(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が続きましたが、世界的にワクチン接種が進み、各国において濃淡はあるものの段階的に経済状況が持ち直す予兆がみられ、特に米国や欧州においては新型コロナウイルスとの共存体制に大きく舵を切り、経済活動を急速に再開させる動きがみられました。一方で急速な需要の回復に伴う世界的な半導体等の電子部品の供給不足に加えて、地政学的リスクの影響による資源価格の高騰や世界的な新型コロナウイルス変異株の流行等の懸念材料も多く、依然として経済の先行きは不透明な状況が続いております。
このような市場環境の中、当社グループの主力市場である米国ゲーミング市場では、ワクチン接種が進み、カジノ施設への入場制限等の緩和が進んだこともあり、ビフォーコロナを上回る活況が続いており、カジノオペレーター等の顧客における設備投資意欲も大きく回復いたしました。また、国内外のコマーシャル市場においても、ウィズコロナ体制へのシフトを背景に、感染防止対策としての現金決済における非接触・非対面化の拡大や促進に関連する製品の需要が堅調に推移いたしました。一方、遊技場向機器市場では、パチンコホールの稼働回復に時間を要していることに加えて、新規則機の供給不足を背景に旧規則機からの入替に伴う周辺設備機器の需要についても低調に推移いたしました。
このような状況の下、米国及び欧州における経済活動の回復に伴う需要を取り込むべく、ウィズコロナ時代に利用増加が一層見込まれるキャッシュレスの動向等も加味したシステム製品や、セルフレジ等の非接触・非対面化の拡大や促進に関連する製品の積極的な営業活動を実施するとともに、半導体等の電子部品の供給不足の影響に伴う顧客の需要に対する製品の供給懸念については、高需要製品の販売を最優先として他製品からの部品の振り分けを含むあらゆる手段による部品調達に努め、顧客に対する供給体制の整備に当社グループの総力を挙げて注力いたしました。さらに経費面においても、前連結会計年度に引き続き人件費や研究開発費の効率的な運用に基づく削減・抑制等の経費削減策を実施いたしました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,371百万円増加し33,144百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて315百万円増加し9,974百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,056百万円増加し23,169百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は、20,040百万円(前連結会計年度比17.8%増)となりました。利益面では優先度の高い開発プロジェクトに集中投資をすることによる開発費の抑制、人員体制の再構築による人件費及びグループ会社における事務所統合等の効率化による固定費の削減などにより、営業利益は568百万円(前連結会計年度は2,589百万円の損失)となりました。さらに、円安の進行に伴う為替差益など営業外収益を874百万円計上したこともあり、経常利益は1,384百万円(前連結会計年度は2,902百万円の損失)となりましたが、繰延税金資産の取崩しに伴い、法人税等調整額983百万円を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は605百万円(前連結会計年度は7,558百万円の損失)となりました。
なお、当連結会計年度の平均為替レートは、米ドル110.37円(前連結会計年度106.44円)、ユーロは130.37円(前連結会計年度121.95円)で推移いたしました。また、決算期末の時価評価に適用する期末日為替レートは、米ドル122.41円(前連結会計年度末110.72円)でありました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
<グローバルゲーミング>
欧州地域では新たな変異株の感染拡大など、依然として新型コロナウイルス感染症の影響を受けている国もある事から低調な推移となりましたが、米国においてはワクチン接種が進み、カジノ施設への入場制限等の緩和も進んだことで、ビフォーコロナにも見られなかったような活況を背景に、主力製品である紙幣識別機ユニットやプリンターの販売が堅調となり、当セグメントの売上高は10,093百万円(前連結会計年度比25.0%増)となりました。セグメント利益は増収要因に加えて、前期に実施した人員体制の再構築や固定資産の減損損失の計上による人件費や減価償却費の減少等により、1,475百万円(前連結会計年度は486百万円の損失)と前連結会計年度比で大幅な増益となりました。
<海外コマーシャル>
