(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。これに伴い、当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して前提条件に差異が発生しております。そのため、当連結会計年度における経営成績等の状況の概要は、前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、欧米諸国を中心に、新型コロナウイルスに対するワクチンの普及や感染対策の浸透等によりWithコロナを前提に経済活動が再開され、明るい兆しが見られました。しかしながら、グローバル物流の停滞や資源価格の上昇、中国でのゼロコロナ政策による厳しい外出制限措置が取られる等、依然として新型コロナウイルスの影響下にありました。また、ウクライナ情勢の深刻化により、資源価格の上昇に拍車がかかる状況にあります。一般消費経済においては、食料品等の値上がりにより世界にインフレ圧力がかかっており、その抑制に向けた各国の金利引き上げもあり、景況感が悪化し予断を許さない状況です。
わが国では、新型コロナウイルス感染者数が減少と再拡大を繰り返す状況ながら、まん延防止等重点措置が今春に全面解除されるなど経済の正常化に向けた対応がとられました。しかしながら、対ロシア経済制裁により加速された原材料等の価格上昇や円安傾向が企業収益や個人消費に影響を及ぼすことが考えられ、景気の状況は極めて不透明です。
当ポンプ業界においては、世界的な人口増加に対応するための水資源を中心としたインフラ整備や、老朽化した設備の更新、異常気象に対応した集中豪雨対策など、ポンプに対する底堅い需要は今後も継続すると見込まれます。カーボンニュートラル社会の実現に向けて官民一体となり始動し、各企業がそのニーズに対応する中で、省エネに焦点を当てた製品の開発や導入意欲には引き続き勢いがあります。また環境負荷の低い液化アンモニアや液化水素等の二次エネルギーを使用した発電等を含むシステムの開発も進んでおり、この新たな分野にもポンプの需要が発生すると考えられます。
このような状況下、当社グループは、エッセンシャルなインフラ企業として社会的要請に応えております。カーボンニュートラル社会に役立つ水素・アンモニアを扱うポンプ技術の研究開発・産学連携の共同開発を推進しております。また工場の生産性向上のための新型加工設備の導入に代表される「ものづくり革新」に向けた研究及び設備投資を行いました。さらに、サービス市場の拡充及び水素・アンモニアを含む新分野への参入の足掛かりとするために、オーストラリアのサービス会社を買収し、積極的な投資活動を実施しました。
当連結会計年度の当社グループの受注高は67,887百万円(前連結会計年度49,055百万円、前連結会計年度比138.4%)となりました。
これを需要先別に見ますと、官公需は18,715百万円(前連結会計年度20,504百万円、前連結会計年度比91.3%
)、民需は11,334百万円(前連結会計年度9,623百万円、前連結会計年度比117.8%)、外需は37,837百万円(前連結会計年度18,928百万円、前連結会計年度比199.9%)となりました。
当連結会計年度の売上高は52,240百万円(前連結会計年度50,787百万円)を計上し、当連結会計年度末の受注残高としては63,916百万円(前連結会計年度48,908百万円)を来期以降に繰り越すことになりました。
当連結会計年度の営業利益は、海外向け売上が増加したことにより、4,445百万円(前連結会計年度は営業利益3,591百万円)となりました。
経常利益は、営業外収益として為替差益193百万円などが発生したことなどにより5,163百万円(前連結会計年度は経常利益4,612百万円)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益として投資有価証券売却益60百万円、特別損失として固定資産処分損168百万円などが発生したことにより、3,626百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益3,353百万円)となりました。
当連結会計年度末における資産につきましては、前連結会計年度末に比べ829百万円増加し80,015百万円となりました。これは主に、受注高増加に伴う仕掛品及び未着品の増加(前連結会計年度比571百万円増加)に加え、機械装置及び運搬具の増加(前連結会計年度比989百万円増加)及び保有有価証券の株価上昇等に伴い投資有価証券が増加(前連結会計年度比1,320百万円増加)したことなどによるものです。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ2,832百万円減少し38,742百万円となりました。これは主に、前連結会計年度末に新工場本社ビルの完成に伴い計上していた未払金を含む流動負債のその他が減少(前連結会計年度比914百万円減少)したことなどによるものです。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ3,662百万円増加し41,272百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,249百万円減少し、13,496百万円となりました。なお、連結貸借対照表における「現金及び預金」には3ヶ月超の定期預金を前連結会計年度末には53百万円、当連結会計年度には31百万円を含んでいます。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は3,130百万円(前連結会計年度は4,366百万円の増加)となりました。