業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

当社は、空調システム機器の開発・製造・販売の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載は省略しております。

 

①財政状態の状況

当事業年度末における総資産は、前事業年度末より2,231,563千円増加し、15,157,381千円となりました。

当事業年度末における負債は、前事業年度末より1,643,754千円増加し、8,183,986千円となりました。

当事業年度末における純資産は、前事業年度末より587,809千円増加し、6,973,395千円となりました。

 

②経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、期初から新型コロナウイルス禍の再拡大の影響により、不透明な状況でスタートしました。その後ワクチン接種の進捗や緊急事態宣言の解除等により、段階的な経済活動の再開で、一時的に景気は持ち直しの傾向が見られました。

しかし、新たな変異株による新規感染が拡大したことや、海外のサプライチェーンにおける半導体や電子部品等の供給制約が長期化したことに加え、ウクライナ情勢にかかる地政学的な影響により、資源・部材価格の高騰、部品の供給不足などが深刻化し、先行きの不透明感は拡がりました。

当社の関わる空調業界においては、経済活動の再開により先送りされていた案件の進捗も見られましたが、サプライチェーンの寸断、資源を中心とした市場価格の高騰などの要因から、建設投資・設備投資が先送りされるなどの影響を受け厳しい状況となりました。

このような世界情勢のもと当社は、年度前半は工期の先送りなどの影響を受けましたが、受注は堅調に推移しました。その結果、後半以降は当期に販売を開始した主力製品のルーフトップ外調機の改良型や、大型の工場案件で冷温水式エアハンドリングユニットが持ち直し、主に産業分野や病院などの保健分野において回復してきました。

この結果、当期の経営成績は、売上高10,200,156千円(前年同期比3.1%減)、営業利益1,088,505千円(同22.2%減)、経常利益1,331,266千円(同5.6%減)、当期純利益877,540千円(同8.6%減)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税引前当期純利益が1,294,420千円、有形固定資産の取得による支出1,409,232千円、長期借入れによる収入750,000千円、売上債権の増加額1,005,170千円、法人税等の支払額427,989千円等により2,249,627千円(前事業年度末は2,341,386千円)となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は233,600千円(前事業年度は1,818,472千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益が1,294,420千円、売上債権の増加額1,005,170千円、法人税等の支払額427,989千円、仕入債務の増加額379,348千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は1,076,100千円(前事業年度は1,730,182千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,409,232千円、保険積立金の解約による収入410,670千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は750,742千円(前事業年度は1,013,331千円の収入)となりました。これは主に、長期借入れによる収入750,000千円、短期借入金の増加額420,000千円、自己株式の取得による支出197,879千円、配当金の支払額94,736千円、長期借入金の返済による支出60,332千円等によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

 当社は、空調システム機器の開発・製造・販売の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の実績につきましては、品目別に記載しております。

a.生産実績

 当事業年度の生産実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。

品目の名称

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

冷温水式AHU(千円)

1,947,893

125.6

冷温水式FCU(千円)

643,322

85.7

空冷HP式空調機&外調機(千円)

5,220,511

91.4

冷温水式&空冷HP式工場用ゾーン空調機(千円)

689,587

106.8

その他(千円)

1,581,576

106.3

合計(千円)

10,082,890

99.4

(注)金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

 当事業年度の受注実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。

品目の名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

冷温水式AHU

2,266,286

161.4

679,070

205.6

冷温水式FCU

679,559

96.3

117,732

128.5

空冷HP式空調機&外調機

6,443,716

127.4

2,348,336

191.0

冷温水式&空冷HP式工場用ゾーン空調機

740,811

111.9

281,832

106.8

その他

1,794,653

128.8

410,794

207.8

合計

11,925,026

129.3

3,837,765

181.6

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。

品目の名称

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

冷温水式AHU(千円)

1,917,525

120.0

冷温水式FCU(千円)

653,480

84.8

空冷HP式空調機&外調機(千円)

5,324,616

90.7

冷温水式&空冷HP式工場用ゾーン空調機(千円)

722,966

90.1

その他(千円)

1,581,568

106.5

合計(千円)

10,200,156

96.9

(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は特定の顧客への売上高が10%以上でないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社は空調システム機器の開発・製造・販売の単一セグメントであるため、セグメントごとの経営成績の状況の記載を省略しております。

a.財政状態

(資産)

当事業年度末における総資産は、15,157,381千円(前事業年度末12,925,817千円)となり、2,231,563千円増加いたしました。これは主に、有形固定資産の増加1,212,549千円、売上債権の増加1,005,170千円等によるものであります。

(負債)

当事業年度末における負債は、8,183,986千円(前事業年度末6,540,231千円)となり、1,643,754千円増加となりました。これは主に、借入金の増加1,109,668千円、仕入債務の増加379,348千円、退職給付引当金の増加99,154千円等によるものであります。

(純資産)

当事業年度末における純資産は、6,973,395千円(前事業年度末6,385,585千円)となり、587,809千円増加いたしました。これは主に、当期純利益877,540千円の計上、自己株式の取得による減少197,288千円、剰余金の配当による減少94,769千円等によるものであります。

 

b.経営成績

(売上高)

