課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、企業理念である「社会の信頼に応え、モノづくりを通じて、人々の幸福と豊かな社会づくりに貢献する」を体現するために、当社グループの目指す姿として「JTEKT GROUP VISION」を、当社グループの従業員が共有すべき価値観として「JTEKT WAY」をそれぞれ定義し、これらをベースに日々の企業活動を実践しております。

 「JTEKT GROUP VISION」においては、目指す姿として「No.1 & Only One -より良い未来に向かって-」を掲げ、その実現に向けて取り組むべきこととして、お客様の期待を超える「価値づくり」、世界を感動させる「モノづくり」、自らが“考動”する「人づくり」の3本柱を定めております。

 「JTEKT WAY」は、過去より受け継ぎ今後も伝えていくべき価値観として「和して厳しく」「技に夢を求めて」、当社グループの“考動”の基礎となる価値観として「お客様視点」「当事者意識」「たゆまぬ改善」の計5つを定めており、全従業員が「JTEKT WAY」の真の意味を理解し、これらの価値観に基づいて考動できるように、グループ全社に対して浸透活動を継続しております。

 


 

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは損益分岐点売上比率を経営上の目標の達成状況を判断するための最も重要な指標とし、売上に左右されない体質づくりに取り組んでまいります。また、経営状況を把握する指標として、売上収益、事業利益、事業利益率、棚卸資産回転月数、NET DEレシオ、ROA及びROE等の実績を用いております。

 

(3) 長期的な会社の経営戦略

社会を取り巻く環境は、温暖化等に代表される環境問題やエネルギー資源の枯渇、新興国の経済発展・人口増加に伴う水・食料の不足、先進国での高齢化等、様々な課題が顕在化しております。各産業分野で社会の持続的な成長に向けてテクノロジーにより社会的課題の解決が図られている中で、当社グループの売上収益の約8割を占める自動車産業においても、100年に一度の大変革期と言われているとおり、自動運転や電動化等CASEに代表される技術革新が急速に進んでおります。環境規制はさらに強化され、カーボンニュートラルに向けた再生エネルギーの活用や水素社会の実現に向けた取組みも着実に進んでおります。

これらの取り巻く環境の変化に対応し、社会課題の解決を通して企業を成長させるため、2030年の目指す姿及び、その実現に向けて、「長期・中期経営計画」を策定いたしました。

 

<2030年の目指す姿>

・新領域:ジェイテクトグループシーズの活用、トヨタグループ連携で勝ち抜く

・既存事業:競争力を強化し、事業の更なる成長を図る

 

 


 

 

<中期経営計画>

2030年までの10か年を、3年、3年、4年の三期に分け、第一期中計期間に当たる2021~2023年度は、体質強化の3年と位置付け①競争力強化、②将来への種まき、③経営基盤強化(体質強化)、④仕組みづくり・人づくりの4つに取り組んでまいります。第一期中計期間は失われた競争力の回復を最優先事項と捉え、価格・性能・品質・対応力の全てにおいて競争力を強化してまいります。自動車事業においては、全品種においてグループ一体で抜本的な改革を行い、競争力を強化してまいります。産機・軸受事業においては、当期に改善した体質を維持し、リバウンドさせず、更なる固定費・変動費改善を進めることで競争力を強化し、当社の他事業や当社グループ、トヨタグループへ貢献してまいります。工作機械・システム事業においては、大手顧客重視・専用型がベースの事業から、ターゲット市場を広げ、成長産業へ拡販すべく製品競争力強化に取り組んでまいります。これら既存事業で創出した資金を、将来の事業の柱の創出・育成や社会課題を解決する新領域の開拓等、将来への種まきに投じてまいります。また、地球のため、世の中のため、お客様のため、全員、本気で改善し続ける企業へ生まれ変わるための仕組みづくり・人づくりに取り組み、「年輪経営」の実現に向けて基盤を強化してまいります。

 

(4) 経営環境

当連結会計年度に引き続き、当社グループを取り巻く環境は、半導体供給不足の継続や新型コロナウイルス感染症に起因する物流停滞等のサプライチェーンの混乱を懸念しており、今後の見通しは不透明な状況であります。

さらに、ウクライナ情勢は、現在の供給制約を長期化させるリスク要因であるとともに、エネルギーコスト高騰を招く等、世界的なインフレ傾向に拍車をかけており、米国の金融緩和縮小による急激な円安と合わせて弊社業績への影響が懸念され、決して楽観視できない状況であります。

 

 

(5) 優先的に対処すべき課題

当連結会計年度に策定、公表しました長期・中期経営計画は、2030年の目指す姿への到達に向け、2021年度から2030年度の10年間を3つのフェーズに分けております。その中で2021年度から2023年度を第一期と位置付けており、「体質強化の3年」と名付けられたこの第一期中期経営計画の目標として、損益分岐点売上比率(2019年度売上収益比)80%、事業利益1,000億円を掲げております。

2022年度ジェイテクトグループ方針では、主要な取組みとして掲げている4つのキーワード(「人づくり、仕組みづくり」「経営基盤強化」「競争力強化」「将来への種まき」)に対応する施策のKPI、目標値、責任者を明確に定めました。そして、年度方針から各部署の年度実施計画までをそれぞれブレイクダウンして繋げることで、進捗を見える化し、計画との乖離が発生した場合は直ちに対策を講じてまいります。

「経営基盤強化」として、当期は損益分岐点売上比率の引き下げに取り組んでまいりましたが、材料費、物流費の高騰もあり、変動費率の改善を思うように進められませんでした。当期に引き続き、設計を含めた抜本的な原価低減活動を進めてまいります。また、工場の生産性向上を目的として、2022年4月に生産本部を新設いたしました。工場単位でも事業本部間の壁をなくし、One JTEKTの象徴として位置付けるとともに、グローバルの工場を横並びで比較し、より生産性の高い工場に生産を集約させる等して、互いに競い合わせることでグループ全体の生産性向上を目指してまいります。

「競争力強化」「将来への種まき」においては、少しずつ事業本部間・グループ会社間のシナジーが生まれてはいるものの、まだまだジェイテクトグループの持つ多様なシーズを活かしきれていないことが課題であります。社会の変化も踏まえ成長分野と社会ニーズから当社が担うべき市場を設定し、そこにジェイテクトグループの多様なシーズを組み合わせて新たな商品を生み出し提案し続けられる集団にならなければなりません。新たに社長直轄組織として設置した「コーポレート戦略室」で策定する戦略・ロードマップに基づいて製品・技術の開発を進め、明確に飛躍を狙う分野にはしっかりと投資も行ってまいります。

そして、これらの実践にはジェイテクトの基本理念を自然に実践できる「人づくり、仕組みづくり」が必要不可欠です。従業員一人ひとりが「地球のため、世の中のため、お客様のために何をすべきか」を考えることができる、「全員貢献」の実現に向けて、グループ全体に共感の輪を広げてまいります。また、具体的に自ら考えて行動する人材の育成に向け、問題解決を中心とした教育体系をさらに充実させてまいります。

 

また、大きな社会課題のひとつであるカーボンニュートラルに関して、長期・中期経営計画公表時はグループ全体の目標を2040年と設定しておりました。この1年、施策の見直しを進め、2022年5月にはこの目標を2035年と5年前倒すことといたしました。省エネをはじめ、カーボンニュートラルに関連する社内の次世代技術を結集した総合的インフラモデルの構築を推進してまいります。

 

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