研究開発活動

5【研究開発活動】

R&D部門では、機械・要素・ソフトウエアの開発をバランスよくできる布陣を継続しつつ、2022年からはお客様のカスタマイズ対応をする受注設計も部門に含め、市場の変化にさらに迅速に対応する開発体制をとっております。

近年、製造現場では効率向上のために工程間のワーク搬送を減らす、仕掛在庫を削減する、といった要求が高まっております。また、労働人口減少による人手不足も深刻で、これらの背景により、工程集約や自動化への注目がさらに高まっております。

昨年は、次世代の工程集約機として複合加工機をベースとしたアディティブ・マニュファクチャリング機LASERTEC 3000 3D hybridを開発いたしました。金属の3次元積層、コーティングなど多彩な機能により、例えば従来5工程だった歯車の製造を2工程に削減できます。さらには、設備数削減によるCO₂排出量削減も期待できます。また、複合加工機NTX2500,3000Ge2/3000も開発いたしました。射出成型機のスクリューなどの長尺複雑ワークだけでなく、イレギュラーな短尺ワークにも対応可能で、フレキシブルな生産に対応できます。さらには9月にミラノで開催されたEMOに、当社イタリアのGITAL工場と協同開発したNZ Platformを出展いたしました。この機械は、最大で4つの刃物台を搭載可能でオプションでB軸機能もあり、複雑形状ワークを圧倒的に高い生産性で対応できます。EVに用いられるモータシャフトなどの加工でお客様からの引合いが加速しております。なお、これら機種開発において、トポロジー最適化などで学んだ解析技術を駆使し、静剛性・動剛性・熱変位において構造最適化を行い、機械パフォーマンスを最大限に発揮できるようにしております。

自動化への対応として、WH-AGVを開発いたしました。複数の加工機へのワークの自動搬送が可能であり、自社開発の台車により、段差があるような工場フロアでもスムーズに走行できます。搭載するロボットには協業ロボットを採用し、人との親和性も意識した設計になっております。そのスケジューリングソフトウエアLPS4も自社開発し、複数の加工機をまたがる生産計画にも柔軟に対応し、製造現場の生産性向上に寄与できます。また、MATRIS Lightも開発いたしました。手押し台車に協業ロボットを搭載した装置であり、加工機の前に設置することで、ワークの搬出入の自動化が可能になります。短時間でセットアップ可能なため、日毎の自動化計画にも臨機応変に対応できます。

工程集約と自動化を進めるにあたり、計測、ソフトウエア、周辺装置も重要です。計測において、工具形状や摩耗・寸法測定を自動で行うツールビジュアライザーを開発いたしました。従来手動で行っていた工具形状入力や摩耗観察を自動化できます。工程集約や自動化するためには工具本数が100本を超えるような場合もありますが、この商品によりオペレーターの手間を大幅に削減することが出来ます。ソフトウエアにおいては、CELOS DYNAMICpostを開発いたしました。工程集約において加工プログラムが複雑なためCAMを使うことが多いのですが、CAMと機械をつなげるポストプロセッサが適切に運用されなければ、迅速な生産立上げや干渉のない安全な加工、機械能力の最大化ができません。CELOS DYNAMICpostではこれらの課題を解決することができると共に、CAMで作成した加工プログラムの切削負荷を解析して調整することで、より高能率な生産を実現することができます。周辺装置として、ミストコレクタzeroFOGを開発いたしました。加工時に発生するミストを確実に回収することで、工場環境改善を図ることができます。また、工作機械本体にマッチングしたデザインにすることで、工場の美観向上にもつながっており、これらの特長により想定を大幅に上回る受注を頂いております。

COVID-19の影響が続き、カーボンニュートラルなどSDGsへの注目が高まる中、工程集約や自動化を推し進めることができる商品開発を通じて、お客様の生産性向上につなげたいと考えております。

 

以上の研究開発活動の結果、無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発費の総額は18,936百万円となっており、セグメント別としては、マシンツール16,261百万円、インダストリアル・サービス2,675百万円となっております。なお、前連結会計年度より、上記研究開発費の総額には客先の要望等による設計変更や仕様変更等に要した開発活動費用を含めております。

 

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