業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりです。

 

①経営成績の状況

 

前期

当期

対前期増△減

売上高(百万円)

159,702

199,097

39,394

営業利益(百万円)

5,592

7,734

2,142

経常利益(百万円)

6,773

8,996

2,223

親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)

7,468

6,477

△990

 

当連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)の我が国経済は、海外経済の回復を背景とした輸出の増加が、製造業を中心に企業収益や設備投資の改善に寄与し、また、新型コロナワクチンの接種の進展や、新型コロナウイルス感染症の急速な感染拡大を受けて発出されていた緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置が、9月末に全都道府県で解除されたことにより、年末にかけて個人消費についても回復傾向となりました。一方で、半導体や主要部品の不足、原材料価格やエネルギーコストの上昇、コンテナ輸送能力の不足による運賃高騰など、世界的なサプライチェーンの混乱が、企業の生産活動に影響を及ぼし、年明けからは、感染力の強いオミクロン株の感染者や濃厚接触者が急増したことにより、まん延防止等重点措置が再発出されるなど、消費活動や企業の生産活動が抑制され、更にロシアのウクライナ侵攻が、国内経済の先行きについての不透明感を高める状況となりました。

このような経済環境の下、当社グループの当期の連結業績は、売上高は、1,990億97百万円(対前期比393億94百万円増)、営業利益は、77億34百万円(対前期比21億42百万円増)となりました。産業機械部門およびユニック部門は、増収減益となりましたが、前期に営業損失を計上したロックドリル部門は、増収で利益計上となったため、機械事業全体では、増収増益となりました。素材事業では、金属部門、電子部門および化成品部門の全部門で増収増益となりました。また、不動産事業の売上高および営業利益は、前期並みとなりました。経常利益は、89億96百万円(対前期比22億23百万円増)となりました。特別利益に、2021年10月1日付で子会社化した山石金属株式会社の株式取得に伴う負ののれん発生益8億33百万円ほかを計上し、特別損失に古河大阪ビルの解体工事費用について、工事の進捗に対応した費用6億68百万円ほかを計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、64億77百万円(対前期比9億90百万円減)となりました。

なお、前期には、特別利益に投資有価証券売却益40億78百万円を計上しています。

 

セグメント別の業績は、次のとおりです。

 

〔産業機械〕

 

前期

当期

対前期増△減

売上高(百万円)

16,682

17,723

1,041

営業利益(百万円)

2,113

1,396

△717

 

産業機械部門の売上高は、177億23百万円(対前期比10億41百万円増)、営業利益は、13億96百万円(対前期比7億17百万円減)となりました。当期の受注高は、東海環状大安2高架橋3鋼上部工事(三重県いなべ市)や亀戸駅前歩道橋架替工事(東京都江東区)、中央自動車道新小仏トンネル工事向け密閉式吊下げ型コンベヤ(SICON®)などの受注があり、前期並みとなりましたが、当期末の受注残高は、マテリアル機械やプロジェクト案件の受注残高が減少したため、前期末に比べ減少しました。小名浜港湾国際バルクターミナル向けの荷役設備や中央新幹線第一首都圏トンネル新設(北品川工区)工事向けSICON®等について、出来高に対応した売上高を計上した大型プロジェクト案件や橋梁などのコントラクタ事業は、増収となりました。また、マテリアル機械は、部品、オーバーホールなどの減収により、減益となりました。

 

〔ロックドリル〕

 

前期

当期

対前期増△減

売上高(百万円)

24,149

30,910

6,761

営業利益(百万円)

△1,324

1,117

2,442

 

ロックドリル部門の売上高は、309億10百万円(対前期比67億61百万円増)、営業利益は、11億17百万円(前期は13億24百万円の損失)となりました。前期は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、損失計上となりましたが、当期は国内外ともに増収となり、営業利益は大幅に改善し、利益計上となりました。特に、海外については、円安による増収効果がありました。製品別では、全ての製品で増収となり、建設機械需要の旺盛な北米を中心に、油圧クローラドリルは、北米、中近東、アフリカおよび東南アジア、油圧ブレーカは、欧米で増収となり、また補用部品は、国内および北米で増収となりました。

 

〔ユニック〕

 

前期

当期

対前期増△減

売上高(百万円)

27,804

28,305

500

営業利益(百万円)

3,180

2,165

△1,014

 

ユニック部門の売上高は、283億5百万円(対前期比5億円増)、営業利益は、21億65百万円(対前期比10億14百万円減)となりました。国内では、主として、第2四半期までは、昨年度設備投資を抑えていた広域レンタル会社や業販向けが、投資意欲の回復により増加していましたが、第2四半期後半から、海外部品の調達難に伴うトラックの生産遅延や減産によるクレーン架装の遅れを主因として、減収となり、また、鋼材など原材料価格の値上げ等により原価率は悪化し、減益となりました。海外では、中国において、ユニッククレーンの出荷が増加し、増収となりましたが、北米においては、ビル建設用の資材不足により、市場の回復が遅れているため、ミニ・クローラクレーンの出荷が減少し、減収となったことや、海上運賃の高騰もあり、営業利益は、前期並みとなりました。

 

≪機械事業合計≫

 

前期

当期

対前期増△減

売上高(百万円)

68,635

76,938

8,303

営業利益(百万円)

3,968

4,679

710

 

