研究開発活動

5 【研究開発活動】

当社グループは、「No.1 & Only One-より良い未来に向かって-」をJTEKT GROUP VISIONとして掲げ、「価値づくり」「モノづくり」「人づくり」を通じてナンバーワン、オンリーワンの商品、サービスをお届けする企業活動を実践しております。特に「価値づくり」において、当社が保有するトライボロジー(潤滑、摩擦)、材料、システム制御、計測・解析、加工など、多様な要素・基盤技術を進化・融合させながら、お客様の期待を超えるような新しい価値を生み出す新製品・新技術の開発を目指しております。自動車分野における自動運転や電動化等の技術革新への取組みとともに地球温暖化に代表される環境問題やエネルギー資源の枯渇、人口増加に伴う水・食料資源の不足、先進国の高齢化等の社会課題の解決にも目を向け、スピーディかつ確実に成長分野を視野に入れた積極的な研究開発に取り組んでまいります。

なお、当連結会計年度における研究開発費は47,576百万円であり、各セグメントにおける研究開発活動の状況は、以下のとおりであります。

(1) 自動車

2021年4月1日付でステアリング事業、駆動事業、軸受事業のハブユニット部門を統合し、自動車事業本部を発足いたしました。自動車事業は、クルマの基本機能の一つである“曲がる”を担うステアリングシステム、“走る”を支えるドライブライン製品(※1)、トルクコントロールデバイス(※2)、ハブユニット、地球環境に貢献するFCEV向け減圧弁・バルブ等を提供しております。自動車の“曲がる”と“走る”の両者を掛け合わせたシステム提案ができる当社の強みを活かし、シャシー領域を一括で任せられるシステムサプライヤーを目指しお客様に貢献してまいります。

パワーステアリングでは、当社はグローバルNo.1シェアを誇り、乗用車から大型商用車まで多様な製品を提供しております。また、商品力を向上するため、リチウムイオンキャパシタを補助電源として用いたステアバイワイヤシステムの開発等差別化にも取り組んでおります。当連結会計年度の主な成果としては、以下のとおりであります。

 

「JR東日本気仙沼線BRT(※3)における自動運転バス試乗会」として報道公開し、当実証実験の参画企業として参加

JFOPS® 4(※4)採用の電動パワーステアリングを開発。トヨタ自動車LEXUS 新型「LS」、TOYOTA 新型「MIRAI」に採用

「JFOPS® 4採用の第2世代内製MCUを搭載した電動パワーステアリング」と「BEV(Battery Electric Vehicle)駆動モーター冷却・潤滑用 電動オイルポンプ」が日産アリアに採用

・トルクの低減と極寒冷地でも高い密封性を発揮するシールを採用したハブユニットを開発。日本国内を始め、極寒冷地を含むグローバル市場で、本製品を通じて低炭素社会の実現に貢献

トルセン®LSDとハブユニットがTOYOTA 新型ランドクルーザーに採用され、特に第3世代円すいころ軸受ハブユニットは日本初採用

・高耐熱リチウムイオンキャパシタが、日野チームスガワラのダカール・ラリー2022参戦車のハイブリッドシステムの主電源として搭載され駆動出力アップと完走に貢献

 

※1 ドライブシャフト、プロペラシャフト等駆動力を伝達するための製品であります。

※2 エンジンからの回転力を前後左右の駆動力へ配分を行うための機構であります。

※3 バス高速輸送システム(Bus Rapid Transit)であります。

※4 「JFOPS」:JTEKT Fail-OPerational System の略。先進運転支援システム(ADAS)レベルに応じた安全性を備える当社独自のEPS安全コンセプトで、Level 0~4までを定義しておりLevel 4が最上位であります。

 

 

(2) 産機・軸受

産機・軸受事業では、環境規制への対応、高効率化のニーズが高まる中、これまで培ってきた基盤技術をさらに進化させるとともに、自動車の電動化や産機分野での使用環境の多様化に対応する、新たな商品開発に取り組んでおります。当連結会計年度の主な成果としては、以下のとおりであります。

 

