研究開発活動

 

5 【研究開発活動】

各セグメントでは、常に現行商品の改良・改善に努めていますが、これに加え、お客様のご要望を先取りした次期製品・サービスの開発、及び事業の基盤となる製造プロセス技術、設備技術の改善・改良を進めました。また、グループ全体として有望な新規商品につきましては、社内インキュベーションセンターによって、開発・事業化を加速させました。更に、近未来を見据えた新しいコンセプトの商品や革新的新技術に関する基礎研究領域につきましては、大学等との交流を大幅に拡大し、数多くの共同研究を実施することによって、将来有望な開発テーマの創出に努めています。これらの研究開発活動により、現在から近未来に渡る広範囲のフェーズにおける「技術立社」を推進しています。

当連結会計年度における研究開発費の総額は5,894百万円です。

なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ② 連結損益計算書」の当連結会計年度における「開発研究費」は7,035百万円ですが、これには研究開発費のほか、新鉱床探鉱費等1,140百万円が含まれています。

各セグメントの研究開発活動、主な成果及び研究開発費は次のとおりです。

 

環境・リサイクル部門

環境・リサイクル事業の競争力強化に向けて、環境技術研究所が関連事業所と連携して、「効率的な資源循環技術の開発」「有害廃棄物の無害化処理・管理技術の開発」「土壌・地下水汚染の浄化技術開発」等に取り組みました。
 主な成果としては、次のようなものが挙げられます。
 資源循環技術では、廃基板や小型家電等を対象に有効な選別技術によって産物の付加価値を向上させ、事業収益に貢献しています。
 廃棄物処理技術では、有害廃棄物の無害化処理・管理技術向上とともに、新たに低濃度PCB廃棄物処理事業の保有技術やインフラを有効活用したリチウムイオン電池無害化処理の事業検討に取り組んでいます。

土壌・地下水汚染の浄化技術では、自然由来重金属含有土壌の浄化技術である乾式磁力選別処理(DME)工法の現地施工事業の実施及び揮発性有機塩素化合物(VOC)汚染土壌の迅速浄化として新たな土壌浄化用鉄粉を開発し、事業展開しています。

更に、リチウムイオン電池に含まれる有価金属の高品位化や太陽光パネルの無害化・再資源化の研究及び、食品残渣からのメタン発酵発電による再生可能エネルギー技術に取り組み、将来の事業化のための技術を確立していきます。

また、ブランドビジョン「motivate our planet」のもとに、将来のグリーンビジネスの可能性につきまして、事業・技術の両面から検討を行っています。
 なお、当部門における研究開発費は356百万円です。

 

 製錬部門

今後の製錬事業を更に発展させるために、課題解決に向けて製錬技術センターを中心とし各事業所及び大学、研究機関、民間研究施設等を利用することによって、「電力使用量の削減」「有価金属の高効率回収技術の確立」「環境負荷低減技術の構築」に精力的に取り組みました。

主な取り組みとしては、次のようなものが挙げられます。

電力使用量の削減に関しては、銅電解並びに亜鉛電解において新型電極を使用した電力原単位低減試験を進めており、電力使用量の削減を達成できるように継続して取り組んでいきます。

有価金属の高効率回収技術の確立に関しては、銅製錬・鉛製錬・亜鉛製錬のコンビナート機能を深化させて、ベースメタルの実収率を維持・向上させながら、レアメタル、貴金属及び白金族金属の高効率な回収技術を確立していきます。

環境負荷低減技術の構築に関しては、近年リサイクル原料由来によるハロゲン負荷増加の影響で、各工程でトラブルが発生していることから、事前にハロゲンを除去するプロセスや、ハロゲンを有効活用できるプロセスの開発に取り組んでいます。また低炭素エネルギーへの転換、代替を狙い、リサイクル原料や廃棄物由来のエネルギーの開発を進めています。
 なお、当部門における研究開発費は400百万円です。

 

