課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

当社グループの経営理念は「仕濾過事」(ろかじにつかふる)であります。

「仕濾過事」(ろかじにつかふる)には、フィルタビジネスを通じて社会に貢献するという意思が込められており、当社グループは、この不変のDNAを通じ、フィルタビジネスを通じて「環境」、「空気」、「健康」をテーマにESG等の社会的課題解決に取り組み、コーポレート・サステナビリティの強化に努めるとともに、企業価値の最大化を図ってまいります。

 また、企業価値の最大化の実現に向け、当社グループでは以下の三つの規範(経営姿勢、使命、行動指針)を掲げております。

第1は、お客様の満足度を最優先に考える「経営姿勢」であります。当社グループはお客様と一体となり高品質で高付加価値の製品を開発提案することによりお客様に満足いただけるよう最大限の努力をしてまいります。

第2は、フィルタ業界では世界で唯一のろ材の自社開発から製造販売に至る一貫生産体制により、フィルタのスペシャリストとして、地球環境の維持・改善に貢献する、常に一歩先を行く製品の研究開発を通じ付加価値の高い製品をお客様のニーズにタイムリーに提案することでお客様に最適なサービスを提供することを最大の「使命」と考えております。

第3は、常に高い目標に挑戦し、労を惜しまず誇りと品格を持ち誠実な行動と成果を追求し続けることが当社グループの「行動指針」であります。
 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、企業活動から生み出される付加価値を示す当社独自の指標であるMARVY's(マービーズ)を設定しております。そしてその付加価値の持続的向上に向け、資本コスト(WACC)の最適化を意識した経営を進め、投下資本の効率性(ROIC)を図るとともに、自己資本利益率(ROE)、純資産利益率(ROA)を経営指標として採用しております。

当社グループとしては、上記の指標のうち、ROEを特に重視しており、当該指標の当期の実績は0.2%となっております。また、当該指標については20%以上を目標としております。

 

(3)当社グループを取り巻く経営環境

当社グループの主要市場である油圧ショベルを中心とした建設機械市場の動向は、依然としてロックダウンが継続する中国市場を除く主要地域において、各国経済の回復に向けたインフラ投資や資源需要の増加に伴い、建機の稼働時間と新車需要は全体として高い水準で推移しております。しかしながら、ロシア、ウクライナ情勢の深刻化による、エネルギー・原材料価格の急騰や物流コストの更なる上昇、急速なインフレ圧力に伴う金融市場の変動など、依然として先行きの見通せない状況が継続しております。

とりわけ、世界的なコンテナ船の需要急増に伴う海上輸送費の高騰やその代替輸送手段としての航空費用の増加及びアルミや鋼材等の主要原材料価格の高騰といった要因が、当連結会計年度においても当社の業績に大きな影響を与えることが想定されます。

 

(4)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

当社グループは、1956年創業以来、経営理念として「仕濾過事」(ろかじにつかふる)を掲げ、 お客様やビジネスパートナーに対してはもちろん、国や地域、自然や地球環境に対してもよい関係をつくり、社会的な責任を果たしてまいります。この理念は2015年、国連にて採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の考え方とも合致しています。社会を構成する一員として、企業に対しても大きな期待が寄せられている中、当社グループは技術力を生かした新たな価値創造・社会課題の解決と環境保護・保全活動で社会に貢献してまいります。

また、当社グループは、経営戦略上の中長期的な目標として、「建設機械フィルタの専門メーカから総合フィルタメーカへの飛躍」-Yamashin Paradigm Shift- を掲げており、既存事業である建機用フィルタビジネス、エアフィルタビジネスの拡大に加え、産業資材としての活用やM&A、事業提携を踏まえた新規事業ポートフォリオの確立に取り組み、時価総額1兆円企業を目指し、中期的持続的成長を実現するために、次に掲げる課題に重点的に取り組んでまいります。

 

① 事業ポートフォリオの拡大

建機用フィルタ事業においては、新技術や高付加価値化の実現による製品ラインナップの拡充や中国市場でのシェア拡大に加え、当社が確立したナノファイバーの量産化技術を軸に、主要建機メーカの次世代グローバルスタンダードとして、ナノファイバー製油圧フィルタの開発供給を進めてまいります。また、第2の事業セグメントである、エアフィルタ事業においては、ナノファイバー技術による差別化製品の開発に努め、海外市場も視野に積極的なM&Aを含む当該事業の拡大を迅速に進めてまいります。更には、第3の事業ポートフォリオとして、様々な産業資材としての活用を踏まえた新たな事業の確立により、当社グループ全体の企業価値の向上を図ってまいります。

 

② 収益性の改善

当社グループでは、利益創出体制の確立を企図した全社的プロジェクトである「Project PAC 22」を立ち上げ、販売、生産、開発及び物流拠点の最適化を図り、グローバルサプライチェーンを強化し、主要市場における品質管理・保証体制を踏まえた製品供給機能、生産機能及び開発機能の適切な連携体制を整備することで継続した収益性の改善を図ってまいります。

 

③ 人材の育成強化

当社グループは、日本・欧米・アジア地域に販売会社、アジア地域に生産会社及び開発会社を子会社として擁し、グローバルに事業展開しておりますが、今後は、海外M&Aも踏まえた事業展開も想定されることから、より一層海外拠点の重要性が増すと考えております。このため、当社グループでは、日本国内のみならず海外拠点を含めたグループ全体の経営管理体制を担う有用な人材を育成・確保すべく、ダイバーシティ(人材の多様性)を踏まえた人材採用育成プログラムを新たに策定し、次世代の人材力強化に取り組んでまいります。

 

④ ガバナンスの更なる充実

当社グループは、持続的な事業成長と中期的企業価値の最大化を図ることを目的に、ガバナンス、コンプライアンス研修の拡充やフェアディスクロージャーを踏まえた情報管理の徹底等の取り組みを継続して実施しております。また、グループ会社が行う業務執行に関するリスクの監視・牽制機能(モニタリング)、内部監査で実施される評価業務の支援を目的とした社内委員会として、取締役社長の諮問機関である業務監理委員会を立上げました。同委員会を通じ、より一層牽制機能の強化等による業務執行の適切な監督を行うことで経営の透明性と質の向上を図り、アカウンタビリティ(説明責任)をより明確に果たし、コーポレート・ガバナンスの強化に努めてまいります。

 

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