当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大で大きく落ち込んだ前年度から経済正常化が進み回復局面にありますが、後半より物流の混乱、半導体・電子部品不足、エネルギー価格や部材費等の物価高騰、ロシア・ウクライナ問題等の影響で成長が鈍化しつつあります。今後もこれらの問題の長期化により、下振れリスクが増大している状況です。
鍛圧機械製造業界におきましては、国内、海外ともに前年度の新型コロナウイルス影響による低迷から回復し、当連結会計年度の受注は前期比60.8%増の143,274百万円(一般社団法人日本鍛圧機械工業会プレス系機械受注額)となりました。
このような状況の下、当社グループの当連結会計年度の受注高は、自動車業界等の製造業における設備投資回復や電気自動車関連の堅調な需要に支えられ78,357百万円(前期比48.7%増)となり、受注残高は55,144百万円(同40.5%増)となりました。
売上高については、新型コロナウイルス感染症の影響縮小や電気自動車関連の需要増加により62,466百万円(同7.5%増)となりました。
利益面では、原材料費の高騰、物流混乱や部材不足による高付加価値案件の売上ズレ込み、研究開発費の増加等による粗利率低下により、営業利益は 2,505百万円 (同 32.7%減 )、経常利益は 2,432百万円 (同 35.1%減 )、親会社株主に帰属する当期純利益は上記要因に加え中国拠点における減損処理等により 896百万円 (同 31.9%減 )となりました。
セグメント毎の業績は以下のとおりであります。
日 本: 中・小型プレス機械の売上は堅調に推移したものの、大型プレス機械の売上が減少し、売上高は38,188百万円(前期比5.1%減)となり、セグメント利益は減収、原材料費増加等に伴う粗利率の低下、研究開発費の増加等により802百万円(同74.0%減)となりました。
中 国: 中・小型プレス機械とサービスの売上が増加し、売上高は8,851百万円(前期比19.2%増)となり、セグメント利益は増収や粗利率改善等により741百万円(前期は284百万円のセグメント損失)となりました
アジア: 日・米・中のグループ会社向けプレス機械とサービスの売上が増加したことにより、売上高は7,646百万円(前期比6.0%増)となり、セグメント利益は745百万円(同10.6%増)となりました。
米 州: プレス機械とサービスの売上はともに増加し、売上高は13,869百万円(前期比32.7%増)となったものの、セグメント利益は材料費や外注費の高騰、低粗利案件売上比率の一時的な増加等に伴う粗利率の低下や販管費の増加等により269百万円(同47.6%減)となりました。
欧 州: プレス機械の売上が増加したことにより、売上高は12,658百万円(前期比32.1%増)となり、セグメント利益は増収により110百万円(前期は121百万円のセグメント損失)となりました。
当連結会計年度末の資産については、前連結会計年度末に比べて 6,146百万円増加 し、 113,933百万円 となりました。主な要因は、現金及び預金の 増加3,326百万円 、受取手形、売掛金及び契約資産、電子記録債権といった売上債権の減少3,047百万円、棚卸資産の増加3,985百万円、前渡金の 増加833百万円 、投資有価証券の 増加625百万円 等であります。
負債は、前連結会計年度末に比べて4,988百万円増加し、35,269百万円となりました。主な要因は、買掛金及び電子記録債務といった仕入債務の増加1,521百万円、前受金・契約負債の増加3,883百万円等であります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて1,158百万円増加し、78,664百万円となりました。主な要因は、利益剰余金の減少452百万円、為替換算調整勘定の増加1,955百万円等であります。この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は68.4%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金という)は、前連結会計年度末と比べ3,330百万円増加し、35,030百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(イ)営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動により取得した資金は5,905百万円(前連結会計年度は7,263百万円の収入)となりました。主な要因は、収入として売上債権の減少7,137百万円、減価償却費1,833百万円、税金等調整前当期純利益1,753百万円、支出として棚卸資産の増加2,542百万円、法人税等の支払額1,752百万円等であります。
(ロ)投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動により使用した資金は2,828百万円(前連結会計年度は1,921百万円の支出)となりました。主な要因は、支出として有形及び無形固定資産の取得2,193百万円等であります。
(ハ)財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動により使用した資金は1,533百万円(前連結会計年度は3,770百万円の支出)となりました。主な要因は、支出として配当金の支払額1,263百万円等であります。
当社グループは、主に鍛圧機械とこれに付帯する装置等を製造・販売しております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 収益認識に関する会計基準等の適用による影響額を前年度末受注残高に加算しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 売上割合が10%以上の主要な販売先がありませんので、相手先別の記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは過去の実績値や経験を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため、見積り等は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
経営成績の分析
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響縮小や電気自動車関連の需要増加により前連結会計年度に比べ7.5%増加し62,466百万円となりました。
当連結会計年度の売上総利益は、原材料費の高騰、物流混乱や部材不足による高付加価値案件の売上ズレ込み等の影響により 10,892百万円(同11.8%減)となりました。
営業利益は、上記減益理由に加え、研究開発費の増加等により2,505百万円(同32.7%減)となり、経常利益は2,432百万円(同35.1%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、上記減益要因に加え、中国拠点における減損処理等により896百万円(同31.9%減)となりました。
財政状態の状況の分析
当連結会計年度の財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。前連結会計年度比での総資産の主な増加要因は、現金及び預金、棚卸資産の増加等によります。
キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。この要因は、次の「資本の財源及び資金の流動性についての分析」に記載しております。なお、当連結会計年度のキャッシュ・フロー関連の指標は、時価ベース自己資本比率は55.4%(前期は55.1%)、キャッシュ・フロー対有利子負債比率は44.2%(同38.7%)、インタレスト・カバレッジ・レシオは304.4倍(同228.5倍)であります。
資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金は、主に原材料や部品調達及び外注加工等の製造費用や、販売費及び一般管理費等に費消されております。また、設備投資資金は、主に生産体制の構築に支出されており、これらの必要資金は主に自己資金で賄うことを基本方針としております。
当連結会計年度における設備投資は総額1,839百万円と前連結会計年度比1,242万円増加しました。また運転資金についても営業キャッシュ・フローの増加等により現金及び現金同等物の残高は35,030百万円(前連結会計年度比3,330百万円増加)となり流動性についての問題はありません。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは2020年度より新たな中期経営計画(2020年度~2022年度)をスタートさせました。2022年度(最終事業年度)における売上高は720億円、営業利益は55億円を目指します。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)当面の対処すべき課題の内容等」に記載の通り、既に中期経営計画の重点施策は設定済みであり、これらを着実に遂行し業績拡大を目指してまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第2 事業の状況」の「2.事業等のリスク」をご参照下さい。
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