業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1) 企業集団の業績

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の普及等により、経済活動の段階的再開や景気対策が進み一部持ち直しの傾向が見られたものの、新たな変異株による感染の急拡大、原材料等の需給バランス変調の顕在化、円安の進行、ロシアのウクライナ侵攻による地政学的リスクの高まり等により、依然として先行き不透明な状況で推移いたしました。

当社の主要な販売先である造船・海運業界につきましては、荷動きの増加や海上輸送網の混乱に伴う海運市況の高騰および船価の先高観を受け、昨年度発注を抑制していた船主の投資意欲が改善したこと等を背景に、2021年の世界の新造船竣工量は6,000万総トンと前年比で2.9%の増加となり、新造船受注量は、8,507万総トンと前年比で106.5%の増加となりました。また、世界的な脱炭素化への流れや、環境に対する意識が高まっていることを受け、造船・海運業界においても重油燃料を動力とする従来のディーゼル機関を搭載した船舶からCO2排出量が少ない液化天然ガス(LNG)も燃料として利用できるデュアルフューエル(二元燃料)機関を搭載した船舶への置き換えが進んでおります。

このような企業環境下、当社グループでは、成長市場を見据え、多様化するニーズに対応した営業活動を推進し、また、カーボンニュートラル社会実現に向けた次世代燃料対応への新技術開発等、競争力強化に努めてまいりました。その結果、当連結会計年度における連結売上高は57,599百万円(前期比1.5%増)となり、利益面におきましては、営業利益は2,092百万円(前期比110.4%増)、経常利益は2,506百万円(前期比118.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は一時差異に伴う法人税等調整額が増加し△525百万円を計上したことにより、1,968百万円(前期比176.4%増)となりました。

なお、当連結会計年度の当社および連結グループのセグメント別の業績は次のとおりであります。

(単位:百万円)

区分

売上高

セグメント利益又は損失(△)

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期

増減率(%)

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期

増減率(%)

内燃機関部門

舶用機関関連

44,573

43,685

△2.0

3,259

2,316

△28.9

陸用機関関連

8,567

10,192

19.0

△697

1,589

その他の部門

3,605

3,722

3.3

557

418

△24.9

調整額

△2,124

△2,232

56,745

57,599

1.5

994

2,092

110.4

 

(注) セグメント利益又は損失の調整額は全社費用であり、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。

 

<内燃機関部門>

イ)舶用機関関連

防衛省向けを中心に機関売上が減少する中、メンテナンス関連の売上が増加したものの、デュアルフューエル機関のラインアップおよび新燃料対応機関の先行開発を実施したこと等により、売上高は43,685百万円(前期比2.0%減)、セグメント利益は2,316百万円(前期比28.9%減)となりました。

ロ)陸用機関関連

機関売上が増加したことに加え、メンテナンス関連の売上が増加したこと等により、売上高は10,192百万円(前期比19.0%増)、セグメント利益は1,589百万円(前期は697百万円のセグメント損失)となりました。

 

従いまして、当部門の売上高は53,877百万円(前期比1.4%増)、セグメント利益は3,906百万円(前期比52.5%増)となりました。

 

<その他の部門>

イ)産業機器関連

アルミホイール部門に関しましては、売上構成の変化により売上高は増加となったものの、原材料費の高騰によりセグメント利益は減少となりました。

ロ)不動産賃貸関連

不動産賃貸関連に関しましては、売上高、セグメント利益とも微減となりました。

ハ)売電関連

売電関連に関しましては、売上高は微減となり、セグメント利益は減少となりました。

ニ)精密部品関連

精密部品関連に関しましては、売上高、セグメント利益とも減少となりました。

 

従いまして、当部門の売上高は3,722百万円(前期比3.3%増)、セグメント利益は418百万円(前期比24.9%減)となりました。

 

当社グループは、お客様のニーズにお応えするとともに、持続可能な成長を実現するため、2020年4月1日~2023年3月31日を実行期間とする中期経営計画に掲げた以下4つの重点取組事項を推進してまいりました。

 

1.新商品の市場投入による販売領域拡大・シェアアップ

2.次世代エネルギーを視野に入れた技術開発

3.生産拠点の生産効率の向上

4.強固な収益基盤の確立とESG経営の実践

 

当連結会計年度においては、さらなる環境負荷低減のため、液体燃料とガス燃料双方を切り替えて運転可能なデュアルフューエル機関を開発し4機種のラインアップ化を完了いたしました。これにより二元燃料化が進展しているメガコンテナ船ならびに、自動車運搬船向けを中心に150台程度を受注いたしました。

また、デュアルフューエル機関の次に来る船舶のゼロエミッション化に対応するため、アンモニアを始め水素等、新燃料対応機関の先行開発に注力しております。さらに、株式会社三井E&Sマシナリーと共同提案した『外航船向け水素燃料推進プラントの技術開発』が、国土交通省の海事産業集約連携促進技術開発支援事業に採択される等、次世代燃料として内燃機関の技術確立を目指して産学官と連携し、積極的に取り組んでおります。

