当社のリスク管理体制は、取締役の中から任命されたリスク管理統括責任者が、当社及び当社グループのリスク管理を統括し、全社リスク管理部門がリスク管理統括責任者の指揮命令の下、リスクの洗い出し、評価・結果のモニタリング等を行います。重要リスクについては、経営環境の変化やリスク対応状況等を踏まえて定期的に見直しが行われ、適切なリスク対策が適時に実行されるよう努めております。
事業活動に与える可能性のあるリスクのうち、重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、予見することが困難なリスクも存在します。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における判断によるものです。
① 気候変動に関する影響
当社グループでは、ESG経営を推進しており、SDGsやパリ協定で示される国際的な目標を重要視しております。また、経営上の重要課題(マテリアリティ)の冒頭に「気候変動による事業環境変化への対応」を掲げております。
世界的な環境意識の高まりや低炭素・脱炭素型社会への移行による、エネルギーシフトが加速する中で、LNG・原油等のタンク需要が減少することは避けられず、当社の事業環境に悪影響が及ぶ可能性があります。そこで当社の技術を活かし大型液化水素貯蔵の開発や、発電用燃料としての水素やアンモニアの需要拡大への対応を通じた、低炭素社会の実現を目指し、当社の強みを活かしたインフラに係る取り組みを積極的に推進しております。また、当社グループ全体として、省エネ型製品・サービスの開発、自家消費型再生エネルギー(太陽光)の活用など、低炭素・脱炭素型社会に向けた施策を推進しています。当社グループの温室効果ガスの排出(Scope1及び2)の削減については、2022年5月に「2050年までのカーボンニュートラル達成」を宣言し、また2022年度より「TCFD提言に基づく気候変動リスク(及び機会)にかかる情報開示」も開始しております。気候変動対応については、当社グループ経営における長期的リスク(及び機会)への対応を検討する好機と捉えており、投資家等に向けた情報開示や対話を促進していく考えでおります。
また、当社グループの事業に起因した環境問題が発生した場合には、社会的な信用低下につながる可能性があります。そのため当社が掲げる環境方針のもと、ISO14001を取得・更新し、環境マネジメントシステムを積極的に整備・運用をしております。
② プロジェクトの遂行に関するリスク
物流ソリューション事業では、Eコマース市場の拡大、物流業務のアウトソーシングの広がりなどにより、サプライチェーンの中で物流センターにおける役割が増えると共に、物流業務の効率化、拠点の集約化の動きに合わせて物流センターが大型化する傾向にあり、これまで以上にプロジェクト管理・遂行能力の重要性が高まっております。
そのため、当事業においては、営業提案から施工まで一貫した納期管理の徹底を行い、標準化や生産性向上によるコスト・作業負担の低減に努めるとともに、協力会社の拡大など、持続可能なプロジェクト遂行体制の整備に努めております。しかしながら、短納期化が求められるなかでの予期せぬ建築施工計画の変更による工期圧縮や、一定期間内に複数の大型プロジェクトを同時進行することに伴う納期調整など、様々な要因によって想定外のコストが発生する可能性があります。
また、当事業が提供する主要な製品や部材の中には、海外の特定取引先から調達しているものが存在し、取引先の経営方針・経営環境の変化や、国際需給の変動、自然災害、事故などにより、安定的にこれら製品や部材を調達できない場合にはプロジェクトの遂行に影響を与える可能性があります。
機械・プラント事業においては、国内製油所を中心にタンク補修工事を請け負っており、工事従事者が不足した場合や資機材の調達価格が高騰した場合、現場監督者の技術の継承が遅れた場合には事業遂行に影響を及ぼす可能性があります。そのため、パートナー企業との連携を強化し、安定的な施工体制を整えながら、現場人材の確保・育成を図るため「TKKプラントエンジ株式会社」を設立しております。またタンク新設プロジェクトへの対応として、受注から施工まで少数精鋭による一貫した管理・情報集約体制を整え、迅速かつ効率的なプロジェクトの遂行を行っております。
当社グループでは、機械・プラント事業を中心に海外でも事業を展開しており、当社連結子会社のインドネシア現地法人においてタンク等の鉄鋼材料の加工や現地工事、マレーシア現地法人では現地空港における手荷物搬送設備のメンテナンス及び現地石油化学プラント関連設備のメンテナンス事業を行っております。これらの海外事業には以下に掲げるようなリスクが内在しており、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
