① 経営成績
当社グループの当連結会計年度の業績は、国内外で移動制限の影響が継続したことにより航空機器、鉄道車両用機器では需要が減少したものの、産業用ロボット向け精密減速機では、自動車産業を中心とした世界的な設備投資が旺盛であったこと、及び建設機械向け油圧機器においても、中国市場における上半期での高い需要等が貢献し、連結売上高は299,802百万円、営業利益は30,017百万円となりました。また、㈱ハーモニック・ドライブ・システムズ(以下、ハーモニック社という)の持分法適用除外に伴う評価益等を計上したことにより、税引前当期利益は101,966百万円となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は64,818百万円となりました。
(単位:百万円)
当連結会計年度のセグメント別概況は次のとおりです。
[売上高]
(単位:百万円)
[営業利益]
(単位:百万円)
② 財政状態
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は288,900百万円、非流動資産は192,818百万円であり、その結果、資産合計は481,718百万円と前連結会計年度末比の増加129,995百万円となりました。主な増加要因は、ハーモニック社の持分法適用除外に伴う株式の再評価、及び同社株式の一部売却にかかる代金を受領したことによる資産の増加148,557百万円(現金及び現金同等物 77,862百万円、売却目的で保有する資産 44,519百万円、その他の金融資産 44,519百万円、持分法で会計処理されている投資 △18,341百万円)によるものです。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債は191,315百万円、非流動負債は35,408百万円であり、その結果、負債合計は226,723百万円と前連結会計年度末比86,640百万円の増加となりました。主な増加要因は、上記ハーモニック社株式の一部売却について、当連結会計年度末においては売却先へのリスクと経済価値の移転が実質的には完了していないため、受領した代金77,862百万円をその他の金融負債として計上したこと、及び未払法人所得税の増加13,089百万円によるものです。主な減少要因は、社債及び借入金の減少22,279百万円によるものです。
(資本)
当連結会計年度末の資本合計は254,995百万円となりました。親会社の所有者に帰属する持分合計は239,910百万円と前連結会計年度末比41,880百万円の増加となりました。主な増加要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益64,818百万円に伴う利益剰余金の増加によるものです。主な減少要因は、自己株式の消却による利益剰余金の減少18,394百万円、及び配当による利益剰余金の減少8,800百万円によるものです。
以上の結果、親会社の所有者に帰属する持分比率は49.8%となり、1株当たり親会社所有者帰属持分は1,999.10円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。) は、営業活動により獲得した資金36,340百万円、及びハーモニック社株式の一部売却にかかる資金の増加等を、主に借入金の返済、社債の償還、自己株式の取得、及び配当金の支払に充てた結果、112,771百万円と前連結会計年度末比48,106百万円の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは36,340百万円の資金の増加となりました。主な増加要因は、当期利益、減価償却費及び償却費、営業債務の増加によるものです。一方、主な減少要因は、棚卸資産の増加、及び法人所得税の支払によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは67,147百万円の資金の増加となりました。主な増加要因は、ハーモニック社株式の一部売却によるものです。一方、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは57,960百万円の資金の減少となりました。主な減少要因は、借入金の返済、社債の償還、自己株式の取得、及び配当金の支払によるものです。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと以下のとおりです。
(注) 1 上記の金額は、販売価格により、消費税等は含まれていません。
2 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値です。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと以下のとおりです。
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
2 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値です。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと以下のとおりです。
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
2 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値です。
3 総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 注記3.重要な会計方針 及び 注記4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1) 売上高
当社グループの当連結会計年度における売上高は、前期比7.3%増加し299,802百万円となりました。これは国内外で移動制限の影響が継続したことにより航空機器、鉄道車両用機器では需要が減少したものの、産業用ロボット向け精密減速機では、自動車産業を中心とした世界的な設備投資が旺盛であったこと、及び建設機械向け油圧機器においても、中国市場における上半期での高い需要等が貢献したことによるものです。
