業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要は次の通りであります。

①経営成績の状況

当連結会計年度(当期)における業績は、売上収益が3,960億円(3,049百万EUR)(前期比20.6%増)、営業利益は231億円(178百万EUR)(前期比116.1%増)、税引前当期利益は196億円(151百万EUR)(前期比284.0%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は135億円(104百万EUR)(前期比671.0%増)となりました。

当社の2021年の連結受注額は、4,560億円と、グローバルでの経済活動の急回復も反映して、前年度比63%増と大きく改善しました。当期末の機械本体受注残高は1,640億円となり、前年度末の960億円から680億円増加しました。1台当たりの受注平均単価は、5軸加工機の需要増、大型自動化案件の増加およびデジタル化などの価値提案の向上により、再び上昇基調に入りました。また、修理復旧・補修部品事業の受注も、お客様の稼働率向上により、前年度比24%増となりました。

地域別の機械受注金額は、欧州が前年度比2.0倍と大きく回復しました。日本も、四半期ごとに需要の回復傾向が鮮明となり、通期では同89%増となりました。その他、米州が同51%増、中国が同73%増、中国を除くアジアが同42%増と、グローバルに工作機械需要の拡大が継続しております。産業別の受注動向は、特に、半導体製造装置関連、宇宙関連、金型、電気自動車(EV)などが好調です。また、昨年来落ち込んでいた民間航空機関連、エネルギー関連向けでも引合いが出始めております。当社の直販・直サービスの強みを背景に、工程集約機を中心に、自動化、ターンキー化を促進し、2022年度も更なる受注の拡大を目指します。

経営理念にも掲げている通り、工作機械・独自領域・内製コンポーネント・周辺機器などのハードウエア及びソフトウエアと、加工システムの構築・高効率な加工プロセスの提案・保守保全・ファイナンスなどのサービスを組み合わせた最善の加工オートメーションを提供し、お客様の生産性向上に貢献することを、当社は目指しております。2022年1月には、「DMG森精機製造株式会社」を設立し、伊賀・奈良工場の製造機能を分社いたしました。各組織の責任・役割を明確にし、機能別に緻密な業績・採算管理を行うことでグループとして効率を上げ、当社グループの更なる企業価値向上を目指してまいります。また、当社は生産体制の再編・強化にも取り組んでおります。日本国内では、従来2拠点で行っていた工作機械の組立を伊賀工場に集約する一方、奈良工場を工作機械業界最大のシステムソリューション工場にしていきます。海外では、エジプト・カイロでの工場建設に出資しているほか、天津工場建屋の増設、上海近郊の平湖での新工場建設を進めております。

技術面では、お客様が当社製工作機械に係る情報を網羅的かつ効率的に管理できる、ポータルサイトmy DMG MORIの拡充を進めております。当年度には、修理復旧依頼や部品注文をオンラインで行える新機能「サービスリクエスト」の提供を開始いたしました。そのほか、金型加工や小径工具での高速加工に最適な、高速主軸speedMASTERの新モデル「speedMASTER 30K」や、工具段取り作業を簡単かつ効率的に行う「マガジン操作パネル」の販売も開始しております。今後もより多くのお客様のニーズにお応えできるよう、より高機能で信頼性が高く、投資価値のある製品を提供してまいります。

こうした技術をお客様にお伝えするため、当年度は中国で開催されたCIMT2021、イタリア・ミラノで開催されたEMO、名古屋で開催されたMECT等リアルの展示会に出展したほか、伊賀事業所・東京GHQのショールームでは少人数制の展示会「テクノロジーデイズ」を引続き実施しております。デジタルの面では、伊賀事業所ショールームをデジタルツインで再現した「デジタルツインショールーム」のアップデートを随時行っております。また、お客様に当社の技術を知っていただくだけでなく、優れた加工技術者育成をお手伝いするために、オンライン学習コンテンツ「デジタルアカデミー」による教育サービスも提供しております。今後も、デジタルとリアルの両方でお客様とつながり、最適なソリューションをご提案してまいります。

また、当社では「よく遊び、よく学び、よく働く」を経営理念に掲げ、従業員の健康な心身から生まれる活力が、企業の持続的な発展成長にとって重要な経営資源の1つであると位置づけております。有給休暇の完全取得や在社時間制限内での効率的な働き方を推進しているほか、e-ラーニングの整備、社員食堂のリニューアルなど、社員が心身ともに健康に働ける環境整備を行っております。

さらに、当社は持続可能な社会を目指し、脱炭素社会や人と自然が共生できる社会、資源循環型の社会に向けた取組みを行っております。特にカーボンニュートラルに向けてはグループ一丸となって取り組んでおります。2021年11月には、当社及びグループ会社のドイツDMG MORI AGは、2030年に向けた温室効果ガス削減目標について、SBT(Science Based Targets)認定を取得いたしました。今回認定を取得した新たな目標の達成に向け、自社でのCO₂排出削減活動だけでなく、環境に配慮した商品の提供により、お客様におけるCO₂排出量の削減にも取り組んでまいります。そのほか、サプライチェーン全体の持続可能性強化を目指し、プラットフォーム「Integrity Next」を使用したサプライヤへのアンケート調査を行っております。当社のサステナビリティへ対する考え方をサプライチェーン全体に浸透させることで、持続可能な社会の実現と企業価値向上に努めてまいります。

 

 

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

売上収益

(億円)

3,283

3,960

営業利益

(億円)

107

231

親会社の所有者に帰属する当期利益

(億円)

17

135

基本的1株当たり当期利益

(円)

