研究開発活動

5【研究開発活動】

 当社グループは、建設機械・車両、産業機械他の分野において、「品質と信頼性」の追求を基本として、新技術と新商品の研究開発を積極的に推進している。

 当社グループの研究開発体制は、当社のCTO(最高技術責任者)室、開発本部の建設機械・車両関連の研究開発部門及び関係会社の技術部門等からなっており、当連結会計年度の当社グループの研究開発費は77,478百万円である。各事業部門別の研究開発の目的、成果、研究開発費は次のとおりである。

 

(1) 建設機械・車両事業セグメント

 グローバル化に対応した建設機械・鉱山機械・車両の効率的な研究開発をねらいとして、国内外に研究開発拠点を配置し、グローバルな開発体制を敷くとともに、相互の人材交流や共同開発の拡大などを行いながら研究開発活動を推進している。また、「イノベーション」を起こすため、CTO室を窓口として、有望な分野での先進技術を有する国内外の大学、研究所、企業と積極的に協同・連携し、社内のコア技術と外部の知見の融合(オープンイノベーション)による技術革新のスピードアップに取り組んでいる。「安全で生産性の高いスマートでクリーンな未来の現場」をお客様とともに実現することを目指し、中・長期的な重点テーマとして、以下の分野に取り組んでいる。

<ICT(情報通信技術)>

 情報化技術(最新計測技術・通信技術を活用した機械の位置情報・稼働情報や機械診断情報などのリモート管理技術等)及び制御技術・知能化技術の研究開発を進めている。これらの技術を利用して開発した建設・鉱山機械の制御システムと管理システムは急速に普及しており、建設・鉱山機械の稼働と管理の自動化、効率化が図られ生産性向上に寄与している。また、こうした技術を使い、情報化施工、「KOMTRAX」についても、お客様の視点に立った次世代への展開に向けた活動を推進している。

 施工の自動化、作業精度と作業効率の大幅向上を実現する作業機全自動制御機能搭載ICTブルドーザー、ICT油圧ショベルの開発とレトロフィットキットの拡大で、建設現場が抱える様々な課題を解決し「未来の現場」を実現させていくためのソリューションを開発、提供していくサービス事業「スマートコンストラクション」は導入地域や規模を拡大した。高精度測量技術の活用や現場のあらゆる情報をICTで繋ぐことで、生産性の大幅な向上と安全な現場を実現する。

 建設現場向けには、デジタルトランスフォーメーションに対応した、オープンプラットフォーム「LANDLOG」、自律、協調など高度化したICT建機、生産技術を活用し施工を最適化する施工シミュレーションの開発を推進している。

 農林業向けには、「スマートコンストラクション」のノウハウを活用し林業全体を効率化するスマート林業の提案や、ICT農業用建機による農作業の効率化を進めている。

<環境、省資源、安全>

 エコロジー(環境に優しい)とエコノミー(経済性に優れている)の両立を追求し、お客様に満足いただける優れたものづくりを行うことを、地球環境基本方針の下に基本理念とし、商品の生産から廃棄・再利用までのライフサイクル全体の環境負荷が最小限になるように努めるとともに、燃費の向上など、経済性にも優れた商品を提供するために、常に技術革新に取り組んでいる。

 燃費向上技術については、CO2排出量削減と経済性の両面から最重要課題として取り組んでいる。ハイブリッドシステム搭載の油圧ショベルを日本、中国、北米、欧州、その他世界各地に導入し、累計導入台数は5,200台を超えた。

 環境対応については、世界各地の排出ガス規制に対応した製品を市場導入している。

 環境負荷物質の低減活動も積極的に展開している。環境とは地球環境だけではなく人間への環境も含むという観点から、安全対応や騒音・振動低減、オペレーター作業環境改善にも積極的に取り組んでいる。

 電動化については、バッテリー、電動モーターを動力源とした電動マイクロショベル「PC01E-1」を市場導入した。

 

 当連結会計年度の主な成果は次のとおりである。

製品区分

機種

油圧ショベル

PW138MR-11E0, PW148-11E0, PW158-11E0, PW160-11E0, PC170LC-11E0,

PC200-10M0, PC300/360-8M1, PC300/PC350/PC360-8M2

ICT油圧ショベル

PC490LCI-11

ブルドーザー

D27A/D27P/D27PL-10, D65EX/PX/WX-18/18E0, D85EX/PX-18/18E0, D475A-8R

ICTブルドーザー

D65EXI/PXI-18/18E0, D85EXI/PXI-18/18E0

ホイールローダー

WA200-8E0, WA270/320-8衝突検知警報システム

ダンプトラック

930E-5SE

ユーティリティ(小型機械)

WB93R/S-8E0, WB97R/S-8E0, PC01E-1, PC17R-5, PC20R-5

 

 当事業セグメントの当連結会計年度に係る研究開発費は69,022百万円である。

 

(2) 産業機械他事業セグメント

 主として、板金鍛圧機械、工作機械及びその他産業機械などに関する研究開発を行っている。

 産業機械他事業においてはDX戦略に基づき、お客様の困りごとを解決するソリューションの提供を進めている。8月に「産機Komtrax」のサーバーを「Microsoft Azure」に移行し、予知保全システムと統合した。これによりセキュリティ及びBCP(Business Continuity Plan)を強固なものとすることができた。ソリューションの提供では、突発的なプレスライン停止を回避する予知保全システムの拡販を進めてきたが、国内だけでなく中国、米国にも導入を開始した。また、プレス機械の使われ方モニタ機能(過負荷モニタ、荷重トレンド、自動タイムスタディ)は、新規の機械だけでなく、コントローラーのリニューアルとセット販売することで拡販を進めている。更に、「産機Komtrax」で使用している通信モデムの4G切替対応として各種オプションコンテンツを選択することで工事費を無料とするキャンペーンを実施するなど、LTV(Life Time Value)の向上に向けて活動している。

 鍛圧機械では、小型プレス「OBS」、「E2W」のクラッチを改良し、断続生産速度を向上させた。

 板金機械では、レーザー切断機「KFL」をより高速かつバリを低減して切断できる改良を加えた。また、プレスブレーキで長尺物の製品ワークを保持させながら加工できる保持装置「BENDING SUPPORT」に非磁性体対応系列を新たに開発した。

 工作機械では、建機・トラック用ディーゼルエンジン加工向けマシニングセンター「NX500」を市場導入した。また、電動化部品等のフレキシブルな生産ニーズに応える5軸マシニングセンター「ComPlex5400」の開発を完了した。

 その他には、半導体露光装置用エキシマレーザー、EUV光源、半導体基板小径加工用エキシマレーザー、半導体製造業向けの高性能温調機器とその要素である高性能サーモモジュール熱交換ユニット、光通信用向けの超小型サーモモジュール及び熱電発電モジュールとそのシステムに関する研究開発などを推進した。

 当事業セグメントの当連結会計年度に係る研究開発費は8,456百万円である。

 

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