これは、仕入債務の減少1,013百万円(前連結会計年度は405百万円の減少)などの資金の減少があったものの、売上債権の減少1,115百万円(前連結会計年度は659百万円の増加)及び税金等調整前当期純利益が5,068百万円(前連結会計年度は4,551百万円)などの資金の増加があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は4,849百万円(前連結会計年度は1,645百万円の減少)となりました。これは、投資有価証券の取得による支出1,151百万円(前連結会計年度は88百万円の支出)及び有形固定資産の取得による支出3,322百万円(前連結会計年度は2,342百万円の支出)などの資金の減少があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は2,125百万円(前連結会計年度は2,070百万円の減少)となりました。これは、長期借入れによる収入1,500百万円(前連結会計年度は1,650百万円の収入)などの資金の増加があったものの、長期借入金の返済による支出2,560百万円(前連結会計年度は2,037百万円の支出)及び配当金の支払額746百万円(前連結会計年度は487百万円の支出)などの資金の減少があったことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
イ 生産実績
当連結会計年度における生産実績を事業の内容ごとに示すと、次のとおりであります。
事業の内容 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
ポンプ事業 |
50,787 |
101.3 |
その他 |
1,091 |
118.1 |
合計 |
51,878 |
101.6 |
ロ 受注状況
当連結会計年度における受注高及び受注残高を事業の内容ごとに示すと、次のとおりであります。
事業の内容 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
ポンプ事業 |
66,800 |
138.3 |
63,739 |
130.4 |
その他 |
1,087 |
146.6 |
177 |
542.6 |
合計 |
67,887 |
138.4 |
63,916 |
130.7 |
当連結会計年度における需要先別の受注高及び受注残高の構成比
需要先別 |
受注高 (%) |
前年同期構成比 (%) |
受注残高 (%) |
前年同期構成比 (%) |
|
国内 |
官公需 |
27.6 |
41.8 |
23.9 |
32.3 |
民需 |
16.7 |
19.6 |
12.8 |
13.8 |
|
外需 |
55.7 |
38.6 |
63.3 |
53.9 |
|
合計 |
100.0 |
100.0 |
100.0 |
100.0 |
ハ 販売実績
当連結会計年度における販売実績を事業の内容ごとに示すと、次のとおりであります。
事業の内容 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
ポンプ事業 |
51,298 |
102.7 |
その他 |
942 |
115.1 |
合計 |
52,240 |
102.9 |
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、前連結会計年度及び当連結会計年度に、販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため記載を省略しております。
当連結会計年度における需要先別販売実績の構成比
需要先別 |
販売実績(%) |
前年同期構成比(%) |
|
国内 |
官公需 |
35.6 |
38.8 |
民需 |
18.9 |
18.3 |
|
外需 |
45.5 |
42.9 |
|
合計 |
100.0 |
100.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討等
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度は、エッセンシャルなインフラ企業として社会的要請に応えながら、カーボンニュートラル社会に役立つ水素・アンモニアを扱うポンプ技術の研究開発・産学連携の共同開発を推進しました。また工場の生産性向上のための新型加工設備の導入に代表される「ものづくり革新」に向けた研究及び設備投資を行いました。さらに、サービス市場の拡充及び水素・アンモニアを含む新分野への参入の足掛かりとするために、オーストラリアのサービス会社を買収し、積極的な投資活動を実施しました。
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末から829百万円増加し80,015百万円となりました。
これは主に、新本社工場ビル用資金としてプールしていた現金及び預金が完成に伴う支払等により減少(前連結会計年度末比3,271百万円減少)したものの、積極的な設備投資により機械装置及び運搬具が増加(前連結会計年度末比989百万円増加)したこと、投資有価証券が増加(前連結会計年度末比1,320百万円増加)したこと及び受注高の増加に伴い仕掛品が増加(前連結会計年度末比571百万円増加)したことなどによります。
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末から2,832百万円減少し38,742百万円となりました。
