(1)経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
イ.経営成績
当連結会計年度における経営環境は、経済政策の効果により中国・欧米などで緩やかな回復がみられるものの、米中貿易摩擦の長期化や新型コロナウイルス感染者の増加により、依然として先行き不透明な状況で推移いたしました。
当社グループが属する半導体製造装置業界におきましては、サーバーや5G(次世代移動通信)、リモートワーク向けなどIT投資用途の半導体の需要の拡大による設備投資は堅調に推移いたしました。
このような状況のなか当社グループは、中長期的な成長に向けて、顧客ニーズに対応した装置の開発や生産活動に注力してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は220億1百万円(前年同期比12.7%増)の増収となりました。利益面では原価低減活動の効果により、営業利益20億92百万円(前年同期比10.9%増)、経常利益22億18百万円(前年同期比20.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益17億49百万円(前年同期比3.3%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(プロセス機器事業)
半導体装置部門につきましては、コロナ禍でリモートワーク向けなどのIT投資関連の需要が伸びたことによる設備投資が堅調であったため、売上高は46億3百万円(前年同期比13.8%増)となりました。
搬送装置部門につきましては、顧客である半導体装置メーカーからの受注が好調であり、売上高は55億26百万円(前年同期比3.9%増)となりました。
洗浄装置部門につきましては、ウェーハメーカーの設備投資が堅調であり、売上高は37億30百万円(前年同期比35.2%増)となりました。
コーター部門につきましては、コロナ禍で海外出張制限があるなか、海外メンバー中心に装置納入の立ち上げ対応をしたことにより、売上高は36億66百万円(前年同期比43.9%増)となりました。
以上の結果、プロセス機器事業の売上高は175億28百万円(前年同期比19.4%増)、営業利益19億92百万円(前年同期比14.8%増)となりました。
(金型・樹脂成形事業)
金型・樹脂成形事業につきましては、電子部品業界の業績が回復したことに加えコスト削減効果があり、売上高は15億72百万円(前年同期比16.3%増)、営業利益87百万円(前年同期比119.9%増)となりました。
(表面処理用機器事業)
表面処理用機器事業につきましては、新型コロナウイルスの影響でプリント基板メーカーの設備投資が遅延し、製造拠点の中国工場の稼働率が前半に大幅に低下したことから、売上高は29億円(前年同期比16.9%減)、営業利益13百万円(前年同期比86.7%減)となりました。受注においては、プリント基板メーカーの設備投資は回復傾向にあり、後半にかけて大幅に増加いたしました。
ロ.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は220億75百万円となり、前連結会計年度末に比べ24億24百万円増加しました。これは、「電子記録債権」が11億78百万円減少したものの、「受取手形及び売掛金」の増加20億61百万円、「原材料及び貯蔵品」の増加11億11百万円と「現金及び預金」の増加3億38百万円があったことが主な要因であります。
有形固定資産は58億70百万円となり、前連結会計年度末に比べ82百万円増加しました。これは、「建設仮勘定」の減少93百万円と「建物及び構築物」の減少10百万円があったものの、「機械装置及び運搬具」が2億30百万円増加したことが主な要因であります。
無形固定資産は1億47百万円となり、前連結会計年度末に比べ24百万円減少しました。これは、「ソフトウエア」が減価償却により25百万円減少したことが主な要因であります。
投資その他の資産は12億95百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億35百万円増加しました。これは、「繰延税金資産」が92百万円減少したものの、「投資有価証券」が2億円増加したことが主な要因であります。
これらの結果、当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度末に比べ26億18百万円増加し、293億90百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は134億57百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億3百万円増加しました。これは、「前受金」が13億38百万円減少したものの、「短期借入金」の増加11億23百万円、「支払手形及び買掛金」の増加4億18百万円、「電子記録債務」の増加4億9百万円と「1年内償還予定の社債」の増加3億円があったことが主な要因であります。
固定負債は23億57百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億84百万円減少しました。これは、「長期借入金」の減少3億72百万円と「社債」の減少3億円が主な要因であります。
これらの結果、当連結会計年度の負債総額は、前連結会計年度末に比べ6億18百万円増加し、158億15百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は135億74百万円となり、前連結会計年度に比べ20億円増加しました。これは、「利益剰余金」の増加15億33百万円と「為替換算調整勘定」の増加4億円が主な要因であります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ2億31百万円増加し、当連結会計年度末には29億81百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は3億36百万円(前年同期比84.6%減)となりました。これは税金等調整前当期純利益22億18百万円、減価償却費5億89百万円及び仕入債務の増加6億46百万円を主とする資金の増加、売上債権の増加6億52百万円、たな卸資産の増加9億96百万円と前受金の減少14億43百万円を主とする資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は7億95百万円(前年同期比9.4%減)となりました。これは生産設備の新増設並びに更新による支出4億70百万円、投資有価証券の取得による支出2億円及び定期預金への預入による支出90百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は5億23百万円(前年同期は10億59百万円の支出)となりました。これは短期借入金による11億80百万円、長期借入金による8億円を主とする資金の増加と長期借入金の返済による12億29百万円、配当金の支払い2億16百万円を主とする資金の減少によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