1.法律又は規制の予期せぬ変更
2.政治経済の不安定性
3.人材確保の困難性
4.不利な税制改正
5.テロ、戦争、疫病、災害、その他の要因による社会的混乱
また、新型コロナウイルス感染症の影響や、地政学リスクの影響による部材等の不足や価格高騰により、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
プロジェクトの遂行にあたっては案件に応じて製造物責任賠償保険等に加入すると共に、品質を担保するため、当社グループでは社内規定を制定し、品質マネジメントシステムを整備するなど、品質管理を強化しております。また品質問題が発生した場合でも品質管理の主管部門を社長直轄とすることで、迅速な対応を可能とする体制を整備しております。しかしながら万が一製品に重大な品質クレーム・トラブルが発生した場合には、修繕費用や賠償の発生等によりプロジェクト収益が悪化するのみならず、当社グループの社会的評価の低下に繋がり、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす恐れがあります。
③ 人材の確保・育成に関する影響
当社グループでは、人材の確保と育成は重要課題の一つであり、人材の流出や採用コストの上昇は、事業活動に影響が生じる可能性があると認識しております。
そのため、多様な人材確保のため採用対象を多様化させると共に、女性活躍推進行動計画を策定し、女性管理職候補者の育成・登用、時差勤務の利用促進、有給取得率向上、男性の育児休業取得促進などの取り組みを進め、「健康経営®優良法人2022(大規模法人部門)」に認定されるなど、働きやすい職場環境づくりによる人材の定着化を推進しております。
また、物流ソリューション事業では、千葉事業所内にエデュケーションセンターを開設し、人材のさらなる技能強化や安全教育指導を実施しております。
④ 受注競争の激化による影響
当社グループの主力事業は何れも受注型産業であり、厳しい受注競争に晒されているため、採算面での不合理な下方圧力に直面した場合には、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、顧客の政策・方針や、業界の経営環境変化、業界再編の動きは、受注活動に影響を与える可能性があります。
こうしたリスクに対し、物流ソリューション事業においては、国内外における顧客領域の拡大を進めつつ、外部技術の柔軟な導入による最適なソリューション提供を行うと同時に、製品の内製化、標準化を推し進め、価格競争力を強化しております。また、更なる業務効率向上を図るために社内システムの刷新を行うなどの対策を進めております。
機械・プラント事業では厳しい事業環境が長期化する中で、コア技術であるタンクEPC(設計・調達・施工)遂行能力を向上・発展させ、品質面での優位性を活かした受注活動に取り組むと共に、海外子会社による事業領域の拡大を図っております。
また、厳しい受注競争の中で、当社グループは持続的企業価値向上と社会の発展に貢献することを目指し、「革新的な技術と実行力で、社会課題を解決するソリューションイノベーター」となることを経営ビジョンとして掲げ、最先端技術を有する国内外の企業やCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)を活用したスタートアップとの連携、大学・研究機関との共同研究などを通じて、様々な技術開発に取り組んでおります。
しかしながら、製品・技術のライフサイクルが短命化する中で、市場からの要請に対応が遅れた場合には、当社グループの競争力が低下し、中長期的に業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループは、有形固定資産及び無形固定資産等の固定資産を保有しています。継続的な業績のモニタリング等により、当該固定資産に対する投資の回収が困難となる前に対策を講じるように努めておりますが、経営環境や事業の状況の著しい変化等により収益性が低下し、十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合は、当該資産に対する減損損失の計上により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 新規事業の立ち上げに関するリスク
当社グループは、長きにわたり物流ソリューション事業、機械・プラント事業の2事業を主力として展開をし、これまで両事業が相互補完的にグループ収益を支えてまいりましたが、これら事業環境の変動幅は大きく、収益のボラティリティが高いと認識しております。
