(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、次のとおりであります。
① 事業全体の状況
当社グループは、2020年度を最終年度としていました「三和グローバルビジョン2020」第三次中期経営計画を1年延長させ2021年度までとし、コロナ禍での適切な対応に加え、コロナ禍でその実行に影響を受けた中期経営計画で定めた戦略を完遂すべく、引き続き、以下の戦略に取り組みました。
<基本戦略>
①日・米・欧のコアビジネスの事業領域拡大と強化
②サービス分野の強化とビジネスモデルの拡大
③アジア事業の基盤拡充
④働き方改革と生産性向上
⑤ESGを推進し、社会からより信頼される企業体質へ
|
2021年度実績 (百万円) |
2020年度実績 (百万円) |
対前年増減額 (百万円) |
対前年増減額 (%) |
売上高 |
468,956 |
427,061 |
41,894 |
9.8% |
営業利益 |
35,487 |
33,077 |
2,410 |
7.3% |
経常利益 |
34,122 |
32,142 |
1,980 |
6.2% |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
22,842 |
21,251 |
1,590 |
7.5% |
以上の結果、当連結会計年度の業績は、国内事業においては、基幹商品のシャッター製品やメンテ・サービス事業が順調に推移し、増収・増益となりました。北米事業においては、引き続き好調な住宅市場の後押しもあり、主力のガレージドアが順調に推移しました。原材料価格の高騰、サプライチェーンの混乱等のマイナス要因もありましたが、増収・増益となりました。欧州事業においては、新型コロナウイルス感染症に対する欧州各国による行動制限の緩和に伴い市場が回復し、増収・増益となりました。アジア事業においては、販売・生産体制の再構築など事業基盤の強化に取り組み、増収・増益となりました。また、サプライチェーンの混乱や原材料の価格高騰に対応すべく、グループ各社にて調達確保と販売価格への転嫁、コスト削減に努めました。
② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
セグメント別の業績は次のとおりであります。
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2021年度実績 (百万円) |
2020年度実績 (百万円) |
対前年増減額 (百万円) |
対前年増減額 (%) |
売上高 |
468,956 |
427,061 |
41,894 |
9.8% |
日本 |
236,375 |
231,133 |
5,241 |
2.3% |
北米 |
139,106 |
117,157 |
21,948 |
18.7% |
欧州 |
85,763 |
72,116 |
13,646 |
18.9% |
アジア |
7,649 |
6,591 |
1,057 |
16.0% |
調整額 |
62 |
62 |
- |
-% |
営業利益 (セグメント利益) |
35,487 |
33,077 |
2,410 |
7.3% |
日本 |
27,910 |
26,219 |
1,690 |
6.4% |
北米 |
8,378 |
7,733 |
644 |
8.3% |
欧州 |
3,935 |
3,092 |
843 |
27.3% |
アジア |
119 |
△539 |
659 |
(+) |
調整額 |
△4,857 |
△3,428 |
△1,428 |
(-) |
(日本)
基幹事業の拡大として、シャッター・ドアの収益性確保と顧客戦略の推進、生産・物流・施工力強化に努め、防火設備の法定検査のシェア拡大をテコにした修理・メンテ事業の拡大に取り組みました。また、成長事業の拡大として、グループ連携によるシナジー強化に努めました。
以上の結果、物流施設を中心に重量シャッターが順調に推移し、軽量シャッターも堅調でメンテ・サービス事業も前年のコロナ影響から回復し、収益認識会計基準適用に伴う影響もあり、売上高は、前連結会計年度に比べ2.3%増の236,375百万円、利益に関しましては、前連結会計年度に比べ6.4%増の27,910百万円のセグメント利益となりました。
(北米)
基幹事業の拡大として、ドア事業では住宅用改築向け強化策として大都市圏などの販売チャネル拡大を継続実施し、商業用ドア拡大策として製品拡充および代理店網拡充によるシェアアップに取り組みました。開閉機事業では、リテール戦略強化とIoT分野での商品開発拡充に注力しました。また、周辺事業分野への参入に注力し、2021年4月には横引スライド式ドアの製造販売を手掛けるWon-Door社を買収しました。
以上の結果、好調な住宅市場を背景に住宅向けが引き続き順調に推移し、非住宅向けも堅調でしたが、原材料高騰やサプライチェーン混乱、人手不足によるコスト増もあり、売上高は、前連結会計年度に比べ18.7%増の139,106百万円(外貨ベースでは14.5%増)、利益に関しましては、前連結会計年度に比べ8.3%増の8,378百万円のセグメント利益となりました。
(欧州)
基幹事業の拡大として、産業用製品事業では生産ネットワークの再編強化による生産性改善や受注強化によるシェア拡大に努めました。2021年10月にはフランスのManuregion S.A.S.を買収し、産業用製品事業とサービス事業の強化を図りました。ヒンジドア事業では欧州耐火ドア基準対応商品の継続的なレンジ拡大に努めました。また、業務プロセス改革として販売・サービス・生産・物流などの各プロセスでデジタル化を推進しました。
以上の結果、欧州各国ともに行動制限の緩和に伴い昨年のコロナ影響から回復し、売上高は、前連結会計年度に比べ18.9%増の85,763百万円(外貨ベースでは11.3%増)、利益に関しましては、前連結会計年度に比べ27.3%増の3,935百万円のセグメント利益となりました。
(アジア)
事業基盤の拡充に向け、中国華東地区ではドア事業および物流施設向け事業の強化、中国華南地区では協業強化による事業拡大、台湾、ASEAN地域においては事業各社の生産及び施工体制の再構築と生産最適化、アジア事業管理体制の強化に取り組みました。
以上の結果、売上高は、前連結会計年度に比べ16.0%増の7,649百万円、利益に関しましては、前連結会計年度に比べ659百万円改善し、119百万円のセグメント利益となりました。
③ 目標とする経営指標の達成状況等
当社の目標とする経営指標の達成状況は以下のとおりであります。
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2021年度実績 |
2020年度実績 |
2021年度修正予想 |
売上高 |
4,689億円 |
4,270億円 |
4,570億円 |
営業利益 |
354億円 |
330億円 |
340億円 |
営業利益率 |
7.6% |
7.7% |
7.4% |
SVA |
148億円 |
136億円 |
145億円 |
ROIC |
15.9% |
15.5% |
16.5% |
ROE |
12.0% |
12.4% |
12.0% |
自己資本比率 |
52.2% |
47.9% |
48.0% |
D/Eレシオ |
0.23 |
0.36 |
0.25 |