新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種が進み、新規感染者が抑えられたものの、新たな変異株の発生により感染が再拡大したことや、サンプライチェーンにおける供給制約の長期化、資源を中心とした市場価格の高騰などの要因から、建設投資・設備投資が先送りされるなどの影響を受け厳しい状況となりました。分野別において、産業分野では工場用空調が堅調に推移しました。商業分野では換気に対する意識の高まりから外調機の導入が進んだものの前年同期比で減収しました。保健分野では病院・介護老人保健施設関連が堅調に推移しました。この結果、売上高は10,200,156千円(前年同期比3.1%減)となりました。

(売上原価、売上総利益)

売上原価は、前事業年度に比べ32,077千円増加し、6,256,984千円となりました。これは主に、原材料価格の高騰等によるものであります。

以上の結果、売上総利益は前事業年度に比べ357,529千円減少し、3,943,172千円となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ46,769千円減少し、2,854,667千円となりました。これは主に、売上減少による荷造運搬費の減少によるものであります。

以上の結果、営業利益は前事業年度に比べ310,760千円減少し、1,088,505千円となりました。

(営業外損益、経常利益)

営業外収益は、前事業年度に比べ219,131千円増加し、282,229千円となりました。これは主に、助成金収入の増加及び当事業年度において保険解約返戻金が発生したことによるものであります。また、営業外費用は、前事業年度に比べ12,138千円減少し39,467千円となりました。これは主に、債権売却損の減少及び前事業年度において保険解約損が発生したことによるものであります。

以上の結果、経常利益は前事業年度に比べ79,489千円減少し、1,331,266千円となりました。

(特別損益、当期純利益)

特別損失は、前事業年度に比べ27,512千円増加し、36,846千円となりました。これは、固定資産除却損の増加によるものであります。

以上の結果、当期純利益は前事業年度に比べ82,601千円減少し、877,540千円となりました。

 

当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、市場動向、資材費動向、事故・災害・感染症拡大等、様々なリスク要因があると認識しております。

当社の事業が関係する空調業界におきましては従来の快適性に加え、健康で衛生的な空間の実現が求められると同時に、省エネや温室効果ガス削減等の環境対応、製造現場の暑さ対策等の労働環境改善などの社会的欲求が拡大しております。

市場動向に対しては、分野・用途毎に多様性のある空調ニーズに対し、先進的で付加価値の高い空調システム機器の開発を推進しております。主な開発内容については、第2「事業の状況」の5「研究開発活動」に記載のとおりであります。

資材費動向に対しては、鋼材、非鉄金属、原油等の価格上昇への対応、資材取引先との関係を強化し、従来以上に密接な情報交換を行い、更なるコスト削減努力を行ってまいります。

事故・災害・感染症拡大に対しては、現場作業に携わる作業員の意識改革等の継続的な現場管理活動、従業員を感染症から守るための安全衛生管理により、事業継続へ影響を与えるような事故・災害・感染症拡大の事前抑制に努めます。

今後につきましては、引続き新型コロナウイルス感染症の影響が残るものの、徐々に経済活動は正常化に向けて戻るものと思われます。しかし一方で、ウクライナ問題や資源価格の高騰や前期から続いている電子部品の供給不安定化により、景気の見通しは一層不透明化しています。

空調業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響から「換気」の重要性が再認識され、事業環境に変化が表れてきました。一方で、先送りにされていた案件が進捗するものの、世界経済の先行き不透明感、資源・部材の価格高騰や供給不安等による投資計画、工期の先送りリスクは引続き考えられます。

このような中、産業分野では、新たに高井田新工場に設置した新開発の「工場用陽圧換気空調システム」の認知度向上と市場開拓を推進、商業分野では、「換気」をキーワードとした外調機の提案営業を積極化、保健分野では、加湿・換気・熱回収を重視したクリーン&ウェルネスで営業を展開していくことにより業績の向上に努めてまいります。

また、高井田新工場が2022年4月より稼働したことに加え、八尾製作所の建替え等に取り組むことで、生産効率の向上、生産力増強を図ります。

さらには、環境に配慮した製品開発や生産工程の見直しなどでサステナビリティへの対応を進め、事業の発展に努めてまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の当事業年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社の必要資金は、当社製品の製造販売に係る原材料費、経費、販売費及び一般管理費等の運転資金及び設備投資に係る投資資金が主なものです。

財務状況は健全性を保っており、現金及び現金同等物等の流動性資産に加え、営業活動によるキャッシュ・フロー、借入金による資金調達により、事業拡大に必要な資金を十分に賄えると考えています。

また、金融市場の混乱や新型コロナウイルスの影響を受ける期間等、緊急に資金が必要となる場合に備え、金融機関と当座貸越契約を締結し、資金流動性を確保しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、資産・負債や収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積り及び判断・評価は、過去の実績等を勘案し合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

当社の財務諸表で採用する重要な会計方針及び当該見積りに用いた仮定は、第5「経理の状況」の1「財務諸表等」の注記事項「重要な会計方針」、「重要な会計上の見積り」及び「追加情報」に記載のとおりであります。

 

④経営上の目標の達成状況について

当社は売上高営業利益率を重要な経営指標として位置付けております。当事業年度における売上高営業利益率は10.7%(前年同期比2.6ポイント減少)であります。引き続きこの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。

 

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