産業機械、ロックドリルおよびユニックの機械事業の合計売上高は、769億38百万円(対前期比83億3百万円増)、営業利益は、46億79百万円(対前期比7億10百万円増)となりました。

 

 

〔金 属〕

 

前期

当期

対前期増△減

売上高(百万円)

76,094

102,995

26,900

営業利益(百万円)

499

940

441

 

金属部門の売上高は、1,029億95百万円(対前期比269億円増)、営業利益は、9億40百万円(対前期比4億41百万円増)となりました。電気銅の海外相場は、8,768米ドル/トンで始まり、欧米諸国の経済回復や、電気自動車や再生可能エネルギー向けの需要への期待から、9,000米ドル/トン台半ばから後半で堅調に推移していましたが、ロシアのウクライナへの侵攻に伴い上昇し、3月7日には10,730米ドル/トンと史上最高値を更新し、期末には10,337米ドル/トンとなりました。電気銅の国内建値は、102万円で始まり、期末には133万円となりました。電気銅の販売数量は、委託製錬比率の見直しにより段階的に生産量を減らしているため減少し、77,402トン(対前期比4,596トン減)となりましたが、電気銅の海外相場の上昇により、増収となりました。また、主として、銅生産量減少による委託製錬収支の改善や銅価上昇による価格差益により、増益となりました。

 

〔電 子〕

 

前期

当期

対前期増△減

売上高(百万円)

5,741

7,271

1,530

営業利益(百万円)

161

666

504

 

電子部門の売上高は、72億71百万円(対前期比15億30百万円増)、営業利益は、6億66百万円(対前期比5億4百万円増)となりました。結晶製品は、個別半導体用などの需要が増加し、増収となりました。コイルは、車載向けを中心として需要が増加し、第2四半期以降は、半導体不足などの影響による自動車の減産の影響を受けましたが、増収となりました。高純度金属ヒ素は、国内外ともに主要用途である化合物半導体用などの需要が安定しており、また、窒化アルミニウムは、熱対策部品向けや半導体製造装置用部品向けなどの需要が増加し、増収となりました。

 

〔化成品〕

 

前期

当期

対前期増△減

売上高(百万円)

6,367

7,896

1,529

営業利益(百万円)

380

743

363

 

化成品部門の売上高は、78億96百万円(対前期比15億29百万円増)、営業利益は、7億43百万円(対前期比3億63百万円増)となりました。酸化銅は、銅価の上昇を主因として販売単価が上昇したことに加え、基板向けの需要が旺盛で、増収となりました。また、亜酸化銅は、主要用途である船底塗料の需要が、新型コロナウイルス感染症拡大による船舶の運航混乱の影響を受け、修繕船向けの需要が減少する中、銅価の上昇を主因とした販売単価の上昇により、増収となりました。

 

≪素材事業合計≫

 

前期

当期

対前期増△減

売上高(百万円)

88,203

118,163

29,960

営業利益(百万円)

1,040

2,349

1,308

 

金属、電子および化成品の素材事業の合計売上高は、1,181億63百万円(対前期比299億60百万円増)、営業利益は、23億49百万円(対前期比13億8百万円増)となりました。

 

〔不動産〕

 

前期

当期

対前期増△減

売上高(百万円)

2,107

2,115

7

営業利益(百万円)

736

743

6

 

不動産事業の売上高は、21億15百万円(対前期比7百万円増)、営業利益は、7億43百万円(対前期比6百万円増)となりました。主力ビルである室町古河三井ビルディング(商業施設名:COREDO室町2)の商業施設については、4月に3回目となる政府の緊急事態宣言が発出され、東京都による緊急事態措置等の要請により全館休業となり、5月の営業再開後も時短営業を実施、7月にまん延防止等重点措置から移行した4回目の緊急事態宣言は、9月末に解除されましたが、年明けにまん延防止等重点措置が再発出されるなど、1年を通じて、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けました。これを受けて、商業テナントに対して一部賃料の減免を実施したため、減収となりました。一方で、賃料収入全体としては、事務所テナントの増床などにより、前期並みとなりました。

 

〔その他〕

 

前期

当期

対前期増△減

売上高(百万円)

755

1,879

1,123

営業利益(百万円)

△82

17

99

 

金属粉体事業および運輸業等を行っています。売上高は、18億79百万円(対前期比11億23百万円増)、営業利益は、17百万円(前期は82百万円の損失)となりました。

 

②財政状態の状況

 

前期

当期

対前期増△減

総資産(百万円)

218,275

229,727

11,452

負債(百万円)

123,910

129,652

5,741

(うち有利子負債

(百万円))

69,683

65,671

△4,011

純資産(百万円)

94,364

100,075

5,710

自己資本比率(%)

42.0

42.3

0.3

 

当期末の総資産は、対前期末比114億52百万円増の2,297億27百万円となりました。これは主として、現金及び預金が減少し、原材料及び貯蔵品などの棚卸資産や建物及び構築物、土地が増加したこと、また、上場株式の株価上昇により投資有価証券が増加したことによるものです。有利子負債(借入金)は、対前期末比40億11百万円減の656億71百万円となり、負債合計は、支払手形及び買掛金、電子記録債務、未払金などの増加により、対前期末比57億41百万円増の1,296億52百万円となりました。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた資金繰り対応として、2020年5月に調達した運転資金100億円については、前期末残高20億円を返済し、完済いたしました。純資産は、対前期末比57億10百万円増の1,000億75百万円となり、自己資本比率は、対前期末比0.3ポイント増加し42.3%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 

