課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、「優秀な製品による社会への貢献」を経営理念とし、法の下に社業を忠実に行い、職務を通じて社会の進歩と発展に寄与することが責任遂行の基本と考え、高性能、高品質の製品を開発し、国内外の顧客に供給することによって、豊かな社会作りに貢献するとともに、会社の限りない繁栄を実現することを経営の基本方針としております。

当社は建設機械メーカーとして長きに渡り、上記の経営方針に則り、これまで蓄積してきた技術と経験を活かしたモノづくりを行ってまいりました。

しかしながら近年、国内需要の伸び悩みや海外メーカーとの競争が一層激化しております。さらにグローバルサプライチェーンの混乱や鋼材を始めとする原材料や原油価格の高騰による収益への影響に加え、米中の貿易摩擦やロシアのウクライナ侵攻により国際情勢も不安定さを増しており、当社を取り巻く事業環境は厳しい状況が続いております。

このような環境下においても経営方針を守り、絶やすことなく付加価値の高い製品を製造・販売していくことが社会づくりの基盤たる建設機械メーカーとしての当社の責務と考えております。

さらに事業を磨き上げ、将来に向けさらなる飛躍を果たし、あらゆるステークホルダーから共感・支持を得られる企業であり続けられるよう、全社一丸となって取り組んでまいります。

 

 

(2) 当社グループの経営環境

当社グループは、当社を中心に国内外にある子会社及び関連会社とともに、「建設用クレーン」、「油圧ショベル等」及び「その他の建設機械」の製造・販売を主要事業とする企業構造となっております。当社グループは構成単位ごとの独立性や採算性をもとに、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績の評価を定期的に行っております。

当社グループの主要な市場は先進国・開発途上国を問わず、当社製品を必要とするあらゆる地域でありますが、「日本国内」、「中国」及び「その他海外諸地域」(東南アジア、ヨーロッパ、北米)を当社グループの主要な市場として捉えており、日本国内においては当社が、中国及びその他海外諸地域では当該地域の子会社が製造・販売活動を行っております。当該地域の製造・販売拠点を基礎として報告セグメントを決定しております。

現在の当社グループを取り巻く市場環境は、国内では緩やかな需要回復が継続している一方、海外においては新型コロナウイルス感染症の影響に地域差が生じております。2022年3月期においては、EUコロナ復興基金によるインフラ投資拡大に伴い油圧ショベル等の需要が欧州にて拡大したほか、北米でも同機種の販売が好調に推移いたしました。反面、中国においては、景気減退のなかインフラ投資の鈍化や地場メーカーの販売攻勢もあり、厳しい販売環境が続いております。

 

(3) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題

① 中長期的な会社の経営戦略

国内における新型コロナウイルスの影響は小康状態が継続し、建設機械の需要も堅調に推移するものと想定しております。海外においては、欧州・北米でのさらなる需要拡大が期待される一方、国内に次ぐ主力市場である中国においては、厳しい事業環境が今後も継続するものと見込んでおります。

足元では鋼材を始めとする原材料や原油価格の高騰に加え、半導体不足等によるサプライチェーンの混乱、さらにロシアのウクライナ侵攻といった地政学的リスクなど不透明な事業環境が継続しております。

当社グループでは、厳しい事業環境下でも安定した業績をあげるためには、抜本的な収益力と体質改善が必要であると考え全社横断のプロジェクト(KATO Reborn Project)を組成し、各施策を推進してまいりました。また、これらの各施策を引継ぎ、さらなる成長を遂げることを目的に2022年度を初年度とする3ヶ年の新たな中期経営計画を策定し、2022年3月に公表いたしました。

 

新たな中期経営計画は、将来への飛躍に向けた準備期間との位置づけとして、優先課題として捉えているコストの削減、在庫水準の改善、製品開発の推進を進めてまいります

これらの推進状況に関するモニタリング機能強化の一環として、経営企画部門の機能を強化し、施策の進捗状況を管理し、会社全体のPDCAサイクルを図ってまいります。

 

「中期経営計画2022-2024」のテーマ及び基本方針並びに数値計画については以下のとおりです。

 