これは主に、期末にかけての急激な円安進行に伴う繰延ヘッジの増加もありましたが、新本社工場ビルの完成に伴い、流動負債その他の中に含まれていた未払金が減少(前連結会計年度末比914百万円減少)したこと及び短期借入金・長期借入金の合計が減少(前連結会計年度末比1,064百万円減少)したことなどによります。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末から3,662百万円増加し41,272百万円となりました。
これは主に、配当金支払額が前連結会計年度よりも増加(前連結会計年度末比263百万円増加)したものの、親会社株主に帰属する当期純利益が増加(前連結会計年度末比273百万円増加)したこと及び為替換算調整勘定が増加(前連結会計年度末比890百万円増加)したことなどによります。
当連結会計年度の売上高は52,240百万円(前連結会計年度50,787百万円)を計上することになりました。これは前連結会計年度比1,452百万円の増収となります。
売上高増加の要因としましては、前連結会計年度は異常気象による集中豪雨対策・復旧等、インフラ整備に関して大きく受注が増加していた官需が、その反動により当連結会計年度は減少した反面、前連結会計年度は、新型コロナ対策によるロックダウン等による受注活動に制限のあった外需が、当連結会計年度は好調に推移し、前連結会計年度に続き増加となりました。
当連結会計年度の営業利益は4,445百万円(前連結会計年度3,591百万円)を計上することになりました。これは前連結会計年度比854百万円の増益となります。
営業利益増加の要因としましては、原材料及び輸送コストの高騰やコロナ禍での自粛から徐々に経済活動が回復したことによる固定費の増加等があったものの、前連結会計年度と比較して売上高が大きく増加したことや、プロジェクト案件に関する工事損失引当金及び貸倒引当金の取崩が発生した反面、新規で計上すべき引当金が比較的少なかったことなどによります。
当連結会計年度の経常利益は5,163百万円(前連結会計年度4,612百万円)を計上することになりました。これは前連結会計年度比551百万円の増益となります。
経常利益増加の要因としましては、営業利益の増加要因に加え、受取配当金や持分法による投資利益が発生したこと等によりますが、前連結会計年度と比較すると保険金や助成金等の収入が当連結会計年度と比較して大きく減少したこともあり、営業利益からの増加幅717百万円は前連結会計年度1,020百万円と比較すると減少しました。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は3,626百万円(前連結会計年度3,353百万円)を計上することになりました。これは前連結会計年度比273百万円の増益となります。
親会社株主に帰属する当期純利益増加の要因としましては、旧本社ビル解体に伴う固定資産処分損168百万円等が発生したものの、経常利益までの増加と、資産圧縮方針により投資有価証券を売却したことなどによる投資有価証券売却益60百万円等を計上したことによります。
当社グループに重要な影響を与える要因として、需要先の動向と収益環境の変化、グローバリゼーションに伴う為替動向、世界動向、保有有価証券の株価動向、事故及び災害、製品に対する重要な不具合、法的規制、訴訟及び感染症拡大などによる事業への影響が考えられます。
需要先の動向と収益環境の変化に対応するためには、研究・開発に注力し、水・新エネルギーなどの資源や環境問題など時代が求める新たなニーズに適切に応える分野を強化するとともに、採算面の改善を図っております。
グローバリゼーションに伴う為替・世界動向に対応するためには、為替予約、外貨建ての資材調達の推進や現地での資材調達を行っております。
保有有価証券に対する株価動向に対応するためには、資産圧縮方針のもと保有有価証券の見直し、売却を行っております。
事故及び災害に対応するためには、グループ全体に安全のための行動と対策を周知徹底しております。
製品に対する重大な不具合に対応するためには、会計上適切な引当金を計上することに加え、品質マネジメント部門を強化し、品質、機能、安全性、納期等に万全を期しております。
法的規制に対応するためには、本社内に法務部門を設置し様々な法的規制の検証を行うとともに、法令遵守の徹底を含めた教育を行っております。
訴訟等に対応するためには、契約留意事項の確認や、片務的契約の排除等、契約内容の事前検証を行っております。
今回の新型コロナウイルス感染症に対応するためには、本社・工場内におけるマスク着用、来訪者に対する検温の実施、手洗い・うがいの徹底などの対策をとるとともに、可能な限りの時差出勤・時短勤務の実施及び事務職員の在宅勤務実施などを行いました。今後、新型コロナウイルス感染症に関わらず、必要とされる事象が発生した場合は、これらの対応を即時に実施します。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況と分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は、営業活動につきましては、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び労務費等)、受注獲得のための販売手数料及び研究開発費が主な内容であります。投資活動につきましては、生産活動のための固定資産の更新や生産・サービス能力の増強及び生産性向上のための設備投資が主な内容でありますが、財源としては、自己資本及び銀行からの借入金を主体とした負債となっております。
