当社グループは、今後もさらなる成長と企業価値の向上を目指し、世界において他社の追随を許さない唯一無二の企業となるため、2022年3月に新たな長期ビジョン「TOWAビジョン2032」と、その達成に向けた第一次中期経営計画を発表いたしました。
「TOWAビジョン2032」は「変革で世界の頂へ」をテーマに、10年後に売上高1,000億円、営業利益率25%を目指します。また、今後、TOWAがどのような企業であるべきかを改めて問い直すとともに、10年後のありたい姿を定めました。
《TOWAビジョン2032》
1.テーマ
変革で世界の頂へ
2.ありたい姿
◎パッケージングプロセス提案により顧客価値を創出し続ける世界のリーディングカンパニー
◎TOWAの技術でサステナブルな社会を実現する会社
◎積極的な情報発信で知名度の高い会社
◎企業文化の伝承と多様な価値観を尊重する笑顔で働ける会社
3.目標とする経営指標(長期ビジョン)
当社グループは、目標とする経営指標として以下の数値を掲げております。
これらを重要指標と認識し、企業価値の向上に努めてまいります。
(単位:億円)
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2025年3月期 |
2028年3月期 |
2032年3月期 |
|
売上高 |
600 |
760 |
1,000 |
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売 上 高 内 訳 |
半導体製造装置事業 |
440 |
525 |
625 |
化成品事業 |
22 |
28 |
40 |
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新事業 |
112 |
175 |
295 |
|
レーザ加工装置事業 |
26 |
32 |
40 |
|
営業利益 |
126 |
167 |
250 |
|
営業利益率 |
21.0% |
22.0% |
25.0% |
「TOWAビジョン2032」の達成に向けた第一次中期経営計画の基本方針及び各分野の課題に対する取組み内容は次のとおりです。なお、第一次中期経営計画は、“「世界の頂」への基盤強化”を行う期間と位置付け、新技術の開発や生産設備への投資に加えて、TOWAの技術を次世代へ伝承するための人材育成や、事業規模拡大に向けた人材の獲得を積極的に行います。また、事務作業や生産現場の効率化に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)投資なども行うため、第一次中期経営計画は一時的に利益率が低下しますが、第二次中期経営計画以降はこれらの投資効果により、営業利益率は改善する予定です。
《第一次中期経営計画》
1.テーマ
TOWAが創り出すプロセスイノベーション
2.基本方針
①パラダイムシフトにより保有する技術・品質・プロセス(ノウハウ)の付加価値をビジネス化し収益力を高める
②DXの活用によりスループットを最大化し市場競争力と財務基盤の強化を図る
③コア技術を根幹に新たな事業と収益の拡大を図る
④多様性に富んだ挑戦思考を持ち次世代をリードする人材の育成を図る
⑤SDGs・ESGへの積極的取組みにより企業価値の向上を図る
3.事業戦略
[半導体事業]
①付加価値を活かしたプロセスビジネスの展開により半導体事業の収益力を強化する
②リードタイム短縮及び在庫削減を目的とするMIP(Minimal Inventory & Period)により生産体制・財務基盤の強化を図る
③開発リソースへの積極的な資源投入により顧客ニーズの先取りやSDGs・ESG投資に適った製品の開発をスピード感を持って実行する
④シンギュレーションとブレードの連携による市場獲得
[化成品事業]
①化成品事業で培ったコア技術をもとにTOWAブランドの付加価値を高め事業規模を拡大する
②品質・コスト・納期を更に追求し安定した収益体質を構築する
③医療機器のライセンスを活かし商品の多様化を図る
[新事業]
①コア技術の応用展開により新たな柱となる事業を独立させポートフォリオの変革を図る
②TOWAオリジナル商品の創出により新たな事業化を実現する
③TSS事業を通じてお客様の安定稼働に貢献し、長期的関係を確保する
④グローバル生産拠点を活用した原価低減により競争力強化とシェア拡大を図る
[レーザ事業]
①アプリケーション強化により新商品を創出し、「価値創造」と「価値獲得」を図る
②TOWAグループの生産・販売拠点を活用し生産能力アップ・原価低減と販売体制・サービスの強化を図る
③顧客プロセスを徹底追求し、課題解決型ビジネスができる企業へ成長する
4.機能別戦略
[販売戦略]