前期

当期

対前期増△減

営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

6,042

8,768

2,726

投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

2,245

△5,857

△8,102

財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

△3,123

△6,568

△3,445

現金及び現金同等物(百万円)

17,748

14,468

△3,279

 

当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、主として税金等調整前当期純利益の計上などにより87億68百万円の純収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主として、有形固定資産の取得による支出により、58億57百万円の純支出となり、財務活動によるキャッシュ・フローは、主として、借入金返済による支出や配当金の支払額等の支出により、65億68百万円の純支出となりました。この結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、対前期末比32億79百万円減の144億68百万円となりました。

 

当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、87億68百万円の純収入で、対前期比27億26百万円の収入増となりました。主として、営業利益の増益に伴う非資金損益項目等の調整後収入が増加したことによります。

 

(参考)

 

2020年度

(百万円)

2021年度

(百万円)

増△減

(百万円)

税金等調整前当期純利益

9,907

9,137

△769

非資金損益項目等の調整※

△967

2,462

3,429

 非資金損益項目等の調整後収入

8,940

11,599

2,659

 

 

 

 

営業活動に係る資産・負債の増減

△2,240

△895

1,344

純支払利息および配当金の受取額

542

455

△86

法人税等の純支払額

△1,199

△2,390

△1,191

 

 

 

 

 営業活動によるキャッシュ・フロー

6,042

8,768

2,726

※減価償却費や減損損失等の非資金損益項目のほか、営業外損益、特別損益項目の調整を含みます。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当期の投資活動によるキャッシュ・フローは、58億57百万円の純支出(前期は22億45百万円の純収入)で、対前期比81億2百万円の収入減となりました。主として、有形固定資産および無形固定資産の取得による支出55億72百万円(対前期比20億99百万円の支出増)、投資有価証券の売却による収入1億7百万円(対前期比54億44百万円の収入減)によるものです。有形固定資産および無形固定資産の取得による支出の増加は、主として、産業機械部門における小山工場の新事務所棟建築など、18億83百万円の支出の増加によるものです。また、政策保有株式については、毎年、保有継続の適否を検証するとともに、資産の有効活用および財務体質の健全化を図るべく適宜売却を進めていますが、前期においては、新型コロナウイルス感染症の影響による万が一の資金需要に即するための手元流動性を確保する目的で、投資有価証券の売却を行ったことから、当期における投資有価証券の売却による収入は減少しました。

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当期の財務活動によるキャッシュ・フローは、65億68百万円の純支出で、対前期比34億45百万円の支出増となりました。主として、有利子負債(借入金)削減による支出(借入れによる収入および返済による支出の純減)40億25百万円(対前期比32億83百万円の支出増)によるものです。

なお、このうち、20億円は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた資金繰りの対応として、取引金融機関から調達した運転資金の返済によるものです(2020年5月に調達した運転資金100億円を完済しました)。

 

④生産、受注および販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

産業機械

16,705

6.1

ロックドリル

29,537

58.6

ユニック

28,851

5.9

金属

96,534

36.1

電子

7,248

30.5

化成品

6,503

25.7

その他

1,845

465.2

合計

187,226

30.4

  (注)1.生産金額の算出方法は、販売価格および製造原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.産業機械、ロックドリルおよびユニックの一部については外注生産を、また、金属は委託製錬を行っております。

 

b.受注実績

 産業機械およびユニックの一部については受注生産を行っており、当連結会計年度における受注実績を示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前期比

(%)

受注残高

(百万円)

前期比

(%)

産業機械

11,438

△0.8

9,399

△4.5

ユニック

4,355

68.9

2,262

157.9

合計

15,793

11.9

11,661

8.8

 

 

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

産業機械

17,723

6.2

ロックドリル

30,910

28.0

ユニック

28,305

1.8

金属

102,995

35.4

電子

7,271

26.7

化成品

7,896

24.0

不動産

2,115

0.4

その他

1,879

148.7

合計

199,097

24.7

  (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

古河電気工業(株)

24,230

15.2

38,805

19.5

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討の内容

(当社グループの当連結会計年度の経営成績)

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当連結会計年度の売上高は、対前期比393億94百万円(24.7%)増加し、1,990億97百万円、営業利益は、対前期比21億42百万円(38.3%)増加し、77億34百万円となりました。営業利益率は、0.4ポイント増加し、3.9%となりました。セグメント別の売上高および営業利益の状況につきましては、(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況に記載のとおりです。

 

 

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当連結会計年度の営業外収益は、不用品処分益にシンチレータ結晶製造備品の売却益を計上したことなどにより、対前期比2億95百万円増加し、30億44百万円となりました。営業外費用は、本社オフィス移転に伴う費用を計上したことなどにより、対前期比2億13百万円増加し、17億82百万円となりました。以上の結果、経常利益は、対前期比22億23百万円(32.8%)増加し、89億96百万円となりました。

 