そのため、M&Aの実行や、CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)の立ち上げとスタートアップとの連携など、あらゆる手段を講じてその可能性を追求しておりますが、主力2事業に続く第3の柱となる事業の創出が遅れた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 労働安全衛生に関する影響
当社グループでは、安全をすべてに優先すべき事項と捉え、「労働安全衛生方針」のもと、OHSAS18001・ISO45001の取得・更新、社長直轄の主管部門の設置、グループ安全会議の開催、現場パトロールの実施、パートナー企業を含めた安全体制の維持・拡充等により、安全衛生の確保・向上に努めております。
しかしながら、このような対策を取っていながらも、事件、事故が発生した場合、工場の稼働や顧客対応に支障が生じるだけでなく、損害賠償の発生、刑事罰や行政処分の執行、社会的信用の失墜などにつながり、事業活動や財政状態に影響を与える可能性があります。
⑦ コンプライアンスに関するリスク
当社グループは、社会インフラという社会からの信頼なくしては成り立たない分野で事業を行っており、法令等を遵守するコンプライアンスは、信頼される事業活動のもっとも重要な基盤の一つであると認識しております。
そのため、当社ではコンプライアンス委員会の設置や統括責任者の任命など組織体制を整備する他、グループ企業行動憲章をはじめとした諸規程を定め、グループ全取締役及び社員へ社会的責任及び公共的使命を周知徹底し、意識を醸成するなど、コンプライアンスを堅持する取り組みを推進しております。
しかし万が一、国内外の関連法規などに抵触する事態が発生した場合には多額の課徴金や損害賠償が発生するなど、業績及び財政状態に悪影響を及ぼすだけでなく、当社グループの社会的な信用が低下し、事業継続に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 自然災害・疫病等に関するリスク
当社グループは、火災や地震、大規模な自然災害や疫病の流行等に備え、BCP(業務継続計画)マニュアルを策定し、連絡体制の整備、災害備蓄の実施や、国内主要製造・開発拠点における耐震補強工事や避難所の設置など、事業継続に必要な対策を講じております。
しかしながら、想定以上の災害の発生により深刻な物的・人的被害を受けた場合、社員の健康のみならず施設に重大な影響を与え、損害保険の付保による適切なカバーを行なっているものの、直接的・間接的損害や復旧費用などが予想以上に多額となり、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響は、多方面にわたるリスクとの認識のもと、当社グループでは、感染防止指針や事例別対応マニュアルを策定し、感染拡大への防止策を講じながら、リモートワークの推奨、休暇・補償制度の拡充などの制度面の整備や、電子申請システム、クラウドストレージなどITツールの強化も行っております。
⑨ 情報セキュリティ並びに情報インフラ整備に関する影響
当社グループは事業を通じて顧客、技術情報等さまざまな機密情報を取り扱っており、これら情報の管理強化のため、情報セキュリティ委員会を組織し社員教育の実施等、その重要性の周知徹底を行うと共に、情報システムのセキュリティ対策を行っております。
しかしながら、コンピュータウイルスなど予期せぬサイバー攻撃により、かかる情報システムの機能に支障が生じ、不適切な形で機密情報が消失、漏洩した場合には、当社グループの信頼性を損なうこととなり、事業活動そのものに影響を与える可能性があります。これらへの対応の一環として、当社情報資産の適切な管理運用、及び当社の関係取引先の安全性確保の観点から、メールへのファイル添付を禁止(PPAP廃止)し、ファイル共有サービス(BOX®)を導入いたしました。
また、当社グループではRPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)による業務の自動化・効率化や業務標準化システムの導入を進めるなど、IT技術によるビジネスモデルの変革を目指しておりますが、これらDX(デジタル・トランスフォーメーション)の取り組みに遅れを取った場合には、競争上の優位性を確立できず、事業機会を失う可能性があります。
⑩ 市場動向等に関するリスク
物流ソリューション事業では、小売、卸売、生協などの業界を中心に製品・システムを納入しております。また国内空港を中心に手荷物搬送システム等を提供しております。そのため、景気後退や少子高齢化の進展等による物流量の低下などで、物流施設関連への投資が停滞した場合や、航空関連需要の動向によっては、当事業の展開に影響を与える可能性があることから、AI、IoT技術を活用した事業領域の拡大を図っております。
