(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当社は2020年12月期より決算期を3月31日から12月31日に変更いたしました。当事業年度は2021年1月1日から2021年12月31日が対象期間となっており、前年同一期間(2020年1月1日から2020年12月31日)との比較については下記のとおりとなります。
以下、増減については、「前年同一期間」との比較で記載しております。
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の長期化に伴い、経済活動が抑制され、厳しい状況で推移いたしました。同感染症のワクチン接種が進んだことにより、経済活動の正常化が期待されるものの、新たな変異株流行により、依然として先行き不透明な状況が続くものと予想されます。
当社が事業を展開するコールセンターサービス業界及びBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービス業界においては、同感染症の影響により経済活動が抑制されていることは少なからずマイナス影響を及ぼしておりますが、人材不足や働き方改革への取組み拡大、DX推進による自社内リソースの再構築などを背景にアウトソーシング需要は継続的に高まっており、市場規模は拡大傾向に推移しております。また、コミュニケーション手段の多様化を始め、ITを介した新技術を用いてサービスの高度化が進んでおり、専門業者への外部委託需要が高まっております。一方で、コロナ禍において売上高確保の動きによる異業種からの新規参入や、価格競争の激化などが進んでおり、これらは当社にも影響を及ぼしております。
このような状況の下、当社では、「特化型コールセンターを中心としたBPO業務の積極展開」を課題として掲げ、「官公庁系ビジネス」、「ITヘルプデスク」、「金融系オフィスサービス」を成長の3本柱としてサービスの拡大を図ってまいりました。
売上高につきましては、コールセンターサービス、BPOサービスともに地方自治体向けの案件が堅調に推移し、増収となりました。
利益につきましては、異業種からの市場参入を背景とする価格競争の影響により、前年同一期間並みとなりました。
以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高93億45百万円(前年同一期間比2.3%増)、営業利益5億73百万円(前年同一期間比0.5%増)、経常利益5億72百万円(前年同一期間比0.2%増)、当期純利益3億80百万円(前年同一期間比8.0%増)となりました。
当社は、単一セグメントであるため、サービス別に売上高の内訳を記載しております。
コールセンターサービス
コールセンターサービス分野の売上高は、地方自治体のスポット案件の積み上げが堅調に推移したものの、民間向けの案件で新型コロナウイルス感染症の影響による案件規模の縮小などがあり、 46億円(前年同一期間比4.2%減)となりました。
BPOサービス
BPOサービス分野の売上高は、地方自治体のマイナンバー関連業務の新規受注や官公庁のデータ入力業務、事務処理業務が伸長し、47億45百万円(前年同一期間比9.6%増)となりました。
当事業年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが79百万円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローが1億51百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが1億61百万円の支出となりました。この結果、当事業年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べて3億92百万円減少し、13億81百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果使用した資金は、79百万円(前事業年度は3億55百万円の獲得)となりました。
これは主に、税引前当期純利益が5億60百万円、減価償却費1億80百万円、固定資産除却損9百万円、売上債権の増加10億44百万円、たな卸資産の増加17百万円、仕入債務の増加46百万円、賞与引当金の増加1億93百万円、役員賞与引当金の増加4百万円、退職給付引当金の増加21百万円、受注損失引当金の減少8百万円、未払費用の増加49百万円、未払消費税等の増加90百万円、法人税等の支払額1億16百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、1億51百万円(前事業年度は4億17百万円の支出)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出1億32百万円、無形固定資産の取得による支出10百万円、敷金及び保証金の差入による支出9百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果使用した資金は、1億61百万円(前事業年度は2億93百万円の獲得)となりました。
これは主に、長期借入金の返済による支出99百万円、配当金の支払による支出60百万円によるものであります。
当社は、BPO事業を営んでおり、その提供するサービスは役務であり、生産量の測定が極めて困難であるため、記載を省略しております。