①プロセスサポートを強化し当社技術でしか生産できないビジネスモデルの構築による販売拡大と収益力の向上
②当社独自技術のコンプレッション装置による活用範囲の拡大
③グローバル販売・管理体制・サービス体制の強化による顧客満足の向上
[生産戦略]
①グローバル生産・購買体制の最適化による原価低減及びリードタイムの短縮
②生産技術の向上により品質の信頼性を高める
③DXを活用した高付加価値の製品生産に取組む
④変化する環境(リスク)に対応できる人材の育成と事業構造の構築
[開発戦略]
①パラダイムシフトによりお客様のニーズに沿った新製品を開発する
②モールドプロセス開発と次世代モールディング革命によりデファクトスタンダードを確立
③SDGs・ESGを意識した環境型開発の推進
[人材・組織戦略]
①プロセス開発からソリューション提案まで行うTOWA拠点のグローバル展開
②次世代をリードするグローバル人材の育成
③DXによる業務効率化により働き方改革を推進
④TOWA技術の伝承のためのTOWA学校の創設
5.目標とする経営指標(第一次中期経営計画)
当社グループは、目標とする経営指標として以下の数値を掲げております。
これらを重要指標と認識し、企業価値の向上に努めてまいります。
(単位:億円)
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2023年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
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売上高 |
550 |
570 |
600 |
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売 上 高 内 訳 |
半導体製造装置事業 |
420 |
425 |
440 |
化成品事業 |
19 |
20 |
22 |
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新事業 |
86 |
100 |
112 |
|
レーザ加工装置事業 |
25 |
25 |
26 |
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営業利益 |
122 |
124 |
126 |
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営業利益率 |
22.2% |
21.8% |
21.0% |
|
経常利益 |
122 |
124 |
126 |
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親会社株主に帰属する 当期純利益 |
85 |
87 |
88 |
《気候関連情報開示の新しいフレームワーク(TCFD)への対応》
気候変動が社会に与える影響は大きく、当社グループにとって、重要な経営課題の一つとして認識し、2022年5月にTCFD「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の提言に賛同を表明しました。提言に基づき、気候変動関連情報開示(ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標)を行ってまいります。
[ガバナンス]
取締役会による監視・経営の役割
環境経営の推進体制において、取締役会にて、少なくとも年1回、気候変動に関する基本方針等を審議・決定しています。
2022年度は、気候変動が当社に与えるリスク・機会、それを踏まえたシナリオ分析の内容について審議を行いました。今後も気候変動が当社へ与える影響について適宜議論してまいります。
[戦略]
当社グループは、気候変動により想定されるさまざまなリスクや機会の把握に努めております。2021年度は評価対象について、半導体関連製品を含むサプライチェーン全体とし、将来の気候変動が当社グループ事業へもたらすリスク・機会を整理し、1.5℃シナリオを含むシナリオ分析を定性的・定量的に実施することにより当該リスク・機会の影響を評価いたしました。
(リスク及び機会)
a.想定されるリスク
TCFD提言では、気候変動関連リスクを移行リスク・物理リスクの二つのカテゴリに分類しており、提言に基づいてリスク項目の洗い出しを行いました。その中で、当社グループ事業との関係性が高いと想定される主要なリスク項目を洗い出し、影響を整理いたしました。
項目 |
発生時期※1 |
影響内容 |
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リスク |
政策・ 法規制 リスク |