新型コロナウイルス感染拡大防止を背景に、非接触・非対面での精算スタイルが定着しつつあり、欧州地域においてセルフレジ精算機向けの紙幣還流ユニットの販売が好調に推移いたしました。また、米国においてもビットコインATM向けに紙幣還流ユニットが導入されたこともあり、当セグメントの売上高は4,361百万円(前連結会計年度比58.8%増)と前連結会計年度比で大幅な増収となりました。セグメント利益は増収要因に加えて、開発案件の完了等による研究開発費用の減少等もあり、209百万円(前連結会計年度は791百万円の損失)と4期ぶりにセグメント利益を確保いたしました。
<国内コマーシャル>
海外コマーシャルと同様に精算時における非接触・非対面化の進行に関連する製品が高需要にあり、飲食店セルフオーダー券売機向けやセルフガソリンスタンド向けの紙幣還流ユニット及び硬貨還流機ユニットの販売が堅調に推移したことなどにより、当セグメントの売上高は1,839百万円(前連結会計年度比7.9%増)となりましたが、キャッシュレス対応精算機をはじめとする新製品の開発費用の増加などにより、セグメント利益は86百万円(前連結会計年度比24.8%減)と前連結会計年度比で減益となりました。
<遊技場向機器>
国内では未だコロナ禍の影響からパチンコホールの稼働回復に時間を要していることに加えて、本年1月末を期限とした新規則機への入替を控えていたこともあり、周辺設備機器への投資に対しては慎重な姿勢が継続いたしました。さらに新規則機への入替に合わせた需要を想定していたものの、半導体等の電子部品の供給不足の影響により新規則機の供給に遅れが生じたことなどから、当セグメントの売上高は3,746百万円(前連結会計年度比16.4%減)となりましたが、人員体制の再構築や営業所の統廃合等の経費削減に取り組むとともに、工事案件の内製化と収益性の管理を徹底したことにより、セグメント損失は391百万円(前連結会計年度は986百万円の損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ、1,828百万円増加し、14,241百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は1,333百万円(前連結会計年度は843百万円の支出)となりました。これは主に売上債権の増加額374百万円、早期希望退職関連費用の支払額468百万円、法人税等の支払額285百万円等の資金の減少を計上した一方で、税金等調整前当期純利益1,384百万円、棚卸資産の減少額1,153百万円、仕入債務の増加額667百万円等の資金の増加を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、支出した資金は255百万円(前連結会計年度は34百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出207百万円、無形固定資産の取得による支出46百万円等を計上したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は397百万円(前連結会計年度は3,987百万円の収入)となりました。これは主に短期借入金4,300百万円からの借換により、長期借入れによる収入3,000百万円、社債の発行による収入1,950百万円などがあり、資金が増加したことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
グローバルゲーミング |
3,244,318 |
126.6 |
海外コマーシャル |
2,295,833 |
119.3 |
国内コマーシャル |
1,490,137 |
101.1 |
遊技場向機器 |
972,896 |
78.7 |
合計 |
8,003,185 |
111.2 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
b.製品仕入実績
当連結会計年度の製品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
グローバルゲーミング |
949,495 |
60.7 |
海外コマーシャル |
169,854 |
190.2 |
国内コマーシャル |
43,666 |
136.1 |
遊技場向機器 |
327,789 |
65.2 |
合計 |
1,490,804 |
68.1 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
c.受注実績
当社グループの生産は、主として見込み生産によっているため、記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
グローバルゲーミング |
10,093,060 |
125.0 |
海外コマーシャル |
4,361,192 |
158.8 |
国内コマーシャル |
1,839,704 |
107.9 |
遊技場向機器 |
3,746,143 |
83.6 |
合計 |
20,040,100 |
117.8 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,371百万円増加し、33,144百万円となりました。
