課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは、グループの使命・存在意義である経営理念として「私たちは良き企業市民であるとともに、企業風土を活性化し、自主性・創造性・チームプレイで3つの満足(顧客・株主・従業員)を徹底追及します。」を掲げています。

 3つの満足につきましては、まず顧客満足を優先し、あわせて雇用の安定を基本に、より一層従業員満足を追求することで業績及び株主還元の向上を図り、株主満足を高めていくことを経営の基本方針としております。

 

(2) 経営戦略

①戦略の全体像

当社グループの事業は以下のとおりになります。

・減速機事業  :国内メーカートップクラスの品揃えに、お客様に合わせた“使いやすさ”をご提供する特注

仕様対応力を付加することで、搬送機械・工作機械・食品包装機械など様々な分野の幅広いお客様に採用いただいております。

・歯車事業   :設計から加工、完成までの社内一貫生産体制に、傘歯車に特化した歯切り、また、独自の

CBN歯研技術(注)を付加することで、電動工具をはじめ自動車用歯車ならびにロボット用精密歯車まで幅広いお客様に採用いただいております。

(注)CBN歯研技術とは、ダイヤモンドに次ぐ硬さを持つCBN(立方晶窒化ホウ素)を電着した

砥石を用いて歯面の仕上げ加工を行う技術で砥石歯研に比べ安価に加工が可能となる技術。

・不動産賃貸事業:愛知県名古屋市内に独身者向け及びファミリー向けの賃貸マンション2棟を保有しており

ます。入居率は90%前後で安定し、賃貸収入及び損益は安定しております。

 

 当社グループは、2016年3月に収益基盤の確立ならびに新たな収益基盤の創造を目的として中長期ビジョン「Vision2025 Change Gears」を策定し、技術・風土の改革を進めております。

 「Vision2025 Change Gears」では、

・加工技術と新技術を融合し、世界中のお客様の要求にすばやくお応えし、安心安全な製品を提供する

・「挑戦できる企業風土」を醸成し、誇りを持てる企業になる

・「Change Gears」で高収益企業となる

を掲げました。

Change Gearsとは、製品・方法・速度・視点・風土を総称し“Gears”とし、「歯車も変える」「歯車から変える」という意味も含め、それらを“Change”するとしています。経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、2025年度に売上高500億円、営業利益率10%以上、海外売上高比率50%としました。

 また、当社グループでは、従業員が長年にわたり才能とスキルを発揮するためには『従業員一人ひとりの心身の健康こそ大切な財産』という考えのもと、2017年「ニッセイ健康経営宣言」を発表し、従業員やその家族の自発的な健康推進活動に対する積極的な支援を行い、活き活きと働ける職場環境を整える活動を推進しております。

まず、第1次3ヵ年計画CGN2018(Change Gears Nissei2018)(2016年度~2018年度)では『モノ創り体制の基盤整備による収益力の強化』を基本方針とし、①減速機及び歯車事業の収益力の強化、②既存事業周辺領域における製品及び技術開発への挑戦、③ブラザー工業株式会社マシナリー事業とのシナジーの追求の3つの基本戦略のもと、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高213億円、営業利益率10%以上、3ヵ年設備投資計画60億円としました。将来の成長に向けた積極的な設備投資を行うことで生産性を向上させ、売上高は2015年度の174億円から2018年度には193億円へと増加したものの、2018年秋口から顕在化した米中貿易摩擦による設備投資抑制の影響を受け、目標の213億円には達しませんでした。一方、営業利益率は売上高の未達による影響に加え、成長に向けた設備投資43億円(3年間合計)や開発投資等の費用が先行し、2018年度は3.7%と目標の10%に達しませんでした。

続く、第2次3ヵ年計画CGN2021(2019年度~2021年度)では『お客様から信頼され続ける企業へ』を基本方針とした新たな中期経営戦略を策定しました。CGN2021は、あらゆるムダを省き事業活動をスピードアップさせ、市場の変化に対応した製品開発、市場投入を行うとともに、海外市場での売上高拡大を進めて行く計画です。経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高240億円、営業利益率7.5%以上、海外売上高比率25%以上を掲げました。

 

②優先的に対処すべき事業上及び財務上課題

 CGN2021の初年度となる2019年度は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として売上高200億円、営業利益率4.5%を掲げました。しかし、当社グループを取り巻く環境は、米中貿易摩擦の影響による設備投資需要の減退や2020年1月からの新型コロナウイルス感染症による社会的混乱等厳しい状況が継続したため、売上高165億円、営業利益率0.8%と目標を大きく下回りました。この状況に対応することが重大な課題と認識し、当社グループでは「CGN2021 2ヵ年」計画(2020年度~2021年度)を策定しました。「CGN2021 2ヵ年」計画は『営業利益率を安定的に確保できる収益力を持つ、変化に対応可能な筋肉質な企業へ』を基本方針とし、当社グループが一丸となって以下の重点課題に取り組むものであります。

 ●減速機事業 ・既存製品の競争力強化

・海外事業の収益力強化

・新製品開発及び市場投入のスピードアップ

 ●歯車事業  ・重点業界向け売上比率拡大

・固定費の削減

・新製品の開発

また、2020年4月1日付の組織変更にて減速機事業と歯車事業の営業機能を統一しました。これにより営業活動の効率化及び意思決定のスピードアップを図るとともに、両事業においては、製造機能と開発機能に特化する体制としました。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

「CGN2021 2ヵ年」計画の初年度となる2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、世界経済がこれまでに経験したことのない非常に厳しい状況でありましたが、当社グループは全社一丸となり重点課題に取り組んだ結果、全社的な製造費の削減が進んだことに加え、歯車事業における売上が予想より早く持ち直したことから、新型コロナウイルス感染症の影響により全社売上が減少した状況下においても、営業利益は前年度を上回りました。

 2021年度は原材料の高騰等の影響が予想されますが、新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込んでいた経済活動は回復傾向にあるとして、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標を売上高171億円、営業利益6億円としました。「CGN2021 2ヵ年」計画の最終年度として、以下に掲げる重点課題への取り組みを着実に進めることにより、業績目標の達成を目指すとともに次の飛躍に向けた基盤を構築してまいります。

◆減速機事業 ・既存製品の競争力向上と拡販

・海外事業の収益力の強化

・高剛性減速機の開発及び市場投入のスピードアップ

◆歯車事業    ・最小限の固定費増加で重点3業界の売上高拡大

・高精度歯車の加工方案改革によるコスト競争力向上

◆全社        ・業務効率化の推進

・すべての製品に対する品質管理の徹底

 

(4)ESGの取り組み

 環境・社会・経済システムが統合的に変化し社会環境も大きく変化する中、気候変動対応などの社会課題の解決に貢献し、持続的発展が可能な社会を構築するため、2018年3月に策定された「ブラザーグループ 環境ビジョン2050」に基づき、「CO2排出削減」「資源循環」「生物多様性保全」に関する取り組みを強化しています。当社はブラザーグループの一員として、気候変動が事業に及ぼすリスクと機会を分析し、経営戦略に反映するとともに、関連する情報の開示に努めてまいります。

 なお、2017年度より推進しております「ニッセイ健康経営宣言」に基づく取り組みが認められ「健康経営銘柄2021」に選定されました。

 

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