研究開発活動

5 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、顧客の様々な仕様に合わせたフィルタ製品に対して、品質はもとより要求されるスピードに対応できる信頼性と顧客満足を獲得することを目指して行っております。特に当社グループでは、フィルタ製品の心臓部に当たるフィルタエレメントに使用される「ろ材」の独自開発を行っており、多種多様な用途で使用されるフィルタ製品を顧客ニーズに即応できる様、製品開発を行っております。

 当社グループの研究開発体制につきましては、当社では「ろ材」及び構成部品の研究・開発を行っており、子会社であるYAMASHIN FILTER(SIP)TECHNOLOGY INC.では製品評価試験業務などを行っております。

 当社グループは、建機用フィルタについては、油圧ショベルの作動油回路用フィルタ製品に加え、燃料用フィルタやエンジンオイル用フィルタ製品などの開発にも積極的に取り組み、合わせてICT(情報通信技術)やIoT(Internet of Things)による高機能化や高付加価値化を進め、新サービスを展開するための技術開発を行っております。産業用フィルタについては作動油・潤滑油用フィルタなどの市場分野において、また、プロセス用フィルタについては洗浄・飲料用フィルタなどの市場分野において、既存製品で蓄積したノウハウを活用し、製品開発を行っております。

 フィルタろ材開発において、使用される状況や捕獲したゴミに応じて最適な性能を発揮するために、ろ材構造や材質に対する研究活動を行っております。具体的には、ガラス繊維を中心に、異なる繊維形状(太さや密度)を組み合わせた多層ろ材開発など、既に様々な当社製品に展開されております。今後は、より高度な市場の要求や課題解決を可能にするろ材開発を積極的に進めてまいります。

 併せてフィルタ開発のみならず、現在では油圧回路内を循環する作動油の汚染度をリアルタイムに測定できるセンサ開発とフィルタの目詰まりを把握する圧力センサ開発を進めております。作動油の汚染度情報をリアルタイムに把握することは、油圧機器の故障予防・予知の観点からも非常に重要であり、またフィルタの目詰まり状況を把握し、寿命を予測することで適切なフィルタ交換時期をユーザーへ提供可能とすることは、純正品を使用するメリットをユーザーへ訴求できるものと考えております。当期より製品の理解を深めてもらえる機会として、弊社内にて汚染度センサ、圧力センサを搭載した建設機械を稼働させ、デモンストレーションを行う、Web見学会を開催しております。今後も製品の理解を深めてもらえる様、様々な取り組みを増やしてまいります。

 さらに、当社グループは、経営戦略上の中期的な目標として「建設機械フィルタの専門メーカから総合フィルタメーカへの飛躍」を掲げており、従来のガラス繊維ろ材に代わる新ろ材として、「合成高分子系ナノファイバー」の開発を引き続き行っております。「合成高分子系ナノファイバー」は、天然素材のガラス繊維に比し繊維径がきわめて細く、また繊維長の調整が可能であることから、ろ材として非常に優れた特性を有する素材であり、これを次世代ろ材に使用することで、①不純物のより効果的なろ過、②油圧システム内の作動油の循環効率の向上及び③フィルタの交換サイクルの長期化が可能となります。

 「合成高分子系ナノファイバー」による「ろ材」は前期製品化され、建設機械メーカに採用されております。さらなる研究開発を行い、低圧損、長寿命の特性を有する「ろ材」の開発を進めてまいります。

 また、建設機械用以外の分野においてもエアフィルタ材料としての検討を進めており、高い捕集性能と低圧力損失の製品の開発を進めております。エアフィルタ材の一つとしてPM2.5用ナノファイバーろ材は今期製品化されました。また、接着剤を使わない製法を生かして既存のガラス繊維に置き換わるナノファイバーを利用したオイルミスト用フィルタの開発を行いました。今後も従来品より低圧損、高捕集効率なエアフィルタとして製品化を進めてまいります。

マスク関連では、N95規格と同等性能を有する日本の国家認証であるDS2の認証を取得したマスク、及び、医療用レベルの性能を有するマスクを始めとした当社マスク製品に対し、「合成高分子系ナノファイバー」を更に改良し、より「呼吸のし易い」マスクの製品化を実現させました。

 また、当社マスク製品の特長である「漏れ難さ」を訴求した広報活動を行い、医療関係者向けのみならず一般用途向けに対しても、使用機会を増やすことによる感染拡大抑制に努めてまいります。

 その他の分野としましては、断熱材として衣料分野での採用も決定しており、その他、難燃材として建材への活用や電気自動車向けの断熱・吸音材、日用品やライフサイエンスなど様々な分野に応用することを検討しております。

 また、ESGの観点からリサイクル樹脂によるナノファイバー紡糸技術開発にも取り組んでおり、環境配慮型製品として化石燃料由来の樹脂からバイオマス由来の樹脂を用いての高分子ナノファイバー紡糸にも着手しております。

 当社グループでは、当社独自製造技術に基づく「ナノファイバー」の製品化に向けた研究開発を今後進めることにより、既存事業の更なる高付加価値化及び競合他社との差別化を図るとともに、新素材技術の活用による新規事業領域への進出にも積極的に取組んでまいります。

 これらの結果、当連結会計年度における研究開発費は561百万円となりました。

 

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