流動資産合計は、前連結会計年度末に比べて2,262百万円増加し、28,077百万円となりました。売上高の増加に伴い「現金及び預金」が1,828百万円、「受取手形、売掛金及び契約資産」が760百万円それぞれ増加した一方で、棚卸資産が529百万円減少いたしました。
固定資産合計は、「繰延税金資産」の取崩し等により前連結会計年度末に比べて933百万円減少し、5,024百万円となりました。
繰延資産合計は、社債の発行に係る費用について繰延計上したことにより、前連結会計年度末に比べて42百万円増加いたしました。
負債合計は、前連結会計年度末に比べて315百万円増加し、9,974百万円となりました。「短期借入金」が「長期借入金」への借換により4,180百万円減少した一方、「1年内返済予定の長期借入金」が600百万円、「長期借入金」が2,100百万円、社債の発行により「社債」が2,000百万円それぞれ増加いたしました。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,056百万円増加し、23,169百万円となりました。「その他有価証券評価差額金」が株価下落により191百万円減少した一方、親会社株主に帰属する当連結会計年度純利益の計上等により「利益剰余金」が616百万円、在外子会社の時価評価による「為替換算調整勘定」が631百万円それぞれ増加いたしました。
b.経営成績
売上高は20,040百万円(前連結会計年度比17.8%増)となりました。米国ゲーミング市場では、ワクチン接種が進み、カジノ施設への入場規制等の緩和が進んだこともあり、カジノオペレーター等の顧客における設備投資意欲が大きく回復、また国内外のコマーシャル市場においても、感染防止対策としての現金決済における非接触・非対面化の拡大や促進に関連する製品の需要が堅調に推移したことなどにより、増収となりました。
売上原価は、12,443百万円(前連結会計年度比6.1%増)となり、売上原価率は、前連結会計年度比6.9ポイント減少し、62.1%となりました。前連結会計年度に固定資産の減損処理を行ったことによる減価償却費の減少、人員体制の再構築による労務費の減少などの影響により、原価率が減少となりました。
売上総利益は7,596百万円(前連結会計年度比43.6%増)となりました。
販売費及び一般管理費は7,027百万円(前連結会計年度比10.8%減)となりました。優先度の高い開発プロジェクトに集中投資をすることによる開発費の抑制、人員体制の再構築による人件費及びグループ会社における事務所統合の効率化による固定費の削減などを実施したことにより、販売費及び一般管理費は減少いたしました。
営業利益は568百万円(前連結会計年度は2,589百万円の損失)となりました。
営業外収益は円安の進行に伴う為替差益などにより、874百万円となりました。
経常利益は1,384百万円(前連結会計年度は2,902百万円の損失)、税金等調整前当期純利益は1,384百万円(前連結会計年度は8,241百万円の損失)となりました。
法人税等は、779百万円となりました。繰延税金資産の取崩しに伴い、法人税等調整額983百万円を計上いたしました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、605百万円(前連結会計年度は7,558百万円の損失)となりました。
c.キャッシュ・フローの状況および資金の流動性について
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
d.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金用途については、顧客への当社製品の安定供給を第一とした事業活動に要する運転資金のほかに、生産用金型やものづくりの機能強化を主とした設備投資資金が必要であります。その資金確保については、自己資金ならびに金融機関からの借入金を基本としており、企業買収などの投資については、自己資金や金融機関からの借入金のほか、資本調達などによって資金を確保しております。
e.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは2021年度(2022年3月期)を最終年度とする「新中期経営計画」ローリングプラン(Ⅳ)(「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載)を策定しており、当該計画の目標を達成するための主な経営指標は営業利益率6%、ROE4%と定めておりましたが、近年の新型コロナウイルス感染症の影響をはじめとする様々な要因により、当該計画の前提となる事業環境が大きく乖離したことから、現在、当該計画の見直しに着手しております。
今後、当該計画の見直しが完了次第、当該指標等につきましても速やかに公表いたします。
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