排出権取引・炭素税 |
中期 |
・CO2を大量に排出する素材の調達コスト(炭素税等)増加 ・自社事業活動に係る炭素税によるコスト増加 |
省エネ等環境関連規制の強化 |
短期 |
・再エネ導入、省エネのための設備更新によるコスト増加 |
||
技術 リスク |
省エネ・CO2削減技術開発の遅れによる販売機会の喪失 |
中期 |
・エネルギー効率の悪い製品が淘汰され、より高性能な製品への需要移行 ・顧客の省エネ・脱炭素ニーズを満たせないことによる商機の逸失 |
|
新技術に対する研究開発コストまたは研究失敗のリスク |
中期 |
・技術開発競争(省エネ性能向上等)で劣勢になった場合、技術開発コストの回収失敗リスク |
||
評判 リスク |
削減目標不達に対する企業評価低下 |
中期 |
・環境への取り組みが不十分となった場合のレピュテーションリスクによる顧客離れ ・市場から資金の確保が難しくなる |
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消費者の嗜好の変化 |
中期 |
・最終顧客の嗜好変化に伴い、取引先から装置の低炭素化が調達要件化 |
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物理 リスク |
台風・洪水などの激甚災害 |
短期 |
・自社工場・拠点が台風や洪水などに被災することによる事業活動停止 ・サプライヤー・物流倉庫被災による部品納品の遅延 ・落雷由来の停電増加による生産効率の低下 |
※1 短期:<3年 中期:3~5年 長期:≧5年
b.想定される機会
社会全体としての省エネルギー活動やエネルギー効率化の更なる促進が求められる中で、GHG排出や廃棄物削減に資する機器需要の拡大や、EVなどの半導体需要を伴う製品の需要拡大に伴う半導体製造装置需要の拡大を事業機会と見込んでおります。
項目 |
発生時期※1 |
影響内容 |
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機会 |
効率的な輸送手段の使用 (モーダルシフト) |
短期 |
・EVが2030年新車販売台数の60%※2を占めるとすることや、自動運転の拡大による半導体製造装置需要の拡大 |
低排出エネルギー源の使用 |
中期 |
・新技術の導入、分散型エネルギーへの転換によるパワーコンディショナ―等への半導体需要に伴う製造装置の需要拡大 |
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低排出商品やサービスの開発・拡張 |
短期 |
・廃棄物の排出量を低減する半導体製造装置(コンプレッションモールディング装置)の需要拡大 |
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気候変動対策に向けた新市場機会獲得 |
中期 |
・自社製造プロセスの脱炭素化実現によるRE100活動顧客等からの需要増 |
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リサイクルの活用 |
短期 |
・サーキュラーエコノミーの観点から半導体製造装置の中古機販売事業の需要拡大 |
※1 短期:<3年 中期:3~5年 長期:≧5年
※2 Global EV Outlook 2021(Sustainable Development Scenario)
c.シナリオ分析
気候変動により生じる当社グループへの影響を検証するため、IEA「World Energy Outlook 2021」、IPCC第6次報告書等のシナリオを参考に、1.5℃シナリオを含む複数のシナリオを設定し、各シナリオで受ける当社事業の影響を分析いたしました。
設定シナリオ |
1.5℃シナリオ |
現行シナリオ(現状維持シナリオ) |
想定される 事業環境 |
リスク |
リスク |
・1.5℃の世界の実現に向けて、全世界で炭素税の導入が進み、2030年で先進国では130$/t-CO2を超える水準に。 ・顧客の環境意識が高まり、製造装置の省エネ・省CO2化が厳格に求められるようになる。ただし、省エネ技術開発は大きく進展する。 |
・台風被害の増加、洪水頻度の増加等激甚災害の頻度増加に伴い、自社工場・サプライチェーン拠点の被災リスクが高まる。 |
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機 会 |
機 会 |
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・EV販売台数の伸長や再エネ機器の普及、また顧客の国際イニシアティブ(RE100,SBT等)の達成ニーズの高まりに伴い、半導体製造装置の需要は現状よりも大きく拡大。 ・経済性に加え、サーキュラーエコノミーの概念の普及に伴い製造装置の中古市場は現状よりも大きく拡大。 |