●テーマ

『スリムで骨太体質への変革』次なる飛躍に向けた徹底的な変革の3年間

 

●基本方針

収益性改善・強化

人員・設備・投資などのリソースをコア事業に集中させ、抜本的な改革を行い、収益性強化

財務体質の改善

在庫を中心とした運転資本を適正化し、資金効率を向上

将来の基盤構築

将来成長に向け、開発機種をコア事業に集中

 

 

●数値計画

 

2022年3月期

(当期実績)

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

売上高

63,549百万円

64,100百万円

64,400百万円

66,400百万円

売上原価率

89.6%

85.4%

83.7%

83.2%

営業利益

△7,222百万円

1,300百万円

2,500百万円

3,100百万円

営業利益率

△11.4%

2.0%

3.9%

4.7%

棚卸資産

32,070百万円

31,000百万円

31,800百万円

32,700百万円

 

 

なお、当社は株式会社東京証券取引所の市場区分見直しに際し、プライム市場選択の届出を行い、2022年4月に同市場に移行いたしました。一方で2022年3月末時点において同市場の上場維持基準に設定された流通株式時価総額100億円を充たしておりません。新たな中期経営計画を推進し、企業価値と株主還元の双方を高めることで早期に数値基準の達成ができるよう努めてまいります。

 

 

② 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

新型コロナウイルス感染拡大の影響により業績が悪化した2020年3月期以降、当社は3期連続の赤字決算が続いており、併せて財務状況も大幅に悪化いたしました。収益面と財務面の早期改善・健全化を最優先課題にあげ、2022年3月期中での施策の実施と経理処理を強く意識して進めてまいりました。収益面の改善策については、来期以降の人件費を抑制するため希望退職者の募集(結果119名が応募し、2022年3月末退職)を行ったほか、国内支店・営業所の統廃合を行いました。また、財務面の改善については、棚卸資産の圧縮に加え事業外遊休地3件の売却を行ったほか、コロナ禍により建設を中断していた茨城県ひたちなか市の工場用地の売却を決議し、解散するタイの連結子会社が保有する固定資産と併せ減損損失を計上いたしました。さらに連結子会社である加藤(中国)工程机械有限公司にて回収見込みが不確定と判断した債権分を貸倒引当金として計上いたしました。これらは早期の黒字転換と財務体質改善のために必要な施策として実施したものであり、結果として2022年3月期は一過性の損失計上が増加したことを受け、赤字幅が増大いたしました。

お、実施済のものを含め、新中期経営計画では2025年3月期までの収益改善として以下の施策を掲げております。

分類

改善金額(百万円)

内容

営業施策

1,300

・販売単価アップ

・販売台数の拡大

・国内販売拠点の統廃合

開発施策

820

・既存製品の徹底的なコストダウン

・新製品群の市場投入

製造施策

580

・生産コストの抜本的な見直し

・生産の平準化

人事施策

1,200

・希望退職の募集

・外部出向

その他施策

940

・各種固定費の削減

・アフターサービス事業の強化など

合計

4,840

 

 

 

 2023年3月期の業績見通しについて

2023年3月期の業績見通しについては、2022年3月期に計上した多額の損失が一過性のものであり、これまで推進してきたプロジェクト(KATO Reborn Project)及び中期経営計画の施策が奏功することで、特に収益面では大幅に改善するものと想定しております。一方で、海外における当社主力市場である中国の景気減退や地場メーカーとの競争に加え、ゼロコロナ政策など不透明な状況は続いております。また、サプライチェーンの混乱による工場の稼働低下、原材料や原油価格の高騰による売上原価の高止まり等が現状、収益を押し下げる要因として捉えております。

新中期経営計画で掲げた施策を遅滞なく進め、計画数値を達成してまいります。

なお、2023年3月期の業績見通しは以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益

2023年3月期

64,100

1,300

1,000

600

 

 

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、「中期経営計画2022-2024」において、収益性改善・強化、財務体質の改善、将来の基盤構築 を基本方針としております。したがって、それを実現する経営指標として、売上高、売上原価率、営業利益、営業利益率、棚卸資産の残高を目標としております。

 

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