政状態の許容範囲内でコントロールしていくといった対応にも努めてまいります。
国内外の事業所においては、環境関連法令に基づき、大気、排水、土壌、地下水等の汚染防止に努め、また、国内の管理鉱山については、鉱山保安法に基づき、坑廃水による水質汚濁の防止や堆積場の安全管理等、鉱害防止に努めておりますが、関連法令の改正等によっては、当社グループに新たな費用が発生する可能性があります。また、気候変動対策に対する社会的要請が急速に高まっており、当社ではTCFDフレームワークによる分析を実施し、リスク及び機会の把握に努めています。カーボンニュートラルの達成は気候変動対策の中核となりますが、脱炭素実現に向けた取り組みにより、原材料の調達や製造工程等において、追加的な義務(コスト)や事業形態の変更などの可能性があり、経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。
なお、非鉄スラグの問題(当社が過去に出荷した非鉄スラグの一部における土壌汚染対策法の土壌環境基準超過及び不適切な使用・混入の問題)につきましては、再発防止のため、業務執行部門から独立した専門部署として「品質保証室」、「環境・安全室」を本社に設置しており、品質保証体制を強化するとともに、今一度、環境保全に対する意識を高め、これに取り組んでまいります。
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