当連結会計年度の特別利益は、2021年10月1日付で子会社化した山石金属株式会社の株式取得に伴う負ののれん発生益8億33百万円などの計上がありましたが、前期は政策保有株式2銘柄の売却により、投資有価証券売却益40億78百万円の計上があったため、対前期比29億91百万円(△72.9%)減少し、11億13百万円となりました。特別損失は、古河大阪ビルの解体工事の進捗に対応した費用6億68百万円(前期は7億30百万円)などを計上しましたが、対前期並みの9億72百万円(前期は9億71百万円)となりました。以上の結果、税金等調整前当期純利益は、対前期比7億69百万円(△7.8%)減少し、91億37百万円となりました。

 

当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合計した税金費用は、2億13百万円増加し、24億50百万円となりました。法人税等の負担率は、負ののれん発生益による調整(△2.9%)などがありましたが、政策保有株式売却に伴う評価性引当額の減少による調整(△5.5%)があった前期に比し、4.2ポイント増加し、26.8%となりました。

なお、法定実効税率30.6%と税効果会計適用後の法人税等の負担率との差異の原因の内訳については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」に記載しております。

非支配株主に帰属する当期純利益は、6百万円増加し、2億8百万円となりました。

以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、対前期比9億90百万円(△13.3%)減少し、64億77百万円となりました。

 

(当社グループの当連結会計年度末の財政状態)

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当連結会計年度末の流動資産は、対前期末比76億12百万円(8.6%)増加し、962億38百万円となりました。増加の要因は、金属部門における原材料の数量増加に加え、金属価格の上昇による増加を主因として、棚卸資産が114億18百万円(30.5%)増加したこと、また、現金及び預金が32億79百万円(△18.5%)減少したことによります。

なお、現金及び預金の減少の要因については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

当連結会計年度末の固定資産は、対前期末比38億39百万円(3.0%)増加し、1,334億89百万円となりました。増加の要因は、有形固定資産が、産業機械部門における小山工場の新事務所棟建築などにより、11億59百万円(1.3%)増加し、投資有価証券は、保有する上場株式の時価評価額が、11億87百万円増加したことを主因として、14億10百万円(4.1%)増加したことによります。

なお、設備投資等の概要については、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に、上場株式の保有状況については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (5) 株式の保有状況」に記載しております。

以上の結果、当連結会計年度末の総資産は、対前期末比114億52百万円(5.2%)増加し、2,297億27百万円となりました。

 

当連結会計年度末の流動負債は、対前期末比120億20百万円(25.1%)増加し、598億59百万円となりました。増加の要因は、主に仕入債務(支払手形及び買掛金、電子記録債務)および未払金の合計額が95億94百万円(33.1%)増加したほか、短期借入金(1年以内返済予定の長期借入金を含みます。)が、29億28百万円(27.7%)増加したことによります。

当連結会計年度末の固定負債は、対前期末比62億78百万円(△8.3%)減少し、697億93百万円となりました。減少の要因は、主に長期借入金が、69億40百万円(△11.7%)減少したことによります。

以上の結果、当連結会計年度の負債合計は、対前期末比57億41百万円(4.6%)増加し、1,296億52百万円となりました。

 

当連結会計年度末の純資産は、対前期末比57億10百万円(6.1%)増加し、1,000億75百万円となりました。増加の要因は、主に親会社株主に帰属する当期純利益64億77百万円を計上し、剰余金の配当19億53百万円を実施したことなどにより、株主資本合計が41億96百万円(5.5%)増加したこと、また、保有する上場株式の時価評価額の増加に伴うその他有価証券評価差額金の増加や前連結会計年度末に比し、円安が進行したことによる為替換算調整勘定の増加、未認識数理差異の償却などにより、退職給付に係る調整累計額が増加し、その他の包括利益累計額合計が12億86百万円(8.4%)増加したことによります。

なお、退職給付に係る調整額および退職給付に係る調整累計額の内訳については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)」に記載しております。

 

(当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因)

産業機械製品は、主に民間設備投資と公共投資の動向の影響を受けます。ロックドリル製品は、国内では民間設備投資と公共投資の動向、海外では出荷先各国の景気動向の影響を受けます。ユニッククレーンは、トラックの国内需要動向の影響を受けます。

銅をはじめとする金属製品は、原料銅鉱石、地金製品ともに国際市況動向の影響を受け、製錬採算は、鉱石買鉱条件の影響を受けます。電子部門は、半導体市場の動向の影響を受けます。

なお、新型コロナウイルス感染症やロシアのウクライナ侵攻がセグメントごとの経営成績等に与える可能性および主要なリスクを含む事業等のリスクについては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

(当社グループの資本の財源および資金の流動性)

a)キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

b)契約債務

2022年3月31日現在の契約債務の概要は、以下のとおりです。

 

年度別要支払額(百万円)

合計

1年以内

1年超

2年以内

2年超

3年以内

3年超

4年以内

4年超

5年以内

5年超

短期借入金

8,331

8,331

長期借入金

57,339

5,172

9,093

6,043

3,453

7,049

26,526

リース債務

491

188

126

98

60

17

0

上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年以内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。

当社グループの第三者に対する保証は、連結会社以外の会社の金融機関等からの借入等に対する債務保証です。保証した借入金等の債務不履行が発生した場合、代わりに弁済する義務があり、2022年3月31日現在の債務保証額は、11億78百万円です。

なお、運転資金等の効率的な調達を行うため、取引金融機関と当座貸越契約および貸出コミットメント契約を締結しており、2022年3月31日現在の契約総額は、415億97百万円(借入実行額83億31百万円)です。