手元流動性としては、当連結会計年度末は、現金及び流動性預金として13,496百万円を確保しており、手元流動性比率としては3.10となっておりますが、当社グループは年度末に売上及び検収による支払が集中することが多く、年度末に資金不足とならないようにしております。また、設備投資を積極的に進める方針であり、手元流動性には若干の余裕を持たせることとしております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えております。
(ア)棚卸資産の評価
当社グループは、棚卸資産について、期末における収益性の低下の有無を判断し、収益性が低下していると判断されたものについては、帳簿価額を正味売却価額または処分見込価額まで切り下げております。
収益性の低下の有無に係る判定は、原則として個別品目ごとに、その特性や市況等を総合的に考慮して実施しております。
また、受注工事に係る棚卸資産については、工事損失引当金により収益性の低下を反映させております。
(イ)有価証券の評価
当社グループは、その他有価証券のうち市場価格のない株式等以外の有価証券について時価評価を行い、評価差額については税効果会計適用後の純額を、その他有価証券評価差額金として純資産の部に含めて表示しております。
減損処理にあたっては、時価が取得価額の50%以上下落した場合のほか、時価回復の可能性をもとに判断しております。
(ウ)債権の回収可能性
当社グループは、金銭債権の回収可能性を評価して貸倒見積高を算定し、貸倒引当金を計上しております。
貸倒見積高算定の対象となる債権は、日常の債権管理活動の中で、債権の計上月や弁済期限からの経過期間に債務者の信用度合等を加味して区分把握しております。
貸倒見積高の算定に際しては、一般債権については貸倒実績率を適用し、貸倒懸念債権及び破産更生債権等については個別に相手先の財務状況等を考慮して、回収可能性を吟味しております。
(エ)退職給付費用及び債務
当社グループの退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しており、その主要な前提条件は退職給付債務の割引率及び年金資産の期待運用収益率であります。
割引率は、従業員の退職給付の見込み支払日までの平均期間に対応する期間の日本の国債利回りを基礎に設定しております。
また、年金資産の長期期待運用収益率は、保有している年金資産のポートフォリオ及び過去の運用実績、収益の将来見通しを総合的に判断して設定しております。
(オ)繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかの回収可能性を検討し、回収が不確実であると考えられる部分に対して評価性引当額を計上して繰延税金資産を減額しております。
回収可能性の判断に際しては、将来の課税所得の見積額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
(カ)重要な収益及び費用の計上基準
当社グループでは以下の5ステップアプローチに基づき、顧客への財やサービスの移転との交換により、その権利を得ると見込む対価を反映した金額で収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:取引価格を契約における別個の履行義務へ配分する。
ステップ5:履行義務を充足した時点で(又は充足するにつれて)収益を認識する。
製品販売については、製品に対する物理的占有、所有に伴う重大なリスク及び経済価値の顧客への移転状況といった支配の移転に関する指標を勘案した結果、製品に対する支配を顧客に移転して履行義務を充足するのは製品の引渡時点であると当社は判断し、当該時点で売上高を認識しております。
また、当社は工事請負契約を顧客と締結しております。当該契約については、当社の履行により他に転用できる資産を創出せず、かつ、現在までに完了した履行に対する支払を受ける強制可能な権利を当社が有していることから、資産の支配を一定の期間にわたって顧客に移転していると考えております。
このため、報告期間の末日において測定した履行義務の充足に係る進捗度に基づき、工事期間にわたって売上高を認識しております。なお、当社は、総工事原価の妥当な積算を行うこと、及びこれらの契約に係る進捗度を合理的に見積ることが可能であることから、進捗度の測定についてはインプット法の使用が適切であると考えており、契約ごとの工事原価総額に対する発生工事原価の割合を用いております。
(キ)製品保証引当金
当社グループは、将来発生すると予想される無償保証工事費用に備えるため、製品保証引当金を過去の実績に基づいて算定し、計上しています。
(新型コロナウィルス感染症拡大の影響に関する会計上の見積り)
当社グループでは、固定資産の減損会計や繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りについて、財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき実施しております。新型コロナウィルス感染症による当社グループ事業への影響としましては、インフラを担う企業として、従業員の感染リスク削減策を実施しながら、生産・施工・サービスの現業部門は変わらず操業をしており、受注残高のある中、短期的には大きな影響はないと判断しております。しかしながら、今後の景気動向により、世界的に投資計画が抑制された場合、受注環境が変化する可能性もあり、適宜、見積りの見直しを実施することとしております。
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