プロセス機器事業 (千円) |
12,679,010 |
124.4 |
|
|
半導体装置部門 (千円) |
2,662,742 |
118.2 |
|
搬送装置部門 (千円) |
3,787,449 |
99.7 |
|
洗浄装置部門 (千円) |
2,971,053 |
147.1 |
|
コーター部門 (千円) |
3,257,765 |
153.4 |
金型・樹脂成形事業 (千円) |
1,253,329 |
112.8 |
|
表面処理用機器事業 (千円) |
2,323,905 |
81.4 |
|
合 計 (千円) |
16,256,245 |
114.8 |
(注)1.金額は製造原価によっております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||||
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
||
プロセス機器事業 |
28,337,219 |
167.2 |
24,301,847 |
180.1 |
|
|
半導体装置部門 |
8,422,830 |
257.4 |
5,369,109 |
346.4 |
|
搬送装置部門 |
7,373,872 |
127.0 |
4,111,529 |
181.6 |
|
洗浄装置部門 |
8,636,065 |
341.6 |
7,989,491 |
259.0 |
|
コーター部門 |
3,904,450 |
73.0 |
6,831,717 |
103.6 |
金型・樹脂成形事業 |
1,725,572 |
128.3 |
347,748 |
178.5 |
|
表面処理用機器事業 |
4,246,995 |
142.0 |
2,676,437 |
201.2 |
|
合計 |
34,309,788 |
161.2 |
27,326,033 |
182.0 |
(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
プロセス機器事業 (千円) |
17,528,395 |
119.4 |
|
|
半導体装置部門 (千円) |
4,603,777 |
113.8 |
|
搬送装置部門 (千円) |
5,526,967 |
103.9 |
|
洗浄装置部門 (千円) |
3,730,925 |
135.2 |
|
コーター部門 (千円) |
3,666,724 |
143.9 |
金型・樹脂成形事業 (千円) |
1,572,629 |
116.3 |
|
表面処理用機器事業 (千円) |
2,900,785 |
83.1 |
|
合 計 (千円) |
22,001,810 |
112.7 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。
a.財政状態
財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 ロ.財政状態」に記載のとおりであります。
b.経営成績
経営成績の分析につきましては、「(1)経営成績等の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 イ.経営成績」に記載のとおりであります。
セグメントごとの経営成績の状況に関する分析は、次のとおりであります。
(プロセス機器事業)
当セグメントの当連結会計年度における売上高は175億28百万円(前年同期比19.4%増)、営業利益19億92百万円(前年同期比14.8%増)となりました。
半導体需要は堅調に推移しており、以前から取り組んでいるコスト削減活動や新型コロナウイルスの影響によって装置納入の立ち上げに伴う出張費が抑えられたことから、売上高、利益ともに計画を上回ることができました。
また、受注面では前年実績よりも獲得できなかった部門もありますが、大型案件の受注獲得ができた部門があり、当セグメント全体では前年実績を上回る受注残高を確保できております。
(金型・樹脂成形事業)
当セグメントの当連結会計年度における売上高は15億72百万円(前年同期比16.3%増)、営業利益87百万円(前年同期比119.9%増)となりました。
新型コロナウイルス感染拡大の影響からの回復がみられ、売上、利益ともに計画を上回りました。また、受注面においても需要が回復基調にあり、前年を上回る受注残高となっております。
(表面処理用機器事業)
当セグメントの当連結会計年度における売上高は29億円(前年同期比16.9%減)、営業利益13百万円(前年同期比86.7%減)となりました。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、プリント基板メーカーの設備投資の遅延があったため、売上、利益に影響があり、計画を大きく下回りました。受注面においては回復傾向にあり、前年実績を上回る受注残高を確保しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性にかかる情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、装置を生産するにあたり、原材料、外注費などの資金需要に対して、自己資金を基本としておりますが、不足分は金融機関からの借入金により調達しております。製造設備等の設備資金につきましては、自己資金及び金融機関からの借入金を基本としておりますが、金利動向や市場環境、資本の効率化に配慮し、株式・社債の発行により資金調達を行っております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、期末日の資産・負債の計上及び会計期間の収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや仮定を行う必要があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております要因が考えられます。特に、当社グループの主要事業でありますプロセス機器事業及び表面処理用機器事業におきましては、業界の設備動向に大きく影響を受け、経営成績は不安定な状況で推移しております。
このような状況を脱するために、半導体関連装置、液晶製造装置等以外の事業の確立を目指し、日々研究開発に取り組んでおります。事業の多角化と競合他社との差別化を図り、さらなる成長を目指してまいります。
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