 

c)連結キャッシュ・フロー配分と資本政策

2021年5月13日付で公表した「『中期経営計画2022』の公表見送りに関するお知らせ」のとおり、「中期経営計画2022」の公表を見送ることとしたため、「2025年ビジョン」達成に向けた第2フェーズを担う2020年度から2022年度における、当社グループの連結キャッシュ・フロー配分の公表はしておりませんが、引き続き、堅固な財務基盤の確立を目指しつつ、「企業価値向上に資する投資等の積極的推進」を行うとともに、株主還元に配慮した連結キャッシュ・フローの適正配分に努めていきます。

第1フェーズ(2017年度から2019年度の3年間)および2020年度、2021年度の連結キャッシュ・フロー配分の概要ならびに第2フェーズ(2020年度から2022年度(予想)を含む3年間)の連結キャッシュ・フロー配分の概要は、以下のとおりです。

なお、2022年度(予想)連結キャッシュ・フロー配分については、2022年度業績予想から税引後営業利益に減価償却費を加算した額を営業活動によるキャッシュ・フローとしています。

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設備投資ヘの資金配分については、コア事業と位置づける機械事業を中心に、第1フェーズの3年間の設備投資実績累計額は164億3百万円(設備投資等の支払額は163億94百万円)、2020年度は41億44百万円(設備投資等の支払額は34億73百万円)、2021年度は47億78百万円(設備投資等の支払額は55億72百万円)となりました。

なお、2021年度の設備投資の概要については、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載のとおりです。また、当連結会計年度末現在における翌年度以降の設備投資予定額は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおり83億円で、このうち2022年度は、群馬環境リサイクルセンター株式会社の医療用廃棄物処理設備など機械事業合計で28億円、窒化アルミニウム生産設備など素材事業合計で16億円、当社グループ全体では、47億円を予定しております。今後も「企業価値向上に資する投資等の積極的推進」に取り組むべく、機械事業を中心に「モノづくり力の強化」を支える設備投資を実施していきます。

 

有利子負債(借入金)の削減については、2016年度末の有利子負債(借入金)残高735億7百万円から第1フェーズの3年間で30億94百万円、2020年度は、7億29百万円、2021年度は、40億11百万円削減(「連結キャッシュ・フロー配分の概要」の有利子負債の増△減には、為替換算差額による増△減額を含んでおりません。)し、656億71百万円となりました。また、2022年度は、有利子負債40億円の削減を予定しております。当社グループは、今後も財務レバレッジに過度に依存することなく、効率性、収益性の改善に最優先で取り組み、2020年5月に公表した「中期経営方針2022」で掲げた「2025年ビジョン」の最終年度である2025年度の財務水準(イメージ)を達成すべく、財務の健全性向上に努めていきます。

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資本政策については、株主還元を充実させていくことを心掛けるとともに、収益の確保に不可欠な設備投資、研究開発等に必要な内部留保を念頭に、今後の事業展開、その他諸般の事情を総合的に勘案して、成果の配分を実施することを基本方針としており、株主還元としての利益剰余金からの配当は、連結による損益を基礎とし、特別な損益状態である場合を除き、原則として1株当たり50円の年間配当金および連結配当性向30%以上をめどに、安定的・継続的な利益還元に努めていきます。第1フェーズの3年間の剰余金の処分累計額は59億58百万円で、連結配当性向は43.3%でした。2020年度の剰余金の処分額は19億53百万円(1株当たり配当金50円の年間配当金)、2021年度の剰余金の処分額は19億41百万円(1株当たり配当金50円の年間配当金)としました。2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響による万が一の資金需要に即応するための手元流動性を確保する目的で、政策保有株式の売却を行い、特別利益に投資有価証券売却益を計上した結果として1株当たり当期純利益が増加したこともあり、連結配当性向は26.2%となりました。

なお、2022年5月12日に公表した2022年度の剰余金の配当予想は、1株当たり年間配当金50円00銭(連結配当性向41.3%)としました。

なお、自己株式の取得につきましては、第1フェーズの3年間で取得した株式の総数は1,186,300株、取得価額の総額は16億28百万円、2020年度は、2020年11月に自己株式140,500株を取得し、取得価額の総額は1億64百万円、2021年度は、2022年3月に自己株式251,700株を取得し、取得価額の総額は3億34百万円(「連結キャッシュ・フロー配分の概要」の自己株式の取得額には、単元未満株式の買取請求による自己株式の取得を含みます。)でした。自己株式の取得・消却については、株価の動向や資本効率、キャッシュ・フロー等を勘案しつつ、適宜検討していきます。

 

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(当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

創業150周年を迎える2025年度に向けた当社グループの2025年ビジョン「FURUKAWA Power & Passion 150」において連結営業利益150億円超の常態化、二桁台のROEを掲げ、「2025年ビジョン」を具現化していくための第1フェーズとして2017年度から2019年度の3年間を対象とした「中期経営計画2019」を策定し、最終年度である2019年度に、マイルストーンとして連結営業利益85億円程度、ROE6~7%程度とする経営指標を設定いたしました。連結営業利益につきましては、2018年度89億円、2019年度86億円と2期連続で目標を達成しましたが、ROEにつきましては、3年間を通じて、5%台後半にとどまり、目標未達でした。

