このような経済情勢の中、当社グループは世界各地の顧客、業界の課題解決に向けて、ニット製品の可能性を大きく広げるホールガーメント横編機、バーチャルサンプルによって商品企画のプロセスを飛躍的に効率化できるデザインシステムをはじめ、生産工場やアパレル企業のビジネスモデル変革やサステナブルなもの創りを実現するための製品・サービス・ソリューションの提案活動に注力しました。
当連結会計年度の売上の状況は、横編機事業において、中国や欧州市場で経済活動の再開にともなう設備投資が活発となりホールガーメント横編機等の販売が伸長しました。デザインシステム関連事業においては、横編機事業の売上増加にともない販売台数が増加しました。手袋靴下編機事業においても、国内及び海外大手ユーザーの設備投資が順調となり販売が増加しました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は309億98百万円(前期比26.6%増)となりました。利益面におきましては、物流費や原材料費の高騰の影響はあったものの、工場操業度が改善したことにより売上総利益率は回復傾向となり、さらに販売費及び一般管理費の抑制に努めた結果、営業損失は改善し42億96百万円(前期は営業損失91億43百万円)、経常損失34億0百万円(前期は経常損失72億73百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失35億89百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失178億66百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(横編機事業)
当社のコア・ビジネスである横編機事業は、アジア地域では、中国市場においてOEM型生産から国内衣料品市場に向けた高付加価値商品のもの創りへの転換を図るとともに、EC市場の拡大にともないリードタイム短縮や人件費上昇と人手不足から省人化を進める動きは強く、主にファインゲージのホールガーメント横編機の導入が伸長しました。さらに韓国市場においてもホールガーメント横編機等の販売が増加しました。
欧州では、付加価値の高い商品開発を得意とするイタリア市場において、経済活動の再開にともない設備投資が活発化し、ホールガーメント横編機や高いデザイン性を発揮する成型編機を中心に需要が増加しました。
中東のトルコ市場においては、第3四半期から第4四半期にかけて海外アパレルからの受注による設備投資が活発となりコンピュータ横編機を中心に売上高が伸長しました。
国内市場においては、ホールガーメント横編機等の販売台数は前期に比べて増加しました。
これらの結果、横編機事業の売上高は206億92百万円(前期比33.1%増)、セグメント利益(営業利益)は5億88百万円(前期は営業損失32億81百万円)となりました。
(デザインシステム関連事業)
デザインシステム関連事業は、アパレルデザインシステム「SDS-ONE APEX4」については横編機事業の売上増加にともない海外市場を中心に販売台数が増加し、さらに今期より本格的にスタートした「APEXFiz」は欧米、国内アパレルブランドを中心にライセンス契約数が伸長しました。また自動裁断機「P-CAM」についても国内を中心に需要が回復傾向となりました。
これらによりデザインシステム関連事業の売上高は28億69百万円(前期比14.4%増)、セグメント利益(営業利益)は7億32百万円(前期比544.6%増)となりました。
(手袋靴下編機事業)
手袋靴下編機事業は、国内及び海外大手ユーザーの設備投資が順調に伸びたことにより売上高は24億46百万円(前期比24.2%増)、セグメント利益(営業利益)は14百万円(前期は営業損失2億42百万円)となりました。
(その他事業)
その他事業については、メンテナンス部品や紡毛糸の販売などで、売上高は49億89百万円(前期比11.8%増)、セグメント利益(営業利益)は5億28百万円(前期比4,247.4%増)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%を占める相手先がいないため、記載はありません。
(2) 財政状態
当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金、売上債権の減少などで、前連結会計年度末に比べて83億31百万円減少し、1,018億9百万円となりました。負債合計は短期借入金の減少などで前連結会計年度末に比べて70億90百万円減少し、130億13百万円となりました。純資産は利益剰余金の減少などで12億40百万円減少し、887億95百万円となりました。また、自己資本の額は前連結会計年度末に比べて12億34百万円減少し887億61百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末より5.5ポイント上昇し87.2%となりました。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて13億11百万円減少し、242億71百万円となりました。
各活動別のキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
税金等調整前当期純損失の計上となりましたが、売上債権の減少や棚卸資産の減少などにより、当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは61億96百万円の資金の増加となりました。(前連結会計年度は59億37百万円の資金の増加)
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
有形固定資産の取得による支出などにより、当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは10億23百万円の資金の減少となりました。(前連結会計年度は12億99百万円の資金の増加)
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
短期借入金の返済や配当金の支払いなどにより、当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは77億59百万円の資金の減少となりました。(前連結会計年度は37億76百万円の資金の減少)
当社グループの資本の財源および資金の流動性については次のとおりであります。
当社グループの資金需要の主なものは、事業活動にかかる運転資金、生産能力増強・生産効率化のための設備投資及び新製品開発・成長領域での製品開発投資等によるものであります。資金調達においては、資金の使途、目的に対応して、営業活動から得られるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入等、多様な調達方法を組み合わせて低コストかつ安定的な資金を確保するように努めております。財務の安全性を示す指標である自己資本比率及び流動比率は、当連結会計年度末においてそれぞれ、87.2%、910.3%となり、極めて良好な財務状態を保っております。今後も当社グループが将来にわたり世界のリーディングカンパニーとして強固な地位を占め、安定的に成長を維持するために必要な運転資金、設備投資資金及び製品開発投資資金は、良好な財務状態および営業活動により、充分調達することが可能と考えております。
昨今の新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、依然として先行きは不透明な状況が続いておりますが、現時点で必要充分な手許資金を確保しており、また必要に応じて金融機関等から資金調達が可能な体制を整えております。
株主還元については経営の最重要課題のひとつとして位置付けており、事業の持続的な発展を通じて、安定した配当を長期にわたって継続することを基本方針としております。中期経営計画「Ever Onward 2023」に基づき、業績の黒字化を実現し、連結配当性向30%を目安とするとともに、株価水準や資金の状況、市場環境などを総合的に勘案し、時機に応じて柔軟に自己株式の取得を行うなど、資本効率の向上にも努めるものとしております。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えております。
当社グループは、債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その回収可能性が低下した場合、見積りを変更する必要が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価について、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(企業会計基準適用指針第26号)」に従い将来の課税所得を見積り、回収可能と認められない金額について評価性引当額を計上しております。当該見積りについて、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、固定資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損処理の要否を検討しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
④投資有価証券の減損
当社グループは、その他有価証券のうち、取得価額に比べ実質価額が著しく下落したものにつきましては、回復可能性があると認められる場合を除き、減損処理を行っております。時価のある有価証券につきましては、期末日における時価の簿価に対する下落率が50%以上の場合には、回復可能性はないものと判断し、30%以上50%未満の下落の場合には、当該有価証券の発行会社の財務状況及び将来の事業計画などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。時価のない有価証券につきましては、その有価証券の発行会社の1株当たり純資産額が、取得価額を50%程度以上下回った場合に回復可能性がないものとして判断し、30%以上50%未満の場合には、当該有価証券の発行会社の財務状況及び将来の事業計画などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。
将来の時価の下落または投資先の業績不振や財政状態の悪化により、評価損の計上が必要となる可能性があります。
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