業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 ①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、先進国を中心としてワクチン接種が進展したことにより、新型コロナウイルス感染拡大の影響による景気の悪化から一部持ち直しの動きがみられます。

 一方で、2月のロシアによるウクライナ侵攻や、中国におけるロックダウンなどに端を発する世界的なサプライチェーンの混乱などにより、先行きについては依然不透明な状況となっております。

 このような中、物流ソリューション事業は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で巣ごもり需要が増加したことによるEC向けの物量の増加や人手不足を背景とした自動化・省人化設備への需要が引き続き堅調に推移しております。一方で空港向け手荷物搬送システムは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で引き続き設備需要の低迷が見込まれます。

 機械・プラント事業では、今期の市場環境は、国内製油所向けメンテナンス事業は引き続き堅調なるも、新設案件は、コロナ後を見据えた引き合いが増加傾向にあるものの、厳しい状況は今なお続いております。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りになりました。

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ55億26百万円増加し、642億90百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ55億33百万円増加し、278億13百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ7百万円減少し、364億77百万円となりました。

b.経営成績

 このような状況の中、2021年度の連結決算の状況は、売上高が591億77百万円(前連結会計年度比35.7%増)、営業利益は引き続き好調な物流ソリューション事業の牽引などにより28億8百万円(同7.0%増)、経常利益は34億74百万円(同13.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は23億34百万円(同31.3%増)となりました。また受注高につきましては、470億85百万円(同11.7%増)となりました。

・物流ソリューション事業

 ネット通販、卸、生協、製造業向けの「マルチシャトル」を組み込んだ庫内自動化設備案件を中心に売上は増加しました。事業拡大に伴う経費増などにより営業利益は若干の増加に留まりました。

 この結果、当事業の売上高は329億87百万円(前連結会計年度比21.1%増)、営業利益は31億49百万円(同0.3%増)、受注高は319億55百万円(同4.4%増)となりました。

・機械・プラント事業

 国内製油所向けメンテナンス案件を中心に売上を積み上げた結果、売上高は150億6百万円(前連結会計年度比53.1%増)となりました。なお今期は会計基準の変更により32億90百万円の売上及び同額の売上原価が加算されております。同影響額を除く従来基準での売上高は117億16百万円(同19.5%増)となっております。また営業損益については、営業利益は1億8百万円(前連結会計年度は営業損失6億2百万円)、受注高は138億46百万円(同49.5%増)となりました。

・その他

 主に、子会社それぞれの特性を生かして産業用機械や一般建築、環境分野などへの事業展開に注力した結果、売上高は111億83百万円(前連結会計年度比70.0%増)、営業利益は5億72百万円(同27.5%減)、受注高は12億82百万円(同43.7%減)となりました。

 ②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べて13億45百万円増加し、86億54百万円になりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動に用いた資金は10億97百万円(前連結会計年度は14億82百万円の収入)になりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上37億16百万円、売上債権及び契約資産の増加103億62百万円、契約負債の減少17億82百万円、棚卸資産の減少59億53百万円、法人税等の支払額15億39百万円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動に用いた資金は8億30百万円(前連結会計年度は3億38百万円の支出)になりました。主な要因は、固定資産の取得による支出10億13百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入6億44百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出6億19百万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により得られた資金は32億8百万円(前連結会計年度は51億76百万円の支出)になりました。主な要因は、短期借入金の純増加額41億64百万円、配当金の支払9億45百万円等によるものです。

 ③生産、受注及び販売の実績

 1.受注実績

 当連結会計年度における各事業の受注実績を示すと、次の通りであります。

 なお一部の見込生産を除き、受注生産を行っております。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

物流ソリューション事業

31,955

104.4%

31,435

96.8%

機械・プラント事業

13,846

149.5%

7,279

86.3%

報告セグメント計

45,802

114.9%

38,715

94.6%

その他

1,282

56.3%

261

16.5%

合計

47,085

111.7%

38,977

91.7%

 

 2.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

物流ソリューション事業

32,987

121.1%

機械・プラント事業

15,006

153.1%

報告セグメント計

47,993

129.6%

その他

11,183

170.0%

合計

59,177

135.7%

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、その作成にあたっては、決算日における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 a.経営成績等の状況に関する分析・検討

(中期経営計画の目指す経営指標に関する分析)