 

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〔連結営業利益150億円超の常態化について〕

2021年5月13日付で公表した「『中期経営計画2022』の公表見送りに関するお知らせ」のとおり、「中期経営計画2022」の公表を見送ることとしたため、「2025年ビジョン」達成に向けた第2フェーズ(2020年度から2022年度)の最終年度となる2022年度のマイルストーンについては公表しておりませんが、2021年度および2022年度は単年度の連結業績(予想)を、それぞれ2020年度(2021年5月)および2021年度(2022年5月)の本決算時に公表することとしました。

2022年5月12日に公表した2022年度の連結売上高および連結営業利益予想は、以下のとおりです。

 

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2022年度の連結売上高予想は、2022年3月期に比し、104億2百万円増収の2,095億円となる見込みで、連結営業利益については、7億34百万円減益の70億円となる見込みです。

セグメント別の業績予想は、次のとおりです。

(産業機械部門)

ポンプ、下水処理場の長距離移送設備や汚泥処理などのポンプ設備、橋梁などの増収により、 増益となる見込みです。

(ロックドリル部門)

製品価格の値上げや円安による増収効果を見込むものの、主として、リニア中央新幹線の工期遅れなど、トンネルドリルジャンボ関連の売上の減少もあり、全体としては、売上高は、減収となりますが、営業利益は、増益となる見込みです。

(ユニック部門)

クレーン架装に影響を及ぼしているトラックの生産遅れや減産等の混乱が、年度後半に向けて 緩やかに回復すること、また、建設資材不足により市場の回復が遅れていた北米などの回復を見込む一方、ロシア のウクライナ侵攻による減収の影響や、鋼材など原材料価格の値上げ等の影響があり、全体としては、増収となるものの、営業利益は当期並みの見込みです。

(金属部門)

通期の銅価および為替の前提を、それぞれ9,400米ドル/トン、120円/米ドルとしました。当期との比較において、金属価格の上昇および円安を主因として、売上高は、増収となる見込みですが、営業利益は、主として、価格差益による増益がなくなるため、減益となる見込みです。

(電子部門)

高純度金属ヒ素や窒化アルミニウムの旺盛な需要の継続を見込む一方、結晶製品は、電気料金や原材料価格の上昇などの影響により、減益となる見込みで、全体としては、売上高は、当期並み、営業利益は、若干の減益となる見込みです。

(化成品部門)

酸化銅は、基板向けの旺盛な需要の継続を見込み、当期と比較して、銅価の上昇による増収効果もあり、増収、増益となる見込みですが、亜酸化銅は、原材料価格の上昇など原価率の悪化の影響があり、減益となる見込みで、全体としては、売上高は、増収となる見込みですが、営業利益は、減益となる見込みです。

(不動産事業)

主力ビルである室町古河三井ビルディング(商業施設名:COREDO室町2)について、主として、事務所テナントの減床による減収を見込み、減益となる見込みです。

 

以上の結果、経常利益は、為替差益の計上などがあった当期に比し、20億96百万円減益の69億円となる見込み で、親会社株主に帰属する当期純利益は、17億77百万円減益の47億円となる見込みです。

 

〔二桁台のROEについて〕

 

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ROE向上に向けた取り組みの強化・浸透については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)中期的な経営戦略 ①ROE向上に向けた取り組み」に記載のとおり、ROEの構成要素のうち、収益性と効率性の改善に最優先で取り組むこととしております。また、資本コストを的確に把握するとともに、設備投資等を含む経営資源の配分等に際し、資本コストを考慮した事業ポートフォリオマネジメントの運用を通じ、最適事業ポートフォリオの構築、経営資源配分における全体最適の追求をしていきます。

ROEの構成要素について2016年度(比較基準年)との比較で、第1フェーズの最終年度である2019年度は、投資有価証券評価損10億29百万円を特別損失に計上したことによる当期純利益率の悪化を主因として、収益性が低下し、ROEは5.8%(2017年度5.9%、2018年度5.7%)となりました。

2020年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を主因とする機械事業の減収などにより、連結売上高は、55億13百万円の減収となった一方で、投資有価証券売却益40億78百万円を特別利益に計上したことによる当期純利益率の改善を主因として、収益性が改善し、ROEは8.9%となりました。2021年度は、主として、金属部門において、電気銅の海外相場の上昇による大幅な増収を主因として、連結売上高は393億94百万円の増収となり、また、ロックドリル部門における営業利益の大幅な改善などにより、営業利益および経常利益は増益となりましたが、前年度に計上した投資有価証券売却益など、特別利益が減少したことによる当期純利益率の悪化により、収益性が低下し、ROEは6.9%となりました。

 

(セグメントごとの財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析検討の内容)

ROE向上の取り組みの強化・浸透を図るべく、ROA(総資産営業利益率)をセグメントごとの経営指標・管理指標とし、ROAの構成要素として収益性(売上高営業利益率)、効率性(総資産回転率)の改善に取り組んでいます。2016年度(比較基準年)および2019年度(第1フェーズの最終年度)ならびに2020年度、2021年度の状況は以下のとおりです。

なお、セグメントごとの今後の課題については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(5)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題」に記載のとおりです。