3.40

91.75

セグメントの動向及び業績は以下のとおりであります。なお、以下の売上収益及びセグメント損益には、セグメント間の内部取引を含めております。

マシンツールセグメントではEV、半導体装置、機械、宇宙関連向けの業績が堅調に推移いたしました。その結果、売上収益は432,880百万円(前期比14.4%増)となり、セグメント損益は19,404百万円(前期比14.5%増)のセグメント利益となりました。

インダストリアル・サービスセグメントでは、補修部品販売、修理復旧の業績が好調に推移いたしました。その結果、売上収益は153,184百万円(前期比28.3%増)となり、セグメント損益は16,829百万円(前期比69.2%増)のセグメント利益となりました。

②財政状態の状況

(ⅰ)資産

流動資産は254,692百万円(前期比45,134百万円の増加)となりました。これは、主として現金及び現金同等物が13,544百万円、営業債権及びその他の債権が17,113百万円、棚卸資産が8,533百万円、それぞれ増加したことによります。

非流動資産は342,425百万円(前期比25,455百万円の増加)となりました。これは、主として有形固定資産が7,266百万円、その他の無形資産が7,570百万円、その他の金融資産が5,353百万円、それぞれ増加したことによります。

この結果、資産合計は597,117百万円(前期比70,590百万円の増加)となりました。

(ⅱ)負債

流動負債は254,409百万円(前期比36,735百万円の増加)となりました。これは、主として営業債務及びその他の債務が6,261百万円、契約負債が32,027百万円、その他の金融負債が16,592百万円、引当金が6,949百万円、それぞれ増加した一方で、社債及び借入金が26,733百万円減少したことによります。

非流動負債は125,428百万円(前期比6,471百万円の増加)となりました。これは、主として社債及び借入金が19,719百万円増加した一方で、その他の金融負債が12,735百万円減少したことによります。

この結果、負債合計は379,838百万円(前期比43,206百万円の増加)となりました。

(ⅲ)資本

資本合計は217,279百万円(前期比27,383百万円の増加)となりました。これは、主として利益剰余金が12,365百万円、その他の資本の構成要素が13,491百万円、それぞれ増加したことによります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

営業活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

13,647

49,733

投資活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

△18,859

△19,376

財務活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

10,792

△18,270

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

(百万円)

6,058

13,544

現金及び現金同等物の期末残高

(百万円)

33,754

47,298

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前期末に比べ13,544百万円増加し、当連結会計年度末は47,298百万円となりました。

(ⅰ)営業活動によるキャッシュ・フロー

「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、49,733百万円の収入(前期は13,647百万円の収入)となりました。主な増加要因は、税引前当期利益19,609百万円、減価償却費及び償却費21,894百万円、契約負債の増加30,599百万円、引当金の増加5,937百万円であり、主な減少要因は、営業債権及びその他の債権の増加15,479百万円、法人所得税の支払額5,685百万円であります。

(ⅱ)投資活動によるキャッシュ・フロー

「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、19,376百万円の支出(前期は18,859百万円の支出)となりました。主な増加要因は、投資有価証券の売却による収入5,440百万円であり、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出12,645百万円、無形資産の取得による支出10,606百万円であります。

(ⅲ)財務活動によるキャッシュ・フロー

「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、18,270百万円の支出(前期は10,792百万円の収入)となりました。主な増加要因は、転換社債型新株予約権付社債の発行による収入39,887百万円、ハイブリッド資本の発行による収入29,717百万円であり、主な減少要因は、短期借入金の減少21,730百万円、長期借入金の返済による支出20,882百万円、社債の償還による支出10,000百万円、ハイブリッド資本の返済による支出30,000百万円、リース負債の返済による支出6,035百万円であります。

④生産、受注及び販売の状況

(ⅰ)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

  至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

マシンツール(百万円)

311,505

7.9

インダストリアル・サービス(百万円)

22,181

19.0

合計(百万円)

333,687

8.6

(注)1.上記金額は販売価格によっております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

(ⅱ)受注実績

当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

 

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注実績

455,976

63.0

164,104

71.6

(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

(ⅲ)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

  至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

マシンツール(百万円)

266,662

16.9

インダストリアル・サービス(百万円)

129,321

29.2

全社(百万円)

27

30.4

合計(百万円)

396,011

20.6

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①重要な会計方針及び見積り

IFRSに準拠した連結財務諸表の作成にあたり、期末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示及び報告対象期間の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積り及び仮定を用いております。重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 11.のれん及びその他の無形資産」に記載のとおりであります。

②経営成績の分析

経営成績の分析については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。

なお、2021年度の目標とした経営指標に対しては、全社受注4,560億円(目標4,500億円)、売上収益3,960億円(目標3,800億円)、営業利益231億円(目標230億円)で達成となりました。

③資本の財源及び資金の流動性

当社は、環境変化への柔軟な対応及び成長を見据えた投資、また、より一層強固で安定した財務基盤の構築を目的とし、当期中に2024年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(以下、本社債)40,000百万円の調達を行っております。払込日において、連結財政状態計算書上、本社債の負債部分の公正価値を「社債及び借入金(非流動)」に、払込額から負債部分の公正価値を控除した残額を「その他の資本の構成要素」に計上しております。

また、2016年9月に発行した第1回永久劣後債の償還及び第1回永久劣後ローンの一部弁済を目的とし、繰延条項・任意償還条項付無担保永久社債(精算型倒産手続時劣後特約付)(以下、第4回永久劣後債)30,000百万円による資金調達を行っております。第4回永久劣後債は、元本の弁済及び償還期日の定めがなく利息の任意繰延が可能である等により、「資本性金融商品」に分類され、調達額から発行費用を控除した額は、連結財政状態計算書上、資本の部に「ハイブリッド資本」として計上しております。

当期末における当社グループの有利子負債の残高は、95,393百万円(前期末比7,013百万円の減少)となっております。

 

 

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