加えて、海上輸送の効率化を目的とする船舶の大型化を見据えて2018年に新設した姫路工場では、運転能力を強化し大型コンテナ船の建造ラッシュに対応しております。今後も、中小型機関の製造を担う守山工場と姫路工場の2拠点体制により、生産効率の向上に努めてまいります。

 

当社グループはこれまでも、「技術力で社会を豊かにする」を企業理念として掲げ、信頼される商品や、サービスを通じて持続可能な社会の実現に貢献する取り組みを行ってまいりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症がもたらした未曽有のパンデミックを契機とし、すでに先行きが不透明で将来の予測が困難な時代に突入しております。こうした変動性や不確実性の高い経営環境の中で、企業価値の向上を実現するために、新たに長期ビジョンと5か年計画を策定し経営サイクルを回していくことといたしました。

今後も「サステナブルな企業」であり続けるため、ESGを経営の中核に据えた事業運営を図ってまいります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の増減は、営業活動によるキャッシュ・フローは7,870百万円の増加、投資活動によるキャッシュ・フローは1,300百万円の減少、財務活動によるキャッシュ・フローは84百万円の増加となりました。結果として、資金は6,844百万円の増加(前連結会計年度は986百万円の減少)となりました。

 

・営業活動によるキャッシュ・フロー

舶用内燃機関を中心とした売上の計上により、税金等調整前当期純利益2,761百万円を確保し、減価償却費計上(2,808百万円の増加)、仕入債務の増加(2,527百万円の増加)がありましたが、棚卸資産の増加(1,959百万円の減少)、売上債権の増加(167百万円の減少)、法人税等の支払額(797百万円の減少)等により、営業活動によるキャッシュ・フローは7,870百万円の増加(前連結会計年度は3,035百万円の増加)となりました。

 

  ・投資活動によるキャッシュ・フロー 

設備投資を行ったこと等から有形固定資産の取得による支出が1,378百万円ありました。これにより投資活動によるキャッシュ・フローは1,300百万円の減少(前連結会計年度は1,847百万円の減少)となりました。

 

・財務活動によるキャッシュ・フロー

借入金の返済による支出が3,325百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出が455百万円、配当金の支払による支出が476百万円ありましたが、運転資金を目的とした長期借入金による収入が4,300百万円あったこと等により、財務活動によるキャッシュ・フローは84百万円の増加(前連結会計年度は2,310百万円の減少)となりました。

 

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

数  量

金  額

 

前年同期増減率

 

馬力

千円

 内燃機関部門

 

 

 

        舶用機関関連

1,071,501

43,685,324

△2.0

        陸用機関関連

77,106

10,192,104

19.0

 その他の部門

3,096,166

4.0

 

 

 

 

合       計

 

56,973,595

1.5

 

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受  注  高

受  注  残  高

数  量

金  額

前年同期
増減率

数  量

金  額

前期同期
増減率

 

馬力

千円

馬力

千円

 内燃機関部門

 

 

 

 

 

 

    舶用機関関連

1,661,208

61,911,861

(36,717,437)

46.9

1,822,845

42,993,859

(23,002,222)

73.6

    陸用機関関連

89,136

11,012,746

(175,156)

35.3

92,179

5,557,047

(13,784)

17.3

 その他の部門

3,016,053

1.7

598,098

△11.8

 

 

(―)

 

 

(―)

 

合       計

 

75,940,661

(36,892,594)

42.6

 

49,149,005

(23,016,006)

62.8

 

(注) 1 金額は、販売価格によっております。

2 ( )内は輸出受注高、輸出受注残高を示し、内数であります。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

数 量

金 額

輸出比率

前期同期増減率

 

馬力

千円

 内燃機関部門

 

 

 

 

        舶用機関関連

1,071,501

43,685,324

(25,490,874)

58.4

△2.0

        陸用機関関連

77,106

10,192,104

(475,156)

4.7

19.0

 その他の部門
  (注)3

3,722,501

3.3

 

 

(―)

 

 

合    計

 

57,599,930

(25,966,031)

45.1

1.5

 

(注) 1 ( )内は輸出高を示し、内数であります。

2 主要な輸出地域およびその割合は次のとおりであります。
アジア(69.1%)、欧州(19.9%)、中南米(6.6%)、北米(2.6%)、その他(1.8%)

3 「その他の部門」には精密機器関連(1,367,764千円)、産業機器関連(1,728,401千円)および不動産賃貸関連等(626,334千円)を含んでおります。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