当社グループは2019年4月にグループ中期経営計画(2019~2021年度)を策定し、本計画期間の3カ年を、長期ビジョンの実現のための飛躍に向けた基盤確立の時期として位置付けておりました。最終年度である2021年度は、コロナ禍の影響や地政学リスクの顕在化などの影響を受けたものの、物流ソリューション事業が堅調に推移しグループ業績を牽引、さらに、機械・プラント事業の営業利益の黒字化や環境事業の成長も企業価値向上に寄与する形となりました。

 この結果を踏まえ、当社グループは「未来へ向けた成長路線の確立」を基本方針とし、当社グループが解決すべき社会課題を明確化した『グループ中期経営計画(2022年度~2024年度)』を策定いたしました。

 新たな中期経営計画(2022~2024年度)における各セグメントの目標数値、基本戦略及びそれらの進捗状況、並びに経営者が認識する現状の事業環境については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しておりますので、ご参照ください。

 

2021年度の業績予想と実績との比較

 

2021年度(予想)

2021年度(実績)

予想比

2021年度

(中計目標)

売上高

54,700

59,177

4,477

46,000

物流ソリューション事業

30,000

32,987

2,987

28,000

機械・プラント事業

14,400

15,006

606

9,100

その他事業

10,300

11,183

883

8,000

営業利益

2,370

2,808

438

2,100

物流ソリューション事業

2,700

3,149

449

2,600

機械・プラント事業

△80

108

188

△400

その他事業

780

572

△208

800

ROE

4.7%

6.4%

1.7pt

5.0%

 

 売上高は、予想比44億77百万円増収(8.2%増)の591億77百万円となりました。これは、物流ソリューション事業においてEC向けの物量の増加や人手不足を背景とした自動化・省人化設備への需要が堅調に推移したことや、機械・プラント事業において、メンテナンス事業が堅調に推移したこと等によるものです。

 営業利益は、予想比4億38百万円増益(18.5%増)の28億8百万円となりました。これは、物流ソリューション事業での事業の拡大や、機械・プラント事業において採算が改善したこと等によるものです。

 ROEは、為替差益や投資有価証券売却益を計上したこと等により予想比1.7ポイント増加の6.4%となりました。

 

 b.財政状態に関する分析・検討

 当連結会計年度末における総資産は642億90百万円となり、前連結会計年度末に比べ55億26百万円増加しました。これは主に受取手形、売掛金及び契約資産が118億38百万円増加し、仕掛品が59億36百万円減少したことによるものです。一方負債は278億13百万円となり、前連結会計年度末に比べ55億33百万円増加しました。これは主に金融機関からの借入金(短期借入金・1年内返済予定の長期借入金・長期借入金)が合計で44億91百万円増加したことによるものです。

 また純資産については、364億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ7百万円減少しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益23億34百万円、剰余金の配当9億49百万円及びその他有価証券評価差額金の減少13億5百万円によるものです。

 主にソリューション事業における業容拡大に伴う運転資金の増加や環境計測株式会社の株式取得費用に充てるため、前連結会計年度と比べ金融機関からの借入金が増加しております。

 また、保有有価証券の売却や当連結会計年度にかけての株式相場の下落による保有有価証券の値下がり等により、投資有価証券及びその他有価証券評価差額金が減少しております。

 なお、借入金額の増加等のバランスシートの拡大により、当連結会計年度末の自己資本比率としては56.7%と前連結会計年度末に比べ5.4ポイント下落しました。

 c.キャッシュ・フローに関する分析・検討

当社グループの資金需要のうち主なものは、生産活動に必要な材料費、外注費及び労務費等の製造費用や、受注獲得や競争力強化のための販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、資金の需給状況に応じて株主還元や成長投資にも資金を利用しております。また、ロシアによるウクライナ侵攻、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大、またそれらに起因する原材料不足やサプライチェーンの混乱等によるキャッシュ・フローの急激な悪化に備え、当社グループでは手元流動性を十分に確保する方針を執っております。万一、追加の資金が必要になった場合には、金融機関からの借り入れにより資金を調達していく考えです。

 当社グループは、当連結会計年度において株主還元に9億48百万円、成長投資に16億76百万円使用しました。当社では、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けており、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております株主還元方針に従った自己株式の取得や配当金の支払い等、機動的な株主還元を実施しております。

 また、2022年度より開始する新たな中期経営計画に則り、次世代エネルギー開発事業の研究開発やみらい創生事業の業容拡大を目指した投資、既存事業の生産能力強化等成長投資にも資金を利用してまいります。

 当社グループでは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保するため、営業活動から獲得した手元資金を活用するほか、必要に応じて機関投資家向けの社債発行や、金融機関より短期借入金及び長期借入金による資金調達を行っております。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は137億21百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は86億54百万円であります。

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