電気自動車モーター用高速回転グリース潤滑玉軸受を開発。小型軽量化、潤滑性を高めより一層の高速性を実現

耐水素環境用軸受「EXSEV®-H2」を開発。FCEVの水素循環ポンプ等に使用され、従来比10倍の長寿命化を実現

耐食ステンレス軸受「コロガードプロベアリング®-LS」を開発。従来品から耐摩耗性を向上させ軸受寿命を約2倍延長

超高精度軸受「PRECILENCE®」に低NRRO(※1)シリーズを開発し追加、工作機械の加工精度向上や加工時間短縮に貢献

鉄鋼圧延機用長寿命ドライブシャフトを開発。長寿命化技術により耐用年数が当社従来比最大4倍、メンテナンスサービスの充実により保守・補修費用の最大50%削減を実現

鉄鋼圧延設備用軸受荷重センシング技術を開発。軸受荷重を直接測定することにより、正確な設備状態の“見える化”と“壊れない軸受”の提案を実現

下水処理場用送風機向け磁気軸受製品を開発。曝気ブロアの連続運転時間の延長と高出力化に貢献

東海道新幹線 N700S向け車軸に軸受採用。軸受容量を前モデルN700比で10%増強して、安心・安全性を確保

 

※1 NRRO:回転に同期しない振れ(Non-Repeatable Run-Out)

 

(3) 工作機械

工作機械事業においては、モノづくりイノベーションカンパニーとして、工作機械、IoEソリューション、ライフサイクルサポートの3つのビジネスを展開し、お客様のモノづくりの価値を高めることを目指しております。研究開発活動においては、新しいニーズに応え続ける商品開発と次世代を見据えた技術開発を推進しております。当連結会計年度の主な成果としては、以下のとおりであります。

 

総合ギヤビルダーとして歯車、歯車加工設備をお客様にご提案する「Gear Innovation Center」を刈谷にオープン

・ギヤスカイビングセンタGS200Hが、第56回機械振興賞経済産業大臣賞を受賞。自動車の電動化に伴い、世界に先駆けて歯車の静音化に取り組み、コンパクトで騒音の少ない歯車を精度良く加工可能な技術を実用化し、今後の電動車生産に貢献

TOYOPUC®-Nanoシリーズ サイクルレコーダ機能を開発。設備トラブルの事象解析や設備復帰時間の短縮に貢献

IoEサイト更新。設備・人・情報をつなげIoEソリューションの様々な要望に応える機能を拡充

株式会社日立ソリューションズと協業し、生産計画ソリューション「SynPLA®」と連携を開始

「なんでも相談室」開設。設備のトラブルや加工方法の困りごとを解決し生産性向上をサポート

JTEKTブランド第1弾、円筒研削盤を開発。ニーズ毎に選択できるタイプ化を行いお客様だけの最適仕様を実現

 

(4) その他新領域

当社は、取り巻く環境の変化を先読みして持続的に成長するために、少子高齢化や環境・エネルギー・食料問題といった将来の社会課題に対するニーズと、既存の事業で培った技術やノウハウといったシーズを掛け合わせることで、新規事業領域の創出に取り組んでおります。当連結会計年度の主な成果としては、以下のとおりであります。

 

労働人口減の中で、作業負担の軽減や効率化に貢献すべく、市場の声を反映させ価値をさらに高めたパワーアシストスーツ「J-PAS fleairy® (フレアリー)」の介護業界での社会実装進展と他の業界への展開

高耐熱リチウムイオンキャパシタが水素燃料電池ドローンの補助電源に採用

 

環境循環性に優れるギ酸を用いた新燃料電池を開発。金沢大学との共同研究を進め、実用化を目指した国内初の50W級機能実証機を開発。脱炭素社会の実現、SDGsの目標達成に貢献

コオロギの食糧資源化開発を推進。既存事業で培った自動化技術、データ・品質管理技術を基盤とした飼育・加工一貫プラントにより、安全・安心・高品質なタンパク質の生産を目指す

 

(注)「JFOPS」「トルセン」「EXSEV」「コロガードプロベアリング」「PRECILENCE」「J-PAS fleairy」「TOYOPUC」は当社の登録商標であります。「SynPLA」は株式売社日立ソリューションズ東日本の登録商標であります。

 

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