(1) 財政状態についての分析

当連結会計年度末における資産の部では、前連結会計年度末に比べ、現金及び預金が、6,818百万円増加しました。受取手形、売掛金及び契約資産は、前連結会計年度末に比べ、366百万円増加し、売掛債権回転日数は、前連結会計年度では118.6日でしたが、当連結会計年度は115.0日となっております。また、棚卸資産につきましては、前連結会計年度末に比べ、1,960百万円増加し、棚卸資産回転日数は、前連結会計年度では76.2日に対し、当連結会計年度は74.2日となっております。一方、有形固定資産は、前連結会計年度末に比べ、610百万円減少しました。その結果、資産の部合計については、前連結会計年度末に比べ、8,886百万円増加し、89,268百万円となりました。

負債の部では、支払手形及び買掛金と電子記録債務の合計が、前連結会計年度末に比べ、2,734百万円増加し、買掛債務回転日数は、前連結会計年度では74.0日に対し、当連結会計年度は、69.2日となっております。一方、短期借入金と長期借入金の合計は、運転資金を新たに調達したこと等により、1,054百万円増加しました。当連結会計年度末における売上高有利子負債比率(リース債務を除く)は、前連結会計年度末から1.4ポイント上昇して24.8%となっております。その結果、負債の部合計では、前連結会計年度末に比べ、7,031百万円増加し、46,199百万円となりました。

純資産の部では、利益剰余金が、前連結会計年度末に比べ、1,491百万円増加し、38,393百万円となりました。純資産の部合計では、前連結会計年度末に比べ、1,854百万円増加し、43,069百万円となりました。その結果、当連結会計年度末における自己資本比率は48.2%となっております。自己資本比率の推移につきましては、「第1企業の概況 1主要な経営指標等の推移 (1)連結経営指標等」に記載のとおりであります。

 

(2) 当期の経営成績の分析

① 為替変動の影響について
 当連結会計年度の為替レート変動により、売上高は前連結会計年度に比べ1,006百万円増加し、営業利益は7百万円増加したと試算されます。この試算は当連結会計年度の外貨建て売上高、売上原価、販売費および一般管理費を、前連結会計年度の換算レートで再計算したものであり、為替変動に対応した財務政策等の影響は考慮されておりません。

② 当期の経営成績について

コンテナ船を始めとした特定船種の需要増加による商用向け機関や環境機器関連の販売増加および移動制限緩和によるメンテナンス関連売上の増加により、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ1.5%増収となる57,599百万円となりました。

当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度の45,718百万円に比べ1,399百万円減少し、44,318百万円となりました。なお、売上高原価率は、前連結会計年度から3.6ポイント低下して76.9%となっております。また、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ1,155百万円増加し、11,188百万円となりました。売上高販管費率は、前連結会計年度から1.7ポイント上昇して19.4%となっております。

この結果、営業利益は、前連結会計年度の994百万円から110.4%増益の2,092百万円となり、売上高営業利益率は、前連結会計年度から1.9ポイント上昇して3.6%となりました。経常利益は、前連結会計年度の1,149百万円から118.1%の増益となる2,506百万円となり、売上高経常利益率は、前連結会計年度から2.3ポイント上昇して4.4%となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の712百万円から1,256百万円の増益となる1,968百万円となりました。なお、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の22.43円に対し、当連結会計年度は62.01円となりました。自己資本利益率(ROE)は、前連結会計年度から3.0ポイント上昇して4.7%となっております。目標とする経営指標の推移につきましては、以下のとおりであります。

 

 

第58期

第59期

第60期

第61期

第62期

決算年月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

売上高営業利益率(%)

5.1

4.6

4.5

1.8

3.6

売上高経常利益率(%)

5.2

4.5

4.9

2.0

4.4

自己資本利益率(ROE)(%)

5.6

4.7

5.0

1.7

4.7

 

 

(3) キャッシュ・フローの分析

当社グループのキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源および資金の流動性につきましては、以下のとおりであります。

当社グループは現在、必要な運転資金および設備投資資金につきましては、自己資金または金融機関からの借入金を基本としております。今後も原価低減等により利益確保に努め、併せて在庫の適正化や取引条件の改善等を通じて、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことで、事業運営上必要な資金の流動性を高めていく考えであります。

なお、当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は前連結会計年度末に比べ、711百万円増加し、14,892百万円となりました。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ6,844百万円増加し、26,354百万円となりました。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

なお、当社グループの事業は新型コロナウイルス感染症の影響が即座に及ぶものではなく、今後海運、造船業界全体を通じて間接的に影響を受けることから、不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることは困難であります。その中、期末時点で取引先および公的機関より入手可能な情報を基に、今後、新型コロナウイルス感染症は収束していくという想定のもと、当社グループでは会計上の見積りについて、連結財務諸表作成時までに入手可能な情報に基づき、合理的な金額を見積もって計上しております。

 

 (棚卸資産の評価)

「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 (繰延税金資産の回収可能性)

「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 (固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

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