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産業機械部門のROAは、第1フェーズにおいては、エンジニアリング力強化の成果として、コントラクタ事業の拡大やマテリアル機械において、セクションプラント工事案件への技術提案による破砕機やスクリーン、造粒機や一部プラント設備等の受注などが、業績向上に大きく貢献したため、2016年度(比較基準年)の0.5%から第1フェーズの最終年度である2019年度には12.9ポイント改善し、13.4%となりましたが、2020年度は、大型プロジェクト案件のうち、前年度に工事の大部分が進捗したことによる減収による減益を主因として、8.8%となりました。2021年度は、大型プロジェクト案件や橋梁などのコントラクタ事業などが増収となりましたが、マテリアル機械の部品、オーバーホールなどの減収により、減益となったことを主因として、収益性(営業利益率)が悪化し、6.0%となりました。産業機械部門では、社会課題に貢献する土砂搬送方式としてベルトコンベヤの引き合いが増加しており、国土強靭化や防災・減災のためのダム新設・再生工事、河川の治水工事等での採用を目指し、情報収集を強化しています。マテリアル機械においては、戦略機である破砕機(コーンクラッシャ)GEOPUS C3を軸にしたセクションプラント工事案件の受注を目指しています。また、2022年度から2024年度までの2年間で、総額約26億円を投じ、群馬環境リサイクルセンター株式会社の医療廃棄物処理設備増設工事など、確実に利益を出せるようになってきている産業機械部門の収益基盤の更なる強化を図っていきます。

 

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ロックドリル部門のROAは、第1フェーズにおいて、国内においてはトンネルドリルジャンボや都市再開発・建設投資などの底堅い需要を背景に、油圧ブレーカや油圧クローラドリルの出荷が好調であったこと、また、海外においては欧米を中心に油圧クローラドリルの出荷が好調であったことなどによる収益性(営業利益率)の改善を主因として、2016年度(比較基準年)の2.9%から2017年度は5.7%、2018年度は5.0%となりましたが、第1フェーズの最終年度である2019年度には、油圧クローラドリルの先進国での排ガス規制対応に伴うコストアップおよび2017年度から開始した高崎吉井工場の設備投資による減価償却費などの負担増加による収益性(営業利益率)の悪化に加え、固定資産投資のほか在庫投資の増加などによる効率性(総資産回転率)も悪化し、2.5ポイント悪化の0.4%となりました。2020年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きく、営業損失を計上し、△3.8%となりました。2021年度は、国内外ともに増収となり、営業利益は大幅に改善し、利益計上となったため、収益性(営業利益率)が改善したこと、また、売上債権回転率の改善や在庫水準適正化の取り組みによる、棚卸資産回転率の改善を主因として、効率性(総資産回転率)が改善し、3.2%となりました。ロックドリル部門では、製品別・地域別戦略の明確化と、それに対応した海外子会社の再編統廃合を図るなど、構造的な改革を進め、「台数重視」から「利益重視」への変革を継続していきます。

 

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ユニック部門のROAは、第1フェーズにおいて、2016年度から開始した佐倉工場の設備投資に伴う総資産の増加、また、鋼材価格の上昇や減価償却費負担の増加など、生産コストが上昇する中で、国内では、ユニッククレーンの操作性・安全性を各段に高めたフルモデルチェンジ機(G-FORCEシリーズ)の安全強化モデルの販売や、海外では、販売店網の再整備・販売力の強化に加え、海外輸出機の生産拠点の拡張、整備を行い、また、佐倉工場の設備投資による生産効率の向上など、収益性(営業利益率)の向上に寄与し始めたことから、2016年度(比較基準年)の11.2%から第1フェーズの最終年度である2019年度には1.8ポイント改善し、13.0%となりました。2020年度は、国内では、移動式クレーン構造規格の一部改正などの駆け込み需要による前年度の出荷増加の反動による減少が大きく、海外では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響の大きい地域の出荷減少を主因として減収となったことから、効率性(総資産回転率)および収益性(営業利益率)ともに悪化し、10.4%となりました。2021年度は、国内において、海外部品の調達難に伴うトラックの生産遅延や減産によるクレーン架装の遅れを主因として減収となり、また、鋼材など原材料価格の値上げ等による原価率の悪化により、収益性(営業利益率)が悪化し、7.2%となりました。ユニック部門では、佐倉工場の設備投資に伴う減価償却費負担が増加し、固定資産回転率が悪化しているため、収益性(営業利益率)の改善とともに、設備投資効果の追求と最大化が課題となっています。

 

