業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、国内外における新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状況にありますが、第2四半期以降持ち直しの動きが続いております。設備投資においても、生産の回復による企業収益の立ち直りにより、持ち直しつつあります。

 また、米国経済は、ワクチン接種が順調に進展し、大規模な経済対策の実施が見込まれるなど、景気回復が期待されます。中国経済は、景気は緩やかに回復しており、今後も続くことが期待されています。

 このような状況の中、当社グループにおきましては、当連結会計年度の売上高は、15,548百万円(前連結会計年度比6.2%減)となりました。

 利益面におきましては、売上減少となったものの、売上構成の変化や固定費の削減により、営業利益228百万円(同73.8%増)、経常利益は助成金の収入や為替差益により382百万円(同236.0%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は保有株式の売却による特別利益が減少したことにより288百万円(同27.8%減)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 減速機

 国内売上は、第3四半期より工作機械など一部の業種で回復したものの、年間を通しては新型コロナウイルス感染症による経済失速の影響が色濃く残り厳しい状況が続いた結果、7,963百万円(同15.3%減)となりました。また、海外売上は新型コロナウイルス感染症の影響はあるものの、米国、中国向けの売上が増加したことにより、3,376百万円(同11.0%増)となり、減速機合計は、11,339百万円(同8.9%減)となりました。

 利益面におきましては、売上減少に伴う粗利益の減少により、セグメント利益は114百万円(同55.5%減)となりました。

 

 歯車

 国内売上は、新型コロナウイルス感染症に伴う影響を受け、工作機械・自動車向けの売上が減少しましたが、中国市場の復調に伴うロボット向け及び巣ごもり需要における電動工具向けの売上が増加したことにより、3,830百万円(同0.7%増)となりました。海外売上は、ロボット向けの売上が増加したことにより、230百万円(同40.2%増)となり、歯車合計は4,060百万円(同2.3%増)となりました。

 利益面におきましては、売上増加に伴う粗利益の増加、固定費の削減等により、セグメント利益は15百万円(前連結会計年度はセグメント損失226百万円)となりました。

 

 不動産賃貸

 愛知県名古屋市内に賃貸マンション2棟を運営しております。売上高は148百万円(同2.5%減)、セグメント利益は98百万円(同2.1%減)となりました。

 

 また、財政状態については次のとおりであります。

 資産

 当連結会計年度末における流動資産は23,375百万円となり、前連結会計年度末に比べ304百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が4,066百万円、たな卸資産が175百万円増加した一方で、有価証券が3,998百万円減少したことによるものであります。固定資産は21,368百万円となり、前連結会計年度末に比べ97百万円増加いたしました。これは主に投資有価証券が783百万円増加した一方で、機械装置及び運搬具が635百万円減少したことによるものであります。

 この結果、総資産は44,743百万円となり、前連結会計年度末に比べ401百万円増加いたしました。

 

 

 負債

 当連結会計年度末における流動負債は2,608百万円となり、前連結会計年度末に比べ466百万円増加いたしました。これは主に買掛金が134百万円、賞与引当金が170百万円、未払金が93百万円増加したことによるものであります。固定負債は115百万円となり、前連結会計年度末に比べ25百万円増加いたしました。

 この結果、負債合計は2,723百万円となり、前連結会計年度末に比べ491百万円増加いたしました。

 

 純資産

 当連結会計年度末における純資産合計は42,020百万円となり、前連結会計年度末に比べ89百万円減少いたしました。これは主に配当金支払い等による利益剰余金の減少321百万円とその他有価証券評価差額金の増加148百万円によるものであります。

 この結果、自己資本比率は93.9%(前連結会計年度95.0%)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が358百万円(前連結会計年度比29.5%減)、有価証券の売却及び償還による収入が6,600百万円あった一方で、 投資有価証券の取得による支出が3,222百万円あったことなど により、前連結会計年度末に比べ4,066百万円増加し、当連結会計年度末には12,686百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は1,831百万円(同13.3%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益358百万円、減価償却費1,486百万円、賞与引当金の増加額170百万円、たな卸資産の増加△150百万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果得られた資金は2,780百万円(同159.3%増)となりました。これは主に、有価証券の売却及び償還による収入6,600百万円、投資有価証券の取得による支出3,222百万円、有形固定資産の取得による支出583百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は617百万円(同9.7%減)となりました。これは主に、配当金の支払額610百万円等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

減速機(百万円)

11,628

93.5

歯車(百万円)

4,082

102.6

合計(百万円)

15,711

95.7

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

減速機

11,402

89.8

1,009

106.6

歯車

4,210

106.0

407

158.1

合計

15,612

93.7

1,417

117.7

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

減速機(百万円)

11,339

91.1

歯車(百万円)

4,060

102.3

不動産賃貸(百万円)

148

97.5

合計(百万円)