機械・プラント事業においては、LNGプラントや製油所等に各種タンクを納入すると共に、既設の原油タンク等のメンテナンスを実施しております。そのため世界的な景気動向の他、産油・産ガス国や消費国の経済・社会情勢、各国のエネルギー・環境政策の動向、原油・LNG価格の動向等により、プラントオーナーの投資計画の中止・延期・大幅見直し等が発生した場合には、当事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があることから、安定収益源の確保による受注変動に強い事業体質を確立すべく、メンテナンス案件の収益性向上等の取り組みを強化しています。また、経済環境が悪化した場合には次のようなリスクを想定しております。
a) 為替相場の変動
当社グループの事業活動には、海外における製品の生産、資材の販売、建設工事等が含まれており、主に米ドル建てでの取引が発生します。現時点において、外貨建ての取引高、及び保有資産額は相対的に僅少であるため、為替相場の変動リスクは低いと認識しておりますが、想定外の変動は将来的な当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
b) 金利の変動
当社グループは営業債権などによる信用供与、固定資産取得などのため、短期・長期の調達比率のバランスを鑑みながら金融機関より資金調達を行っております。大規模な金融緩和政策などにより、低金利が継続しているものの、金利が上昇する局面においては、資金調達コストが増大し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
c) 保有有価証券の評価
当社グループは、市場価格のない株式等以外の有価証券を保有しております。決算期末日の株価によって再評価を行っており、大幅に株価が下落した場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(TCFD提言に基づく気候変動リスク(及び機会)にかかる情報開示)
当社グループは、2018年度に特定した持続的な企業価値向上に向けた重要な経営課題(マテリアリティ)の冒頭に「気候変動による事業環境変化への対応」を掲げており、気候変動への対応を経営上のリスク及びビジネスチャンス創出の機会と認識し、その対処に取り組むとともに、進捗にかかる情報開示に努めており、気候変動課題に関し、以下2点の情報開示を行いました。
① カーボンニュートラルにかかる温室効果ガス(以下GHG)の排出削減目標値の開示
当社グループの事業活動を通じたGHG排出削減目標を策定し公表しました。
(詳細は2022年5月13日付プレスリリースをご参照ください)
<削減対象のGHG>
当社単体及び国内海外連結子会社における「Scope1排出量+Scope2排出量」
Scope1排出量: 自社での燃料の使用等によるGHGの直接排出
Scope2排出量: 自社が購入した電気・熱の使用によるGHGの間接排出
<GHG削減目標>
「2050年までにカーボンニュートラルを達成」
「2030年までに2019年度対比で50%に削減」
当社グループにおいて省エネルギーや再生可能エネルギー導入をはじめとしたGHG排出削減活動を推進し対象範囲のGHG排出量を2050年までにカーボンニュートラルにします。
なおScope3排出量については、仕入先・顧客と協働し、バリューチェーンを通じた削減の取り組みを推進していきます。
Scope3:事業活動のサプライチェーン内で間接排出されたScope1・2以外のGHG
② TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づく情報開示
当社グループはTCFD提言に賛同し、同提言の枠組みに沿って、外部専門家グループの支援を受け、開示を行いました。
(詳細は2022年6月28日付プレスリリースをご参照ください)
・ガバナンス
当社グループにおける気候変動リスクを含むビジネスリスクは、取締役会によって指名された取締役を委員長とするリスク管理委員会が管掌し、同委員会は必要な計画の策定と実施を推進します。なお、リスクマネジメント室が同委員会の事務局として機能しています。
リスク管理委員会の構成メンバーは、各事業本部において当該事業を管掌する取締役ないし執行役員の中から選任され、この選任を通じて、各事業部門間での取り組みが共有され、業務計画等の立案・実施において気候変動課題が考慮される仕組みとなっています。
・戦略
当社グループの経営に重要な影響を及ぼす可能性のある気候変動リスク及び機会を特定し、シナリオ分析を実施しました。
