業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態の状況

 当連結会計年度末における資産合計は1,473億56百万円で、前連結会計年度末より178億96百万円増加しております。その内訳としては、流動資産の増加134億23百万円、固定資産の増加44億72百万円であります。流動資産の増加は、主に受取手形及び売掛金ならびに棚卸資産が増加したことによるものであります。固定資産の増加は、主に有形固定資産ならびに退職給付に係る資産が増加したことによるものであります。

 当連結会計年度末における負債合計は884億24百万円で、前連結会計年度末より71億33百万円増加しております。その内訳としては、流動負債の増加73億99百万円、固定負債の減少2億66百万円であります。流動負債の増加は、主に支払手形及び買掛金ならびに短期借入金が増加したことによるものであります。

 当連結会計年度末における純資産の合計は589億32百万円で、前連結会計年度末より107億62百万円増加しております。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益93億53百万円を計上し、その他の包括利益累計額合計が29億33百万円増加したことによるものであります。

 当連結会計年度末の有利子負債は391億71百万円となり前連結会計年度末より14億81百万円増加しましたが、自己資本比率は前連結会計年度比で2.8ポイント増の39.5%となりました。その結果、DEレシオは当連結会計年度末で67%となり、前連結会計年度比で12ポイントの改善となりました。

②経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種の広がりにより経済正常化に向けて進展があったものの、未だ収束は見えず予断を許さない状況で推移しました。海外においても新型コロナウイルス感染症の長期化、サプライチェーンの混乱、原材料・物流価格の高騰と円安の同時進行に加えて、ロシア・ウクライナ情勢により地政学上のリスクが高まる等、先行きが不透明な状況が続きました。

 電線業界におきましては、通信向けや建設・電販向け電線の需要が前年度対比で減少し、自動車向け電線も第2四半期後半より自動車減産等による影響が出てまいりましたが、電気機械向け電線の需要が堅調であったこと等もあり、電線全体の需要は前年度対比で微増となりました。

 このような環境下、当社グループの当連結会計年度の売上高は1,991億94百万円(前年度比23.2%増)、営業利益は100億39百万円(前年度比32.3%増)、経常利益は98億82百万円(前年度比27.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は93億53百万円(前年度比88.3%増)となりました。

 なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、当連結会計年度の売上高は当該会計基準等を適用した後の数値となっております。当該会計基準等を適用したことに伴う当連結会計年度の売上高に与える影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

  セグメント別の業績は、次のとおりであります。

 

(エネルギー・インフラ事業)

  国内の建設関連向けは、大口件名向け出荷等もあり前年度対比では増収となりましたが、第2四半期より石化製品等の原材料価格の高騰が続き、生産工程の効率化や、段階的に価格転嫁を進めることで影響の低減に努めてまいりました。また、電力インフラ向けは、国内の電力強靭化・老朽化更新・再生可能エネルギー連系により引き続き旺盛な需要となりました。なお、第4四半期に中東電力工事案件に一定の目途がついたことから引当処理を実施しました。これらの結果、当事業における売上高は1,069億14百万円(前年度比23.6%増)、営業利益は64億66百万円(前年度比19.2%増)となりました。

 

(通信・産業用デバイス事業)

  産業用デバイス関連は、コロナ禍によるサプライチェーンの混乱により一部の生産活動が停滞しましたが、収益力強化のための製造拠点の海外移管が完了しワイヤハーネスの中国新工場が稼働開始しました。また、通信ケーブルでは、建設関連向けで需要が減少し原材料価格高騰による影響を受けましたが、国内生産拠点の再編が完了し、一部は収益の改善に寄与しました。これらの結果、当事業における売上高は294億72百万円(前年度比9.3%増)、営業利益は18億28百万円(前年度比1.0%減)となりました。

(電装・コンポーネンツ事業)

  自動車および電子部品向け高機能製品は、前年度対比では需要増となりましたが、第2四半期後半から続いている自動車減産等の影響が年度後半にかけてより大きくなってまいりました。また、銅価上昇の影響等もあり、当事業における売上高は586億2百万円(前年度比36.1%増)、営業利益は23億72百万円(前年度比223.0%増)となりました。

 

(その他)

  全般的な収益構造の見直しを進めたこと等により、売上高は42億4百万円(前年度比18.4%減)、営業利益は3億15百万円(前年度比9.9%増)となりました。

(注) 上記、各セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高または振替高を含めておりません。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、32億79百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億7百万円減少しております。

 当連結会計年度においては、原材料価格の高騰により運転資金が増加したことにともない、借入金が増加しましたが、営業活動から生じたキャッシュ・フローや有形固定資産売却による収入は将来の事業規模の維持・成長のための投資(固定資産取得48億68百万円)や株主への配当(5億96百万円)等に配分されております。

④生産、受注および販売の状況

 当社および連結子会社の生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も含まれるため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 このため、生産、受注および販売の状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。なお、主要な販売先については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (セグメント情報等) 関連情報 3 主要な顧客ごとの情報」に記載のとおりであります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度における経営成績については、第2四半期後半より石化製品等の原材料価格の高騰や自動車減産による収益への影響が徐々に大きくなってまいりましたが、当連結会計年度を通しては、エネルギー・インフラ事業の電力インフラ向けや電装・コンポーネンツ事業の自動車および電子部品向け高機能製品の需要が前年度対比で増加したこと等により、全体としても増収・増益となりました。通信・産業用デバイス事業は、産業用デバイスがサプライチェーンの混乱により一部生産活動が停滞したことや通信ケーブルの建設関連向けで需要が減少したこと等から営業利益は横ばいとなりましたが、海外製造移管および国内拠点再編が完了し、2022年度以降の利益回復に道筋をつけることができました。

③経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

④経営戦略の現状と見通し

 当社グループは、前中期経営計画「Change SWCC 2022(ローリングプラン2019)」の計画目標を前倒しで達成したことから、今後は、新中期経営計画である「Change & Growth SWCC 2026」で掲げた主要KPI、営業利益150億円、ROIC10%以上、配当金額120円以上の達成に向けて、基盤事業の収益力強化、新規事業の創出、海外事業の新展開を基本戦略とする各種の施策を推進してまいります。

 2022年度においては、構造改革のさらなる積み上げとして、SFCC㈱の製販統合や2023年4月の持株会社から事業会社への移行を伴うグループ経営体制の再編を進めるとともに、SICOPLUS®やMiDIP®等の今後も成長が見込まれる主力製品に対する増産投資を実行してまいります。

 

⑤経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境および対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

⑥資本の財源および資金の流動性について

 当社グループは、安定した財務基盤の強化に努めつつ、中長期的な将来の成長に向け、生産拠点の再編、強靭化および製造能力の増強等による基盤事業の収益力強化や、新規事業の創出にもキャッシュ・フローを戦略的に振り向けてまいります。

 また、個々の取り組みとしまして、営業活動によるキャッシュ・フローでは、収益のみならず資産効率の改善にも努めて、その最大化を目指しております。

 投資活動によるキャッシュ・フローでは、製造能力の増強や成長分野向けの設備投資等を中心に、償却額を上回る投資額を計画しております。財務活動によるキャッシュ・フローでは、引き続き財務健全性の維持・向上に努めつつ、配当政策に基づき株主への還元を行ってまいります。

 なお、複数の金融機関でコミットメントラインを設定し、緊急時の流動性を確保しております。

 

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