15,548

93.8

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

  当連結会計年度における経営成績は、国内外における新型コロナウイルス感染症の影響の中で始まりましたが、第3四半期以降中国経済の回復などにより持ち直しの動きが続き、歯車の国内外向け及び減速機の海外向けの売上は増加しました。当連結会計年度の売上は全体では減収となりましたが、営業利益につきましては3期ぶりの増益となりました。

(単位:百万円)

 

2020年度(公表値)

2020年度(実績)

2020年度(公表値比)

売上高

14,830

15,548

718( 4.8%増)

営業利益

10

228

218   (―)

経常利益

30

382

352   (―)

親会社株主に帰属する当期純利益

20

288

268   (―)

 

(注) 新型コロナウイルス感染症の収束時期及び経済活動正常化の時期が見通せない状況で、目標値を合理的に検討することが困難であるため、期初での業績予想は未定としましたが、2020年7月29日の第1四半期決算発表時に入手可能な情報に基づいた業績予想を公表し、これを公表値としました。

 

  売上高は、国内外における新型コロナウイルス感染症の影響の中で始まりましたが、減速機セグメントにおいては米国・中国向けの設備投資需要に支えられ売上が増加し、歯車セグメントにおいては中国市場の復調に伴うロボット向け及び巣ごもり需要における電動工具向けの売上が増加したことにより、 15,548百万円(対公表値比4.8%増)となりました。営業利益は、売上構成の変化や製造原価低減および固定費の削減により、228百万円となりました。経常利益は、助成金の収入により382百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、288百万円となりました。

 

  当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリス

ク」に記載しております要因が考えられます。特に当連結会計年度につきましては、国内外における新型コロナウ

イルス感染症の影響から(1)経済状況について、(3)海外事業展開について及び(14)新型コロナウイルス感染症

について のリスクが経営成績に影響を与えていると考えております。

 このような状況の中、当連結会計年度におけるセグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

減速機事業 重点課題(当連結会計年度)

・既存製品の競争力向上

・海外事業の収益力の強化

・新製品開発及び市場投入のスピードアップ

 

 当連結会計年度の活動としましては、国内においては、製造業全般で新型コロナウイルス感染症の影響により設備投資を手控える動きがあったものの、2018年秋に発売開始した主力の中型機種新モデル及び2020年3月に発売開始した低電圧バッテリー電源タイプ製品を柱に、売上拡大を図りました。海外においては、新型コロナウイルス感染症による影響はあるものの、米国・中国向けの設備投資需要に支えられ売上が増加したことにより、売上高は公表値を達成することができました。新製品開発及び市場投入のスピードアップにつきましては、次世代を担う成長エンジンの位置づけとして、現行減速機ラインナップと異なる差動減速機構を採用した高剛性減速機中空タイプを開発いたしました。この高剛性減速機は市場拡大が見込まれる産業用ロボット・FA業界に向けた製品であり、2021年度の発売を予定しております。

 

歯車事業 重点課題(当連結会計年度)

・重点業界向け売上比率拡大

・固定費の削減

・新製品の開発

 当連結会計年度の活動としましては、今後の成長が見込まれる重点業界(ロボット業界等)向け売上比率の拡大に注力してまいりました。新型コロナウイルス感染症に伴う影響を第2四半期までは受けましたが、中国市場の復調に伴うロボット向け及び巣ごもり需要における電動工具向けの売上が回復したため、売上高は公表値より大幅に増加しました。また、固定費の削減につきましてもコストダウンチームによる原価低減活動により、生産性向上など成果が出ており、その結果、2期ぶりの営業利益を計上することができました。新製品の開発につきましては、「第2 事業の状況 5 研究開発活動(2)歯車」に記載しております精密・微細加工技術の研究開発を継続しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、 「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、外部からの資金調達は行っておらず、自己資金を財源としております。手許資金としての現預金のほか、随時売却可能な公社債等の有価証券を保有しており、流動性を確保しております。

 当社の資金需要の動向としましては、モノ創り体制の強化、新製品開発や新技術の研究開発、グローバル化への対応等のための投資に充当しつつ、株主還元を行っております。株主還元につきましては、経営成績に応じた利益還元を実施する一方、業績に関わらず継続的な安定配当を実施しております。

 当社グループの運転資金需要の主なものは、原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資(主として新製品対応・生産能力増強・合理化・更新・IT投資)等によるものであります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 3.会計方針に関する事項」に記載しております。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、ワクチン接種等の感染拡大の防止策が講じられるものの、変異株による感染の急拡大などにより収束時期は見通せず、一定の経済活動抑制を余儀なくされると思われます。

 当社グループを取り巻く環境としては、製造業を中心とした設備投資需要は持ち直しの動きが続くことが期待されており、当社グループでは、経済活動抑制の影響は限定的なものと仮定しております。会計上の見積りについてはこの仮定に基づいた見積りを行っております。

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