分析にあたっては、 原則として2050年までの期間を対象とし、短期(3年程度)、中期(2030年まで)、長期(2050年まで)の3視点で、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)等が公表する複数の既存シナリオを参照しつつ、2つの気候変動シナリオ(産業革命以降の今世紀末までの平均気温上昇が2℃未満のケース、4℃のケース)に基づく世界観を想定し、網羅的に分析を行いました。
2つのシナリオに基づくTKKグループのリスク及び機会とそれらに伴う事業及び財務への影響を検討したところ、現時点で2050年までを俯瞰すると、TKKグループの2020年度連結売上高で概ね85%を占める主力3事業(物流ソリューション事業、次世代エネルギー開発事業、プラント事業)での全般的な財務的影響は「機会」が「リスク」を上回るとみています。
物流ソリューション事業では、気候変動による物流現場の環境悪化や少子高齢化等の流れから、高度な省力化・省人化物流システムへの需要には継続的な伸びが期待でき、「機会」が「リスク」を十分に上回ると考えます。
プラント事業では、既存の石油・ガス貯蔵タンク向けのメンテナンス需要は徐々に低下することが見込まれますが、それに代わり次世代エネルギー活用としてMCHやアンモニア貯蔵化などが進み、これらの改造やメンテナンスの需要が見込まれます。
次世代エネルギー開発事業では、化石燃料の使用が制限されていくことに伴い、従来の石油・ガス貯蔵タンクの新設需要は減少に向かいますが、替わって次世代エネルギーである水素や燃料アンモニア向け、あるいは液化CO2向けタンクの新設需要が増加し、これをカバーすることが期待できます。
また、4℃シナリオ下においては、物理的リスクに関し、急性では、河川氾濫による水害発生や台風・洪水等によって事業所業務のサプライチェーンが影響を受ける可能性が高まると想定しています。また慢性については、今世紀末において海水面上昇による事業所への影響の可能性を特定しましたが、2050年までを視野にいれた分析では、財務影響は小さいと考えています。TKKグループでは、物理的リスクの影響を受けることが考えられる事業や事業所において、今後リスク軽減の対策を講じていきます。
・リスク管理
企業を取り巻く環境が複雑かつ多様化する中、当社グループは、事業に重要な影響を与えるリスクの適切な管理を重視し、グループの重要経営課題(マテリアリティ)においても「リスクマネジメントの高度化」を掲げています。
リスク管理委員会は年2回以上開催され、取締役会及び経営会議に定期報告を行うことになっており、経営会議では、リスク管理委員会からの報告・答申等に基づき、必要な協議・決議を行います。取締役会は、経営会議及びリスク管理委員会で協議・決議された内容の報告を受け、当社グループの気候変動課題への対応方針及び計画の実行と進捗についての監督を行います。
・指標と目標
GHGプロトコルに準じて算出したサプライチェーン排出量の算出結果は以下の通りです。
Scope1排出量+Scope2排出量 (国内外を含むグループ全体)
・2019年度:5,276 t-CO2e ・2020年度4,993 t-CO2e ・2021年度5,142t-CO2e
Scope3排出量(国内外を含むグループ全体) (単位:t-CO2e)
・2020年度348,949 t-CO2e
※Scope3排出量のうち、カテゴリー11「販売した製品の使用」が198,684 t-CO2e、カテゴリー1「購入した製品サービス」が128,769 t-CO2eで、Scope3排出量全体の94%を占めます。
上記より、2020年度のサプライチェーンGHG排出量は353,942t-CO2eうちScope1・2排出量4,993t-CO2e(GHG総排出量に占める構成比1.4%)Scope3排出量348,949t-CO2e (同構成比98.6%)であります。
また、GHG排出削減に向けての施策について、Scope1・2排出量は、2021年度で57%が電気使用、33%がガソリン・軽油の消費に由来するものであることから、以下の項目に重点を置くことが必要と考えております。
・自家消費太陽光設備の導入
・ゼロ排出・再エネ由来電気の導入
・社用車のEV化
・省エネ設備の導入
Scope3排出量は、製品の使用過程における消費電力の削減等カテゴリー別の具体的対策を検討し、また仕入先・顧客とも協働し、GHG排出量の削減に向け、対策の立案とその推進に取り組んでまいります。
さらに、2022年度より、GHG排出削減効果の大きい新規設備投資を促進していくことを目的に、設備投資計画の検討において、設定した社内炭素価格を適用し仮想的な費用に換算することで、投資判断の参考とするInternal Carbon Pricing制度を導入し、脱炭素投資の推進をしてまいります。
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