2) 営業利益
営業利益は、前期比5.2%増加し30,017百万円となりました。売上高営業利益率は10.0%となりました。
3) 税引前当期利益
金融収益は、主にハーモニック社の持分法適用除外に伴う評価益125,107百万円等により126,977百万円となりました。金融費用は、主に当連結会計年度末の株価に基づく同社株式の評価損54,412百万円、及び過年度に計上した同社の新株予約権にかかる評価益の取崩2,546百万円等により57,126百万円となりました。持分法による投資利益は2,099百万円となりました。その結果、税引前当期利益は101,966百万円と前期比202.4%増加となりました。
4) 親会社の所有者に帰属する当期利益
以上の結果、法人所得税費用34,073百万円及び非支配持分に帰属する当期利益3,075百万円を差引いた親会社の所有者に帰属する当期利益は、64,818百万円と前期比216.1%増加となりました。
また、基本的1株当たり当期利益は前期比369.49円増加し、534.67円となりました。
当連結会計年度のセグメントの業績の状況は次のとおりです。
コンポーネントソリューション事業の受注高は、前期比23.9%増加し140,855百万円となりました。売上高は、前期比25.7%増加し138,130百万円、営業利益は、同29.6%増加し22,903百万円となりました。
精密減速機は、自動車産業を中心とした世界的な設備投資が旺盛であったことにより、産業用ロボット向けで高い需要が継続しました。また、工作機械、半導体製造装置等の一般産業向けの需要も拡大し、売上高は前期比で増加となりました。
建設機械向け油圧機器は、中国市場で下期に需要の減退がみられたものの、通期では過去最高の需要であったことに加え、欧米・東南アジア市場が回復し、売上高は前期比で増加となりました。
(トランスポートソリューション事業)
トランスポートソリューション事業の受注高は、前期比12.8%減少し65,973百万円となりました。売上高は、前期比13.2%減少し67,744百万円、営業利益は、前期に連結子会社OVALO GmbHにおける固定資産の減損損失3,421百万円を計上していたこと等により、前期比68.3%増加し5,617百万円となりました。
鉄道車両用機器は、新型コロナウイルスの影響により、中国向け案件の入札遅れや、国内の新車案件及びMRO(Maintenance, Repair, Overhaul)の需要が低迷し、売上高は前期比で減少となりました。
航空機器は、民間航空機の大幅な減産の影響に加え、防衛装備品調達計画の谷間により需要が低迷し、売上高は前期比で減少となりました。
商用車用機器は、国内外における需要が堅調に推移し、売上高は前期並みとなりました。
舶用機器は、国内外においてMROが堅調に推移し、売上高は前期比で増加となりました。
(アクセシビリティソリューション事業)
アクセシビリティソリューション事業の受注高は、前期比5.7%減少し75,313百万円となりました。売上高は、前期比2.0%増加し75,108百万円、営業利益は、同1.2%減少し7,642百万円となりました。
自動ドア事業は、プラットホームドアにおいて国内鉄道事業者の投資先送りの影響を受けたものの、国内外の建物用ドア需要が堅調に推移し、売上高は前期並みとなりました。
(その他)
その他の受注高は、前期比28.6%増加し21,787百万円となりました。売上高は、前期比6.0%増加し18,820百万円、営業利益は、同17.5%増加し2,736百万円となりました。
包装機は、外食産業不振の影響により国内で需要は伸び悩む一方、海外の需要増加により、売上高は前期比で増加となりました。
(全社又は消去)
全社又は消去の営業利益は、前期に計上した非事業用不動産(投資不動産)の売却益4,892百万円に加え、当期では増益に伴う外形標準課税の増加もあり、前期比6,342百万円減少し△8,882百万円となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループにおける主な資金需要は、営業活動においては、生産活動に必要な運転資本(原材料、人件費等)、受注獲得のための販売費、既存事業の競争力強化や新商品や新事業の創出のための研究開発費等があります。投資活動においては、製品の増産対応のための新規投資や設備更新を中心とした設備投資があります。当社グループは2022年12月期において、コンポーネントソリューションセグメントにおける精密減速機の新工場建屋の建設や油圧機器の工場建屋の更新等を中心に36,100百万円の設備投資を予定しています。
当社グループの事業活動に必要な資金は、主として自己資金の活用、金融機関からの借入等により調達しており、親会社所有者帰属持分比率やROE等の指標を注視しながら、最適な資金調達方法を選択しています。なお、当連結会計年度末において、ハーモニック社株式の一部売却を行ったことにより、資金が77,862百万円増加しています。当社グループでは、当該資金の一部を自己株式の取得、借入金の返済、社債の償還に充当しました。これにより、当連結会計年度末の社債及び借入金の残高は17,587百万円と前期比22,279百万円の減少となりました。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2017年度を初年度とする4ヵ年の中期経営計画における経営目標として、ROE15%、連結配当性向35%以上という目標を設定しています。なお、2020年より感染拡大した新型コロナウイルスが当社の事業活動にも影響を及ぼしており、一部のアクションプランが計画通りに実行できていない状況を踏まえ、中期経営計画を1年延長しました。本中期経営計画期間中の各指標の推移は以下のとおりです。
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