主に当社が顧客と締結している契約で規定されているのは、料金算定の基礎となる単価等であり、受注金額の算定に必要なコールセンター座席数や入力の要員等については、コール予想・発注想定数等により頻繁に変動します。また、コール処理実績や入力出来高に応じて売上が計上される契約については受注金額の特定が極めて困難であります。従いまして、受注金額を確定することが困難な状況であるため、記載を省略しております。
当社は、BPO事業の単一セグメントのため、当事業年度の販売実績をサービス別に示しますと、次のとおりとなります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容については、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
経営成績の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b. 財政状態の分析
(資産、負債及び純資産の状況)
資産の部
流動資産は42億99百万円となり、前事業年度末に比べ6億50百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金の減少3億92百万円、受取手形の増加5百万円、売掛金の増加10億39百万円、未収入金の減少10百万円、未収還付法人税等の減少3百万円、仕掛品の増加17百万円、前払費用の増加22百万円によるものであります。
固定資産は11億27百万円となり、前事業年度末に比べ27百万円増加となりました。これは主に、固定資産の取得による増加1億25百万円、減価償却費の計上1億80百万円、除却による減少8百万円、敷金及び保証金の増加3百万円、繰延税金資産の増加88百万円によるものであります。
その結果、資産合計は54億26百万円となりました。
負債の部
流動負債は17億19百万円となり、前事業年度末に比べ4億39百万円の増加となりました。これは主に、買掛金の増加46百万円、未払金の減少68百万円、未払費用の増加49百万円、未払法人税等の増加1億76百万円、未払消費税等の増加90百万円、預り金の減少42百万円、賞与引当金の増加1億93百万円、役員賞与引当金の増加4百万円、受注損失引当金の減少8百万円によるものであります。
固定負債は6億26百万円となり、前事業年度末に比べ81百万円の減少となりました。これは主に、長期借入金の減少99百万円、退職給付引当金の増加21百万円によるものであります。
その結果、負債合計は23億46百万円となりました。
純資産の部
純資産合計は30億80百万円となり、前事業年度末に比べ3億19百万円の増加となりました。これは主に、当期純利益による増加3億80百万円、配当金の支払による減少60百万円によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る内容
a. キャッシュ・フローの状況分析
キャッシュ・フローの状況の詳細は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b. 資本の財源及び資金の流動性に係る内容
当社の運転資金は、主にコールセンターサービスやBPOサービスの提供のための労務費の支払いに費やされており、販売費及び一般管理費に計上される財・サービスに対しても同様に消費されております。また、設備投資資金は、サービスを提供するための各種コンピュータシステムの構築、情報システムの整備等に支出されております。これらの必要資金は、利益の計上、減価償却費等により生み出される内部資金により賄うことを基本方針としております。
当事業年度におきましては、既存設備の更新及び増強等の設備投資を継続的に実施しており、これらは内部資金により賄っております。
運転資金及び設備投資資金の調達は内部資金により賄うことを基本としておりますが、状況に応じて金融機関からの借入も検討しながら、資金の流動性と適切な資金の確保に努め今後も流動性を維持してまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定等については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。財務諸表の作成にあたっては、資産・負債の評価及び収益・費用の認識に影響を与える見積り及び判断を行っております。これらの見積り及び判断に関しては、継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
a.繰延税金資産
当社は、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。
b.受注損失引当金
当社は、官公庁や民間企業に対して顧客のコールセンターの構築・運営を行うコールセンターサービス、事務代行や人材派遣等行うBPOサービス等、複数のサービスを行っております。
受注損失引当金の計上に当たっては、将来の損失見込額を受託業務の労務費、経費等の総見込原価から当該契約より得られると見込まれる収益総額を控除して算定しております。そのため将来の見込収益総額及び総見込原価の見積りが重要な仮定となっております。将来の見込収益総額及び総見込原価は、受託業務それぞれのサービスの種類や契約条件等を考慮して見積りを行う必要があり、複雑性が高く、不確実性を伴うものであります。見積りの前提条件の変更や想定外の事象の発生等により、実際の発生は見積りと異なることがあり、受注損失引当金の計上金額が修正される可能性があります。
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