・EV販売台数の伸長や再エネ機器の普及、また顧客の国際イニシアティブ(RE100,SBT等)の達成ニーズの高まりに伴い、半導体製造装置の需要は拡大傾向も1.5℃シナリオに比べると伸びは緩やかとなる。 ・経済性の観点から製造装置の中古市場は拡大傾向も1.5℃シナリオに比べると伸びは緩やかとなる。 |
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参照シナリオ |
・IEA:WEO2021 NZE及びSDS ・IPCC第6次評価報告書 第1作業部会報告書:SSP1-1.9, SSP1-2.6 |
・IEA:WEO2021 STEPS ・IPCC第6次評価報告書 第1作業部会報告書:SSP3-7.0, SSP5-8 |
TOWAの描く各シナリオの世界観
上記の世界観に基づき、定量的に評価可能なリスク項目に関して、以下のとおり財務的影響の評価を行っております。
d.移行リスク
炭素価格が上昇した場合の当社グループ事業への影響を試算したところ、コスト増加といった影響は限定的であると見積もっております。これらは、これまで当社グループが使用電力の再エネ転換を進めてきた結果であると考えており、今後もさらなる再エネ転換等を図ることにより、移行リスクに左右されない事業活動を行ってまいります。
e.自然災害による物理的リスク
IPCC「第6次評価報告書」を参考に、現行シナリオ(4℃上昇)の世界での洪水の発生確率は、1850-1900年時点と比較し2.7倍と想定し、災害発生時の損害を試算したところ、影響は限定的であると見積もっております。
一方、万が一の災害発生に備え、他事業所やグループ会社での代替生産体制の構築といったBCP体制の整備を進め、物理的リスクにも影響を受けない事業活動を目指してまいります。
[リスク管理]
当社では社長を議長とする「リスク管理委員会」を設け、定期的に対処すべきリスクの抽出や評価を実施しています。当委員会の下には複数のリスク管理分科会が設置されており、テーマごとに内部統制、輸出管理、品質保証、災害対策等におけるリスクを毎月ウォッチしています。これらの分科会の活動状況は4半期ごとに取締役会で報告され社外取締役も内容を確認しています。
今後は気候変動関連リスクも管理すべき重要なリスクとして、把握・評価を行ってまいります。
[指標と目標]
当社グループでは、環境目標の中で「CO2排出量の削減」を目標として設定し、CO2排出量の削減を以下のとおり取り組んでいます。
●2030年度において自社(Scope1+2)のCO2排出量を2020年度比42%削減
●2050年までに実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目指す
また、その中でScope1,2に関するCO2排出量の測定・開示を行っており、活動実績の公表をしてまいります。なお、当社におきましては、事業に関わるGHGはCO2のみとなります。
2030年度CO2排出量削減目標につきましては、売上の大きな成長計画を盛り込んだうえで総量削減に取り組むものです。
CO2排出量実績と目標 売上高とCO2排出量目標
◆2021年度の削減の主な取り組み(Scope1,2)
2021年度は、自社で消費する燃料や電力(Scope1,2)の再生エネルギーへの転換を大きく図る取り組みに着手しました。2022年度にかけて、順次、CO2削減の効果が現れます。
TOWA本体の国内生産拠点すべて(本社・工場、京都東事業所、九州事業所)で使用する電力を電力会社の再生エネルギープランに切り替え(2021年7月)ました。加えて、本社・工場のガス空調機器の電力化(2022年3月)などの取り組みを行っており、2022年度はTOWA本体で使用するエネルギー(Scope1,2)について2020年度比で99%近いCO2排出量が削減できる見込みです。
また、海外グループ会社においては、TOWAM Sdn. Bhd.及びTOWA半導体設備(蘇州)有限公司において、太陽光発電の導入を行っており、2022年度は各々の工場で使用する電力の約30%を賄う計画です。
引き続き、再エネ活用、省エネなどによりCO2排出量の削減に取り組んでまいります。
TCFD提言に基づく開示事項の詳細については、当社ウェブサイトで開示しておりますのでご参照ください。
https://www.towajapan.co.jp/jp/company/environment/
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