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金属部門のROAは、第1フェーズにおいて、収益性(営業利益率)の悪化(2016年度2.6%、2017年度1.1%、2018年度0.7%、2019年度0.5%)により、2016年度(比較基準年)の6.2%から第1フェーズの最終年度である2019年度には5.1ポイント悪化し、1.1%となりました。2020年度は、委託製錬損益の減益を、金属価格の上昇により吸収し、増収増益となったことから効率性(総資産回転率)および収益性(営業利益率)ともに改善し、1.7%となりました。2021年度についても、金属価格の上昇による増収増益に加え、銅生産量減少による委託製錬収支の改善もあり、効率性(総資産回転率)および収益性(営業利益率)ともに改善し、2.8%となりました。金属部門では、原料銅鉱石、地金製品ともに国際的な需給バランス、投機的取引、国際政治・経済情勢など国際市況の動向の影響を受け、製錬採算は、鉱石買鉱条件の影響を受けるため、収益の変動は大きくなります。特に、近年の銅製錬事業環境については、主に中国の旺盛な買鉱需要を背景とした需給の不安定化による鉱石買鉱条件の悪化に加え、製錬会社においては、増加する環境対策投資および老朽化する施設に対する維持更新投資ならびにその減価償却費の負担、操業費用の高騰などにより、製錬費の高止まり傾向が続き、製錬採算は年々厳しいものとなっています。このことから、委託製錬の事業性は厳しいものと認識し、委託製錬事業の抜本的見直しを重点課題としてきました。この度、2022年5月12日付で公表した「小名浜製錬株式会社との委託製錬契約終了に関するお知らせ」のとおり、2023年3月末をもって銅の年間生産量の約34%(約24,000トン)を委託する小名浜製錬株式会社との委託製錬契約を終了することといたしました。これにより、銅生産量は約46,600トン/年となる見込みで、その委託製錬先は持分法適用会社である日比共同製錬株式会社のみとなりますが、国内の銅地金の販売量は約40,000トン/年のため、不採算である輸出を大幅に削減することが可能となり、金属部門の重点課題である委託製錬事業の抜本的な見直しにめどが立ち、委託製錬損益の採算を確保し、ROAの改善に寄与するものと判断しております。

 

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電子部門のROAは、第1フェーズにおいて、成熟製品と位置づける高純度金属ヒ素は、主要用途である化合物半導体用などが好調で、結晶製品も個別半導体用の結晶が好調であったことなどによる収益性(営業利益率)の改善を主因として、2017年度4.5%、2018年度5.7%となりましたが、第1フェーズの最終年度である2019年度は、半導体市況の悪化による成熟製品の減収減益を主因として営業損失の計上となり、2016年度(比較基準年)の0.2%から0.7ポイント悪化し、△0.5%となりました。2020年度は、第2四半期以降、結晶製品やコイルの需要が回復傾向となり、高純度金属ヒ素は、化合物半導体用などの需要が安定し堅調であったこと、また、窒化アルミニウムは、熱対策部品向けや半導体製造装置用部品向けなどの需要が増加し、増収となったことにより営業損失を解消し、利益計上となったことから、収益性(営業利益率)が改善し、2.3%となりました。2021年度についても、前年度から引き続き、各製品の需要の増加による増収増益により、収益性(営業利益率)、効率性(総資産回転率)ともに改善し、9.0%となりました。電子部門では、電子機器の高性能化や高集積化、微細化、薄型化が進み、それに伴う放熱部材の需要が高まっている窒化アルミニウムの生産設備について、2022年度中に総額約9億円の増産投資を行い、収益基盤の強化を図っていきます。

 

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化成品部門のROAは、第1フェーズにおいて、硫酸、亜酸化銅、酸化銅などの既存製品や高品質硫酸の増販などによる安定的な収益計上による収益性(営業利益率)の改善(2016年度2.1%、2017年度7.1%、2018年度6.6%、2019年度7.6%)により、2016年度(比較基準年)の0.7%から第1フェーズの最終年度である2019年度には2.4ポイント改善し、3.1%となりました。2020年度については、酸化銅は、基板用向けの需要が旺盛であったことなどから増収となりましたが、亜酸化銅は、船底塗料の需要が全般的に低調であったこと、また、硫酸は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に加え、顧客の在庫調整を主因として減収となり、収益性(営業利益率)は悪化し、2.3%となりました。2021年度については、前年度から引き続き、酸化銅は、基板用向けの需要が旺盛であり、また、銅価の上昇を主因とした販売単価の上昇による増収増益により、収益性(営業利益率)が改善し、4.4%となりました。化成品部門では、酸化銅の生産設備について増産投資を検討中であり、既存製品の収益拡大と高品質硫酸の差別化展開強化、金属銅粉の事業化・育成に取り組んでいきます。

 

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不動産事業のROAは、第1フェーズにおいて、2019年12月末をもって古河大阪ビルを閉館、この間、テナントの退出により賃貸収入が減少したこと、また、主力ビルである室町古河三井ビルディング(商業施設名:COREDO室町2)は、順調な稼働を続けていましたが、2018年度第4四半期からの大口事務所テナントの減床に伴う賃貸収入の減少により、収益性(営業利益率)は悪化(2016年度39.4%、2017年度39.9%、2018年度38.5%、2019年度30.7%)し、第1フェーズの最終年度である2019年度には、2.7%となりました。2020年度および2021年度については、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、政府の緊急事態宣言の発出や東京都による緊急事態措置等、まん延防止等重点措置の要請など、全期間を通じて、臨時休館や来館者の減少などの影響を受けた室町古河三井ビルディングの商業テナントに対して一部賃料の減免を実施しましたが、大口事務所テナント減床後の事務所テナントの入居、増床などにより、ROAは、2019年度から若干改善し、2.8%を維持しております。不動産事業では、経営資源の有効活用を図ることを目的として、遊休資産や収益貢献が見込まれなくなった資産の売却を進めるなど、効率性(総資産回転率)の維持に努め、室町古河三井ビルディングの安定収益の確保を図るとともに、2020年度から解体工事に着手している古河大阪ビルについては、重点課題としている将来構想の検討最終段階に入っており、着実にその具現化に取り組んでいきます。

 

②重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

また、この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

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