 電子材料部門

グローバルな競争、流動的な経済情勢の中で、更に成長・発展し、変化に対応するために半導体材料研究所、電子材料研究所、機能材料研究所並びに各事業所の技術開発部門において、化合物半導体ウェハ、LED、導電材料、磁性材料、各種機能性粉体等で、現行製品の品質改善・生産性の向上と技術力強化、新たな市場開拓・用途展開を見据えての新製品の開発に取り組みました。

特に、新製品の量産化及び開発・拡充に重点を置き、半導体部門では新たに開発した近赤外LED及び受光素子(PD)の量産販売を開始するとともに、新規結晶材料の開発にも着手しました。

電子材料部門では、次世代太陽光パネル向けの銀粉の材料開発を進め、今後の市場拡大が期待されます。

機能材料部門では、燃料電池材料の研究開発、量産化及び生産性の向上に取り組んだ結果、それぞれ顧客から良好な評価結果を得ており、今後の増販・販路拡大が期待されます。

なお、当部門における研究開発費は4,018百万円です。

 

 金属加工部門

金属加工事業分野では、車載用標準材である「NB-109」「NB-105」といった銅合金の顧客の使用特性の改善、及びめっき技術開発等を行い、世界標準材としての位置付けをより強固なものにしていきます。各種コネクタ・端子用として好評を博しているすず系耐熱・低挿入力めっき「アドバンストリフロー/STAR」に加え、耐摩耗性と接触信頼性に極めて優れた銀-グラファイト複合めっき「SilC plating®」もラインナップしました。また、スマートフォン用等小型コネクタ材として必須の高強度材「YCuTシリーズ」に新たなプロセスを開発し、ばね性の高い新商品「YCuT-GM」をラインナップしています。並行してこれらの生産性向上にも取り組んでいます。

めっき事業分野では、エコカー向け貴金属めっき材の機能特性向上及び生産性改善を通じて、エコカーの高性能化と需要拡大に対応していきます。また、省資源化に貢献する、部分めっきの高精度化・高効率化に取り組んでいます。

サーマルデバイス事業分野では、主力製品である金属セラミックス接合基板の信頼性・生産性向上に引き続き取り組んでおり、改良品をリリースしていく予定です。新エネルギーや鉄道、エコカー向けに新製品である新構造基板の市場投入を開始しており、引き続き製造プロセスの改善、生産性向上、コストダウンに取り組んでいます。
 なお、当部門における研究開発費は797百万円です。

 

 熱処理部門

既存技術と開発技術を融合させた、新たな次世代商品を顧客ニーズに基づき開発し、事業化することで、工業炉・熱処理事業を有する総合熱処理メーカーとして事業拡大を図ります。

世界的なカーボンニュートラルへの流れを受け熱処理工程から排出される CO 2 を大幅に削減する技術開発へ注力しました。

工業炉事業分野では、既存設備の省エネ・低CO2化技術開発を自社工場内で実証しながら継続しています。セル式真空浸炭炉は熱処理工程におけるカーボンニュートラルへの期待の高まりから国内外で導入が進んでいます。加えてカーボンニュートラル実現に寄与する新しい浸炭炉の開発に着手しました。

熱処理事業分野では、自動車部品の軽量化を達成するための高強度化工法開発及び治工具の長寿命化を達成する硬質皮膜開発を継続しています。新制御窒化工法は低温処理で炭素源を使用しない高強度化工法でありCO2を大幅に削減できる技術としても注目され現在複数の顧客と適用拡大を目指して取り組んでいます。また、ドライコーティング分野では、用途拡大に向けた新たな成膜工法・膜構造の技術開発に取り組んでいます。

カーボンニュートラル実現に貢献する技術開発を推進することで両事業部門の競争力を強化し、他社との差別化によって売上拡大を達成するために顧客とのパートナーシップ強化を進めました。
 なお、当部門における研究開発費は322百万円です。

 

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