当社グループは、2001年度から業績評価指標としてSVA(Sanwa Value Added)を採用し、資本コストや資本効率を意識して取り組んでいます。2021年度のSVAは前年、予想ともに超過し148億円となりました。また、売上高等のほぼ全ての項目を達成しており、着実に企業価値を積み上げているものと考えています。
生産、受注及び販売実績は以下のとおりであります。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
日本 |
183,065 |
103.1 |
北米 |
111,080 |
126.4 |
欧州 |
60,456 |
125.5 |
アジア |
6,431 |
118.6 |
合計 |
361,032 |
113.1 |
(注)上記の金額は、製造原価によっており、相殺消去前の金額であります。
b.受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残高(百万円) |
前期比(%) |
日本 |
245,013 |
104.3 |
102,561 |
108.6 |
北米 |
183,182 |
142.3 |
57,553 |
516.6 |
欧州 |
93,709 |
127.2 |
24,388 |
154.8 |
アジア |
11,722 |
163.9 |
13,249 |
174.9 |
合計 |
533,627 |
120.1 |
197,752 |
153.4 |
(注)1 上記の金額は、相殺消去後の金額であります。
2 当連結会計年度の北米セグメントにおいて受注残高に著しい変動がありました。これは、サプライチェーン混乱に伴う影響により、期末時点において未出荷が増加したことによるものであります。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメント等の名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
日本 |
236,375 |
102.3 |
北米 |
139,106 |
118.7 |
欧州 |
85,763 |
118.9 |
アジア |
7,649 |
116.0 |
報告セグメント計 |
468,894 |
109.8 |
調整額 |
62 |
100.0 |
合計 |
468,956 |
109.8 |
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
a.資本政策の基本的な方針
当社グループの資本政策につきましては、財務の安定性を確保した上で資本効率の向上を図ることが重要であり、そのバランスをとりながら、最適な投資・株主還元等を実施し、中長期的に企業価値を高めていくことを基本方針としています。
<当面の資本政策・財務方針>
「三和グローバルビジョン2030」では、気候変動やデジタル化で変化する社会のニーズに応える高機能開口部ソリューションのグローバルリーダーへ向けた基盤の確立に注力し、戦略的な成長投資を最優先といたします。
1.資本・負債構成
(1)自己資本比率は、40%以上を維持する方針で取組みます。
(2)負債については、財務の健全性を損なわない負債構成に努めてまいります。
2.投資
(1)設備投資:既存事業の維持・継続に必要な設備投資は、原則減価償却費の範囲内で実施します。
(2)M&A、事業提携等の投資:コア事業並びに将来的にコア事業への成長が期待できる関連分野への投資を優先的に検討いたします。
3.株主還元
(1)配当性向は連結当期純利益(親会社株主に帰属する当期純利益)の40%を目安といたします。
(2)上記記載の「投資」を優先し、投資による大きなキャッシュアウトがなければ自己株式の取得を検討いたします。
b.財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、主に収益認識会計基準の適用により仕掛品が減少しましたが、売上債権や原材料等の棚卸資産及び買収に伴う固定資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ11,077百万円増加し386,237百万円となりました。負債は、主に仕入債務が増加しましたが、社債の償還等により、前連結会計年度末に比べ10,846百万円減少し182,925百万円となりました。純資産は、主に利益剰余金と為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べ21,924百万円増加し203,311百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ4.3ポイント増加し52.2%となりました。
c.当期のキャッシュ・フローの概況
当社グループは、グローバル・メジャーへ挑戦するために、戦略的な投資を最優先とし、フリー・キャッシュ・フローから配分し、多品種化の推進とサービス事業の強化やシナジー効果が見込める成長分野を中心に投資を行っております。また、株主還元については2022年度より配当性向40%を目安といたします。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ26,398百万円減少し61,397百万円となりました。当連結会計年度における区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益の計上等により20,526百万円の資金増加(前連結会計年度は50,144百万円の資金増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に子会社株式の取得や固定資産の取得により21,353百万円の資金減少(前連結会計年度は11,177百万円の資金減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に社債の償還と配当金の支払等により27,363百万円の資金減少(前連結会計年度は6,102百万円の資金減少)となりました。
② 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告数値、偶発債務の開示、各連結会計年度における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。これらの見積り及び判断は、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき行っており、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。また、詳細につきましては、重要性がないものと判断した事項を除き「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
なお、当期の連結財務諸表の作成にあたって、新型コロナウイルス感染症の影響は、今後も数年続くものとして見通せる影響を会計上の見積り及び仮定の設定について検討しておりますが、現時点において重要な影響を与えるものではないと判断しております。ただし、今後の状況の変化によって判断を見直した結果、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。
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